本当に欲しいもの   作:火の車

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新学期

 今の俺は驚くくらいに気が重い

 

 今日から新学期

 

 普段ならこんな状態になりはしないはずなんだ

 

 だが......

 

若葉「__新しい学校、楽しみですね!」

亜蘭「そうですか。」

谷戸「......」

 

 この人がいるとなっては話が別だ

 

 時にしてこころ様を凌駕するほどの常識が通用しない方だ

 

 そんな若葉さんが転校してくる事によって、

 

 俺の胃は大音量で開通工事を開始してる

 

若葉「それにしても、わざわざ私まで送っていただいて申し訳ありません。」

亜蘭「いえいえ、若葉さんを一人にするわけにはいきませんので。(俺の胃のためにも。)」

谷戸「お気になさらず、御くつろぎください。(亜蘭様の胃のためにも。)」

若葉「そうですか?それでは、お言葉に甘えて!」

亜蘭(......さて。)

 

 この学期はどう転んでいくんだろうか

 

 心配なことが大量にある(主に徳川さん。)

 

 あまり迷惑をかけないようにコントロールしないと

 

谷戸「もう間もなく到着です。」

 

 谷戸のその声の後、

 

 俺と若葉さんは車を出た

__________________

 

 車を出ると案の定、大勢の生徒に囲まれた

 

 なんだろう、この感じ懐かしく感じるな

 

 あそこに山吹と丸山さんもいるし

 

 何で飽きないんだろう

 

若葉「いつもこの感じなのですか?」

亜蘭「まぁ、はい。」

若葉「想像通りですね。」

 

 若葉さんは納得したようにうなずいた

 

 その時、人ごみに隙間が出来た

 

燐子「__あ、亜蘭君......!」

亜蘭「燐子さん。」

 

 人出で来た道の向こうから燐子さんが歩いてきた

 

 決して速いとは言えない速度で走ってくるのもまた可愛らしい

 

 自然と頬が緩む

 

若葉「すごく嬉しそうな顔をしていますね。」

亜蘭「そうですか?俺はいつも通りですよ。」

燐子「おはよう......ございます......!」

亜蘭「はい。おはようございます。」

若葉(わっ、すごい笑顔ですね。)

 

 燐子さんを見て胃痛が治まった気がする

 

 この人からは癒しオーラが出てるのだろうか

 

 いや、出てるな、出てるに決まってる

 

燐子「人混みが見えたので、亜蘭君だと思って......走ってきました......!」

亜蘭(可愛いが過ぎる。)

燐子「亜蘭君?」

若葉(可愛いが過ぎる!とか思ってそうですね。)

 

 危うく意識が飛ぶところだった

 

 本当にこの人は可愛すぎる

 

亜蘭「あれ?燐子さん?」

燐子「!」

亜蘭「何か何時もと違う匂いがするのですが。」

燐子「はい......少し、シャンプーなどを変えてみて......」

亜蘭「え?あ、申し訳ありません。」

燐子「い、いえ、亜蘭君に気付いて欲しかったので......///」

若葉(なんでしょう、これは?)

 

 それから俺と燐子さんは生徒会室に

 

 若葉さんは職員室に向かった

__________________

 

 生徒会室に来ると、

 

 氷川先輩と市ヶ谷はいなかった

 

 どこかに出ているのだろうか

 

亜蘭「2人は仕事ですか?」

燐子「い、いえ......お2人には少し出てもらいました......///」

亜蘭「え?」

 

 燐子さんはそう言って俺に抱き着いてきた

 

 あー、そういう事か

 

燐子「夏休みの最後の一週間は会えなかったので、寂しくて......」

亜蘭「はい、俺も燐子さんに会いたかったですよ。」

燐子「......♪」

 

 俺は燐子さんの頭を撫でながらそう言った

 

 生徒会室でこういう事は少し危ないけど

 

 まぁ、大丈夫だろう(多分)

 

燐子「もっと、抱きしめてください......///」

亜蘭「はい、勿論。」

燐子「亜蘭君......///」

亜蘭(......すごいな。)

 

 燐子さんが頭を擦り付けてきてる

 

 まるで飼い主を見つけた犬みたいだ

 

 すごくかわいいな

 

一樹「__おーい、燐子いるかいー?」

亜蘭、燐子「あっ。」

一樹「......あっ。」

 

 そんな事を考えてると、

 

 徳川さんがドアを開けて部屋に入ってきた

 

一樹「あ、あー......」

 

 徳川さんの目が泳ぎまくってる

 

 かなり気まずそうだ、いや気まずい

 

一樹「えーと、失礼しました。」

 

 徳川さんは2秒ほど固まった後

 

 静かにドアを閉めて部屋を出て行った

 

 俺と燐子さんの間に静寂が流れた

 

亜蘭「......あの、燐子さん?」

燐子「......」

亜蘭「これは、どうしますか?」

燐子「......どうしようも、ありません......」

亜蘭「で、ですよね。」

 

 徳川さんが理解のある人でよかった

 

 けど、燐子さんからすれば

 

 身内に見られるのは、キツイものがあるだろうな

 

鋼「__失礼する。」

亜蘭「あれ?帝先輩?」

 

 少し苦笑いを浮かべてると

 

 今度は帝先輩が部屋に入ってきた

 

燐子「どかしましたか......?」

鋼「四宮がここにいると聞いてね。新学期の挨拶のついでに相談に来た。」

亜蘭「相談?」

鋼「あぁ。少し重要な話でね。」

 

 帝先輩は鞄からプリントを出し

 

 それを俺に渡して来た

 

亜蘭「......代表生徒?」

 

 受け取ったプリントにはそう書かれていた

 

 どうやら、ある学校に生徒1人を代表とし、

 

 親交を深めると言う目的らしい

 

 俺もこんな話は初めて聞いた

 

亜蘭「なぜ俺にこれを......なんて質問はいらないですね。」

鋼「あぁ、今回は君に行ってもらいたい。」

燐子「!」

 

 まぁ、そうだろう

 

 帝先輩は俺にこういう話をよく持って来る

 

 今回もそうだと思った

 

亜蘭「まぁ、話を受けるのはやぶさかではないです。」

鋼「なら、また追って連絡をしよう。」

 

 帝先輩はそう言って

 

 ドアの方に体を向けた

 

鋼「後は若いお2人でごゆっくり。」

亜蘭「!」

燐子「!///」

鋼「ごきげんよう。」

 

 帝先輩はそう言って部屋を出て行った

 

 燐子さんはずっと顔を赤くしてる

 

亜蘭「燐子さん、そろそろ時間ですね。」

燐子「はい、そうですね......///」

 

 もうそろそろ始業式の時間だ

 

 俺も教室に行かないといけない

 

燐子「じ、じゃあ......///」

亜蘭「はい?」

燐子「最後に......キス、してください......///」

亜蘭「......はい。」

燐子「ん......っ///」

 

 俺は燐子さんの唇に唇を合わせた

 

 燐子さんは俺の後頭部を抑えて離れないようにしてる

 

 数秒ほどして、俺と燐子さんは離れた

 

燐子「ありがとう......ございました......///」

亜蘭「いえ、俺も嬉しかったですよ。」

燐子「これで、今日も頑張れます。」

亜蘭「それはよかったです。」

 

 ”教室外”

 

紗夜(あの2人は......)

有咲(生徒会室で何やってんだ......?)

 

 亜蘭と燐子の2人は紗夜と有咲に気付くことなく

 

 生徒会室で始業式ギリギリまでイチャついていた

 

 

 

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