朝、日が昇る少し前の時間に目を覚ました。
窓の外を見ると、少しまだ暗い。
亜蘭(昨夜はあぁ言ったが、そもそも俺はやり方が分からん。)
今まで告白された経験はあるが、全員女子だ。
それを自信に当てはめれば大丈夫なのか?
俺は少しイメージしてみた。
亜蘭(......駄目だ。吐き気がする。そもそも性別が違うんだ、当てはまるわけがなかった。)
俺はため息をついた。
時間は限られてる。
亜蘭(まだ、今日が終わるまで20時間ほどある。)
俺は落ち着いて、椅子に座った。
亜蘭(時間はある、と言えばある。)
そうして、時間は過ぎていった。
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日中、俺達はまた海に来た。
色々な対策のため、ラッシュガードを着て。
燐子「__あっ、亜蘭君。」
亜蘭「り、燐子さん。」
燐子「今日は、上を着ているんですね......?」
亜蘭「はい。対策のために(主に丸山先輩。)」
燐子「その水着も、とても、似合っていますね。」
亜蘭「ありがとうございます。」
燐子さんは俺の隣に座った。
亜蘭「そう言えば、燐子さんはあれから体調は大丈夫でしょうか?」
燐子「はい、大丈夫ですよ。」
亜蘭「そうですか。よかったです。」
こころ「__あらーん!」
亜蘭「はい?」
こころ「ビーチバレーをしましょ!」
亜蘭「はい。分かりました。」
燐子「私も、行きます。」
俺と燐子さんはこころ様について行った。
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はぐみ「こころーん!」
こころ「連れて来たわよ!」
コートに着くと、バレーをすると思われるメンバーがいた。
香澄「頑張るぞー!」
美咲「まぁ、ほどほどに。」
リサ「頑張ろうね!友希那!」
友希那「なんで私が......」
イヴ「ブシドーの心で頑張ります!」
千聖「運動は苦手なのだけれど。」
薫「儚い......」
亜蘭「人数が多くないですか。」
燐子「一人、多いです。」
こころ「あたしは審判よ!」
意外だ。
こころ様は参加すると思っていた。
こころ「ルールは通常通りよ!ただし、負けたチームのリーダーは罰ゲームよ!」
亜蘭「罰ゲームですか?」
こころ「えぇ!」
燐子「こ、怖いですね。」
こころ「さぁ!チームを分けましょ!」
俺たちはチームに分かれた。
チーム1は俺、瀬田先輩、北沢、若宮、奥沢。
チーム2は燐子さん、白鷺先輩、湊先輩、今井先輩、戸山だ。
リーダーはそれぞれ、俺と燐子さんだ。
こころ「__それじゃあ、スタートよ!」
こころ様が笛をならした。
はぐみ「よし!行くぞー!」
北沢がボールをあげた。
薫「私の出番の用だね、ふっ!」
リサ「あっ!」
北沢と瀬田先輩の速攻で早速一点先制した。
薫「儚い......」
千聖「(イラッ。)」
イヴ「サーブは私が撃ちます!」
はぐみ「頑張れ!」
イヴ「はい!」
千聖「......香澄ちゃん?」
香澄「はい!」
千聖「私にトスを上げてくれないかしら?」
香澄「はい?わかりました!」
イヴ「じゃあ、行きますよ!ブシドー!」
若宮がサーブを打った。
ボールはまっすぐ、戸山の所に行った。
香澄「千聖先輩!」
千聖「ありがとう香澄ちゃん__覚悟なさい、薫。」
白鷺さんのスマッシュは真っ直ぐ、瀬田先輩の顔を打ち抜いた。
薫「__ヘブンッ!!!」
美咲「か、薫さん!?大丈夫!?」
薫「あ、あぁ、美咲......?」
美咲「な、なに?」
薫「後の事は、まかせ、たよ......」
瀬田先輩は倒れた。
千聖「所詮、薫は薫なのよ。」
はぐみ「薫君、死んでしまうとは情けない。」
美咲「え?はぐみ?」
友希那「......バレーってこういうものだったかしら?」
リサ「い、いやぁ、どうだったかなー?」
亜蘭「む、むごい。」
燐子「だ、大丈夫、でしょうか......?」
リサ「てか、これどうするの?一人少なくなったけど?」
こころ「大丈夫よ!亜蘭がカバーできるわ!」
亜蘭「ま、まぁ、はい。」
色々、事件が起きたがバレーは再開された。
香澄「じゃあ!サーブ行きます!えい!」
戸山のサーブは奥沢の所に行った。
美咲「よっと。」
イヴ「ブシドー!」
奥沢と若宮の二人でボールを返した。
友希那「き、きた。」
リサ「友希那ー!しっかりボール見てー!」
友希那「ぼ、ボールを......きゃ!」
リサ「友希那!?」
高く上がったボールを追っていた湊先輩が転んだ。
リサ「だ、大丈夫!?」
友希那「だ、大丈夫よ......」
と、言っているが。
遠目から見てもわかる涙目だ。
リサ「ゆ、友希那は向こうで休もうねー。ごめん、一旦抜けるー。」
そうして、今井先輩と湊先輩がどこかに行った。
亜蘭「なんだろう。これは。」
美咲「あたしも分かんない。」
こころ「うーん、これじゃあ差がありすぎるわね?はぐみ!燐子のチームに入って!」
はぐみ「オッケー!」
そうして、試合が再開された。
それからの展開は熾烈?を極め、何だかんだで、白鷺さん、北沢、若宮が脱落した。
亜蘭「__どうして、こうなった。」
美咲「もう、なんだろう、これ?」
点数は4対4。
次の1ポイントで勝負が決まる。
香澄「サーブ行きまーす!」
戸山の撃ったサーブは俺の方に飛んできた。
亜蘭「奥沢。」
美咲「あ、はい。任せて(投げやり)」
俺があげたボールを奥沢が打ち返した。
香澄「はい!燐子先輩!」
燐子「は、はい。」
燐子さんがボールを撃ち返した。
勢いがなく、返すのは簡単だ。
亜蘭(__待てよ?)
その時、俺に一つの考えが浮かんできた。
亜蘭(仮にここで勝ったら、燐子さんに罰ゲームが行くんじゃないか?)
それはよくない事だ。
亜蘭「......仕方ないか。」
俺はボールを打とうとした腕を下ろした。
そして、ボールは地面に落ちた。
こころ「__勝ったのは燐子チームね!」
亜蘭「悪いな、奥沢。」
美咲「いや、別にいいよ。なんだかんだで楽しかったし。」
香澄「楽しかったー!」
燐子「あ、亜蘭君、今......」
こころ「さぁ!亜蘭には罰ゲームよ!」
こころ様は俺の耳元に口元を近づけた。
こころ「罰ゲーム、というよりは、これは命令よ。」
亜蘭「はい?」
こころ「燐子に告白しなさい。」
亜蘭「!」
こころ「頑張りなさい、亜蘭。」
亜蘭「......はい。」
こうして、時間は過ぎていった。
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日も落ち、夕食を食べ終えた。
部屋でゆっくりしていると、放送が鳴った。
こころ『__皆!外に集まって!』
亜蘭「なんだろう?」
俺は不思議に思いながら外にいった。
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外に来ると、もうみんながいた。
こころ『__全員揃ったわね!』
こころ様はマイクを持って話している。
美咲「こころ?みんなを集めて何するの?」
こころ『いい質問よ!美咲!』
こころ様がそう言うと、どこから用意したのか垂れ幕が出て来た。
こころ『肝試しよ!』
亜蘭「肝試し?」
こころ『ルールは一つ!リタイア禁止よ!』
一部の子達(あっ、終わった。)
こころ『さぁ!ペアを決めるわよ!』
こころ様はまたどこから出したんだろうと思うモニターを出した。
そこに一人一人の名前が映し出されて行ってる。
亜蘭「俺のペアは......」
雫「私みたいだね。」
亜蘭「雫か。」
燐子「わ、私は......谷戸さん、ですか?」
谷戸「おやおや。亜蘭様でなく申し訳ない。」
燐子「い、いえ。」
こうして、肝試しが始まった。
谷戸「__それでは、行ってまいります。」
燐子「ま、まま、また後で......」
亜蘭「はい。(燐子さん、大丈夫なのだろうか?)」
谷戸と燐子さんが森に入って行った。
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”燐子と谷戸”
二人は暗い森の中を進んでいる。
谷戸「__白金様と二人になるのはあの時以来になりますね。」
あの時、亜蘭の過去を知った時だ。
燐子「はい......」
谷戸「亜蘭様といつも仲良くしていただいてありがとうございます。」
燐子「い、いえ、私の方こそ。」
谷戸「白金様と出会ってから亜蘭様は毎日、とても楽しそうにしていらっしゃいます。」
燐子「え?」
谷戸は静かにそう言った。
谷戸「ご存じの通り、亜蘭様に事から、ずっと何かを抱えていました。」
燐子「......」
谷戸「それ故に亜蘭様は本当の笑顔を失っていました。ですが、今は毎日が本当に楽しそうで、家臣の見ながら親のような安心感を覚えています。」
燐子「そうなんですか......?」
谷戸「はい。なので、白金様には感謝しております。」
谷戸はそう言って深く頭を下げた。
燐子「あ、頭を、あげてください。私も、亜蘭君と仲良くなれて、嬉しいんです。」
谷戸「あなたになら、亜蘭様を任せられます。」
燐子「え?」
谷戸「少し、こちらについて来てください。」
燐子「?」
谷戸と燐子はコースから外れていった。
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”亜蘭”
雫「__あ、私達の番みたい。」
亜蘭「わかった。」
俺たちは森に入った。
想像通り、森の中はかなり暗い。
懐中電灯だけじゃ少しだけ危ないな。
亜蘭「雫。ここが安全なのは確認済みだが一応、足元には気をつけろ。」
雫「わかった。」
俺たちは道順に従って進んでいった。
だいたい、中間についた頃、雫が口を開いた。
雫「__ねぇ、亜蘭。」
亜蘭「なんだ?」
雫「燐子に告白は出来た?」
亜蘭「......まだだ。」
雫「うん、知ってる。」
雫は少し笑いながらそう言った。
雫「やっぱり、大人が背中を押してあげないとだねー。」
亜蘭「そういう事か。」
おかしいと思ったんだ。
他のペアはランダムだが、俺と燐子さんのペアだけ整い過ぎてる。
雫「こころに頼んでね。亜蘭と燐子にペアだけ仕組んでもらったの。」
亜蘭「まぁ、そんな事だと思った。」
雫「行ってきなよ、亜蘭。燐子はこの先にいるよ。」
雫は道順から外れたところを指さした。
亜蘭「あぁ。ありがとうな。雫。」
雫「私も得するから、ギブ&テイクだよ。」
亜蘭「そうか。」
俺はそう言いながら指さされた方に進んでいった。
雫「さてと、私も行こっと。」
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道順から外れてるだけあって、少しだけ進みずらい。
亜蘭(かなり進んだと思うが、もうすぐか?)
俺はまっすぐ進んでいった。
亜蘭「__あれは。」
木が生えてない空間がある。
多分、あそこだ。
そう思うと、心臓が痛いくらい動いた。
かつてないほどに俺は緊張していた。
亜蘭(だが、そんな事も言っていられない。......行こう。)
俺は少し重くなった一歩を踏み出した。
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亜蘭「__燐子さん。」
燐子「亜蘭君?」
開けた場所に行くと、案の定、燐子さんがいた。
どうやらここは、崖近くらしい。
まるで、森のベランダみたいだ。
燐子「見てみてください。月が、綺麗ですよ?」
亜蘭「月?」
俺は空を見上げた。
空には、綺麗な青白い光を放つ月が浮かんでいる。
それは確かに、とても綺麗だ。
亜蘭「本当に、綺麗ですね。」
燐子「はい。」
俺と燐子さんは並んで空を見た。
ゆっくりと時間が流れてるような感覚。
この時間がたまらなく心地いい。
そう思ってるうちに、さっきまでの激しい心臓の動きも治まっていた
亜蘭「......燐子さん。」
燐子「はい?」
亜蘭「俺は、燐子さんに感謝しています。」
燐子「え?」
亜蘭「暗い闇に溺れていた俺を、燐子さんは照らして救い上げてくれた。」
思いが触れてくる。
感謝も、恋情も、全て。
もう、歯止めなんて効くわけない。
亜蘭「燐子さんの優しさは今でも、俺を導いてくれている。」
燐子「亜蘭君......」
亜蘭「ありがとうございます。燐子さん。」
俺は燐子さんをまっすぐ見た。
燐子「私も、四宮君に助けてもらいました。」
燐子さんも話し出した。
燐子「ダンス会の時も、体育祭の時も、それだけじゃなくて、亜蘭君は日ごろから私を助けてくれます。」
燐子さんは柔らかく微笑んでる。
月明かりに照らされて、本当に綺麗だ。
亜蘭「燐子さん。」
燐子「はい......」
亜蘭「俺は、燐子さんを愛しています。」
燐子「っ!///」
亜蘭「俺はこの先、ずっと、燐子さんと過ごしたい。」
燐子さんは顔を真っ赤にしてうつ向いている。
燐子「私も......///」
亜蘭「!」
燐子「私も、亜蘭君が好き///__」
チュ......
燐子さんが視界一杯に見えて、唇にはやわらかい感触がある。
心が満たされる。
優しい、感覚。
燐子「私の、気持ちです......///」
亜蘭「と、という事は......」
燐子「私も、亜蘭君とずっと、一緒にいたい......///」
燐子さんは俺に抱き着いてきた。
亜蘭「おっと。」
燐子「ふふっ///亜蘭君......♪」
亜蘭「燐子さん......」
俺も抱きしめ返した。
燐子「ずっと、こうしてたい......///」
亜蘭「俺も、そう思いますよ。燐子さん。」
燐子「この時だけは、燐子って呼んで、亜蘭君......?///」
亜蘭「......燐子。愛してる。」
燐子「うん、亜蘭君......///」
俺はこうして、燐子さんと付き合い始めた。
燐子さんを抱きしめてるだけで、心が満たされる。
月の光が優しく、暖かく、俺と燐子さんを包み込んでいた......
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”少し離れた場所”
谷戸「......やっと、やっと、手に入れられたのですね、亜蘭様。」
谷戸は涙を流していた。
出会ってから10年、悲しみを背負い続けていた主人がやっと、幸せをつかみ取ったのだ。
谷戸が持つのは親心、呪いの事蔑まれた過去から、今は......
雫「__亜蘭はうまくいったみたいだね。」
谷戸「......賀川さんですか。」
雫「って、泣いてるの?」
谷戸「......いえ。もう止まりました。」
谷戸は涙をぬぐい、雫の方を向いた。
谷戸「戻りましょう。亜蘭様たちに疑われてしまいます。」
雫「......待ってよ。」
谷戸「!」
雫に言葉で谷戸は足を止めた。
谷戸「どうかしましたか?」
雫「亜蘭は上手くいったんだよね。」
谷戸「えぇ。とても、幸せそうです。」
雫「......じゃあ、私の番か。」
雫は小さく呟き、谷戸少し近づいた。
雫「私、谷戸さんが好きだよ。」
雫はいつも通りの声でそう言った。
谷戸は表情を一切動かさず__
谷戸「__知っていましたよ。そのことは。」
静かに、そう、言い放った。
”その後の亜蘭と燐子”
亜蘭、燐子「......」
亜蘭(せ、成功したんだな。)
燐子(い、勢いで、すごいことしちゃった///)
亜蘭「り、燐子さん?」
燐子「は、はい......!」
亜蘭「これからも、よろしくお願いします。」
燐子「こちらこそ、亜蘭君///」
亜蘭「折角なので、手を繋いで帰りましょう。」
燐子「はい......!」
その後、手を繋いだまま帰り皆に優しい目を向けられ、祝いの言葉を言われた。