Fate/4th・Espada   作:八つ橋

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沢山の感想、お気に入り本当にありがとうございます!ウルキオラの心が少しづつ変わっていく様子を書けていたら嬉しいです。


第11話 サーヴァント召喚

 

「ジャジャーン!これがダ・ヴィンチちゃん特製呼符だ!」

 

 

そう言ってドヤ顔で黄色いカードのような物を見せつけているのは作った本人のダ・ヴィンチ。

 

 

「流石ダ・ヴィンチちゃんです、これがあれば新しいサーヴァントを召喚できるんですね!」

 

 

「そうだともマシュ!私はすごいだろう?もっと褒めてもいいんだよ?」

 

 

そんなすごい代物を見せつけているこの状況。一体何故このような状況になったかと言うと、自室にて待機をしていたら立香とマシュがやって来て「召喚するから一緒に来てほしい」と言われて来たのだ。

なんでも現状の戦力ではこれからの戦いが厳しくなるであろうと判断した所長が、ダ・ヴィンチに召喚出来るように依頼、そして出来上がったのがこの呼符と呼ばれる物らしい。

 

 

「これからの特異点で戦闘はさらに激しくなりますからね、味方が増えるのはこちらとしても心強いですね!」

 

 

「そうだねマシュ!どんな子が来るのかなー?ワクワクして来たよ!」

 

 

「でも気をつけたまえ?サーヴァントは必ずしも私達に味方するとは限らないからね、ウルキオラ君やマシュのようなサーヴァントなら大丈夫だろうけど、召喚してすぐにマスターである立香ちゃんに危害を加える者もいるからね」

 

 

英霊とはそんな物騒な輩もいるのかと呆れるウルキオラ、最悪の事態にならない為にも立香を守れるようウルキオラとマシュが呼ばれたのだろう。

 

 

「もしも敵対するようならマシュは立香ちゃんを守ってくれよ?ウルキオラ君はその敵対サーヴァントと戦ってくれたまえ」

 

 

「お前もサーヴァントではないのか?」

 

 

「私は科学者だからね、戦闘は不向きなのさ。何より君の方が私より遥かに強いだろう?それに並のサーヴァントなら君に勝つことはまず不可能と見ているからね」

 

 

見たところダ・ヴィンチの武装は杖のみ、接近戦向けではないだろう。クラスはキャスターというやつか。

 

 

「さて!それでは早速コレを使って呼び出してみようか。本当は触媒があるといいんだが生憎そんな物はないからね」

 

 

「ダ!ヴィンチ先生質問!触媒ってなに?」

 

 

元気よく手を挙げて質問する立香。

 

 

「触媒とはそのサーヴァントに関係する聖遺物の事ですよ先輩」

 

 

「ほー流石マシュ、何でも知ってるね」

 

 

「ちなみに私の盾もそうですよ?」

 

 

「そうだね、マシュの盾も聖遺物の一つだ、アーサー王伝説に登場する円卓だね。だから円卓の騎士なんかは召喚に応じる可能性は極めて高いだろうね」

 

 

「触媒かーウルキオラは何か持ってたりする?」

 

 

「触媒……物でなくてもいいんだな?」

 

 

「構わないよー」と言うダ・ヴィンチ。

ウルキオラは手を顔に近付けるとその目をまたくり抜く。そんな様子を見たマシュは「え!?」と驚き声を上げた。立香とダ・ヴィンチは二度目なので声は上げはしなかったが軽く引いている。

そしてくり抜いた目を立香に向けると…

 

 

「触媒ならこれを使え」

 

 

「……え?」

 

 

「聞こえなかったのか?これを使えと言っている」

 

 

「いやいや!!何平然と眼球差し出してるの!?」

 

 

「なんだ?これでは不十分か?なら片腕を切り落として差し出せばいいか?」

 

 

「いやそんな事しないで!というか問題はそこじゃないよ!?」

 

 

そのまま無言で立香に目を渡す。受け取った立香は両手でフルフルと震えながらその目を本気でどうしようか迷っている。

ウルキオラなりの善意なのだろうが完全に空回りしている。彼自身は全く気づいていない。

 

 

「ウルキオラさん……大丈夫なんですか?」

 

 

「問題ない、すくに再生する」

 

 

「再生するから大丈夫という問題ではない気はしますけど……」

 

 

反応に困るマシュはただただ苦笑いをするしかない。

 

 

「ダ・ヴィンチちゃん……どうしよ?」

 

 

「……とりあえずそれは預かっておこうか。何かに使えるかもしれないし……何より彼の善意だからね」

 

 

ダ・ヴィンチは立香の手から目を受け取ると、どこからとも無く取り出したガラスの入れ物にそれを入れた。

立香も手から目が無くなりホッと一息つく。

 

 

「使わんのか?」

 

 

「う、うん!今回は止めとくよ!わざわざありがとうね!」

 

 

善意を無下に出来ないのか、顔が引き攣りながらもお礼を言う。

 

 

「さて、じゃあ気を取り直して召喚といこうか!用意できたのは3枚だ、大量には生産出来ない貴重な代物だからねー」

 

 

「よし!じゃあ行くよ!」

 

 

呼符を受け取ると立香はそれを部屋の中心に置く。

 

 

「詠唱は必要ないのでしょうか?」

 

 

「そこは大丈夫さ、全て必要な情報はあの紙に込められているからね。置くだけであら不思議!サーヴァントが召喚可能ってやつさ!ほら、もう召喚するために呼符が起動しただろう?」

 

 

呼符は光輝き出す。周りには光が高速で周りだし魔力が荒々しく動いている。

 

 

「一体どんなサーヴァントが来るのでしょう…?」

 

 

「仲良くできる人だと私は嬉しいなー」

 

 

仲良く出来るという意味のわからない基準。普通は戦闘能力が高いサーヴァントを求める物ではないだろうか?

本当に立香は何を考えてるかわからないとウルキオラは感じる。

部屋一面を光が覆い尽くす。そして呼符が置かれていた場所からは何やら気配を感じる。

 

 

「アサシン、ジャック・ザ・リッパー……貴方が私達を呼んだの?」

 

 

現れたのは白髪の子供。ボロボロの布を羽織り、腰からはナイフのような物の取っ手が見える。

見た目は幼い子供のように見えるが、感じ取れる魔力はやはりサーヴァント。かなりの魔力を感じられた。

その異様な雰囲気からウルキオラは腰の刀に手をかけようとする。

 

 

(餓鬼のように見えるがコイツ……なかなか出来るようだな隙が見当たらん)

 

 

雰囲気からは善なるものには見えない。ここで始末するのが適切だろうと思い、刀を抜き響転で背後に周り切り捨てようと考える。が、その警戒深い思考は邪魔される。

 

 

「か……か……!」

 

 

立香は震えながら一歩一歩と近づく。そして…

 

 

「可愛い!」

 

 

――ジャック・ザ・リッパーを抱きしめた

 

 

「何この子!サーヴァントなの?こんなに可愛いのに?」

 

 

抱きしめながら頭を撫でる立香。こんな得体の知れない空気を放つ奴を可愛いという。

 

 

「貴方が私のおかあさん?」

 

 

「うんうん!私がおかあさんだよ!」

 

 

「おかあさんよろしくね」

 

 

「うん!よろしくね!」

 

 

そのまま力強く抱きしめて、ひたすら頭を撫でる立香。そんな行動にたまらずジャックは「おかあさん苦しいよ」と言った。「あ、ごめんね」と言うとパッと腕を離し解放する。

解放されたジャックはウルキオラの方をじっと見る。

 

 

「貴方……今私を切ろうとした?」

 

 

「ああ、お前が敵のような空気がしたからな…」

 

 

「貴方は私達をいじめるの?」

 

 

ナイフを取り出し殺気を放つジャック。それに臆することなく冷静な顔でウルキオラも手に握る刀を離さない。

――緊迫した空気それを破ったのはまたもや立香

 

 

「え、ウルキオラ……ジャックを切ろうとしたの?」

 

 

「コイツが敵だと思ったからだ」

 

 

「こんなに可愛いのに?」

 

 

「外見で判断するな…コイツはサーヴァントだ。そしてその気配からは俺達虚と似たような物を感じられる」

 

 

「でも……可愛いよ?それに私のことおかあさんだって」

 

 

「くどいぞ。2度も言わせるな」

 

 

可愛いから大丈夫という意味のわからない基準。

人間というのは意味がわからない。

 

 

「おかあさん、コイツは敵?」

 

 

ナイフをこちらに向けながら立香の方を向く。こちらを見ていなくともその警戒は解かない。

 

 

「敵じゃないよ。ウルキオラは私達の仲間、貴方を敵だと勘違いしただけだよ」

 

 

「そうなの?」

 

 

ウルキオラの方を向くとその無垢な瞳でじーと見つめてくる。

 

 

「もう知らん……勝手にしろ」

 

 

「ほらね!敵じゃないでしょ?」

 

 

「おかあさんが言うならわかった。ウルキオラは仲間なんだね」

 

 

ジャックは警戒を解くとナイフをしまった。それと同時にウルキオラも呆れたように手を離すと袴の中に入れる。

 

 

「いやー!一時はどうなるかと思ったけど、一件落着だね!」

 

 

緊迫した空気がなくなりダ・ヴィンチがホッとした表情をしていた。

召喚して早々に戦闘など、たまったものではないからだ。仲を取り持った立香に感謝しかない。

 

 

「ほら、ウルキオラも謝って」

 

 

「何故謝罪する必要がある?」

 

 

「いいから!」

 

 

「解せんな……謝罪に意味があるとは思えん」

 

 

警戒をした結果、敵対する可能性があるから切り捨てようしただけだ。当然の行動をしただけなのにも関わらず何故謝罪を要求されるのか。理解に苦しむ。

 

 

「攻撃しようとしてごめんなさい」

 

 

何故か謝罪された。

 

 

「ジャックも謝ってるんだから!ほら、ウルキオラも謝って」

 

 

「……」

 

 

何故目の前の餓鬼は謝っている?コイツも理解不能だ。

 

 

「ウルキオラさん……とりあえず形だけでも謝罪を……」

 

 

マシュが小声でアドバイスをして来た。意味はわからないが、この面倒くさい状況を納めるのはそれが最善なのだろうか。

 

 

「……すまなかったな」

 

 

とりあえず謝罪しておいた。するとジャックはニコっと笑い「うん」と返事が返ってきた。ただの謝罪で何故笑顔になるのだろうと不思議に感じていた。

 

 

「さ、さて!ウルキオラさんも無事に謝りましたし、先輩次の召喚に移りませんか?」

 

 

無理やり空気を元に戻そうとするマシュ。ダ・ヴィンチは小声で「ナイスだよマシュ!」と言いながら親指を立てている。

 

 

「あ、そうだね!なら次行ってみよう!」

 

 

ジャックの手を引きながら中心から連れていき、傍に待機させる立香。ジャックは立香の服の端を掴みながら大人しくしている

 

 

「次は誰が来るかな…!」

 

 

ドキドキした様子で呼符を見つめる立香。すると思い出したようにウルキオラの方を向く。

 

 

「いきなり攻撃はダメだからね」

 

 

「……了解した」

 

 

そして呼符が再び光り輝くと部屋を光で包み込んだ――




【英霊大百科】



「どうも、今日はジャック・ザ・リッパーについてのお話や」


「クラスはアサシンなんやねー、まさに切り裂きジャックに相応しいクラスやね!」


「宝具は解体聖母てゆーて、「時間帯が夜」「対象が女性」「霧が出ている」の三つの条件を満たすと問答無用でバラバラーにしてまうすごい宝具なんや。いやー僕は男でよかったわ」


「さらに暗黒霧都っていう宝具もあるんやね。アサシンらしい気配遮断に加えて、さらにジャックちゃんを認識させずらくもさせるんやって!いやー敵には回したくない子やねえ」


「とある聖杯大戦ではこの子に苦戦しとったみたいやからね、今回は味方見たいやし心強そうやね」


「でもこんなに強そうやけど、見た目は小さい女の子なんやね?ほらほらー干し柿食べる?」


「わーい!食べる!」


「どうや?美味しいやろ?僕のお手製やでー」


「うん!甘くておいしい!」


「なんやサーヴァント、って言うてもこうして見ると可愛いもんやねー」


「おじさんは食べないの?」


「おじっ!?いやージャックちゃん?僕はおじさんやのうて、出来たらお兄さんとかの方がええかなあ。ほら僕まだ皺とか髭とかないやろ?」


「ふーん?じゃあお兄ちゃん?」


「なんや、イケナイ道に向かいそうだからやめとこうか」


「やっぱりおじさん?」


「うーん難しい子やねえ…」

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