まどマギ外伝RTA_全員生存ルート   作:計量器

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(アニレコが)アア、オワッタ・・・・・・・・!



第五回

 ガバがガバを呼ぶRTA、はーじまーるよー。

 今回はリガバリのツケが回ってきたところから。

 

 

 

 【かずみ(IV)が 仲間に 加わった】

 

LEVEL UP! 

 

 

 

 えー、走者のホモです(半ギレ)

 予期せぬ新規メンバーの加入により、オリチャーを発動して本走を再開します(全ギレ)

 

 詳しく説明させて頂きますと、結論から言って、全てわたしの所為です。

 ヒュアデス討伐後、ホモちゃんは姉妹を始末する為、共にホテルへと帰還しました。

 とは言っても姉妹はかなりの強者、更にホモちゃんも以下のハンデを負っていたので、一筋縄では行きません。

 

 ハンデその1は『盗っ人』『隠密』の機能不全。

 共にこのチャートでは便利な魔法ですが、こういった状況では不便です。

 まず、姿を捉えられた状態では『隠密』はほとんど無意味です。

 せいぜい影が薄くなる程度で、有意な効果はありません。

 そして『盗っ人』の方ですが、これも対面では役に立ちません。

 無警戒の相手から1つ2つアイテムを奪う程度は余裕ですが、警戒されるとほぼ自動で防がれます。

 

 ハンデその2は「SGを相手に預けている」という現状そのものです。

 心臓を握られたも同然なので、下手に動けばいつ画面がブラックアウトするか分かりません。

 しかも流石は姉妹、ホモちゃんがSGを預けて以降ガッチリ握って離さない。

 「いつでも殺せるぞ」と言わんばかりに無邪気なあやせちゃんの、なんと恐ろしい事か……。

 適当なタイミングでスればいいかなとか考えてた過去の走者をブン殴ってやりたいですねぇ、ええ。

 

 兎角非常に困難な状況でしたから、走者は一計を案じました。

 圧迫面接スタイルです。

 ホモちゃんは現在、姉妹にとっては敵同然の存在のハズ。

 そんな相手と対峙する時は、挑発行為がうってつけです。

 敢えて彼女達に急接近し、用済みを突きつける位してやれば、判断力を奪うのには十分でしょう。

 またその際、対価としてGSを見せておく事で、「SGを取り出す事が自然になる」文脈作りもしておきました。

 こうすれば「ホモの提案に乗ったフリをした不意打ち」を選択肢として暗示できますし、自分のSGの所在を意識せざるを得なくなります。

 同時に意識が目の前のホモちゃんと自身のSGへ集中する為、ホモちゃんのSG(ほんたい)への注意も疎かになる事でしょう。

 

 ここまでお膳立てすれば、後は早撃ち勝負です。

 SGを取り出し変身するか、尻尾巻いて逃げ出すか……当然、後者はあり得ません。

 そして取り出したその瞬間が、走者にとって一世一代の大勝負に……なるハズでした。なるハズだったんです。

 不意打ちで仕掛けられた謎の問答を無視しておけば、こうはならなかったのかも知れません(姉妹とのマトモな会話とか珍しすぎて普通に回答してしまいました)。

 宝物か……ライナスの毛布の話でもしとこうかな……とかウダウダやっている隙に……

 

 

 

外 窓 か ら 乱 入 者 が

 

 か ず み 4 番 登 場

 

 仲 間 に し ろ と 迫 ら れ る ホ モ

 

 殺 し 合 い の 最 中 と か 言 え な い 空 気

 

 

 

 こんな時どうすべきか、皆さんならご存知ですね? 

 走者に必需の伝統芸能、オリチャーの発動です(ヤケクソ)

 姉妹の注意がよばんちゃんに逸れた瞬間、ホモのSGをスッて離脱! 

 何事も無かったかのように振舞い、よばんちゃんに応対! 

 今までの雰囲気を有耶無耶にしつつ、新たな用心棒をゲットォ! 

 無茶苦茶なのは分かりきっていますが、これが最良の選択なのです。

 少しでも対応が遅れれば状況は拗れに拗れるでしょうし、ホモは死にます。

 ならばいっその事よばんちゃんを加入させ、姉妹に対する抑止力にしてしまった方がベターなのです。

 単純戦力が増えますし、姉妹を始末せずに済みますからね。

 

 まあ戦力が増えればガバも増えるんですがね! 

 特に痛いのは食事イベントの発生ですね。

 『かずみ』系列のキャラクターの加入後は、ほとんどの場合食事イベントの発生率が上昇します。

 (今回はよばんちゃんですが)かずみちゃん本人の場合さらに顕著で、1日3食を欠かす事は難しくなってしまいます。

 本来のチャートなら食事なんてするだけ時間の無駄なので、一度もせずに終わる予定だったんですけどね……。

 もちろん通常プレイの場合は、食事イベントはとてもありがたいんですよ? 

 SGの濁りは抑えられる、チーム全体の好感度・親密度・連携度は上がる、ビキビキビキニ123な良イベです。

 良イベですが……魔力しか取り柄の無いホモが魔力補助貰っても意味無いんだよ!(絶叫)

仲間キャラ要らないRTAで親密度上げてもジャマなだけなんだよォ!(慟哭)

 

 ……失礼、取り乱しまみた。

 一先ず、これにて『かずみ』編は攻略完了。

 数日間のインターバルを経て、続く『すずね』編の攻略に参りましょう。

 

 インターバルはなんの面白みもないじゃない! のでカットだ(無慈悲)

 

 

 

 さて、手癖で移動費をスッてきたのをよばんちゃんに咎められたりしつつ、やってきましたホオズキ市。

 ルート変更に伴うロードの間、『すずね』編の救済対象を確認しておきましょう。

 

 主人公にして暗殺者の「天乃鈴音」。

 ホオズキ市の魔法少女チーム「成見亜里紗」「詩音千里」「奏遥香」「日向茉莉」。

 そして駄々っ子こと黒幕の「日向華々莉」。

 

 以上、合計6人が『すずね』ルートの救済対象です。

 今回はこの6人をSAVEすればクリアなのですが、ルート攻略の都合上、言及の必要がある魔法少女がもう1人います。

 

 それは……スピードアップが固有魔法、死ぬのも最速こと「穂香佳奈美」ちゃんです。

 誰? となった方は『すずね』の1話冒頭だけ読み返して頂ければ幸いです。

 そこに彼女の活躍の全てがあります。

 読み返しましたか? 結構。

 何故こんな一瞬しか登場しないキャラを気にかける必要があるのか、それには走者のプレイスタイルとゲームシステムが関係しています。

 

 皆さまご存知の通り、本RTAではプレイヤーキャラを魔力に特化させる代わりに、他キャラに戦闘や移動を委ねるスタイルを採用しております。

 そしてその仲間キャラは、基本は定期的に交換するチャートになっているのです。

 付き合いが長引いたり、複数人と一緒に居たりするとガバノモトですからね。

 姉妹とよばんちゃん? 知らなーい

 

 そういったワケでして、仲間キャラは欲しいけど長く付き合いたくは無い、というジレンマを走者は常に抱えています。

 そんな悩みを解決するのが、このゲームにおいて「サブキャラクター」に分類されるキャラ達です。

 代表的な所では『まどか』の「志筑仁美」ちゃん等ですね。

 モブという訳ではないけれど、本筋に必須な訳でもない。

 そんな彼女達は仲間に加えるのも、仲間から外すのも容易ですし、特殊イベントも少ないです。

 よって、ホモちゃんの戦力にするにはピッタリなんですね。

 

 その分デメリットもあります。

 彼女達は往々にして、性能が低かったりピーキーだったりするのです。

 佳奈美ちゃんも例に漏れずピーキーですが、その適所というのがRTAなのですよ。

 固有魔法はスピードアップ、しかも「性格:騙されやすい」。

 火力も知力も必要ねぇんだよ! を地で行くRTAという文脈では、これ以上無い人材というワケです。

 

 これらの理由から当初のチャートでは、彼女をアシにして走る予定になっていました。

 現在は姉妹もよばんちゃんも居るので、正直仲間にはしたくないのですが……

 当初のチャートからズレるとどんなガバが生じるか分からないし……(ボソッ)

 諸般の事情から、一応救助するチャートを継続します。

 まあ多分、助けるだけ助けたら後は放置になりますがね。

 

 といった所で到着しましたね、殺害現場の廃工場です。

 今回は『マギレコ』ルートなので神浜外の魔女は減少傾向にありますが、イベントに伴う魔女戦は確定発生・ほぼ場所固定となっています。

 ランダム要素が無いとは、なんとお優しい方……。

 魔法少女達にも魔女を見習って貰いたいモノです(意味不明)

 予定通りならそろそろ魔女戦が終わり、鈴音ちゃんと佳奈美ちゃんが結界から出てくるハズですが……おっ、来ましたね。

 おっしじゃあ初仕事じゃ! 

 走者の華麗なるスリテクをご覧に入れ───(ガキン!)

 

 は? 

 

 ……よばんちゃん!? 何勝手に助けてんすか!? やめてくださいよ本当に!!! 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 かつて、私は魔女だった。

 出自も、身体も、精神(こころ)まで。

 全てが魔女で出来ていた。

 絶望に呑まれて生命を絶った、ワタシノモトになった人。

 私は「彼女」を求められたが、そうなる事は出来なかった。

 「和紗ミチル」或いは「カズミ」。

 それが私の名前だった。

 彼女達にはそう呼ばれ、私にとってもそうだった。

 あんな事件が、起きるまでは。

 

 

 

 その日は暗い雨だった。

 御崎邸で一人寂しく、料理を作って帰りを待つ。

 ()()()()()()()()()()()療養中の私にとって、出来る事はそれだけなのだ。

 どこにも悪い所はない、皆と一緒に戦いたい。

 そんな主張をしてみても、通る事は決してなかった。

 皆の心配の気持ちは分かる。

 大切に思うからこそ、戦いを遠ざけるのだと。

 それが分かっているから余計に、戦えないのが不満だった。

 皆のサポートすらもできず、待つだけの自分が不快だった。

 何故か皆から距離を置かれ、疎外感すら有るのが不安だった。

 

 料理を完成させてしまい、家事全般も終えたとなれば、私の仕事はもうおしまい。

 皆が魔女と戦う中で、一人燻るばかりの私。

 だからその日の来訪者は、私にとっては僥倖だった。

 

(───魔女の気配!? 近い!)

 

 皆が居ないこの状況では、私が戦う他に無い。

 グリーフシードの1つでも手に入れられれば、役に立てる。

 これから魔女と戦うというのに、浮き足立って出て行く私。

 思えばこんな不謹慎さが、バチが当たった理由なのかも。

 その日の私の脳裏には、そんな考えはよぎりもしなかった。

 

 私の意識が戻ってきたのは、里美の悲鳴を耳にした時。

 魔女に向けた殺意の矛先は、別のものへと変わっていた。

 短い白髪、金縁の眼鏡。

 よく見知った彼女の顔が、私の眼前で歪んでいた。

 

「サ……キ……?」

「! か……ずみ……! 正、気に……」

 

 傷だらけの酷い身体。

 一体誰が、こんな事を。

 そんな義憤に駆られたのも束の間、その犯人はすぐに分かった。

 締め付けられたサキの首。

 首に巻きつく魔女の腕。

 それが伸びるのは、私の肩から。

 握り締めた掌が感じる温度の正体に気付いた時、私の意識は、二度目の絶望に堕ちていった。

 

 あの日、「カズミ」と呼ばれた私は死んだ。

 文字通り、自らの死を望んだ事で。

 「カズミ」は自死を望みはしない。

 だから私は、「カズミ」じゃない。

 自他共に認める失敗作に、生きる理由などあるだろうか。

 私はさながら、生きた屍。

 決して生きてはいないのに、死んでいるとも言い切れない。

 いっそ死ねれば楽なのに、その自由すらも得られない。

 自ら心臓を抉り出し、それを引き裂いた事がある。

 自分の頭を切り落とし、脳髄を掻き回した事もある。

 雷を落として火を起こし、五体を焼き尽くした事さえある! 

 これだけやっても死ねないのなら、残る手段はたった一つ。

 そして私は、心を殺した。

 

 暗闇の中でただ静かに、最期の時を待つだけの日々。

 そんな日々の中変わりゆくのは、ただ同胞の数だけだ。

 彼女達もまた私のように、狂ったように自傷した。

 そしてそれが無駄だと悟ると、皆一様に死人になるのだ。

 それを眺める私の心に、感情の波は立たなかった。

 同情も憤怒も憐憫も、嘲笑すらも浮かばなかった。

 あるのは一重に、絶望ばかり。

 私は身体のみならず、精神(こころ)まで魔女に堕ちたのだ。

 それに気づくに至っても、涙の一つも出なかった。

 全ては()()()()に呑まれ、最後に殺意に成り果てる。

 あの暗闇の中にいた頃は、それを抑えるので精一杯。

 だからきっと気づけなかった。

 この身に()()がある意味に。

 

 

 

「ねぇ、おなか、空いてる?」

 

 

 

 あれから少しの時を経た。

 かつて魔女だった私は死んで、今は人間の私になった。

 これでようやく、帰れるハズだ。

 皆の所に、戻れるハズだ。

 でも私はそうしなかった。

 私の足が向かった先は、もっともっと別の場所。

 だって私はあの時の、質問にまだ、答えてない。

 

 

 

「空いてるよ。だから作って来たの、イチゴリゾット」

 

 

 

 私を造った彼女達に、未練が無かった訳じゃない。

 もっと一緒に居たかった。

 もっと一緒に笑いたかった。

 もっと一緒に、生きたかった。

 でもそれは多分()()()の意志だ。

 私の意志でもあるけれど、()()()の意志では、きっと無い。

 ()()()が選んだ道は、他でも無いこの道なんだ。

 この身に生命が宿った事が、彼女がくれた道標。

 明日に踏み出す為のこの力、私は彼女の下で振るおう。

 私は自死を望まない。

 他人の傷も望まない。

 他人を傷つける事はきっと、その人自身も傷つけるから。

 だから私はもう誰も、誰にも、傷つけさせたりなんか……しない。


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