亜蘭「__これは......!」
朝、俺に衝撃が走った。
一皿の上の込められた世界に引き込まれる感覚だ。
亜蘭「素晴らしい。まだ慣れない厨房だっただろう。」
雫「ありがとう。でも、設備がよかったからもう少しでもっと行ける。」
亜蘭「困ったことがあったら言ってくれ。改善する。」
雫「......改善点、あるなら見つけたいよ。」
亜蘭「ははは。」
美味しい食事というのは心を穏やかにする。
それを提供してくれる人物がいるのはとても良い事だ。
谷戸「亜蘭様、そろそろ学校に向かうお時間です。」
亜蘭「もうそんな時間か。」
俺は椅子から立ち上がった。
亜蘭「ありがとう、雫。素晴らしい朝食だった。」
雫「うん。夕食もまかせておいて。」
亜蘭「あぁ、期待してるよ。」
谷戸「亜蘭様。」
亜蘭「今行く。」
俺は車に乗り、学校に向かった。
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気づけばもう4月下旬。
段々と温度が上がってきてる
木々を見れば5月の片鱗が見えてくる。
亜蘭(いい季節だ。)
そんな陽気の中、俺は車を降りた。
車を降りるといつも通り、色んな生徒が近づいてきた。
女子たち「おはよう~!亜蘭く~ん!」
男子たち「亜蘭ー!」
亜蘭「はは、おはよう。皆。」
俺は皆に声を返しながら校舎に向かっていた。
すると__
こころ「__亜蘭!」
亜蘭「こころ様。」
こころ様が歩いてきた。
後ろには友人と思われる二人がいる。
こころ「おはよう!亜蘭!」
亜蘭「おはようございます、こころ様。」
こころ「今日も皆を笑顔にしてるわね!素晴らしいわ!」
亜蘭「そうなのでしょうか?」
こころ「えぇ!これからも続けるといいわ!」
亜蘭「はい。邁進いたします。」
俺たちが話していると、こころ様の後ろの二人が口を開いた。
美咲「えっと、この人って四宮君だよね......?」
亜蘭「そうだよ。よく分かったな?」
美咲「いやいや。四宮君を知らない生徒はこの学校にはいないよ。」
花音「そ、そうだよね。すごいなぁ。」
こころ「そうよ!亜蘭はとーってもすごいのよ!」
亜蘭「お褒めにあずかり光栄です。」
俺は頭を下げた。
その後、俺はその場を去り教室に向かった。
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俺は教室に着くと席に座った。
亜蘭(最近思うが、別にギリギリに学校に来てるわけじゃないのに皆、絶対にいるな。)
教室に入るのが8時10分。
決して遅くはないはずだ。
亜蘭(皆、真面目なんだな。)
”職員室”
とある教師(四宮君のお陰で今日も遅刻ゼロ......助かるなぁ。)
亜蘭の力は絶大だった。
”元の視点”
亜蘭(さて、今日の教科は......)
有咲「__あのー、四宮君?」
亜蘭「ん?」
確かこの子は市ヶ谷有咲だったか。
生徒会のメンバーだったはずだ。
そんな子がなんで俺に?
有咲「燐子先輩......いや、生徒会長に四宮君を呼んでって頼まれて。」
亜蘭「白金先輩に?何か大事な用かもしれないな。すぐに向かうよ、ありがとう。市ヶ谷さん。」
有咲「はいー、って、なんであたしの名前?」
亜蘭「覚えてるよ。クラスメイトだろ?」
俺はそう言って教室を出た。
有咲「ふーん、確かにかっこいいやつじゃん。(それにしても。)」
有咲は目を閉じた。
有咲(__燐子先輩もシャイだよなー)
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俺は急ぎ足で生徒会室に来た。
亜蘭「__失礼します。」
燐子「あ、し、四宮君......!」
紗夜「来ましたね。」
生徒会室に入ると白金先輩と氷川先輩の二人がいた。
亜蘭「お待たせしてしまい申し訳ありません。何か大事な用でしょうか?」
燐子「あの、えっと......///」
亜蘭「?」
白金先輩は何か言いたげな顔をしてる。
何か言いずらい事なのか?
亜蘭「あの、どうしたのでしょうか?」
紗夜「......白金さん、勇気を出してください。」
燐子「は、はい......///」
氷川先輩が何かを言うと、白金先輩は意を決したように言った。
燐子「し、四宮君は......バンドに興味はないでしょうか?」
亜蘭「バンドですか?」
白金先輩の口から出たのはかなり意外な言葉だった。
なぜ、バンドなんだ?
亜蘭「そうですね、あまり身近な言葉ではないので関心はあります。」
俺の言う音楽というのは、クラシックなどのものを指す。
その分、聞きなれないバンドには興味が引かれる。
燐子「えっと、じゃあ、お時間があれば......私たちのライブを見に来ないですか?」
亜蘭「ライブ?白金先輩たちのですか?」
燐子「はい......」
正直、かなり意外だ。
白金先輩の性格的にバンドをする人物とは思ていなかった。
亜蘭「折角のお誘いですので、喜んで行かせていただきます。」
燐子「そ、そうですか......!」
そう言うと白金先輩はカバンからあるものを取り出し、こちらに近づいてきた。
燐子「これが、ライブのチケットです......」
亜蘭「はい。ありがとうございます。」
俺はチケットを受け取った。
バンド名はロゼリアらしい、青いバラがモチーフらしい。
亜蘭「楽しみにしてます。白金先輩、氷川先輩。」
燐子「はい......頑張ります。」
紗夜「はい。」
亜蘭「それでは、失礼します......あ。」
燐子、紗夜「?」
生徒会室を出ようとした時、あるものに気付いた。
亜蘭「白金先輩。」
燐子「はい......?」
亜蘭「少し、ジッとしててください。」
燐子「え__っ!?///」
紗夜(あっ。)
燐子「し、四宮......くん?///」
俺は白金先輩に近づいていった__
燐子(ど、どういうこと?///)
亜蘭「__はい、取れました。」
燐子「......え?」
亜蘭「大きな糸くずが付いていたので。そのままにしておくの良くないと思いまして。」
燐子「え?あ、ありがとうございます......///」
亜蘭「はい。それでは、失礼します。」
そう言って俺は生徒会室を出た。
”紗夜と燐子”
紗夜「......大丈夫ですか?白金さん。」
燐子「だ、大丈夫じゃないです......///」
紗夜「まぁ、渡せたのでよかったですね。おめでとうございます。」
燐子「はい......///」
燐子が赤面してる中、紗夜はある事を聞いた。
紗夜「白金さんは四宮君が好きなのですか?」
燐子「え?」
紗夜「え?」
紗夜は燐子の予想外の反応に驚いた。
紗夜の予想では赤面して慌てると思っていたからだ。
燐子「好き......という感情がよくわかりません......」
紗夜「そうなのですか?」
燐子「はい。」
紗夜「じゃあ、なんで四宮君をライブに?」
燐子「えっと......ダンス会の日から、四宮君が頭から離れなくて///」
紗夜(それを好きと言うのでは?)
紗夜は心底疑問に思った。
燐子の言う症状はまさに好きと言う事を表しているからだ。
でも、燐子は分からないと言う、それが紗夜には分からなかった。
紗夜(......ここで、それが好きと言う事ですよと言うのは野暮ですね。)
燐子「氷川さん......?」
紗夜「いえ、なんでもないですよ。」
燐子「......?」
紗夜(ですが、白金さんが彼を好きだとして、果たして振り向いてくれるのでしょうか。)
亜蘭は誰にでもあんな感じだ。
燐子だけが特別、と言うのはあまりにも考えられない。
紗夜(もしかしたら、大変かもですよ。白金さん。)
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”亜蘭”
俺は教室の戻るため廊下を歩いていた。
亜蘭(まさか白金先輩がバンドをしてたとは。人は見かけによらないな。)
俺はチケットを再度確認した。
亜蘭(そして、俺が誘われるとは。これもまた、意外だな。)
女子「__亜蘭様が笑ってる......!」
亜蘭「?(笑ってる?)」
俺は窓に反射してる自分を確認した。
その顔は確かに笑ってる。
亜蘭(なんでだ?)
女子「ね、ねぇ!何かいいことでもあったの?」
亜蘭「......さぁね。」
女子「きゃー!///」
俺は手を振りながら教室に急いだ。
亜蘭(分からない、なんで俺は自然に笑ってる?)
思い当たるものと言えば。
亜蘭(このチケットか。)
このチケットしかない。
でも、なんでだ?
亜蘭(ふむ......初めてのライブが余程楽しみなんだろうな。)
俺はそう自己完結した。
そして、今日も俺の一日は過ぎていった。
感想などお願いします。
賀川雫
大学1年生
口数の少ない料理人。
その腕は天才と称されるほど。
親しい相手には割と冗談を言う方。