好きなものはパンと… 作:ミッシェルランドの中の人
あともう一息でRoselia編終了します。ただ今回は本当に勢いで書いたので誤字脱字があるかも知れません。
※お気に入りやしおりを挟んでもらえるとモチベーションにつながるので面白いと思った方は是非お願いします。
あれから一時間程紗夜さんは話し続けた。その中で「自分の音はつまらない。」と言う言葉が多く発せられた。さっきの俺も確かに厳しく言ったから、そう勘違いしているのかもしれないと始めは思っていた。だが話を聞いている内に妹の日菜さんへのコンプレックスだったり色々話が出てきた。そうやって最近悩んでいたところに俺がとどめをさした形になった。
「私はこれからどうすればいいのでしょうか…」
正直言うとあんまりこういう相談にプライベートでは関わりたくはない。だけど今ここで「知らない。」「自分で考えることだ。」と切り捨てることは何よりも簡単だ。けれど今回はそれをすることは許されない。その言葉を言ってしまえば、紗夜さんの心を折ってしまう。あくまで俺がやることはバンドのサポートだ。その人の夢を、誇りを、希望を、想いを踏みにじってしまう。今俺がやるべきことは…
「あの場では言えなかったというより言わなかったんですけど、俺が言いたかったことはあなたの音楽には芯がない。」
「芯とは…?」
「みんな思い思いの演奏をしています。それでもみんな必ず自分の音楽に自信を持っている。」
「私には…自信が…ないというわけですか…?」
「多分妹の日菜さんと比べたんでしょう。それであなたは自信を“自身”を失った。」
「確かに私は…日菜と比べてつま「それがつまらない。」え?」
「そうやって他人と比べて自分自身を卑下することがつまらない!あんたは人よりも何倍も何倍も努力して間違えない正確な音を手に入れた!」
「でもあなたはお手本だと。演奏ではないと言ってたじゃないですか!」
「そりゃそうさあんたの音楽には信念がなかった!信念のない音に、音楽に一体どれほどの力がある!」
「じゃあ私はこれからどうすればいいんですか!どう…すれば…」
「まずは今の日菜さんとのことについて自分で向きあっていくしかないですよ。」
「そう、ですよね…」
この人は俺に似ている。挫折をしたときの立ち直り方を知らない、人への頼り方を知らない、何よりも自分の弱い部分を曝け出すことを知らない、だからこそこの人の背中を押さなければ成長できないことを誰よりも俺が知っている。
「もう少しお時間よろしいですか?」
「えっと、はい、わかりました。」
俺と紗夜さんは公園に来ていた。俺はギターを持ってきていた。
「俺も挫折をしたことがあります。それでもこうやって頑張れたのは、自分で向きあったから。」
「それとギターとはなんの関係が…?」
「さてこれからのことは他言無用でいいですか?」
「えぇわかりました。」
俺は鞄からギターよりもよく使う一つのものを取り出した。
「!それは、どうして?」
「まあそりゃ俺が本人なんで。それじゃギターソロで『いつも通りの空』」
それは俺達がひた隠しにしてきたオリジナル曲そして俺がつけているのはいつも俺の素顔を覆い隠してくれる愛用の仮面だった。
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