10代目雲の兄弟 霧雲の守護者になった者   作:白炉丸

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一部ミスがあったため直しました。(投稿30分後)




霧雲 参拾陸

 話があるとユニに連れられ、凜弥は野営地から少し離れた森の中へ。周りから姿が隠れる場所まで歩くとユニは足を止め僕に振り向き微笑みながら言った。

 

 

「ここなら大丈夫です。早く彼らを迎えに行ってあげてください」

「 君は…。その為にわざわざ、僕を彼らから離してくれたのか 」

 

 

 予知でも見たのか、これから凜弥が行おうとしていたことをユニは知っていたようだ。

 この状況であの場を離れるとなると一悶着あっただろうから、それを回避できるならありがたい。

 

 

「 必ず戻るよ、彼らを連れてね 」 

「はい、まっています」

 

 

 ユニは変わらない微笑みを凜弥に見せる。だけど凜弥の足は動かない。

 

凜弥は目を伏せ口を開いた。静かに、静かに、言葉を紡ぐ

 

 

「 ……ユニ。人間は他人の心の内を知る事はできない。だから言葉というものがあるんだ 」

「凜弥さん?」

 

「 僕が君を止めるわけにはいかないから 」

 

そう言うと凜弥は、懐から紋章の刻まれた懐中時計を取り出した。

凜弥はユニの手を取り、その手に自身の懐中時計を乗せて握らせた。

 

「この懐中時計は…」

「 お守り、君に預ける 」

 

 ユニはその懐中時計を知っていた。この懐中時計は自分と凜弥を引き合わせる切っ掛けになったものだから。

 

「 行ってくる」

 

 この懐中時計は、凜弥にとって大きな意味を持っているモノだ。

知識や伝手を最大限活用し、あの時代には存在しなかった技術を使ってまで現代へ残した懐中時計。

だけれどそれを、ユニに渡した。

 

 凜弥はユニに背を向けて歩き出す。

一歩一歩と足を進める凜弥の周囲に、灰色の霧が巻き上がる。死ぬ気の炎だ。凜弥のみが灯す霧雲の炎。

 

 その炎は歩みを進める凜弥を隠すように包み込んでいく

 

 

 

 

 

 

「 ……君を(おも)いてくれる彼はすぐそこにいる 」

 

誰の耳にも入ることなく、吐息まじりのその言葉は風に流れた。

 

 

 

 身体の全てが灰色の霧に包まれた時、凜弥の姿は消え失せる。

 

 

 

 

「ありがとうございます…リンさん」

 

 

 

 ユニは懐中時計を両手で包み、その手を胸の前へ。そして祈るように目を閉じた。

 

 

「あなた方を、平和な過去へ…必ず」 

 

 

 

 

 

B

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

「お、あそこかな」

 

 時は少し戻り、ヨーロッパのとある雪山。その山頂付近にポツンと建っている小さな山小屋を目指し、男は歩いてきた。

 

 男の名はブラッコ。前世の凜弥が、自らの意思で初めて部下にした男だ。

 

 

「うひゃぁ、寒い寒い」

 

 ブラッコは山小屋の入口に着くと、自身に降り積もった雪をバサバサと大雑把に叩き落とす。ある程度雪が落ちたことを確認したブラッコは身を震わせながら山小屋の扉を開いた。

 

 

「お、いたいた。久しぶりだねぇ、元気してた?」

 

 ブラッコは山小屋へ入ると中にいた者達に親しげに声をかけた。

 

「んな! おっせーぞブラッコ!!」

「久しぶり……ブラッコさん」

「おひさしぶりですー、ブラッコニーサン。寒いんで早く扉を閉めてもらってもいいですか?」

 

 いち早く反応したのは、顔に横一線の傷跡が残る城島犬。次に柿本千種、そしてフランが応えた。

 

「あぁーごめんごめん、そだね。こうして直接会うのはひさびさだかららさ、ちょっと気が急いちゃつた」

 

 再開早々辛口を貰ったブラッコはすぐに扉を閉めた。

床に散らばった使用済みクラッカーや酒瓶を避けながら、学校の保健室にあるような白い無地の天蓋付きベットに近づいていく。

 

 

「なに?アンタたち、このオッサンと知り合いなの」

 

 初めて見る人間の登場、その大男と親しげに話をしている彼らに一人だけついて行けないM・M(エム・エム)が困惑した様子、しかし強気に問いかける。

 

 

「あ、キミははじめましてだね。おじさんはブラッコ。彼らとは昔からの知り合いだよ〜」

 

 彼女の警戒心を感じ取っているブラッコは彼女に笑顔を向ける。だがそれ以上何をするでもない。

 

 ブラッコはベットに寝ている目的の人物の元にたどり着く。カーテンを少しめくり、中の人物を感慨深くうかがう。

 

 

「お〜、生身の骸くんだ。ずーっと水槽の中だったのに肉体は成長するんだねぇ…不思議だ」

 

「そんなことはいいびょん!」

「ブラッコさん……早く日本に…」

 

 

 急く二人にブラッコはハッとしたように振り向き頬をかいた。

 

「あ〜そうだったね。じゃ、外に出ようか。近くにヘリコプター待機してもらってるから、まずはそれに乗って下山するよ」

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