本当に欲しいもの   作:火の車

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本編から少し時間が経ったときの出来事です。

燐子のバレンタインは本編で書くと思います。


番外編:バレンタイン

季節は過ぎ、今日は2月14日だ。

 

 俺は相も変わらず、燐子さんとずっと一緒にいる。

 

 そのことで、学園の皆も落ち着く......なんてことなどなかった。

 

亜蘭「......はぁ。」

燐子「あ、亜蘭君、大丈夫ですか......?」

亜蘭「大丈夫ですよ。燐子さん。」

 

 と、口では言うものの、流石にこの量はな......

 

 俺としては燐子さんから貰ったチョコレートで充分なんだがな。

 

亜蘭「......これは、骨が折れそうですね。」

燐子「わ、私が、お腹に優しいものを作りましょうか......?」

亜蘭「それなら大丈夫そうです。頑張れます。」

燐子「わっ(元気になった......?)」

亜蘭「そう言えば、今日は生徒会の引継ぎがあると言っていませんでしたか?」

燐子「あ......っ。」

亜蘭「急いだほうがいいんじゃ?」

燐子「もう少し、亜蘭君と......いたかったです......」

亜蘭「愛してます(俺もですよ、燐子さん。)」

燐子「ふぇ......?///」

亜蘭「あっ(間違えた。)」

 

 完全に歯止めが効いてなかった。

 

 もう、最近はもうずっとこんな感じだ。

 

燐子「私、頑張ります......!」

亜蘭「は、はい。」

燐子「だから、また帰ったら......一緒にいましょうね......?」

亜蘭「はい。」

燐子「じゃあ、行ってきます。」

亜蘭「はい。」

 

 燐子さんは生徒会室の方に行った。

 

 俺も教室に向かった。

__________________

 

 教室に来ると、案の定というかなんと言うか、追加のチョコレートが来た。

 

 もう、ほとんどの生徒から貰ってしまった。

 

亜蘭(俺はこれを全部食べるのか?流石に生命の危機を感じるんだが。)

 

 俺がそんな事を思ってると、外から一際大きな声が聞こえて来た。

 

こころ『あーらーんー!!!』

亜蘭「こころ様?」

 

 俺は窓の近くに行って外の様子を探った。

 

亜蘭「どこだ?外から聞こえたくらいしか分からなかった。」

こころ「ここよー!」

 

 上から声が聞こえる。

 

 という事は......屋上か。

 

こころ「ここまで来てー!」

 

亜蘭「仕方ないか。」

 

 俺は屋上に向かった。

__________________

 

 屋上に着いた。

 

こころ「__来たわね!亜蘭!」

 

 こころ様は少し高いところから飛び降りて回転し、着地した。

 

こころ「亜蘭はもう、たくさんのチョコを貰ったらしいわね!」

亜蘭「は、はい。」

こころ「それで、燐子からも貰ったのね!」

亜蘭「はい。とても、感動的でした。」

こころ「仲がよさそうで嬉しいわ!」

 

 こころ様はいつも通りの無邪気な笑顔を浮かべている。

 

 だが、その中にも子供を見守る母のような優しさも感じて、この人は優しいんだと感じる。

 

亜蘭「それで、なぜ、俺をここに呼んだのでしょうか?」

こころ「亜蘭にチョコをあげるわ!と、思っていたのだけれど。」

亜蘭「?」

こころ「流石に今、チョコを貰っても笑顔になれないでしょう?」

亜蘭「いえ、そんな事は無いのですが。」

こころ「いいえ!そうなのよ!」

 

 こころ様は言い切った。

 

 まぁ、そうかもしれないところはある。

 

こころ「だから、これをあげるわ!」

 

 こころ様が出したのは、クッキーだった。

 

 ミッシェルのシールが貼ってある袋に入っている。

 

亜蘭「ありがとうございます。」

こころ「そのクッキーには、きちんと意味があるのよ!」

亜蘭「意味、ですか?」

こころ「えぇ。」

 

 こころ様は真面目な表情になった。

 

こころ「ホワイトデーにはなるんだけれど。クッキーには友達でいましょうって意味があるらしいの。」

亜蘭「はい。」

こころ「だから、今のあたしと亜蘭には相応しいでしょう?」

亜蘭「そうかもしれませんね。」

 

 こころ様は穏やかな笑顔を浮かべている。

 

こころ「だから、そのクッキーみたいにサクッとした関係でいましょう!って事よ!」

亜蘭「ははは、そうですね。」

こころ「あたしの用はこれだけよ!」

亜蘭「はい。」

 

 こころ様が話し終えると、俺の携帯が鳴った。

 

『亜蘭君、助けてください。』

 

亜蘭「燐子さん!?すみません、こころ様!行ってきます!」

こころ「えぇ!行ってらっしゃい!」

 

 俺は屋上を飛び出し、燐子さんのもとに向かった。

 

 ”こころ”

 

こころ「__亜蘭の歩む未来が笑顔であふれてる事を、祈っているわよ。」

 

 こころは慈愛に満ちた表情をしてる。

 

 それはまるで子を見守る母のようだ。

 

こころ「亜蘭、燐子と明るい未来を歩むのよ!」

 

 これが、亜蘭とこころのバレンタイン。

 


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