本当に欲しいもの   作:火の車

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7話です


誘い

亜蘭「__これは......!」

 

 朝、俺に衝撃が走った。

 一皿の上の込められた世界に引き込まれる感覚だ。

 

亜蘭「素晴らしい。まだ慣れない厨房だっただろう。」

雫「ありがとう。でも、設備がよかったからもう少しでもっと行ける。」

亜蘭「困ったことがあったら言ってくれ。改善する。」

雫「......改善点、あるなら見つけたいよ。」

亜蘭「ははは。」

 

 美味しい食事というのは心を穏やかにする。

 それを提供してくれる人物がいるのはとても良い事だ。

 

谷戸「亜蘭様、そろそろ学校に向かうお時間です。」

亜蘭「もうそんな時間か。」

 

 俺は椅子から立ち上がった。

 

亜蘭「ありがとう、雫。素晴らしい朝食だった。」

雫「うん。夕食もまかせておいて。」

亜蘭「あぁ、期待してるよ。」

谷戸「亜蘭様。」

亜蘭「今行く。」

 

 俺は車に乗り、学校に向かった。

__________________

 

 気づけばもう4月下旬。

 段々と温度が上がってきてる

 木々を見れば5月の片鱗が見えてくる。

 

亜蘭(いい季節だ。)

 

 そんな陽気の中、俺は車を降りた。

 車を降りるといつも通り、色んな生徒が近づいてきた。

 

女子たち「おはよう~!亜蘭く~ん!」

男子たち「亜蘭ー!」

亜蘭「はは、おはよう。皆。」

 

 俺は皆に声を返しながら校舎に向かっていた。

 すると__

 

こころ「__亜蘭!」

亜蘭「こころ様。」

 

 こころ様が歩いてきた。

 後ろには友人と思われる二人がいる。

 

こころ「おはよう!亜蘭!」

亜蘭「おはようございます、こころ様。」

こころ「今日も皆を笑顔にしてるわね!素晴らしいわ!」

亜蘭「そうなのでしょうか?」

こころ「えぇ!これからも続けるといいわ!」

亜蘭「はい。邁進いたします。」

 

 俺たちが話していると、こころ様の後ろの二人が口を開いた。

 

美咲「えっと、この人って四宮君だよね......?」

亜蘭「そうだよ。よく分かったな?」

美咲「いやいや。四宮君を知らない生徒はこの学校にはいないよ。」

花音「そ、そうだよね。すごいなぁ。」

こころ「そうよ!亜蘭はとーってもすごいのよ!」

亜蘭「お褒めにあずかり光栄です。」

 

 俺は頭を下げた。

 その後、俺はその場を去り教室に向かった。

__________________

 

 俺は教室に着くと席に座った。

 

亜蘭(最近思うが、別にギリギリに学校に来てるわけじゃないのに皆、絶対にいるな。)

 

 教室に入るのが8時10分。

 決して遅くはないはずだ。

 

亜蘭(皆、真面目なんだな。)

 

 ”職員室”

 

とある教師(四宮君のお陰で今日も遅刻ゼロ......助かるなぁ。)

 

 亜蘭の力は絶大だった。

 

 ”元の視点”

 

亜蘭(さて、今日の教科は......)

有咲「__あのー、四宮君?」

亜蘭「ん?」

 

 確かこの子は市ヶ谷有咲だったか。

 生徒会のメンバーだったはずだ。

 そんな子がなんで俺に?

 

有咲「燐子先輩......いや、生徒会長に四宮君を呼んでって頼まれて。」

亜蘭「白金先輩に?何か大事な用かもしれないな。すぐに向かうよ、ありがとう。市ヶ谷さん。」

有咲「はいー、って、なんであたしの名前?」

亜蘭「覚えてるよ。クラスメイトだろ?」

 

 俺はそう言って教室を出た。

 

有咲「ふーん、確かにかっこいいやつじゃん。(それにしても。)」

 

 有咲は目を閉じた。

 

有咲(__燐子先輩もシャイだよなー)

__________________

 

 俺は急ぎ足で生徒会室に来た。

 

亜蘭「__失礼します。」

燐子「あ、し、四宮君......!」

紗夜「来ましたね。」

 

 生徒会室に入ると白金先輩と氷川先輩の二人がいた。

 

亜蘭「お待たせしてしまい申し訳ありません。何か大事な用でしょうか?」

燐子「あの、えっと......///」

亜蘭「?」

 

 白金先輩は何か言いたげな顔をしてる。

 何か言いずらい事なのか?

 

亜蘭「あの、どうしたのでしょうか?」

紗夜「......白金さん、勇気を出してください。」

燐子「は、はい......///」

 

 氷川先輩が何かを言うと、白金先輩は意を決したように言った。

 

燐子「し、四宮君は......バンドに興味はないでしょうか?」

亜蘭「バンドですか?」

 

 白金先輩の口から出たのはかなり意外な言葉だった。

 なぜ、バンドなんだ?

 

亜蘭「そうですね、あまり身近な言葉ではないので関心はあります。」

 

 俺の言う音楽というのは、クラシックなどのものを指す。

 その分、聞きなれないバンドには興味が引かれる。

 

燐子「えっと、じゃあ、お時間があれば......私たちのライブを見に来ないですか?」

亜蘭「ライブ?白金先輩たちのですか?」

燐子「はい......」

 

 正直、かなり意外だ。

 白金先輩の性格的にバンドをする人物とは思ていなかった。

 

亜蘭「折角のお誘いですので、喜んで行かせていただきます。」

燐子「そ、そうですか......!」

 

 そう言うと白金先輩はカバンからあるものを取り出し、こちらに近づいてきた。

 

燐子「これが、ライブのチケットです......」

亜蘭「はい。ありがとうございます。」

 

 俺はチケットを受け取った。

 バンド名はロゼリアらしい、青いバラがモチーフらしい。

 

亜蘭「楽しみにしてます。白金先輩、氷川先輩。」

燐子「はい......頑張ります。」

紗夜「はい。」

亜蘭「それでは、失礼します......あ。」

燐子、紗夜「?」

 

 生徒会室を出ようとした時、あるものに気付いた。

 

亜蘭「白金先輩。」

燐子「はい......?」

亜蘭「少し、ジッとしててください。」

燐子「え__っ!?///」

紗夜(あっ。)

燐子「し、四宮......くん?///」

 

 俺は白金先輩に近づいていった__

 

燐子(ど、どういうこと?///)

亜蘭「__はい、取れました。」

燐子「......え?」

亜蘭「大きな糸くずが付いていたので。そのままにしておくの良くないと思いまして。」

燐子「え?あ、ありがとうございます......///」

亜蘭「はい。それでは、失礼します。」

 

 そう言って俺は生徒会室を出た。

 

 ”紗夜と燐子”

 

紗夜「......大丈夫ですか?白金さん。」

燐子「だ、大丈夫じゃないです......///」

紗夜「まぁ、渡せたのでよかったですね。おめでとうございます。」

燐子「はい......///」

 

 燐子が赤面してる中、紗夜はある事を聞いた。

 

紗夜「白金さんは四宮君が好きなのですか?」

燐子「え?」

紗夜「え?」

 

 紗夜は燐子の予想外の反応に驚いた。

 紗夜の予想では赤面して慌てると思っていたからだ。

 

燐子「好き......という感情がよくわかりません......」

紗夜「そうなのですか?」

燐子「はい。」

紗夜「じゃあ、なんで四宮君をライブに?」

燐子「えっと......ダンス会の日から、四宮君が頭から離れなくて///」

紗夜(それを好きと言うのでは?)

 

 紗夜は心底疑問に思った。

 燐子の言う症状はまさに好きと言う事を表しているからだ。

 でも、燐子は分からないと言う、それが紗夜には分からなかった。

 

紗夜(......ここで、それが好きと言う事ですよと言うのは野暮ですね。)

燐子「氷川さん......?」

紗夜「いえ、なんでもないですよ。」

燐子「......?」

紗夜(ですが、白金さんが彼を好きだとして、果たして振り向いてくれるのでしょうか。)

 

 亜蘭は誰にでもあんな感じだ。

 燐子だけが特別、と言うのはあまりにも考えられない。

 

紗夜(もしかしたら、大変かもですよ。白金さん。)

__________________

 

 ”亜蘭”

 

 俺は教室の戻るため廊下を歩いていた。

 

亜蘭(まさか白金先輩がバンドをしてたとは。人は見かけによらないな。)

 

 俺はチケットを再度確認した。

 

亜蘭(そして、俺が誘われるとは。これもまた、意外だな。)

女子「__亜蘭様が笑ってる......!」

亜蘭「?(笑ってる?)」

 

 俺は窓に反射してる自分を確認した。

 その顔は確かに笑ってる。

 

亜蘭(なんでだ?)

女子「ね、ねぇ!何かいいことでもあったの?」

亜蘭「......さぁね。」

女子「きゃー!///」

 

 俺は手を振りながら教室に急いだ。

 

亜蘭(分からない、なんで俺は自然に笑ってる?)

 

 思い当たるものと言えば。

 

亜蘭(このチケットか。)

 

 このチケットしかない。

 でも、なんでだ?

 

亜蘭(ふむ......初めてのライブが余程楽しみなんだろうな。)

 

 俺はそう自己完結した。

 そして、今日も俺の一日は過ぎていった。

 

 

 




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賀川雫
大学1年生
口数の少ない料理人。
その腕は天才と称されるほど。
親しい相手には割と冗談を言う方。
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