本当に欲しいもの   作:火の車

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2番目

 今日は実に素晴らしいものを見れた

 

 正直、もう満足しているのだが、文化祭はまだまだ続く

 

 次は俺の番ということだ

 

亜蘭「__ようこそ、美しい姫。」

女子たち『きゃー!!///』

 

 うちの出し物は大繁盛だ

 

 さっきから女性のお客さんばかりだが

 

 まぁ、それは気にするほどでもないだろう

 

亜蘭(燐子さんはいつ来るだろうか。)

 

 他の人たちには申し訳ないが、俺は燐子さん待っている

 

 そのために、特別に招待席を用意してもらった

 

 もうそろそろ、来ると思うんだが

 

雫「__亜蘭いた。」

亜蘭「ん?雫、それに谷戸も。来ていたのか。」

谷戸「はい。亜蘭様が出てくるのを待つついでにその辺りを歩いておりました。(パシャパシャ)」

亜蘭「そうか。(すごい早さでカメラを出したな。)」

 

 谷戸の行動にはもう慣れたものだ

 

 昔から、俺の写真を撮るのに異様な気合の入りようだ

 

 この程度はもう気にするほどでもない

 

 それより.....

 

雫(ジー)

亜蘭(か、勘弁してくれ.....)

 

 

 雫からの視線が突き刺さる

 

 俺にどうしろと言うんだ

 

 そんなに恨めしそうな目で見られても......

 

亜蘭「ほ、ほら、谷戸。早く席に着け。他の人もいるしな。」

谷戸「それもそうですね。」

亜蘭「ちょうど席も空いた。」

 

 俺は2人を席に案内した

 

 よし、これで取り合えず落ち着ける

 

 問題はここからだ

 

 どうすれば、雫の機嫌が直るのか

 

 いや、これは谷戸に考えてもらいたい案件なんだが

 

 本人は気づいてないし、俺が何とかしなければ

 

亜蘭(さて......)

 

 俺も人のことを言えないが、谷戸は女心に鈍感だ

 

 今までの境遇的に、それは仕方ないことだろう

 

 そして、雫は谷戸への思いは強いが、行動を起こせるタイプじゃない

 

 そうなれば話は簡単だ

 

 第三者が介入すればいい

 

亜蘭「あぁ、君。少しいいか?」

「は、はい!どうかしましたか?」

亜蘭「一つ、頼みたいことがあるんだ。料金はこちらが出す。」

「そんないいですよ!それで、頼みと言うのは?」

亜蘭「それは__」

 

 俺は調理担当の生徒に頼みごとをした

 

 それを快く受け入れてくれたので、俺はそれを待つことにした

 

亜蘭(これで何とか機嫌を直してくれるといいんだが......)

 

 “雫”

 

 私の彼氏は最低だ

 

 折角デートに来てるのに、彼女よりご主人様優先

 

 ていうか、デートもただの時間つぶし

 

 私なんて、まるで視界に入ってないみたい

 

谷戸「どうしたんですか?元気がないようですが。」

雫「誰のせいだろうね。鈍感ご主人様大好き人間さん。」

谷戸「私のせいですか。」

 

 谷戸さんは少し考えるような仕草を見せた

 

 マジでこの人にこのビジュアルを授けた人は考えた方がいい

 

 このちょっとした仕草がかっこいいのなんなの?

 

 人格犠牲にしてるの?

 

谷戸「何が悪かったのでしょうか?」

雫「それが分からないのは相当ヤバいよ。」

谷戸「そうですか。それは大変ですね。」

 

 なんで他人事?あなたのことだよ?

 

 え、この鈍感男ほんとにどうすればいいの?

 

雫「谷戸さんって、私のこと、好きなの......?」

谷戸「それを知る為のあなたとの交際では?」

雫「それでも......」

 

 少しくらい、変わっててほしい

 

 好きって言うほどじゃなくても

 

 せめて、亜蘭を除く他の人よりは大切ってくらいには......

 

谷戸「私にとって、亜蘭様は主人ですが、家族でもあります。」

雫「!」

谷戸「あの日、ボロボロの亜蘭様に出会ってから十数年になりますか。あの方を大切に思ってきました。だからこそ、今の私に亜蘭様以上に大切な人物が現れるなど、考えられません。」

 

 したくないけど、納得してしまう

 

 谷戸さんにとって、亜蘭は家族

 

 両親のいないこの人にとっては、それこそ、命以上に大切なんだと思う

 

谷戸「まぁ、賀川さんは亜蘭様の次くらいですかね。」

雫「え?」

谷戸「亜蘭様には及びませんが、その他の人物と同じかと言われると、それは違います。」

雫「......そ、そうなんだ///」

 

 ま、まぁ、悪い気はしない

 

 百歩譲って亜蘭は仕方ないとして、2番目

 

 一緒にいる期間を考えれば、良い方......なのかな?

 

谷戸「大健闘と言ったところでしょう。」

雫「いつかは、一番になるから///」

谷戸「そうですか。(まぁ、嬉しそうなので、そのままにしておきましょう。)」

亜蘭「__待たせたな。」

 

 一連の会話が終わると、亜蘭がお盆を持ってやってきた

 

 まだ、注文はしてないはずだけど

 

 何かのってる?

 

亜蘭「これは、お前たちの特別メニューだ。」

雫「!?///」

谷戸「おやおや。」

 

 亜蘭がテーブルに置いたのは、少し大きめのコップ

 

 中身は、多分、リンゴジュースかな?

 

 そんなことはどうでもいい

 

 それより気になるのは、2本のストロー

 

 これって......

 

亜蘭「あこが言っていた。世のカップルは皆、こういうものを飲んでいると。」

雫(あの子、亜蘭になに教えてるの!?///)

谷戸「なるほど。」

雫(こっちはこっちで受け入れてる!?///)

 

 この人、亜蘭の言う事は全部正しいと思ってるの?

 

 いや、思ってるね

 

 考えるまでもなく

 

谷戸「折角の亜蘭様からのご厚意です。飲みましょうか。」

雫「あ、えっと......///」

谷戸「ほら、早く。」

雫「~っ!///......う、うん......///」

 

 鋭く、こっちを支配するような目を向けられる

 

 この目を向けられると、私は何もできなくなる

 

 私は自分の羞恥心も何もかもを押さえつけられ

 

 私は、差し出されたストローを咥えた

 

 

 

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