本当に欲しいもの   作:火の車

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9話です


体育祭前

亜蘭「......」

 

 分からない。

 あの感情は一体何だったんだ。

 今までにない感情、でもこれは。

 

亜蘭(......知識的に一致するものはある。)

 

 分からない事はない。

 だが、今それを認めるわけにはいかない。

 

亜蘭(俺には見つけなければならないものがある。)

 

 いつからだったか、俺がこれを探し始めたのは。

 何年も探し求めて、未だに影すら見えてこない。

 

亜蘭(俺はあれを見つけるためにならなんでも投げうる。絶対に見つけてやる。)

 

 俺は静かに拳を握り締めた。

__________________

 

 朝、俺はいつも通りに登校した。

 

亜蘭(そう言えば、もう少しで中間テストだな。その後に体育祭。)

 

 一学期と言っても中々忙しいな。

 前の学校では体育祭は二学期だった。

 

紗夜「__おはようございます。四宮君。」

亜蘭「氷川先輩。おはようございます。」

紗夜「今日も相変わらず、周りに人がたくさんいますね。」

 

 後ろを見ると、多くの生徒が俺の後ろをついて来てた。

 軍隊でも連想してしまいそうだ。

 

亜蘭「ははは。ほんとにすごい数ですね。」

紗夜「まぁ、四宮君のお陰で遅刻、欠席する生徒がいないので感謝はしているのですがね。」

亜蘭「皆が真面目なだけですよ。俺はそんなたいそうな人間ではありません。」

紗夜「......常人から見ればあなたはすごい人間ですよ。」

亜蘭「いえ、氷川先輩の方がずっとすごいですよ。」

紗夜「それは言い過ぎですよ。」

亜蘭「本心です。だって。」

紗夜「?」

 

 俺は今言おうとした言葉をしまい込んだ。

 これ以上は余計なことを言う気がしたからだ。

 

亜蘭「......いえ、なんでもありません。」

紗夜「え?」

亜蘭「失礼いたします。」

 

 俺は氷川先輩にそう言い、教室に向かった。

__________________

 

 今日の一時間目は体育祭の競技決めらしい。

 

亜蘭「__じゃあ、競技決めをしようか。」

男子たち「おー!」

女子たち「きゃー!」

 

 俺は学級員ではないんだが、担任に頼まれて俺がすることになった。

 

亜蘭「最初は立候補制にしよう。何か出たい競技がある人はいるか?」

男子1,2「はい!俺たちで1500m走に出ます!」

亜蘭「おぉ、これはありがたいな。皆が嫌がる競技に出てくれてありがとう!」

男子1「おう!」

男子2「任せてください!亜蘭様!」

亜蘭(なんで様付にもどったんだ?)

 

 こんな感じで競技決めはスムーズに進んでいった。

 皆が率先して参加してくれたのがよかった。

 

担任(よかった......四宮君がいてほんとによかった。)

女子「__そう言えば、亜蘭君は何の競技に出るのー?」

亜蘭「俺は残った競技に出るよ。」

女子「じゃあ、えーっと残ってるのは......」

 

・200メートル走

・借り人競争

・チーム対抗リレー

 

亜蘭「借り人競争?初めて聞くな。」

男子「まぁ、亜蘭様なら勝利間違いなしだよな!」

女子「だよね~!」

亜蘭「それは分からないよ。皆、全力で頑張るんだからな。俺はそれに全力で答えるだけだよ。」

男子2「流石、亜蘭様!!」

女子2「私達も全力でがんばろー!」

クラスメイト「おー!」

亜蘭(うん、良い事だな。)

担任(この子、本当に学生なのかしら?)

 

 こうして、体育祭の競技も決まり、中間テストを待つのみとなった。

__________________

 

 中間テストは全く問題ない。

 授業で聞いたことをきっちりすれば必ず点数はとれる。

 それを怠ればまぁ、大変なことになる。

 なんだかんだで中間テストは何の問題もなく終わった。

 

男子「__亜蘭様、学年一位だぜ!」

男子2「あ?当然だろ!?むしろ2位以下になったら天変地異が起きるぞ!?」

女子「頭もいいなんて、やっばい!」

女子2「確か、スポーツでも一回しただけでスカウトが来たって噂あるよ!」

女子3「この前も外で体育してる時にすごい人来てたよね?」

男子4「あれ、全部どこかしらのプロのスカウトらしいぜ。」

男子5「うっそ、体育で!?」

 

 テストの順位を一応見に来たが、色々なことを言われてた。

 まぁ、順位は一位だったからよかった。

 順位を落とすと家で働いてくれてる皆に恥をかかせてしまう。

 俺はいくら言われてもいいが、それは許されない、これが俺のプライドだ。

 

女子「もうすぐで体育祭!見どころは......」

男子「もちろん......」

生徒たち「四宮君(亜蘭君)!!!」

 

亜蘭(さて、教室に戻るか__)

燐子「__し、四宮君......?」

亜蘭「白金先輩。おはようございます。」

燐子「おはようございます......」

 

 まさか、2年生のフロアで白金先輩に会うとは。

 でも、なんでここに?もしかして何か用があるのか?

 

燐子(ま、まさか、四宮君が本当にいるなんて......。た、たしかに少し期待してたけど、こ、心の準備が......///)

亜蘭「あの、白金先輩?」

燐子「は、はい。」

亜蘭「何か御用がありましたか?」

燐子「え......?」

 

 もしかしたら体育祭関係での何かかもしれない。

 

燐子「あ、あの......」

亜蘭「?」

 

 白金先輩が言い淀んでる。

 もしかしたら、他の何か重要な用事か?

 そうだとしたら、人が多いここじゃ言いずらいのも納得がいく。

 

亜蘭「......白金先輩、少し人が少ない所に行きましょう。」

燐子「え......!?///」

亜蘭「では、行きましょう。」

 

 俺と白金先輩は人が少ない場所に移動した。

__________________

 

亜蘭「__この辺りでいいでしょう。」

 

 ここは屋上に通じる階段だ。

 あまり人が通らないし、重要な話をするのも問題ないだろう。

 

燐子(ひ、人通りが少ないところに二人だけ......///)

亜蘭「白金先輩。」

燐子「は、はい......///」

 

 なんで顔が赤いんだ?

 

亜蘭「あの、今日は何のご用で来たのでしょうか。何か重要な案件でしょうか?」

燐子「え......?(そ、そう言えば、そのために移動したんだった。でも、重要な用なんてない......)」

亜蘭「?」

 

 どうしたんだろう?

 周りに人はいないし、話すのには問題ないはずだが。

 

燐子「あの、その......(ど、どうしよう......)」

亜蘭(もしかして。)

 

 思い当たることがある。

 あれの事かもしれない。

 

亜蘭「......もしかして、ライブの感想でしょうか?」

燐子「!」

亜蘭「そう言うのは確かに皆の前では聞きずらいですよね。」

燐子「え?あ、はい......」

亜蘭「俺もちょうどよかったです。持っていましたから。」

燐子「持っていた......?」

亜蘭「はい。」

 

 俺は一枚の手紙の封筒を出した。

 

亜蘭「感想を書いてきました。ロゼリアの皆さんと読んでいただければ。」

燐子「あ、ありがとうございます......」

亜蘭「それでは、教室に戻りますね?」

燐子「はい......」

亜蘭「体育祭、お互い頑張りましょう。」

燐子「はい......!」

 

 そうして、俺は教室に戻った。

 

 そして、体育祭が始まる。




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