本当に欲しいもの   作:火の車

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亜蘭「今回から始まる試み。最初は俺、四宮亜蘭と。」
燐子「白金燐子です......」
亜蘭「今回は白金先輩とご一緒出来て光栄です。」
燐子「はい......私も嬉しいです。」
亜蘭「ぜひとも谷戸にお茶でも用意してもらってゆっくりと__って、時間がないからまいてくれ?」
燐子「す、すみません......」
亜蘭「いや、俺のミスです。申し訳ない。」
燐子「いえ、私が......」
亜蘭「いや、俺が。」
燐子「いえ、私が......」
亜蘭「いや、俺が__」

 本編開始!


楽しい時間

 ”ロゼリア”

 

あこ「__ごめんくださーい!」

 

 日曜日の早朝、ロゼリアの面々は亜蘭の屋敷に来た。

 目的は勿論、バンドの練習だ。

 

谷戸「__おはようございます。皆様。」

紗夜「おはようございます。谷戸さん。」

友希那「おはようございます。」

リサ「おはようございます!」

燐子「おはよう......ございます。」

あこ「おはようございまーす!」

 

 屋敷から出て来た谷戸に各々、挨拶を済ませた。

 

谷戸「どうぞお入りください。用意は全て整っております。」

 

 ロゼリアの面々は屋敷に入った。

__________________

 

谷戸「__ここが、スタジオになります。」

ロゼリア「え?」

 

 驚くのも無理はない。

 部屋の広さもさることながら、本番を想定できる舞台、機材も見るからにいつも使うものよりも高そうな雰囲気が出てる。

 シャワー室に更衣室、その横にはあらゆるサイズの服が置かれてある。

 置かれてる机の上のはいかにも高そうなお菓子が置かれて、すぐ近くにドリンクバーもある。

 

リサ「こ、これがスタジオ!?」

紗夜「は、はい。機材もありますし。」

あこ「ていうか、お屋敷って事忘れそう。もう施設だよ!?」

燐子「こ、こんなにいいのでしょうか......?」

友希那「......それにしても、広いわね。」

谷戸「はい。亜蘭様が『4部屋位ぶち抜いていい』と申されましたので。」

リサ「これで、4部屋?」

 

 ロゼリアメンバーは全員、目を丸くしてる。

 正直、4部屋ぶち抜いたという時点で理解できないが、それにしても設備がすごい。

 

谷戸「それでは、後はごゆっくり。後程、亜蘭様もご挨拶に伺いますので。」

リサ「は、はーい。」

 

 そう言って谷戸は部屋から出て行った。

 

あこ「あ、改めてみるとすごいね、りんりん!」

燐子「そ、そうだね、あこちゃん......」

紗夜「ほんとに彼はどうなってるのでしょう?」

リサ「うーん、感覚的に近いとしたら......こころ?」

友希那「お喋りはそこまでよ。ここまでの環境を用意してもらったんだもの。私達には彼に最高の演奏を聞かせる義務があるわ。」

 

 友希那はそう口を開いた。

 

リサ「うん!そうだね!」

あこ「がんばりましょー!」

紗夜「そうですね。ね、白金さん?」

燐子「え?あ、はい。そうですね......(なんで、私に?)」

友希那「燐子も、彼が来たらアピールよ!」

燐子「!?///」

友希那「それじゃあ、始めるわよ!」

 

 友希那の一声で練習が始まった。

__________________

 

亜蘭「__ふむ。」

 

 俺は朝からとある書類を見ていた。

 

亜蘭(近々、この近くにどこかの社長令嬢が来るのか。年齢は俺と同じ、元はお嬢様学校か。)

 

 なぜ、わざわざ花咲川に?

 会社からの距離はむしろ遠ざかるし、正直、理解できない。

 

亜蘭(しかも、ただ令嬢が越してくるだけで書類が来るのも異例だ。しかも、弦巻様から。)

 

 余程、癖のある令嬢なのか、なにか他の......

 

亜蘭「......どちらにしても、俺には関係ないな。俺のやるべきことはない。」

谷戸「__亜蘭様。」

亜蘭「なんだ?」

谷戸「ロゼリアの皆様がお越しになりました。」

亜蘭「そうか。なら、俺も挨拶に行かないとな。」

 

 俺は立ち上がった。

 同じ体制でいたからか体が凝り固まってる。

 

亜蘭(ふむ......俺も何か日課となる運動でもしようか......)

谷戸「亜蘭様?」

亜蘭「あぁ、今行くよ。」

 

 俺は部屋を出た。

__________________

 

 廊下を少し歩くと、スタジオに改装した部屋の前に来た。

 防音だから音が漏れる事はない。

 更衣室もあるから着替え中に万が一と言う事故は起こらないだろう。

 俺はそう思い、ドアノブに手をかけた。

 

亜蘭「!」

 

 その時、電気が走ったような感覚に襲われた。

 この中ではとてつもない事が起きてる。

 それが感覚となってこちらに押し寄せてくる。

 

亜蘭「......入ろう。」

 

 俺は部屋に入った。

__________________

 

 部屋に入ると、そこはまるで果てのない荒野の様だった。

 終わりが見えなくて、強風に運ばれてきた砂や石に皮膚を裂かれ、それでも進み続ける彼女たちの影がうっすらと見えたような気がした。

 

亜蘭「__素晴らしい。」

燐子「し、四宮君......?」

亜蘭「白金先輩?」

 

 気づいたら目の前に白金先輩がいる。

 なんて綺麗なんだろう、今の俺にはこれを比喩する気の利いた言葉は持ち合わせていない。

 

燐子「あの、練習が終わって気づいたら四宮君がいて......動かなかったので、どうしたのかなって......」

亜蘭「すみません。ロゼリアの練習がすごくて圧倒されました。」

 

 俺は一旦、深く呼吸した。

 世界が見える、つまり、それだけ演奏に入り込ませることができると言う事。

 

亜蘭「あ、そう言えば。挨拶に来たんでした。」

燐子「あ、そうなんですか?」

亜蘭「はい。まぁ、挨拶に来たのですが。」

燐子「?」

亜蘭「白金先輩と話せてとても嬉しいです。」

燐子「!?///」

亜蘭「それでは、皆さんにも挨拶してきますね?」

燐子「は、はいぃ......///」

 

 俺はロゼリアの4人の方に歩いて行った。

 

亜蘭「皆さん、おはようございます。って、どうしたんですか?」

リサ「いやー!四宮君は燐子と仲良しなんだねーって!」

亜蘭「!」

友希那「燐子の顔が真っ赤になってるわ。」

紗夜「素晴らしい成長です。四宮君。」

亜蘭「成長?」

あこ「白金先輩と話せてとても嬉しいです(イケボ)」

亜蘭「......真似が上手いんだな。」

 

 最近、思う。

 俺は人にからかわれるのが多くなったと。

 いや、馴染んだと言っておこう、うん。

 

燐子(し、四宮君は優しいですから、あの言葉は皆に言うんです///落ち着いてください///)

 

リサ(あたし達の話してる時と燐子と話してる時で結構、表情が変わってるんだよねー)

燐子「そ、それで、練習はいつ再開......ですか?」

友希那「あら、今日はもう終わりよ?」

リサ、燐子、あこ「え?」

友希那「新しい練習の場にも慣れたでしょうし、次から本腰を入れるわ。」

紗夜「えぇ、そうですね。」

 

 なるほど、確かに新しい物には慣れておかないと駄目だな。

 

友希那「だから、今日は四宮君も加えて話すわよ。」

亜蘭「え?」

紗夜「何か予定がありますか。」

亜蘭「いえ、ないはずですが。」

友希那「なら、問題ないわね。」

 

 異性の俺が入って大丈夫なんだろうか。

 

リサ(なるほどー。狙いは分かったぞー。)

紗夜(これを期に二人の距離をさらに縮めてしまいましょう。)

あこ(なんとなくだけど、分かった気がする!)

友希那(燐子を彼の頂点に狂い咲かせるわ?)

 

 こうして、ロゼリアと話すことになった。

 席は俺の横に白金先輩、その横にあこ。

 向かいに、氷川先輩、湊先輩、今井先輩だ。

 

紗夜「そういえば、気になっていたのですが。四宮君?」

亜蘭「はい?」

紗夜「四宮君の家の財力はもう言うまでもないのですが、どこからそのお金は来ているのですか?」

亜蘭「そうですね......色々な所から、ですね。」

紗夜「色々?」

亜蘭「はい。どこかの企業、不動産や、色々です。」

 

 まぁ、だいたいこんなものだろう。

 

リサ「じゃあさ、仕事もしてるらしいけど、何してるの?」

亜蘭「そうですね。最近は貧困が深刻な地域に食料や住まいなどを提供したり、ですね。」

リサ「え?それって、すごくない?いくらかかるの?」

亜蘭「さぁ?それは気にしてないので分かりません。」

リサ「気にしにって......家作ったりしてるって事は......考えるのはやめよ。」

亜蘭「?」

 

 今井先輩が頭を抱えた。

 どうしたんだろう?

 

あこ「四宮さんって、なんでもできるって本当なんですか?」

亜蘭「え?いや、なんでもは出来ないぞ?」

あこ「でも、この前、りんりんに聞いたんですけど。体育祭で四宮さんが最下位からごぼう抜きしたって。」

友希那、リサ(ごぼう抜き!?)

亜蘭「あー、あれは、まぁ......」

あこ「他にも、テストで満点を取ったって!」

亜蘭「あれは普通に勉強しただけだぞ?」

あこ「すごいじゃないですか!」

亜蘭「そんなにすごくないよ、俺は。」

紗夜(四宮君がすごくないって、基準が狂ってますね。)

燐子「四宮君は......すごいですよ......」

亜蘭「白金先輩?」

燐子「四宮君は私を助けてくれました......ダンス会の時も体育祭の時も......///」

亜蘭「どっちも俺がしたかったからですよ。気にしないでください。」

 

 流石に白金先輩に言われると照れがあるな。

 

あこ「うんうん!」

亜蘭、燐子「?」

あこ「イケメンでお金持ちで、運動も勉強も出来て、りんりんにも優しい......」

亜蘭(なんだ?)

あこ「四宮さんになら、りんりんを任せ__むぐっ!?」

燐子「あ、あこちゃん......!!///」

リサ「ちょ、燐子!あこが手叩いてる!ギブだってギブ!」

友希那「いえ、まだよ。タイムアップまでいきなさい。」

リサ「友希那!?」

紗夜「まぁ、これは宇田川さんが悪いですね。」

燐子「もう、もう......!///」

あこ(わ、わが生涯に一片の悔い......なし......)

リサ「あこー!」

亜蘭「な、なんだったんだ?」

 

 こうして、俺の屋敷での練習の初日が終わった。

 とても賑やかで楽しい時間だった。

 だが、あこは何を言おうとしたんだ?




友希那「紗夜、あなたはヒロインにならないの?」
紗夜「は?突然何を言ってるんですか?」
友希那「紗夜はヒロインにならないの?」
紗夜「それはもういいです。なぜそんな事を言い出したのですか?」
友希那「だって、今の紗夜の立場って完全に燐子のライバルヒロインになるって言うフラグじゃない?」
紗夜「なんですかそれは。ありえません。」
友希那「本当に?『私は白金さんを応援しないといけないのに......!』とか、ならないの?」
紗夜「なりません!......それにしても、湊さんはそう言う展開にお詳しいですね?」
友希那「え?」
紗夜「どこで、その知識を?」
友希那「えっと......」
紗夜「?」
友希那「......次回に続く。」
紗夜「あ、逃げないでください!」
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