今日は実に素晴らしいものを見れた
正直、もう満足しているのだが、文化祭はまだまだ続く
次は俺の番ということだ
亜蘭「__ようこそ、美しい姫。」
女子たち『きゃー!!///』
うちの出し物は大繁盛だ
さっきから女性のお客さんばかりだが
まぁ、それは気にするほどでもないだろう
亜蘭(燐子さんはいつ来るだろうか。)
他の人たちには申し訳ないが、俺は燐子さん待っている
そのために、特別に招待席を用意してもらった
もうそろそろ、来ると思うんだが
雫「__亜蘭いた。」
亜蘭「ん?雫、それに谷戸も。来ていたのか。」
谷戸「はい。亜蘭様が出てくるのを待つついでにその辺りを歩いておりました。(パシャパシャ)」
亜蘭「そうか。(すごい早さでカメラを出したな。)」
谷戸の行動にはもう慣れたものだ
昔から、俺の写真を撮るのに異様な気合の入りようだ
この程度はもう気にするほどでもない
それより.....
雫(ジー)
亜蘭(か、勘弁してくれ.....)
雫からの視線が突き刺さる
俺にどうしろと言うんだ
そんなに恨めしそうな目で見られても......
亜蘭「ほ、ほら、谷戸。早く席に着け。他の人もいるしな。」
谷戸「それもそうですね。」
亜蘭「ちょうど席も空いた。」
俺は2人を席に案内した
よし、これで取り合えず落ち着ける
問題はここからだ
どうすれば、雫の機嫌が直るのか
いや、これは谷戸に考えてもらいたい案件なんだが
本人は気づいてないし、俺が何とかしなければ
亜蘭(さて......)
俺も人のことを言えないが、谷戸は女心に鈍感だ
今までの境遇的に、それは仕方ないことだろう
そして、雫は谷戸への思いは強いが、行動を起こせるタイプじゃない
そうなれば話は簡単だ
第三者が介入すればいい
亜蘭「あぁ、君。少しいいか?」
「は、はい!どうかしましたか?」
亜蘭「一つ、頼みたいことがあるんだ。料金はこちらが出す。」
「そんないいですよ!それで、頼みと言うのは?」
亜蘭「それは__」
俺は調理担当の生徒に頼みごとをした
それを快く受け入れてくれたので、俺はそれを待つことにした
亜蘭(これで何とか機嫌を直してくれるといいんだが......)
“雫”
私の彼氏は最低だ
折角デートに来てるのに、彼女よりご主人様優先
ていうか、デートもただの時間つぶし
私なんて、まるで視界に入ってないみたい
谷戸「どうしたんですか?元気がないようですが。」
雫「誰のせいだろうね。鈍感ご主人様大好き人間さん。」
谷戸「私のせいですか。」
谷戸さんは少し考えるような仕草を見せた
マジでこの人にこのビジュアルを授けた人は考えた方がいい
このちょっとした仕草がかっこいいのなんなの?
人格犠牲にしてるの?
谷戸「何が悪かったのでしょうか?」
雫「それが分からないのは相当ヤバいよ。」
谷戸「そうですか。それは大変ですね。」
なんで他人事?あなたのことだよ?
え、この鈍感男ほんとにどうすればいいの?
雫「谷戸さんって、私のこと、好きなの......?」
谷戸「それを知る為のあなたとの交際では?」
雫「それでも......」
少しくらい、変わっててほしい
好きって言うほどじゃなくても
せめて、亜蘭を除く他の人よりは大切ってくらいには......
谷戸「私にとって、亜蘭様は主人ですが、家族でもあります。」
雫「!」
谷戸「あの日、ボロボロの亜蘭様に出会ってから十数年になりますか。あの方を大切に思ってきました。だからこそ、今の私に亜蘭様以上に大切な人物が現れるなど、考えられません。」
したくないけど、納得してしまう
谷戸さんにとって、亜蘭は家族
両親のいないこの人にとっては、それこそ、命以上に大切なんだと思う
谷戸「まぁ、賀川さんは亜蘭様の次くらいですかね。」
雫「え?」
谷戸「亜蘭様には及びませんが、その他の人物と同じかと言われると、それは違います。」
雫「......そ、そうなんだ///」
ま、まぁ、悪い気はしない
百歩譲って亜蘭は仕方ないとして、2番目
一緒にいる期間を考えれば、良い方......なのかな?
谷戸「大健闘と言ったところでしょう。」
雫「いつかは、一番になるから///」
谷戸「そうですか。(まぁ、嬉しそうなので、そのままにしておきましょう。)」
亜蘭「__待たせたな。」
一連の会話が終わると、亜蘭がお盆を持ってやってきた
まだ、注文はしてないはずだけど
何かのってる?
亜蘭「これは、お前たちの特別メニューだ。」
雫「!?///」
谷戸「おやおや。」
亜蘭がテーブルに置いたのは、少し大きめのコップ
中身は、多分、リンゴジュースかな?
そんなことはどうでもいい
それより気になるのは、2本のストロー
これって......
亜蘭「あこが言っていた。世のカップルは皆、こういうものを飲んでいると。」
雫(あの子、亜蘭になに教えてるの!?///)
谷戸「なるほど。」
雫(こっちはこっちで受け入れてる!?///)
この人、亜蘭の言う事は全部正しいと思ってるの?
いや、思ってるね
考えるまでもなく
谷戸「折角の亜蘭様からのご厚意です。飲みましょうか。」
雫「あ、えっと......///」
谷戸「ほら、早く。」
雫「~っ!///......う、うん......///」
鋭く、こっちを支配するような目を向けられる
この目を向けられると、私は何もできなくなる
私は自分の羞恥心も何もかもを押さえつけられ
私は、差し出されたストローを咥えた