提督業再開しました   作:刻の風

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提督業先行き不明

 重々しい雰囲気を携えたその建物に、新城は足を踏み入れた、どこか寂しげな雰囲気を漂わせたドアノブに、ゆっくりと、だが確実に、力を入れた…

 新城(ここが講堂か?第一印象は明るい方がいいか…よし、これで行こう!)

 新城ガラッ「やぁ諸君!初めまして!今日ここに着任した新城という者だ!宜しく頼む!まずはお互いの事を理解しあいtー」

 「「キャーーーー!」」

けたたましい悲鳴と共に個性豊かな罵声が浴びせられる

 「変態!」

 「覗き魔!」

 「痴漢!」

 「童貞!」

 「社会不適合者!」

 「伊級もどき!」

…おい、最後の伊級もどきは何だ伊級もどきは、そう、入渠ドッグだった…中には2人の艦娘が入っていた、俊速でドアを閉めると同時にバケツがドアに直撃した、表面が少し凹んだかと思うと、数分後、中から先程の少女が現れた、眼帯をつけた少女が口を開く

 ?「お前が新しい司令官か?さっきはとんだご挨拶をしてもらったなぁ…!」ゴゴゴ

強い怒気を孕んだ口調に反応してもう片方の少女も口を開き出した

 ?「天龍ちゃん〜?落ち着いて〜?こんな変態でも一応上官だよ〜?」

 新城「本当に済まなかった!この大きさだからつい講堂かと思ってつい!」

天龍と呼ばれた少女は口を開く

 「変態はみんなそういうんだよ!後で憲兵呼んでやるからな!龍田も後で一緒に来い!」

龍田と呼ばれた少女は少し困ったような顔をして

 「天龍ちゃん?でもこの人のこの様子だと本当に知らなかったみたいだよ〜?」

天龍「そんな訳あるかよ!」

龍田「でも今日着任したばかりだから建物を全部知っている方が怪しいけどな〜?」

天龍「まぁ…龍田が言うならそれで…だぁぁぁ!わかったよ!今回だけは許してやるよ、だけど次はねぇからな?」

新城(チョロ…)

龍田「で、提督は今講堂に向かってるの〜?講堂なら突き当たりを右に行った所だよ〜」

新城「お、すまない、感謝する、お前達も一緒に来てくれないか?」

龍田「遠慮しておくわ〜、後でゆっくり向かいますので〜、ね?天龍ちゃん?」

天龍「お おう」

すると、背後から誰かが近寄って来た、

曙「ここにいやがったのねクソ提督!あんまり手間かかせんな!」

新城「ひどくない?ぼのたん」

曙「なによそのぼのたんって呼び方!」

新城「何となく?」

曙「何となくで人の渾名付けるなこのクソ提督!」

新城「いいじゃん俺達の仲なんだし」

曙「普通会って15分の相手に渾名付けないわよ!っていうか何でアンタがここにいるのよ」

新城「まぁ…ちょっとな」

曙「まさかアンタ、天龍さんと龍田さんに手ェ出してないでしょうねぇ!?」

龍田「えっと〜、提督ったらいきなりお風呂に入ってきて仲良くしようって〜」

新城「え!?っちょ!?龍田さん!?」

龍田「うふふふふ〜♪」

曙「アンタねぇ、人が必死こいて探してる時にアンタは猿みたいに盛ってたって訳ね!っこのクソ提督!まぁもう時間もないし行くわよ!30分も過ぎてるのに!」

新城「あ!本当だ!忘れてt…いやなんでもなすまない龍田さん、天龍さん、後で執務室に来てくれないか」

龍田「了解致しました〜」

天龍「ったくしょうがねぇなぁ」

新城「ありがとう感謝する」

曙「なにぼさっとしてんのよ!行くわよ!」ゲシゲシ

新城「お前蹴らなくてよくね!?」

〜〜〜講堂前〜〜〜

曙「ほら、中で艦娘が待ってるから!さっさと行きなさい!」

新城「ヘいへい」

新城は意を決してドアを開け、壇上に上がった、赤いカーペットが敷いてあり、その上に、重厚さと威厳を醸し出す演台が置かれていた、艦娘達は数十名程で、右方に特殊艦から潜水艦、駆逐艦、軽巡、重巡、空母、戦艦となるように艦種ごとに縦整列で並んでいた、新城はマイクを外し、声を発した

新城「え〜、遅れてしまい非常に申し訳ない、少し事情があってな、本日付でー」

新城が言葉を紡ごうとした次の瞬間、ドンッと人が倒れる音がした、講堂内にざわめきが広がる、急いで壇上から降り、駆け寄ると1人の駆逐艦が倒れていた、長い黒髪と碇の形をしたバッチをつけた黒い帽子が特長的な駆逐艦だ

「暁!?」

「大丈夫!?」

「衛生兵呼んで!」

暁と呼ばれた少女は苦しそうに短く「ハッハッハッハ」と息をしている、見れば酷い怪我である、頭に包帯を巻きそのお腹からは服の上まで血が滲んでいる、周りを見渡すと暁のような状態の艦娘は少なくない、

新城「おい!大丈夫か!?しっかりしろ!?なんで怪我なんかしてるんだ!ドッグはあるだろう!他のみんなもだ!」

すると1人の駆逐艦がこちらを睨みつけながらこう言った

?「何を言っているの!?駆逐艦と軽巡にドッグに入る権利ある訳ないじゃない!ただただ戦艦や空母の盾になって死んでいくだけよ!」

「ちょっ、なに言ってるの!?雷!そんなこと言ったらあなた!」

雷「出てって!提督なんか要らない!貴方達が居るからお姉ちゃんは…お姉ちゃんは!」

どうなっている?何故この駆逐艦達は怪我をしているんだ?艦娘はドッグに入り治療を受けることで欠損すら治すことができる、なのに何故怪我を?まさか、いやありえない、だがそうとしか思えない、この駆逐艦が言っていたことが事実ならここの前の提督のしていたことはー

新城「悪いがそれは出来ない、前任から引継ぎこそ出来なかったが今日から俺がここの責任者であり最高指導者だからな」

雷「出てってって言ってるの!どうせ貴方も同じよ!前の提督と変わらないわ!又重量艦を守る盾にするんでしょ!?」

新城「そんな事はない」

雷「早く命令してよ!速いか遅いかの違いなんだから!今すぐ海域に出て犬死にして来いって!」

新城「だから!俺はそんなこと命令しない!それよりお前も酷い怪我だろ!ドッグ行って来い!」

なんで?なんでこの男は駆逐艦如きをドッグに入れようとする?戦術的価値も薄く精精盾になることしかできない私達を何で治そうとする?これまでの提督は誰も彼も駆逐艦を見殺しにし、気に入らないと暴力を振るった、来る日も来る日も仲間の数が減っていく、だがいなくなる事はない、又建造で作ればいいのだ、換えはいくらでも効く、低燃費のでこき使える主力の盾、それが駆逐艦のはず、もう何度仲間が消え、そっくりおんなじ艦娘が建造されただろう、今居る姉妹艦も私以外もう何回も沈んでる、いや、私も沈んでるのかもしれない、私は誰?私は何?男が近づいてくる、逃げちゃだめよ、それが仲間を守る方法なんだから…

 雷は目を閉じ、やってくる衝撃に備えた、だがいつまでもくるはずの衝撃はこない、だが、代わりに、温もりを感じた、何故?数秒逡巡した後、雷は目を開けた、雷は目を見開いた、周囲のどよめきが消えた、男が雷を抱きしめていた、強く、強く、だが決して痛くないように優しく、

雷「何よ!離しなさいよ!」

新城「いやだ」

雷「離しなさいって言ってるでしょ!?」

新城「君の過去に何があったか、君達をみて大体は理解できた、」

雷「ならもうほっといてよ!」

新城「いやだ、僕は人間だ、君達と使命を分かち合う事はできない、だけど、悲しみを分かち合い、共に手を取り合い前に進む事はできる!」

その言葉を聞いた瞬間、雷は感じた、この男は違うかもしれない、今度こそ、今度こそ信じてもいいのかもしれないと、何故だろう、目から水が出る、何で?分からない、でもきっとこれは悲しんでるんじゃない、喜んでるんだ

新城「おい!お前大丈夫か!?傷が痛むのか!?」

雷「違うわ提督、痛くないの、ただね?嬉しかったの、やっと、やっと駆逐艦を人として見てくれる人が現れて、非礼を詫びるわ!私は暁型3番艦の雷よ!司令官、私を頼ってくれてもいいのよ?」

新城「そうか、いい名前だな、力強い雷を感じる、では鎮守府全艦娘に記念すべき第一号の指令を下す!小破以上の艦は大破を優先して入渠せよ!尚、艦種での優越は無い!全員行って来い!」

艦娘一同「「了解致しました!」」ゾロゾロ

新城「さて、無傷の艦娘達だな、大体半分くらいか、そのままでいい、なんなら座ってくれても構わない!俺の名前は新城誠、本日付けでリンガ泊地の提督となった、宜しく頼む!では、無傷の艦娘にも指令を出す!心して聞け!」

艦娘一同「「ゴクリ」」イキヲノム

新城「全員鎮守府内の掃除だ!寮とドッグを中心に行ってくれ!」

艦娘一同「「え?」」

新城「今の話を聞いて想像はついた、どうせ来賓の目に着くつところだけは綺麗で後はボロッボロなんだろ?俺も手伝うから早めに終わらすぞ!」

艦娘一同「「了解致しました!」」ゾロゾロ

新城「あ、あと曙は少し残ってくれ!」

曙「ほいー?何よクソ提督!私もさっさと掃除に加わりたいんだけど」

新城「何で現状を話さなかった?」

曙「だって言うより見たほうがわかりやすいでしょ?」

新城「だが…まぁいい、それより一つ聞いていいか?」

曙「何よ?」

新城「前任はどこに行った?」

曙「知らないわよあんな奴のこと、何でも話によれば戦果を認められたとかで呉鎮守府勤務になったそうよ」

新城「な!?まさかその提督の名前は佐伯と言わなかったか!?」

曙「そうよ?よく知ってるじゃないクソ提督のくせに」

新城「ああそうだよ、呉は俺の元いた鎮守府で佐伯は俺が左遷される理由になった男だ!」

曙「え?何で?」

新城「言うに事欠いてあの野郎は艦娘に人権はない、出世の道具何てほざきやがったからな、1発ぶん殴った」

曙「え?クソ提督は少佐よね?あいつは大佐だったから…まさか上官をぶん殴ったの?」

新城「そうだが…あんまり言うてくれるな…」

曙「あははははははっっはwはぁぁぁ、お腹痛いわぁwww」ケラケラ

新城「あんまり笑うなよ!」

曙「でも何で艦娘のためなんかに?」

新城「艦娘も人間のようなもんだろ?だからそいつが許せなかった」

曙「〜ッそういうところがクソなのよ!このクソ提督!」ボソッ

新城「ん?お前顔赤いけどどうした?」

曙「なんでもないわよ!このクソ提督!」ゲシゲシ

新城「蹴るなよ!じゃあ俺らも手伝いに行くか、」

曙「わかったわよ、アンタ執務は?」

新城「徹夜で何とか」

曙「嫌いじゃないわ、そういうの、この曙さんがついてるわ!手伝ってあげるから精精頑張んなさい!」

 

 

 




あぁ…段々とぼのたんを見失っていきそう…、天龍と龍田の入居は辻褄が合う設定を用意してありますのでお気にせず〜

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