ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D   作:ユキアン

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赤龍帝な日々 3

「はい、これでおしまいですよ」

 

「ちょっ、兄貴、踏み固めた地面に両手を封じた変形パイルドライバーはマジ勘弁!!」

 

「耐えれるでしょうが。それ!!」

 

「いや、そうだべっ!?」

 

今のは完全に決まったな。頭が地面に埋まってやがる。

 

「そこまでだ。セリス、前回の反省点を解消しているな。今の調子で鍛えていくと良い。エルクはもう少し見を鍛える必要があるな。見え透いたフェイントに引っかかるようではまだまだだ」

 

「はい」「……ぶはっ、うぃっす」

 

「では、今日はここまでだ。来週の日曜は龍の姿の方だ。冥界の方だぞ」

 

「げぇ、冥界かよ。あんまり空気が合わねえんだよな」

 

「単に気分の問題だ。エルもそう言っている。大戦期は元気だったぞ、天使共」

 

「あ〜、やっぱり?個人的には人間界が一番落ち着く。生まれも育ちも此処だし」

 

「そうですね。私も冥界が過ごしやすいとは思いません。違和感しかないですね」

 

「だろうなぁ。オレはどこで生まれたのかすら曖昧だからほとんど気にしないが。それよりも今日はこれから駒王学園の合格発表だろう。ちゃんと身だしなみを整えていけ」

 

「はい」「うぃ〜っす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、エルクはどうしたんだ?」

 

入学式から帰ってきてから床で身悶えているエルクを指差しながらおそらく一緒にいたであろうセリスに確認する。

 

「それが、駒王学園に純血の悪魔が二人、同期として入学してるんだけど、その片方に一目惚れした上に眷属に誘われたらしいんだ」

 

「「「女性不信のエルクが一目惚れ!?」」」

 

オレだけでなくセラとエルまでもが驚く。

 

「それだけまっすぐで公正な魂の持ち主だったんだよ!!」

 

今まで身悶えていたエルクが立ち上がって叫ぶ。だが、すぐに落ち込んでしまう。

 

「だけどさぁ、駒のコスト が、兵士8個でも足りなかった」

 

「あ〜、ハーフとはいえドラゴンのオレの血を引いている上に、もう半分が上級天使のエルの血を引いてるからな。並大抵の才能じゃ無理だな。セリスも半分は悪魔の中で最も魔力の多いセラの血を引いてるから才能の塊みたいだからな」

 

「まあ、私は今のところ誰かの眷属になる予定はないですね」

 

「親父ぃ〜、なんか手はないか?」

 

「無くもないぞ。幾つか手はある」

 

「さすがは親父だ!!で、その手は?」

 

「一つ、眷属を諦めて使い魔をやる。あれには才能は関係ないからな。二つ、お前の能力を封印する。龍としての身体と魔力ぐらいなら封印してやれる。た だし、その場合お前は天使として認識されることになる。三つ、オレの力で強引に駒のリソースをあげる。これは研究の必要があるから時間がかかるだろうがな」

 

「三つ目って俺でも出来る?」

 

「まあ、それなりに練習すればいけるだろう。そういえば聞き忘れていたが、その純血悪魔の二人とは誰だ?」

 

「一人はこの地の管理を任されているリアス・グレモリー。エルクが一目惚れしたのがソーナ・シトリーです」

 

「......シトリーだと?」

 

「どうかしましたか?」

 

大人組が、特にセラが一番渋い顔をしているのを疑問に思ったのかセリスが尋ねてきた。

 

「シトリー家とは仲が悪く てな。オレたちのことは話さないほうが良いぞ」

 

「若い頃にやんちゃした結果ですか?」

 

「いや、まあ、なんだ?次期当主が勝手に出奔してな、その原因がオレにある。それ以降仲が悪いというか、顔を合わせづらいというかな」

 

「はぁ、それでその次期当主は今どちらに?」

 

オレは無言でセラを指差す。セリスとエルクがそちらのほうを見て、いやいやと首を横に振る。だが、オレもエルもそれに対して首を横に振る。そして今まで黙っていた本来の名を告げる。

 

「セラの本名はセラフォルー・シトリー。大戦期にオレと共になって、説明もせずに抜け出した元凶だ。あと、エルも本名はガブリエル、熾天使の一人だっ た。そして、オレ、ドメル・レイフォードも偽名だ。真の名はドライグ、世間で天龍や赤龍帝と呼ばれている」

 

「「えっ、なにそれこわい」」

 

そんなにハモられてもな。まあ、人間界でも超有名な悪魔と天使と龍だからな。あっちこっちの戦史に名が残ってるから。一番最近だと第2次世界大戦でアメリカの太平洋艦隊を焼き払ったり、中国の半分を更地にしたり、ロシアの一部が海に沈んだ件だっけ?

 

龍の宿命から逃れるのを諦めて、危険かもしれないがそれでも二人に子を産んでほしいと、プロポーズしてイチャイチャし始めた時期に戦争を起こしやがって腹が立って焼き払ったんだったか。日本には長いこと住み着いていたから守護龍としても拝まれて いた上に、あちこちで暴れていたこともあって神格も得ている。

 

本来なら天下を統一した織田信長との契約で東国はオレの領土なんだけどな。いつの間にかなかったことになっている。別に気にしてないけどな。代わりに色々な寺に祀られてるから。

 

ちなみにセラとかエルも祀られてる。芸能関係と恋愛関係で。オレは戦関係に勉学関係、あとは農業関係だったはず。

 

「話すと面倒にしかならない理由はわかったな。あまり言いふらすな。だが、必要だとオレの名と紋章を見せつけろ。知らん奴の方が少ないだろうからな。特に人外の上層部はそれをよ〜く知っている。特に天使はな」

 

そう説明するとエルが苦笑いしている。

 

「なにを、したの?」

 

「大戦期にオレに喧嘩を売ってきたのが少し特殊な奴でな。天使と堕天使、その両方で活動していた奴が居たのだ。それに気づいたのは大戦期の終盤でな、オレは大戦期中盤から悪魔側として天使を削りに削り回っていた。それだけならまだマシだったのだろうがな。聖書の神がさらにオレに喧嘩を売ってきたから殺して、熾天使の大半を半殺しにした」

 

「お、おう。それでよく不平等条約とか結ばれずに、ああ、母さんが親父と一緒になったからか」

 

エルクが勘違いの結論を出して納得しているが逆だ。

 

「エルが自分を差し出してどうにかしてほしいと頼んだからだ。そこから力技で今の状態に持ち込んだ。調 子に乗った魔王が一人散った程度で済んで楽だったわ」

 

「親父、あんた鬼だな」

 

「失礼な。オレは紳士で通ってたんだぞ。龍の姿を封印してる時は」

 

売られた喧嘩は速攻で買うけどな。

 

「話を戻すが、そういった事情を話すかも自分で決めろ。どこまで話すのかも全部自分でだ。セリスも一緒だ。お前たちもそろそろ自分のことを決めるぐらいはしていかないとな。でかい失敗をすればケツぐらいは拭いてやる。力技になるから環境がガラッと変わる可能性が高いがな」

 

「そうならないように頑張ります」

 

「それじゃあ親父、ちょっくら報告に行ってくるわ」

 

「うむ、ついでに卵を 買ってこい。Lサイズの10個入りだ」

 

「そっちは私が行きますよ。私の方もグレモリーさんの方に説明に行ってきますから。彼女が駒王の管理をするそうなので」

 

「そうか。前任の悲劇は繰り返さないように念を押しておけ。でないとOHANASHIに行くぞと上に伝えろとも」

 

「?わかりました、伝えておきます」

 

 

 

 

 

結局、エルクは一月程かけて駒のリソースを大幅に上げることに成功してソーナ・シトリーの眷属になった。これで龍と天使のハーフで転生悪魔とかいうカオスな存在になったな。そして、主人であるソーナ・シトリーにちょうきょ、げふん、しつ、でもないな、そう、教育を施されて言葉遣いと態度を直された。

 

まあ、あれは女性不信なエルクが身を守るために身につけたものだからな。女性の保護下にあるのなら必要ないな。根は素直な良い子だからな。

 

戦闘面での連携も問題ない。性格以外は母親と一緒だからな。精密操作と持久力ではエルをも上回る才能を持っている。まあ、経験の差で負けばかりだがな。伊達に大戦期を生き抜いてないから。

 

セリスの方は悪魔とは一定の距離感を保ちつつも、学園では普通に友人として接するようだ。まあ、どうせ龍の宿命に巻き込まれるだろうから、いずれは関係が変わるだろうけどな。

 

そろそろまた戦いに巻き込まれそうだな。他力本願龍が目覚めるのもそろそろだし身体を作っ ておくか。ああ、他力本願龍は神器、その中でも神をも殺せるほど強力で同時期に二つ以上の出現が見られない神滅具として何度も人に取り憑き、度々襲い掛かってきては返り討ちになっている。前回から考えるとそろそろ襲ってきても不思議ではない。面倒なんだよな、あいつ。場合によっては息子たちの糧にしてやろうか。

 

 


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