今回は七夕です!
「お兄ちゃんお兄ちゃん」
「どうした? イリヤ」
7月6日のお昼頃。イリヤは士郎と買い物に来ていた。
「明日が何の日か覚えてる?」
「ああ勿論。それに今日の買い出しだってその為の物だろ?」
そう、二人が今買っているものは明日の七夕で使う笹やら短冊などを買いに来ていた。
「昔、家では前はやってなかったけど、俺がどうしてもやりたいって泣き喚いたらしくそれでやるようになったって親父が言ってた気がする」
「へ〜、意外だな〜。お兄ちゃんも泣き喚いた時があったんだ」
「まあ、その時はイリヤもまだまだ小さかったからな」
そんなこんなで二人は新都の方にやってきた。まず向かったのは短冊を売ってそうな店へ。ただ、今の時期というよりこの一週間で短冊は爆売れしており、やはり在庫は少なかった。
「うーん。これだと枚数がなぁ」
「足りないねぇ」
やはり七夕効果で短冊は売れており、どこの店に行っても枚数は足りなかった。
すると、とある店から見覚えのある人が出てきた。
「あれ? 美遊とオーギュストさん?」
「あ、イリヤ」
「おや、これはイリヤさまに士郎さま。こんにちは」
美遊とオーギュストは手に大量の袋と大きな笹を持っていた。
「美遊もルヴィアさんと七夕やるの?」
「うん。なんか凛さんがルヴィアさんに何かを言ったらしくて……」
「あはは……」
大方、凛が七夕でたくさん願い事を短冊に書けば叶うなどと唆したのだろう。それが容易く想像できることに関してイリヤは苦笑いするしかなかった。
「士郎さま方も七夕のを?」
「え、えぇ……まあ」
「でしたらこちらを分けましょう」
オーギュストはそう言うと、美遊が持っていた袋から短冊を一纏め取り出して士郎に押し付けた。
「え、ちょっ!」
「良いのです。きっとルヴィアさまも士郎さまに短冊を分けたと聞いたら責めはしませんでしょう」
「はぁ……」
士郎もそこまで言われて断るほど強くはない。それになんとなくオーギュストに対しては苦手意識を持っていた。
「そうだ美遊! 美遊も一緒に七夕しよ?」
「それはいいけど……」
美遊はチラッとオーギュストに目をやる。するとオーギュストは少し考え──
「ではこうしましょう。ルヴィアさまがやる七夕にイリヤさま方もご一緒されては。無論、ご家族も一緒で構いません」
「だってさ」
「やったー!!」
そう聞くとイリヤは文字通り飛んで喜び、美遊に抱きついた。
「い、イリヤ……」
「七夕に必要な物は私の方で準備するので、士郎さま方はこのことをご家族の方にも」
「は、はぁ。分かりました……」
押し切られたとも呼べる流れに士郎は身を任せて流れるしかなかった。
「な、なぜそのような事に……!」
「わからん。俺も正直押し切られるしかなかった」
イリヤたちは一旦帰り、セラやクロにこのことを伝えた。するとクロが士郎には聞こえない声で聞いてくる。
「で? 実際どうなのよイリヤ」
「うーん……あれはオーギュストさんが押し切ったかな〜」
「あぁ……ナルホド」
それだけでクロは全てを察した。
「それでオーギュスト。笹と短冊は買ってきましたか?」
「はい。それでその点に関して少し申したいことが」
「構いません。どうぞ」
オーギュストは軽く頭を下げて先程の件を伝える。
「ということになりましたがよろしいですか?」
「…………」
ルヴィアは無言だった。いや、無言というよりは放心に近いだろう。待つこと数分。ルヴィアの意識が戻った。
「ご、ごほん! よ、よくやりましたわオーギュスト」
「はっ」
「では明日の為にこちらも最大の準備をしましょう。美遊」
ちょうど通りかかった美遊を呼び止める。
「美遊は明日は休みで構いませんわ。イリヤスフィールたちと一緒に楽しみなさい」
「あ、ありがとうございますルヴィアさん」
ルヴィアは美遊にそう言うと、次に取るべき行動へと移る。
翌日。
各々がルヴィア邸に集まる。
「本日は急な集まりに応じてくださってありがとうございます。ささやかですが、メイドに聞き執事が作った七夕料理をご用意させていただいておりますので、どうぞお楽しみください」
ルヴィアの言葉で、七夕のパーティーが開催された。
セラは相変わらず出される料理をメモしたり、リズは料理を堪能していた。
「やっほー美遊」
「来たわよ〜」
「イリヤ、クロ」
美遊の下にイリヤとクロがやってくる。
「立派な笹だけど何処で買ったの?」
「これは……ルヴィアさんがオーギュストさんに頼んで中国まで行って刈って来た」
「「えっ……」」
まさか現地に行き調達してくるとは思わず、声が漏れた。
「しっかし七夕ね〜」
「どうしたのクロ?」
「いや、七夕って言えば天の川で織姫と彦星じゃない?」
「そうだね」
「織姫と彦星ってどんな顔なのかしら〜って」
「うーん確かにイケメンなのかな〜それともめちゃくちゃ美人さんだったりして!」
「そんなわけないでしょ」
すると後ろからポンっと頭に何かが当たる。凛がお盆でイリヤの頭を叩いていた。
「第一普通に恋をするならそこら辺のカップルと同じわけでしょ? ならどっかの唐変木みたいな感じかもよ〜」
「確かにね〜」
クロも凛に同意らしく何処ぞの唐変木をチラッと見ていた。
「そうだ短冊!」
「どうしたの?」
「私まだ短冊に願い書いてない〜!!」
そう言ってイリヤは短冊を書く場所に走ってった。
「さて、本日もお開きが近づいてきました。皆さん短冊に願いは書きましたか?」
もうすぐ日が落ち、夜になる。ちらほらと星が見え始めてくる。
「わぁ!!」
「綺麗ね」
「これが……」
本物の天の川には劣るが、幾つもの星々がキラキラと輝いていた。
すると──
「あ! 流れ星!」
「え!? うそ! 何処よイリヤ!」
「ぁ。消えちゃった」
「えぇー!!」
そんな風に、七夕パーティーは幕を閉じていった。