亜蘭「......」
弦巻家に行った翌日、俺はいつもよりも早く起きてしまった。
時刻は4時、外はまだ少しだけくらい。
谷戸「もうお目覚めですか?亜蘭様。」
亜蘭「......俺が早く起きてはいけないのか?」
谷戸「滅相もございません。」
谷戸はいつも俺が起きるときに枕元にいる。
不思議な奴だ。
亜蘭「谷戸、なにか飲み物を頼む。」
谷戸「はい。かしこまりました。」
そう言うと谷戸は部屋を出ていった。
亜蘭(......昨日の弦巻様の発言。これはモタモタしてられなくなった。)
俺は眉間を抑えた。
亜蘭(だが、あれはそう簡単に見つからない。どうすれば__)
谷戸「__飲み物をお持ちしました。亜蘭様。」
亜蘭「あぁ、ありがとう。」
俺はゆっくりと飲み物に口をつけた。
水分を取ると頭の回転が良くなった気がする。
亜蘭「......谷戸。」
谷戸「はい?」
亜蘭「俺とお前が出会って何年になる?」
谷戸「ちょうど10年になります。」
亜蘭「そうか。もう10年も......」
谷戸「亜蘭様?」
亜蘭(俺はもう10年、見つけられずにいるのか。)
こればかりはいくら金があろうが、能力があろうが見つからない。
だが、自分の無能が嫌になるな。
亜蘭「......とりあえず、俺は朝食まで本でも読んでおく。」
谷戸「かしこまりました。」
俺は朝のゆったりとした時間を読書をして過ごした。
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登校時間になった。
俺はいつも通り、車に乗っている。
谷戸「__亜蘭様。」
亜蘭「なんだ?」
谷戸「近々、学校行事で親睦会がありますが、いかがいたしましょう?」
亜蘭「どういう事だ?」
谷戸「今回の親睦会はもといた学校の校風に則り社交ダンスとなっております。亜蘭様のお相手になりたい人間は数多くいますが。」
亜蘭「そういう事か。」
谷戸「私の方で選別しておきましょうか?」
亜蘭「いや、自分で選ぶ。そこまでしてくれなくていい。」
谷戸「仰せのままに。」
それからは、学校に着くまで読書をしてた。
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学校に着くと、俺は瞬く間に人に囲まれた。
女子「亜蘭君!私とダンス組もうよ!」
女子2「亜蘭様ー!私とー!」
女子3「いや!私と!」
こんな具合で、少なくとも校門から校舎の間が埋まるほどの女子が俺をダンスに誘ってくる。
でも、俺はこの場で選ぶわけにはいかない。
亜蘭(この場で選ぶとイジメのもとになりかねない。ここはうまく切り抜けよう。)
「皆には悪いけど、まだ返事は出来ないかな。」
女子「え?」
亜蘭「まだ期限があるから考えてなかったんだ。せっかくの親睦会だから相手を真剣に選びたくてね。」
女子2「なるほど......」
亜蘭「組みたい人がいたら俺から声をかけるよ。女性から声をかけさせるわけにはいかないからね。」
女子3「さ、さすが亜蘭様......!」
女子4「女性だって!私達!」
女子5「女子って言わないあたりが、大人だよねー!」
亜蘭(......よかった。何とか納得してくれたか。)
俺は皆に挨拶を返しながら、教室に向かった。
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教室に着くと、話しかけてくる人は多いけど、誰もダンスの事には触れなかった。
誰かから情報が回ったんだろう、便利な世の中になってくれたものだ。
亜蘭(さて、ダンスの相手をどう決めるか。)
この時、俺には危惧してる事がある。
こころ様だ、あの話を聞いた後にダンスのペアになるのは好ましくない。
どうにかして、それだけは避けなければけない。
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昼休みだ。
この時間は谷戸が俺に弁当を持ってくる。
それから、恒例行事が始まる。
それは、場所探しだ。
俺は出来るだけ静かな空間で食事はしたい、でも、それをみんなに言うのも悪い、だから場所を探すのだ。
亜蘭「__と言っても、そう都合のいい場所があるのか?」
燐子「四宮君......?」
亜蘭「白金先輩、こんにちは。」
燐子「こんにちは......」
亜蘭「どうしたんですか?こんなところで?」
燐子「えっと......今日は図書委員の仕事で......図書室で昼食を済ませようと。」
亜蘭「なるほど。」
燐子「四宮君は......どうしたんですか?」
亜蘭「俺は昼食をとる場所を探しているんです。静かな場所で食べたくて。」
燐子「それなら......私と一緒に来ますか......?」
亜蘭「え?」
燐子「あ、い、嫌なら......」
亜蘭「ありがたいです。是非。」
燐子「え、は、はい。」
そうして、図書室に向かった。
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図書室は人がいなくて静かだ。
最近は本を読む人が少なくなったからか。
燐子「ここは......落ち着きます。」
亜蘭「そうですね。」
俺と白金先輩は弁当を広げた。
燐子「わ、すごい......」
亜蘭「そうですか?」
燐子「はい。」
亜蘭「......白金先輩のお弁当はご家族の方が?」
燐子「はい、いつも作ってくれます......」
亜蘭(家族か。)
燐子「四宮君?」
亜蘭「あ、すみません。」
燐子「い、いえ。」
俺は弁当を食べ始めた。
燐子「__四宮君は......食べ方が綺麗ですね。」
亜蘭「え?」
突然、白金先輩がそう言った。
俺は驚いた声を出してしまった。
燐子「何と言うか......貴族の食事の様で。」
亜蘭「ははは。そんなものじゃないですよ。」
燐子「私は......どうも下手なんです......」
亜蘭「そうなんですか?」
白金先輩を観察してみた。
確かに、弦巻様に指摘されたことがある箇所がある。
亜蘭「白金先輩、もう少し箸を持つ手を下にすればいいかと。」
燐子「え?こう、ですか......?」
亜蘭「えーっと、もう少し。」
俺は白金先輩の手を取った。
燐子「!///(お、男の人に手を......!///」
亜蘭「あの、白金先輩?」
燐子「え、あ......///」
亜蘭「どうかしましたか?」
燐子「い、いえ__」
ガラガラ!
突然、図書室の扉が開いた。
俺は白金先輩の手を放した。
女子「あ、亜蘭君いた!」
女子2「やっぱりここだったね!」
亜蘭「どうしたのかな?」
女子「ダンスの相手は決めたのかなって!」
亜蘭「ダンスの相手?それはもう少し期限があるはずじゃ?」
女子2「あれ?聞いてなかった?なんか手違いでエントリーが今日の放課後になったんだよ?」
亜蘭(まずいな。どうしたものか。)
女子「もし、決まってないなら私と一緒に踊ろうよ!」
女子2「ずるい!私と!」
亜蘭「あー、悪いんだけど、もう相手は決まったんだ。」
女子1,2「えー!?」
俺は白金先輩の方を向いた。
亜蘭「俺の相手はこの人、白金先輩だよ。」
燐子「え......?」
こうして、俺の昼休みは過ぎていった。
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