「先生」
お昼休みにお弁当をつつきながら話す。
「なに、真田君」
「藤本がカジュラホについて、にやにやしながら話しかけてきましたよ。何やら調べたらしくて。
回想
「さなだ~カジュラホっていいな。すごいやらしいじゃん。」
「まあな。」
「柊木ちゃんも好きなのかな。」
「やめとけよ。そういうの。」
「何まじめぶってんだよ。」
「まじめってるわけじゃないけど...俺がこんな顔してお前うれしいのか」
ゲヘヘと下品な顔つくってみる。
「キモイだけだな。」
「だろ。そういう顔になってるとモテないぞ。じゃあ、お昼兼社会科係の仕事だから」
「いってら~」
って感じで話しそらしましたよ。あ~でも考えたら食事中にする話じゃないですね。」
「うん...小テストどうだった?」
柊木ちゃんはどうやら俺の答案をみたくてたまらないようすだ。
「あ~はい。自己採点。」
自分の答案をわたす。
「おお、満点じゃない。すごいね。」
柊木ちゃんの顔が明るくかがやく。
「あのときは、藤本が話しかけてきただけだったから心配なかったのに。」
「う~ん、とにかく話すきっかけがほしかったというか...。」
「それって先生としてどうなの?」
「っていうか、今は二人っきりだから春香さんでもいいんだよ。」
「どんどん「春香さん」の領域が広がっていきますね。うれしいけどバレるの怖いんですけど」
「誠治君がまっさきに分かってくれてうれしかった。範囲が広いから選択肢式がいいかなと思ったら誤答づくりが結構手間で...。自己採点にしたのはどうせテスト勉強するんだろうから小テストで一喜一憂するんじゃなくてみんなには復習してほしかったから。」
食べ終わってからまた別の話をする。
「それからシャクンタラーの話の時に顔赤らめて俺を指名したでしょ。」
「うん。」
「何かと思ってたら、マハーバーラタのシャクンタラーの記述って、ドフシャンタ王鬼畜だなと...」
「うん。カーリダーサさんはうまく脚色したなと。本来の話は、シャクンタラーは、狩りにきていたプール族のドフシャンタ王がカーンヴァ仙の
「それから、こないだ、スルーしていたけど古代アンデス文明もモチェの土器とか、
男性のモノが
「うん、とっかかり一瞬どうかな思ったけどそればっかに頭いっちゃうでしょ。マヤの壁画に、男の人のナニに太い糸を通して神々に血をささげる儀礼の壁画があったりとか。」
柊木ちゃんは苦笑いしている。
「今度中国の歴史ですね。」
「うん...」
柊木ちゃんは顔を赤らめる。
「
「あと伝説上の夏の時代に現れた竜の吹いたあわを保存した箱が、殷、周と伝えられて、周の終わりの
「あと始皇帝の母親の情夫になった
「あと西晋の
「ユダヤ教とキリスト教の信仰の話も、割礼とかでてくるし...」
「それって...」
「男の人のナニを包んでいる部分を切り取るの。ものすごく痛いらしい。新約聖書でも信仰か割礼かで論争になった話もでてくる。信仰義認か行為義認が含まれるか教理の違いの話でさらっと流さそうかと。」
「あとローマ教会では、女性はしゃべるな歌うな、で...宦官さんのようにナニをとってしまって歌う歌手のような人たちがいたの。男性ホルモンが出なくなるせいで、ボーイソプラノが維持できたの。カストラートっていうんだけど...たとえばこんな声」
柊木ちゃんは、PCでカストラートの歌声を流す。
「きれいな声ですね。」
「まあ、授業ではとりあげないから。」
「そうですねえ...」
「さてさて、次の授業だけど、横山光輝さんの漫画とか、殷の婦好さんの小説とか予習や復習に使えるものがあるなあ...どうしようか」
「じゃあ、俺がLHRで紹介しますよ。何冊か持って行って。」
「ありがとう。」
その日の昼休みはそれで終わって、俺は柊ちゃんのおすすめを何冊か持って行って、LHRで紹介した。