ゴブリンスレイヤー×ザ・キング・オブ・ファイターズのクロスオーバーエピソード。


あるスマホゲームで、この二作のコラボがありました。
ゴブリンスレイヤー達がザ・キング・オブ・ファイターズの世界にやってくる話。時空を超えて侍魂な方が参戦するくらいだから、まあ異世界もありなんでしょうね。逆バージョンを書いてみました。

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気楽にどうぞ。

ゴブリンスレイヤーはアニメのみ視聴です。

違うなってところはあるかもしれません。




新人冒険者

「見慣れない新人がゴブリン退治にか」

「はい。ゴブリンスレイヤーさん、行ってもらえますか」

「ああ」

 ゴブリンスレイヤーが、言葉少なく了解したと頷く。

「ありがとうございます。ゴブリンスレイヤーさん」

 受付嬢は感謝の言葉とともに最高の笑顔をゴブリンスレイヤーに向けた。

「ああ。当然のことだ」

 そして颯爽と組合を出ていく。その背中に受付嬢の熱い視線を受けている事を彼は気づいていない。

 ゴブリンは最下級モンスターだが、なんの準備も知識もない新人が自信過剰に挑み、命を落とすケースは多い。さらに女性冒険者に関しては、女性ゆえに危険度が増す。ゴブリンは男は殺し、女は犯す。奴らにはオスしかいないから、人間やエルフの女性を孕ませ、仲間を増やすのだ。

 今回のパーティにも女性がいるとか。しかも、やたらと軽装備のチームで、全員武闘家のようだとと受付嬢は言っていた。

「·····間に合えばよいが」

 ゴブリンスレイヤーは、急ぎ情報を貰ったか巣穴へと向かう。

(武闘家四人·····いったいどんな馬鹿な奴らなんだ)

 武闘家だけでゴブリンの巣穴に先入するなど、愚の骨頂。探索は? 回復は? 突っ込みどころ満載だった。

 

 

 ◇◆◆

 

 

 

「ったく、なんでこうなった」

 赤い帽子の男は、ブツブツ言いながら進んでいく。赤い帽子からは金色の髪がのぞき、きちんと束ねられている。帽子のプレートには、King of Fightersの文字。赤いジャンパーに、ラフなジーンズ姿。ハイキングにでも行きそうな格好だが、これは彼の基本スタイルだ。

 

「それはわからんけどなー。まあ、世の中には不思議なことがあるもんやで。実際あの男が違う世界で無双したなんて話もあるからなぁ」

 スーツの男·····黒髪をオールバックに固め、超高級仕立ての黒いスーツに身を包んだ男は、笑いながら帽子の男の肩を叩いた。彼は、沈黙シリーズの主人公に似ているというかそっくりだが、彼よりもスリムで若い。

 

「ったく、気楽だな、お前。ああ、そういや人伝に聞いたことあるな。あの男なら、こんな世界に来ても、"泣け、叫べ、そしてそのまま死ねぇぇ! "って暴れ回りそうだな」

「やな。それにしてもピリピリしすぎやで。ゴブリンって最下級なんやろ? どう考えても俺らの敵やないで」

 彼らは人間の中では確かに強い部類に入るだろう。何しろ選ばれた格闘家のみが参加できる格闘大会に出場できる超一流の格闘家達なのだから。

「油断するな。くそ、なんでこいつと一緒なんだ。弟と一緒がよかった」

「そりゃ、ワイだってこんな非常事態になるんなら、別の相手がよかったわ。親友か、その妹がいてくれればなぁ」

 彼は親友の妹に想いを寄せている。お互いに気持ちはあるようだが、未だに恋人関係には進めていない。

「·····みんなそうよー。私だって、あんた達より、愛しい彼とがよかったしー。早く迎えにきてくれないかしら」

 露出狂娘が、右手に持ってた鉄の扇をパンと逆の掌に叩きつけた。彼女の赤い衣服の胸元は大きく開いており豊満な双丘がたわわに実っているのがよくわかる。正直見えすぎではないかと思うが、彼女が体を動かす度にスライムみたいにプルルン、プルルンと震えている。白いラインが入った袖口はノースリーブで、二の腕から先は丸出しだ。下はといえばスリットが大きく入っており太腿も艶かしい。

 

「ちょっと、露出狂娘ってなによ! 」

「何の話だ?」

「気づいてないの帽子の男。皆この世界に迷い込んでから、本来の名前じゃないのよ」

 露出狂娘の指摘を受け、彼らは少し考える。

「俺は帽子の男·····」

「ワイはスーツの男」

「私は、女バーテンダー」

 これまで黙っていた男装の女性である金髪の女バーテンダーが苦笑いする。

 

「そのまんまやんけっ!」

「帽子の男かよ。せめて野球帽の男に」

「アホ。この世界に野球があるかいな! 帽子の男でよいやんけ」

「チッ、あいつらがいたら、学ランとバンドマンか?」

 ここにいない知り合いを思い浮かべる。

「まあ、そうやな。バンドマンのチームは秘書Aと秘書Bかもやなぁ。で、露出狂女か。まあ、見たまんまやなぁ」

「違う、露出狂娘だよ。まあ確かに」

「だねぇ」

「え? 嘘、マジで言ってるわけー? 私は女忍者でしょ普通」

 のんきな事をいいながら洞窟へと入っていく一行。緊張感の欠片もない。

 

「暗いな」

「せめて、学ランがいれば炎には困らないんだが」

「ワイも帽子の男も炎は使えんし」

「もちろん私もだ」

 女バーテンダーを含めた三人は露出狂娘を見る。

「はいはい、わかってるわよ。龍炎舞」

 尾飾りの玉に炎を纏わせ、横に振り松明に火をつけて、帽子の男に手渡す。

「サンキュ、さあ行こうか」

 侵入者にしては賑やかな4人は、帽子の男、女バーテンダー、露出狂娘、スーツの男の順で進んでいく。

 

「天井低いな」

「昇·····じゃない竜牙は使いにくいな」

「ゴブリンは小柄だって言うしねー。不意打ちしてくるらしいから、スーツの男は気をつけてよ」

「ワイに任せときー」

 調子よく答える。

「まったく·····なんだこれは」

「不気味ねー」

「何かの目印かしら」

 三人が目を止めたのは骨のトーテムポール。何を示すものかはわからないが、気になる存在だった。

「いこう」

 帽子の男の声で一行は進み始める。最後尾にいたスーツの男は、前を行く露出狂娘を呼び止めた。

「待て、露出狂娘」

「ちょっと、人を変態みたいに言わないでくれる? 女忍者よ」

「なんでもええやろ。おそらくやが、後ろから襲撃がある。いつでも迎撃できるようにしておくんや」

 スーツの男の顔は真剣そのものだった。

「まじ? なんでわかるのよ」

「みんながトーテムに目を奪われていた時、ワイは気づいたんや。反対側に横穴があった事を。トーテムは、目を引くための囮やろうな」

 見られたくないものを隠すには良い方法だろう。ここは洞窟内で暗いのだから尚更効果的と思われる。

「へぇ。金持ちのボンボンかと思ってたけど、なかなか頭いいじゃない」

「まあな。いいのは顔だけじゃないんやで。·····来たで」

「·····来たわね。バーテンダー、帽子の男、敵襲よ!」

 緑色の醜い者──ゴブリン──が短剣で襲い掛かってきた。

「よっしゃ! やるでっ!」

 ロバートの弱パンチ一撃でゴブリンが吹き飛び、戦闘不能になる。

「弱っ! 」

「はあああっ!」

 露出狂娘の鉄扇がゴブリンを殴り飛ばす。

「そりゃっ!」

 次々に襲って来るゴブリン達を一撃で倒していく。スーツの男の華麗な蹴り技にゴブリンは為す術もない。だがスーツの男を狙うゴブリンは少なかった。

「ちょっと、なんでこっちばっかりくるのよっ!」

 明らかに露出狂娘が狙われている。ただ攻撃をしてくるだけでなく、何となく衣服を脱がそうとしているように感じていた。確かに簡単に脱がせそうではあるのだが·····、

 

「まさか、私に盛ってるわけ? まあ、いい女ですけど、私は彼のものだしー」

 ゴブリンは、女を犯し自分たちの仲間を増やすのだ。当然男よりは狙われるだろう。ましてや露出過多なのだから狙われるのは仕方ない。

「ゴブリンは女の子を攫うって聞いたぞ。せいぜいきをつけるんだな。お前に何かあれば、弟に恨まれるしな。邪魔だ、パワーゲイザー!」

 帽子の男は右拳を地面に振り下ろすと、気の柱が立ち上り、ドンドンドンドンとゴブリン達を吹き飛ばしながら一直線に進んでいく。

「なら私も。超必殺忍蜂!!」

 露出狂娘は側転から飛び上がり、エルボーで低空から突っ込んでいく。ゴブリン達はあっという間にその命を散らす。

「負けてらんないね。ベノムストライク!」

 女バーテンダーは空中で回し蹴りを繰り出す。足先から気弾が飛び出し、ゴブリン達が弾け飛ぶ。

「うっ!」

 だが、体のデカいゴブリンが空中の女バーテンダーの胸ぐらを掴み、拳で殴りつけた後に勢いをつけて壁へと叩きつけてしまった。

「ああっ」

 衝撃でビリビリという音と共にシャツの一部が破れ下着が顕になってしまう。

「きひひっ!」

 女だと気づいたゴブリン達が一斉に襲いかかる。

「まずい、スーツの男!」

「わーっとる。いくで、伏せとけよっ! 極限流奥義"覇王翔吼拳"!」

 スーツの男は腰の位置に両手を合わせて構え、気の力を集中して女バーテンダーに群がろうとしているゴブリン目掛けてぶっぱなした! 

 巨大な気弾がゴブリンと、大きなゴブリンを飲み込み、そして消し去った。

「すまない、助かった」

「一杯奢ってくれればええで」

「そこは、礼はいらないじゃないの?」

「ちっさい男ねぇ·····」

 非難轟々であった。

「助けたのはワイなんやけどな·····」

「これを使いな」

 女バーテンダーにそっと赤いジャンパーをかける帽子の男。その顔は赤く、目線はそっぽを向いていた。

(間違いなく86ってとこか)

 ちゃんとチェック済みだった。

「ありがとう·····」

 そうとは知らず、女バーテンダーはジャンパーで前を隠しながら、小声で礼を言った。その頬は赤く染まっていた。

「ったく、それぞれ言いつけたるで」

 そんな二人をからかいつつ、さらに奥へと向かう。

 

 その後彼らは奥に潜んでいたゴブリンシャーマンを倒し、女性を救い出して洞穴から脱出する。

 途中で、ゴブリンスレイヤーと名乗る上位冒険者と合流し彼の指摘を受けて残敵を探索しながら。見つかったのはゴブリンの子供だけだったが、ゴブリンスレイヤーは容赦なくそれを殺し、彼らにこう告げた。

「生き延びた子供ゴブリンは、成長すれば脅威になる。だから殺す」

 ここは彼らが知る世界ではない別の世界。彼らが情けをかければ、この世界の者が迷惑することになるのだ。

 

「悪の種は滅ぼせという事か」

「残せば恨みを持って誰かが襲われるってことやからな。倒しても復活する地球の意思(オロチ)を思い出すなぁ」

 かつての敵を思い出す。

「それに弱くても数がいれば厄介よ」

「本当よねー。女からすれば排除すべき相手なのは間違いないわね。あんな醜いやつらに奴らに好き勝手されるなんて有り得ないし」

「·····弟みたいな顔ならいいのかな?」

「えーっ、うーん。嫌」

「そこは即断れよ」

 ワイワイと騒ぐ四人を見ながら、ゴブリンスレイヤーは肩を竦める。

「やれやれ賑やかな奴らだ」

 緊張感の欠片もない。大した新人達だと評価せざるをえない。

「ねえ、せっかく依頼ってのを達成したわけだし、アレで〆ていい?」

「構わんで。一番倒したのは、露出狂娘やからな」

「だから、女忍者」

「くノ一?」

「どっちでもいいわよ。じゃあ、いくよ」

 手にした閉じた扇を腕を横に開きながら、パンっと広げる。

「日本一~~!」

 この声に合わせ、他の三人もポーズを決めていた。

 

「··········」

 ゴブリンスレイヤーは、言葉が出なかったという。

 

 

 







キャスト

◇ザ・キング・オブ・ファイターズ◇

スーツの男=ロバート・ガルシア
帽子の男 = テリー・ボガード
女バーテンダー=キング
露出狂娘=不知火 舞

名前だけ出てくる人
学ラン=草薙京
バンドマン=八神庵
秘書A=マチュア
秘書B=バイス


◇ゴブリンスレイヤー◇

ゴブリンスレイヤー
受付嬢

ゴブリンの皆さん




KOF側のメンバー選出は趣味です。
ロバートに関しては関西の人になってしまってます。言葉の使い方とかあまり自信は無いですね。





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