元帥は、その老いた体に鞭を打つようにして大きく息を吸い込み、大きな声で語りかけた
元帥「諸君!皆も知っている通り我々は今窮地に立たされている、その窮地を掻い潜り、佐伯に牙を打ち付けるには諸君らの力が必要だ…我々は多くを失った、仲間を失った、ならばその墓前には何も手向けずにここで死にゆくつもりか?違うだろう…生きて仲間の墓前の華を手向けるだろう!立ち上がれ!諸君らが仲間と築いた絆はその程度か!!一度砕かれて終わる絆なのか!?証明して見せろ!諸君らが、諸君らの絆が不滅であると!!」
元帥の一喝はそれぞれの胸に響き、小さな炎を生み出した…闇の中に浮かぶ炎、まるで篝火のように燃えた炎は友を思う、仲間を想う、艦娘を想う、提督を想う各々の心の現れであった、
「そうだ…俺達は負けてねぇ…あいつにもう一度会うまでは…死ねねぇ!」
「鬼怒…もう一度…貴方に会いにいいっていいかな…?」
「憲兵隊の誇りを失った憲兵には…鉄槌を食らわせねばな…!」
「提督…提督…うえぇ…」
「北上さん…仲良くできなかったけど…今となっては」
「勝手に殺すな」ゴスッ
「お…おおう…」プルプルプルプル
武田「すげぇなあのおっさん…あの歳になってまだこんな演説できんのか」
新城「おっさんじゃねぇよ…だが同感だな…俺も、どこか見縊っていたのかもしれない」
元帥「私に出来ることはこれくらいだ…」
新城「元帥…あんたやっぱりすげぇな」
元帥「よく言うわ、若造が次は君の番だ、新城くん、当然反撃の策はあるのだろう?」
新城「もちろんです…!」
新城はそう言って元帥と位置を変わり、全員に見える位置に立った
新城「聞いたなみんな!俺達はこれから反撃…いや、攻撃を行う、これからここにいる提督と姫クラスの深海棲艦に作戦を話すつもりだ、ちょっと集まってくれ」
そう言って呼び寄せると
新城「これから反撃の作戦について話す…元帥、あの情報は本当ですよね?」
元帥「ああ…あいつは1ヶ月後4月1日にここMI諸島に攻略作戦を展開する、これは佐伯に潜らせたネズミから得た情報だ…実際にそれに沿って動いている」
新城「ん?スパイ潜らせたなら今回の襲撃も防げたんじゃないのか?」
元帥「ああ…そのネズミも伝えてくれた…だがそれより遥かに大きな作戦が展開された、あいつは数名に作戦の要項を伝えておき、どうやらネズミが捕まえた情報と違う作戦が展開されたらしい」
新城「…スパイはバレているのか?」
元帥「さぁな…だが今となってはそれを信じる他ない、信じて裏切られても滅び、信じないで動かなくても滅びるのだ…」
提督a「…ならかけてみるのも手じゃないですか?」
武田「?」
提督b「何もしないでこのまま負ければそれこそあいつらに失礼だ…そのスパイを信じよう、それしか道はない」
新城「…だな…!元帥、いいか?」
元帥「ああ…かまわんよ」
新城「じゃあ俺が作戦を言う、だがその作戦には深海棲艦の助力が必要だ」
戦艦「ン?ナンダ?」
新城「MI防衛艦隊の編成についてだ…最初の防衛艦隊に全力を注いで、出来るだけ粘ってくれないか?」
戦艦「ホウ…姫ヤ鬼ヲスベテ最初ノ防衛線ニダスト…」
新城「ああ…失礼だが今まで通りだと多分攻略されるだろうな…どうだ?」
戦艦「イイダロウ…ソレヲ試シテミルトシヨウ…」
新城「意外にすんなり承諾してくれたな…ありがとう…」ペコ
戦艦「カワラナクテハナラナイノハ其方ダケデハナイ…ソレニ、ソレナリニハ信用シテイルトイウコトダ」
武田「お〜、お前信用されてるんだねぇ」
新城「揶揄うな!…次行くぞ…敵主力艦隊が深海艦隊に手間取ってる間に敵要地を襲撃、目釘付けにし、大本営で佐伯の斬首作戦を起こす…大本営の場所は呉鎮守府の隣だ、斬首作戦は憲兵隊に頼んでいいか?」
憲兵a「それはかまわないが…艦娘達は仲間を襲うのか…?」
新城「あくまでも施設のみの破壊だ…相手の艦娘も仲間とは戦いたく無いだろうからな…それでも出てくるやつには…交戦するしか無いが…」
提督b「ああ…だが流石に沈め無くていいよな?戦闘不能に追い込ませれば…」
新城「ああ、もちろん、そのつもりだ…ここまで聞いて何か質問の有る奴はいるか?」
そこには手を挙げるものは居ない
新城「なら…確自用意してくれ…あいつらに度肝を抜かせよう…!」
はぁ…