本当に欲しいもの   作:火の車

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告白の時

 朝、日が昇る少し前の時間に目を覚ました。

 

 窓の外を見ると、少しまだ暗い。

 

亜蘭(昨夜はあぁ言ったが、そもそも俺はやり方が分からん。)

 

 今まで告白された経験はあるが、全員女子だ。

 

 それを自信に当てはめれば大丈夫なのか?

 

 俺は少しイメージしてみた。

 

亜蘭(......駄目だ。吐き気がする。そもそも性別が違うんだ、当てはまるわけがなかった。)

 

 俺はため息をついた。

 

 時間は限られてる。

 

亜蘭(まだ、今日が終わるまで20時間ほどある。)

 

 俺は落ち着いて、椅子に座った。

 

亜蘭(時間はある、と言えばある。)

 

 そうして、時間は過ぎていった。

__________________

 

 日中、俺達はまた海に来た。

 

 色々な対策のため、ラッシュガードを着て。

 

燐子「__あっ、亜蘭君。」

亜蘭「り、燐子さん。」

燐子「今日は、上を着ているんですね......?」

亜蘭「はい。対策のために(主に丸山先輩。)」

燐子「その水着も、とても、似合っていますね。」

亜蘭「ありがとうございます。」

 

 燐子さんは俺の隣に座った。

 

亜蘭「そう言えば、燐子さんはあれから体調は大丈夫でしょうか?」

燐子「はい、大丈夫ですよ。」

亜蘭「そうですか。よかったです。」

こころ「__あらーん!」

亜蘭「はい?」

こころ「ビーチバレーをしましょ!」

亜蘭「はい。分かりました。」

燐子「私も、行きます。」

 

 俺と燐子さんはこころ様について行った。

__________________

 

はぐみ「こころーん!」

こころ「連れて来たわよ!」

 

 コートに着くと、バレーをすると思われるメンバーがいた。

 

香澄「頑張るぞー!」

美咲「まぁ、ほどほどに。」

リサ「頑張ろうね!友希那!」

友希那「なんで私が......」

イヴ「ブシドーの心で頑張ります!」

千聖「運動は苦手なのだけれど。」

薫「儚い......」

亜蘭「人数が多くないですか。」

燐子「一人、多いです。」

こころ「あたしは審判よ!」

 

 意外だ。

 

 こころ様は参加すると思っていた。

 

こころ「ルールは通常通りよ!ただし、負けたチームのリーダーは罰ゲームよ!」

亜蘭「罰ゲームですか?」

こころ「えぇ!」

燐子「こ、怖いですね。」

こころ「さぁ!チームを分けましょ!」

 

 俺たちはチームに分かれた。

 

 チーム1は俺、瀬田先輩、北沢、若宮、奥沢。

 

 チーム2は燐子さん、白鷺先輩、湊先輩、今井先輩、戸山だ。

 

 リーダーはそれぞれ、俺と燐子さんだ。

 

こころ「__それじゃあ、スタートよ!」

 

 こころ様が笛をならした。

 

はぐみ「よし!行くぞー!」

 

 北沢がボールをあげた。

 

薫「私の出番の用だね、ふっ!」

リサ「あっ!」

 

 北沢と瀬田先輩の速攻で早速一点先制した。

 

薫「儚い......」

千聖「(イラッ。)」

イヴ「サーブは私が撃ちます!」

はぐみ「頑張れ!」

イヴ「はい!」

千聖「......香澄ちゃん?」

香澄「はい!」

千聖「私にトスを上げてくれないかしら?」

香澄「はい?わかりました!」

 

イヴ「じゃあ、行きますよ!ブシドー!」

 

 若宮がサーブを打った。

 

 ボールはまっすぐ、戸山の所に行った。

 

香澄「千聖先輩!」

千聖「ありがとう香澄ちゃん__覚悟なさい、薫。」

 

 白鷺さんのスマッシュは真っ直ぐ、瀬田先輩の顔を打ち抜いた。

 

薫「__ヘブンッ!!!」

美咲「か、薫さん!?大丈夫!?」

薫「あ、あぁ、美咲......?」

美咲「な、なに?」

薫「後の事は、まかせ、たよ......」

 

 瀬田先輩は倒れた。

 

千聖「所詮、薫は薫なのよ。」

はぐみ「薫君、死んでしまうとは情けない。」

美咲「え?はぐみ?」

友希那「......バレーってこういうものだったかしら?」

リサ「い、いやぁ、どうだったかなー?」

亜蘭「む、むごい。」

燐子「だ、大丈夫、でしょうか......?」

リサ「てか、これどうするの?一人少なくなったけど?」

こころ「大丈夫よ!亜蘭がカバーできるわ!」

亜蘭「ま、まぁ、はい。」

 

 色々、事件が起きたがバレーは再開された。

 

香澄「じゃあ!サーブ行きます!えい!」

 

 戸山のサーブは奥沢の所に行った。

 

美咲「よっと。」

イヴ「ブシドー!」

 

 奥沢と若宮の二人でボールを返した。

 

友希那「き、きた。」

リサ「友希那ー!しっかりボール見てー!」

友希那「ぼ、ボールを......きゃ!」

リサ「友希那!?」

 

 高く上がったボールを追っていた湊先輩が転んだ。

 

リサ「だ、大丈夫!?」

友希那「だ、大丈夫よ......」

 

 と、言っているが。

 

 遠目から見てもわかる涙目だ。

 

リサ「ゆ、友希那は向こうで休もうねー。ごめん、一旦抜けるー。」

 

 そうして、今井先輩と湊先輩がどこかに行った。

 

亜蘭「なんだろう。これは。」

美咲「あたしも分かんない。」

こころ「うーん、これじゃあ差がありすぎるわね?はぐみ!燐子のチームに入って!」

はぐみ「オッケー!」

 

 そうして、試合が再開された。

 

 それからの展開は熾烈?を極め、何だかんだで、白鷺さん、北沢、若宮が脱落した。

 

亜蘭「__どうして、こうなった。」

美咲「もう、なんだろう、これ?」

 

 点数は4対4。

 

 次の1ポイントで勝負が決まる。

 

香澄「サーブ行きまーす!」

 

 戸山の撃ったサーブは俺の方に飛んできた。

 

亜蘭「奥沢。」

美咲「あ、はい。任せて(投げやり)」

 

 俺があげたボールを奥沢が打ち返した。

 

香澄「はい!燐子先輩!」

燐子「は、はい。」

 

 燐子さんがボールを撃ち返した。

 

 勢いがなく、返すのは簡単だ。

 

亜蘭(__待てよ?)

 

 その時、俺に一つの考えが浮かんできた。

 

亜蘭(仮にここで勝ったら、燐子さんに罰ゲームが行くんじゃないか?)

 

 それはよくない事だ。

 

亜蘭「......仕方ないか。」

 

 俺はボールを打とうとした腕を下ろした。

 

 そして、ボールは地面に落ちた。

 

こころ「__勝ったのは燐子チームね!」

亜蘭「悪いな、奥沢。」

美咲「いや、別にいいよ。なんだかんだで楽しかったし。」

香澄「楽しかったー!」

燐子「あ、亜蘭君、今......」

こころ「さぁ!亜蘭には罰ゲームよ!」

 

 こころ様は俺の耳元に口元を近づけた。

 

こころ「罰ゲーム、というよりは、これは命令よ。」

亜蘭「はい?」

こころ「燐子に告白しなさい。」

亜蘭「!」

こころ「頑張りなさい、亜蘭。」

亜蘭「......はい。」

 

 こうして、時間は過ぎていった。

__________________

 

 日も落ち、夕食を食べ終えた。

 

 部屋でゆっくりしていると、放送が鳴った。

 

こころ『__皆!外に集まって!』

亜蘭「なんだろう?」

 

 俺は不思議に思いながら外にいった。

__________________

 

 外に来ると、もうみんながいた。

 

こころ『__全員揃ったわね!』

 

 こころ様はマイクを持って話している。

 

美咲「こころ?みんなを集めて何するの?」

こころ『いい質問よ!美咲!』

 

 こころ様がそう言うと、どこから用意したのか垂れ幕が出て来た。

 

こころ『肝試しよ!』

亜蘭「肝試し?」

こころ『ルールは一つ!リタイア禁止よ!』

一部の子達(あっ、終わった。)

こころ『さぁ!ペアを決めるわよ!』

 

 こころ様はまたどこから出したんだろうと思うモニターを出した。

 

 そこに一人一人の名前が映し出されて行ってる。

 

亜蘭「俺のペアは......」

雫「私みたいだね。」

亜蘭「雫か。」

燐子「わ、私は......谷戸さん、ですか?」

谷戸「おやおや。亜蘭様でなく申し訳ない。」

燐子「い、いえ。」

 

 こうして、肝試しが始まった。

 

谷戸「__それでは、行ってまいります。」

燐子「ま、まま、また後で......」

亜蘭「はい。(燐子さん、大丈夫なのだろうか?)」

 

 谷戸と燐子さんが森に入って行った。

__________________

 

 ”燐子と谷戸”

 

 二人は暗い森の中を進んでいる。

 

谷戸「__白金様と二人になるのはあの時以来になりますね。」

 

 あの時、亜蘭の過去を知った時だ。

 

燐子「はい......」

谷戸「亜蘭様といつも仲良くしていただいてありがとうございます。」

燐子「い、いえ、私の方こそ。」

谷戸「白金様と出会ってから亜蘭様は毎日、とても楽しそうにしていらっしゃいます。」

燐子「え?」

 

 谷戸は静かにそう言った。

 

谷戸「ご存じの通り、亜蘭様に事から、ずっと何かを抱えていました。」

燐子「......」

谷戸「それ故に亜蘭様は本当の笑顔を失っていました。ですが、今は毎日が本当に楽しそうで、家臣の見ながら親のような安心感を覚えています。」

燐子「そうなんですか......?」

谷戸「はい。なので、白金様には感謝しております。」

 

 谷戸はそう言って深く頭を下げた。

 

燐子「あ、頭を、あげてください。私も、亜蘭君と仲良くなれて、嬉しいんです。」

谷戸「あなたになら、亜蘭様を任せられます。」

燐子「え?」

谷戸「少し、こちらについて来てください。」

燐子「?」

 

 谷戸と燐子はコースから外れていった。

__________________

 

 ”亜蘭”

 

雫「__あ、私達の番みたい。」

亜蘭「わかった。」

 

 俺たちは森に入った。

 

 想像通り、森の中はかなり暗い。

 

 懐中電灯だけじゃ少しだけ危ないな。

 

亜蘭「雫。ここが安全なのは確認済みだが一応、足元には気をつけろ。」

雫「わかった。」

 

 俺たちは道順に従って進んでいった。

 

 だいたい、中間についた頃、雫が口を開いた。

 

雫「__ねぇ、亜蘭。」

亜蘭「なんだ?」

雫「燐子に告白は出来た?」

亜蘭「......まだだ。」

雫「うん、知ってる。」

 

 雫は少し笑いながらそう言った。

 

雫「やっぱり、大人が背中を押してあげないとだねー。」

亜蘭「そういう事か。」

 

 おかしいと思ったんだ。

 

 他のペアはランダムだが、俺と燐子さんのペアだけ整い過ぎてる。

 

雫「こころに頼んでね。亜蘭と燐子にペアだけ仕組んでもらったの。」

亜蘭「まぁ、そんな事だと思った。」

雫「行ってきなよ、亜蘭。燐子はこの先にいるよ。」

 

 雫は道順から外れたところを指さした。

 

亜蘭「あぁ。ありがとうな。雫。」

雫「私も得するから、ギブ&テイクだよ。」

亜蘭「そうか。」

 

 俺はそう言いながら指さされた方に進んでいった。

 

雫「さてと、私も行こっと。」

__________________

 

 道順から外れてるだけあって、少しだけ進みずらい。

 

亜蘭(かなり進んだと思うが、もうすぐか?)

 

 俺はまっすぐ進んでいった。

 

亜蘭「__あれは。」

 

 木が生えてない空間がある。

 

 多分、あそこだ。

 

 そう思うと、心臓が痛いくらい動いた。

 

 かつてないほどに俺は緊張していた。

 

亜蘭(だが、そんな事も言っていられない。......行こう。)

 

 俺は少し重くなった一歩を踏み出した。

__________________

 

亜蘭「__燐子さん。」

燐子「亜蘭君?」

 

 開けた場所に行くと、案の定、燐子さんがいた。

 

 どうやらここは、崖近くらしい。

 

 まるで、森のベランダみたいだ。

 

燐子「見てみてください。月が、綺麗ですよ?」

亜蘭「月?」

 

 俺は空を見上げた。

 

 空には、綺麗な青白い光を放つ月が浮かんでいる。

 

 それは確かに、とても綺麗だ。

 

亜蘭「本当に、綺麗ですね。」

燐子「はい。」

 

 俺と燐子さんは並んで空を見た。

 

 ゆっくりと時間が流れてるような感覚。

 

 この時間がたまらなく心地いい。

 

 そう思ってるうちに、さっきまでの激しい心臓の動きも治まっていた

 

亜蘭「......燐子さん。」

燐子「はい?」

亜蘭「俺は、燐子さんに感謝しています。」

燐子「え?」

亜蘭「暗い闇に溺れていた俺を、燐子さんは照らして救い上げてくれた。」

 

 思いが触れてくる。

 

 感謝も、恋情も、全て。

 

 もう、歯止めなんて効くわけない。

 

亜蘭「燐子さんの優しさは今でも、俺を導いてくれている。」

燐子「亜蘭君......」

亜蘭「ありがとうございます。燐子さん。」

 

 俺は燐子さんをまっすぐ見た。

 

燐子「私も、四宮君に助けてもらいました。」

 

 燐子さんも話し出した。

 

燐子「ダンス会の時も、体育祭の時も、それだけじゃなくて、亜蘭君は日ごろから私を助けてくれます。」

 

 燐子さんは柔らかく微笑んでる。

 

 月明かりに照らされて、本当に綺麗だ。

 

亜蘭「燐子さん。」

燐子「はい......」

 

亜蘭「俺は、燐子さんを愛しています。」

燐子「っ!///」

亜蘭「俺はこの先、ずっと、燐子さんと過ごしたい。」

 

 燐子さんは顔を真っ赤にしてうつ向いている。

 

燐子「私も......///」

亜蘭「!」

燐子「私も、亜蘭君が好き///__」

 

 チュ......

 

 燐子さんが視界一杯に見えて、唇にはやわらかい感触がある。

 

 心が満たされる。

 

 優しい、感覚。

 

燐子「私の、気持ちです......///」

亜蘭「と、という事は......」

燐子「私も、亜蘭君とずっと、一緒にいたい......///」

 

 燐子さんは俺に抱き着いてきた。

 

亜蘭「おっと。」

燐子「ふふっ///亜蘭君......♪」

亜蘭「燐子さん......」

 

 俺も抱きしめ返した。

 

燐子「ずっと、こうしてたい......///」

亜蘭「俺も、そう思いますよ。燐子さん。」

燐子「この時だけは、燐子って呼んで、亜蘭君......?///」

亜蘭「......燐子。愛してる。」

燐子「うん、亜蘭君......///」

 

 俺はこうして、燐子さんと付き合い始めた。

 

 燐子さんを抱きしめてるだけで、心が満たされる。

 

 月の光が優しく、暖かく、俺と燐子さんを包み込んでいた......

__________________

 

 ”少し離れた場所”

 

谷戸「......やっと、やっと、手に入れられたのですね、亜蘭様。」

 

 谷戸は涙を流していた。

 

 出会ってから10年、悲しみを背負い続けていた主人がやっと、幸せをつかみ取ったのだ。

 

 谷戸が持つのは親心、呪いの事蔑まれた過去から、今は......

 

雫「__亜蘭はうまくいったみたいだね。」

谷戸「......賀川さんですか。」

雫「って、泣いてるの?」

谷戸「......いえ。もう止まりました。」

 

 谷戸は涙をぬぐい、雫の方を向いた。

 

谷戸「戻りましょう。亜蘭様たちに疑われてしまいます。」

雫「......待ってよ。」

谷戸「!」

 

 雫に言葉で谷戸は足を止めた。

 

谷戸「どうかしましたか?」

雫「亜蘭は上手くいったんだよね。」

谷戸「えぇ。とても、幸せそうです。」

雫「......じゃあ、私の番か。」

 

 雫は小さく呟き、谷戸少し近づいた。

 

雫「私、谷戸さんが好きだよ。」

 

 雫はいつも通りの声でそう言った。

 

 谷戸は表情を一切動かさず__

 

谷戸「__知っていましたよ。そのことは。」

 

 静かに、そう、言い放った。




”その後の亜蘭と燐子”

亜蘭、燐子「......」

亜蘭(せ、成功したんだな。)

燐子(い、勢いで、すごいことしちゃった///)

亜蘭「り、燐子さん?」

燐子「は、はい......!」

亜蘭「これからも、よろしくお願いします。」

燐子「こちらこそ、亜蘭君///」

亜蘭「折角なので、手を繋いで帰りましょう。」

燐子「はい......!」

 その後、手を繋いだまま帰り皆に優しい目を向けられ、祝いの言葉を言われた。
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