提督業再開しました   作:刻の風

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提督業の泥濘

曙は救助された後意識を失い、すぐに軍の直属病院に入院した、肉体的な面は問題は無い、問題があるのは、傷付き、ズタボロに引き裂かれた心だった、新城は担架に乗せられ、運ばれていく曙を見て気がついた、体中にある無数の傷を

 

〜〜〜泊地〜〜〜

 

執務室に複数の艦娘が招集された

新城「あれは…どういう事だ…」

加賀「…提督、これからするお話は決して生易しいものではありません、ですが…聞きますか?」

天龍「やめるなら今の内だぜ」

新城「いや…何か知っている事があるなら話してくれ…」

加賀「分かりました、貴方にそこまでの決心があるのならば…いいでしょう、事は前の提督、佐伯の時です、当時佐伯は自分の出世の為になんでもしました、その影響の1つを貴方はすでに見ています」

新城「ああ、最初来たときは驚いたよ」

加賀「ですが、もう1つの影響がありました、中々上がらない戦果に怒りが頂点に達したのでしょう、駆逐艦に暴力を振るうようになりました、」

新城「なら他のやつにも傷はあるのか!?」

加賀「いいえ、彼女だけです、」

新城「何故だ…まさか!!」

加賀「はい、その通りです、彼女は全駆逐艦の暴力を一身に受けるという申し出をしたのです…良心から出たのでしょう、しかし、暴力は変わっていきました、体罰的な暴力から、自らの性欲を満たす、吐口に」

新城「あの野郎…ろくな事しねぇなぁおい!」

加賀「彼女は夜な夜な提督私室に呼び出されて、色々とヤらされたようです…それも、自尊心を打ち砕くような物を中心的に、後半は拷問同然な物を…」

天龍「…認める、オレ達は何も出来なかった…」

新城「いい、お前達を責める気はない…あいつは背負いすぎた…もう…休ませてやりたい…普通の女の子としての幸せを手にしてほしい…」

加賀「…」

天龍「…」

新城「加賀、お前には秘書艦を頼みたい」

加賀「畏まりました」

新城「もう一つ頼み事をしたい、」

加賀「なんでしょうか」

新城「ぼのたんの病室に行く時、一緒に来てくれないか?」

加賀「構いませんが…何故?」

新城「俺が正気を保てない様な状況になったら1発ぶん殴ってくれ」

加賀「…了解しました」

新城「すまない、感謝する、こんな事、他の奴には頼めないからな…」

加賀「お気になさらず」

 

コンコン

 

蒼鹿「失礼する、先程入った情報だ、曙が目を覚ました…だが…」

新城「本当か!?すぐに行く!」

蒼鹿「待て!彼女は我々やお前が知る曙では無い、だが…それでも行くのか?」

新城「当然だ」

蒼鹿「そうか…なら良い…止めはしない」

新城「すまない、」

蒼鹿「だが、現実から目を逸らすなよ…」

新城「…ああ、すまない加賀、一緒に来てくれ」

加賀「…はい」

 

〜〜〜病室前〜〜〜

 

新城「ここか…」

加賀「そうね」

 

コンコン

 

新城「お邪魔する」

加賀「失礼するわ」

 

中は地獄の有様だった、ベッドの上で暴れる曙、それを取り押さえる看護婦と医者、別な看護婦が鎮静剤打とうにもこれでは危なっかしくて打てないだろう

 

曙「来ないで!いやぁぁぁぁぁぁ!もう、もうしませんからぁ!やめて!痛いのは嫌!ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいなさいごめんなさい」

 

新城「ありかよ…こんなのってありかよ!なんでだよ!なんで駆逐艦ばっかりがこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ!」

加賀「…」

看護婦A 「提督ですか?」

新城「ああ、そうだ、どうだ?」

看護婦A「…ショックで大部分の記憶を無くしてしまったらしいのです…それだけならまだしも残った部分が辛い部分だけ…何かあったんでしょうか…あそこまで酷いのは初めてです」

 

そうこう話している間に、曙は鎮静剤を打たれ、眠りについた

 

新城「治るんですよね?」

看護婦A「前例はが無いのでなんとも言えません、状況が特殊すぎます、見守るしかありません、」

新城「そう…ですか…」

加賀「…」

新城「こんな時に言うのも何だが…良い寝顔してるよな…」

加賀「そうね」

新城「お前…あんな辛い目にあってたのな…ごめんな…気付いてやれなくて…!」

 

加賀は目を見開いた、初めて、男の、それも提督の泣いている所を見た、普段は不適に笑い、粗暴な口調の新城のこの様な姿は、加賀に衝撃を与えた、加賀は咽び泣く新城の頭を抱き寄せると

 

加賀「貴方はあの子の過去を知った…でもこれは他の人間が口を出して良い問題じゃ無いわ」

新城「…?」

加賀「あの子自身が乗り越えていかなければならない問題、周りは手を貸す事はできる、でも立ち上がるのはあの子よ、今はそっと見守ることにしましょう、」

新城「そう…だな…」

 

それから数ヶ月が経った、大演習は棄権、MI作戦に向けての大本営の準備も着々と進められていて、翔鶴姉妹を始めとした選抜艦隊がリンガ泊地に到着、新城の指示の下で訓練を開始していた、それでも新城は合間合間に加賀と共に曙の見舞いに行った…新城夫妻として

 

 

新城「よ!ぼのたん!調子はどうだ?」」

加賀「私も来ました」

曙「まぁまぁです」

 

少しずつ落ち着き、今はようやくまともに話せる段階にまでなった、だが目に光がない、いつも新城をクソ提督と馬鹿にしていた頃からは考えられない程大人しくもなった

 

新城「今日はプリンを持ってきたんだ、」

加賀「今日のはていと…お父さんが選んだのよ」

新城「じゃ、皆んなで食おうぜ」

加賀「頂きます」

曙「いただきます」

 

そのまま時は流れ40分が経った頃、

 

新城「すまない、どうやら時間がきっちまったみたいだ」

加賀「また来るわ」

曙「はい又ーカハッ」

 

曙の呼吸が乱れる、発作が始まった、曙は暗い過去を思い出す、断片的に埋め込まれた、暗い、光の届かない記憶を

 

新城「ぼのたん!?ぼのたん!?」

曙「…!あ、すみません…」

新城「気にすんな、前より随分と軽くなってる、進歩だな!」

 

そう言って新城は曙の頭を撫でる、彼女は少し顔を赤らめ、機嫌が上機嫌な事を伺わせる

 

新城「おっと、もうこんな時間か、又な、」

加賀「又来ます」

 

そう言って新城達は病室を出る、

 

新城「良く笑う様になったな…」

加賀「そうね」

新城「これもカウンセリングの先生のお陰かな」

加賀「そうね…」

新城「…彼女はもう二度と辛い目には合わせない、他の奴もだ…そうして盤石にしたら…次は…次はあいつをこの手で…!」

加賀「…」

 

沈黙が廊下に響く誰もいない、薄暗い廊下を2人は歩く、まるで2人のこれからを表しているかの如く先の見えない闇を、2人は歩き続ける




次回から秘書艦が加賀に変わり、本格的にリンガ泊地が再稼働します、曙はサイドストーリーで出していく予定です、是非、御覧ください

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