柊木ちゃんの世界史実況中継   作:Brahma

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第10.5時限目 エッチで残酷な世界史

「先生」

お昼休みにお弁当をつつきながら話す。

「なに、真田君」

「藤本がカジュラホについて、にやにやしながら話しかけてきましたよ。何やら調べたらしくて。

 

【挿絵表示】

 

回想

「さなだ~カジュラホっていいな。すごいやらしいじゃん。」

「まあな。」

「柊木ちゃんも好きなのかな。」

「やめとけよ。そういうの。」

「何まじめぶってんだよ。」

「まじめってるわけじゃないけど...俺がこんな顔してお前うれしいのか」

ゲヘヘと下品な顔つくってみる。

「キモイだけだな。」

「だろ。そういう顔になってるとモテないぞ。じゃあ、お昼兼社会科係の仕事だから」

「いってら~」

 

って感じで話しそらしましたよ。あ~でも考えたら食事中にする話じゃないですね。」

「うん...小テストどうだった?」

柊木ちゃんはどうやら俺の答案をみたくてたまらないようすだ。

「あ~はい。自己採点。」

自分の答案をわたす。

「おお、満点じゃない。すごいね。」

柊木ちゃんの顔が明るくかがやく。

「あのときは、藤本が話しかけてきただけだったから心配なかったのに。」

「う~ん、とにかく話すきっかけがほしかったというか...。」

「それって先生としてどうなの?」

「っていうか、今は二人っきりだから春香さんでもいいんだよ。」

「どんどん「春香さん」の領域が広がっていきますね。うれしいけどバレるの怖いんですけど」

「誠治君がまっさきに分かってくれてうれしかった。範囲が広いから選択肢式がいいかなと思ったら誤答づくりが結構手間で...。自己採点にしたのはどうせテスト勉強するんだろうから小テストで一喜一憂するんじゃなくてみんなには復習してほしかったから。」

 

食べ終わってからまた別の話をする。

「それからシャクンタラーの話の時に顔赤らめて俺を指名したでしょ。」

「うん。」

「何かと思ってたら、マハーバーラタのシャクンタラーの記述って、ドフシャンタ王鬼畜だなと...」

「うん。カーリダーサさんはうまく脚色したなと。本来の話は、シャクンタラーは、狩りにきていたプール族のドフシャンタ王がカーンヴァ仙の(いおり)に入ってしまったときに、見染められ、ガンダルヴァ婚といって...生まれた子を太子にする条件でいたしてしまう。とはいってもガンダルヴァ婚は、作法があって本人たちが同意すれば正式なものになる。カーンヴァ仙は、神通力で自分のいないときに何が起こったか察して、恥ずかしいことはない、ドフシャンタ王は立派な人物だから生まれてくる子は偉大な人物になるだろうと育てた。シャクンタラーの子は、6歳の時、獅子(しし)や水牛や象とたわむれることができるなど超人的な行動を見せたので、サルヴァダマナ(「一切を屈服させる者」)と呼ばれ、カーンヴァ仙は、「太子になるときがきた。」と言って弟子たちとともにシャクンタラー母子を都へ送り届けさせた。王に謁見(えっけん)してシャクンタラーは、約束を守ってくれと言うが、王はとぼけてお前を知らぬと言い続けるって話だからシャクンタラーは当然納得しない。そんなウソを言うならあなたといっしょにならなくていい、あなたなしでも息子は世界を征服するような人物になる、と行った時、天から声がした。『ドフシャンタよ、息子を抱け、シャクンタラーを侮るな、シャクンタラーを真実を語っている、この子を抱いてバラタと名付けよ』ドフシャンタは、この天のみつげに従って、シャクンタラーを迎えた話になってる。」

 

「それから、こないだ、スルーしていたけど古代アンデス文明もモチェの土器とか、

 

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男性のモノが勃起(ぼっき)してるのとか、なにやらいたしているものとか...」

「うん、とっかかり一瞬どうかな思ったけどそればっかに頭いっちゃうでしょ。マヤの壁画に、男の人のナニに太い糸を通して神々に血をささげる儀礼の壁画があったりとか。」

柊木ちゃんは苦笑いしている。

「今度中国の歴史ですね。」

「うん...」

柊木ちゃんは顔を赤らめる。

宦官(かんがん)どう説明しようかと...司馬遷さんは、友達の李陵さんをかばったこともあって、宮刑にされ、実用的な紙の開発をした蔡倫(さいりん)さんもナニを切り取られちゃった人だし。」

「あと伝説上の夏の時代に現れた竜の吹いたあわを保存した箱が、殷、周と伝えられて、周の終わりの(れい)王の時代に、箱が開けられて、あわが噴き出して止まらないので、王は、宮女たちに服をたくしあげるか、全裸にさせて叫ばせたという話がある。」

「あと始皇帝の母親の情夫になった嫪毐(ろうあい)はおおきくて、宴会の余興として自らの一物を軸に馬車の車輪を回して見せたとか....」

 

「あと西晋の()皇后は、美少年を街から連れ去ったとか」

 

「ユダヤ教とキリスト教の信仰の話も、割礼とかでてくるし...」

「それって...」

「男の人のナニを包んでいる部分を切り取るの。ものすごく痛いらしい。新約聖書でも信仰か割礼かで論争になった話もでてくる。信仰義認か行為義認が含まれるか教理の違いの話でさらっと流さそうかと。」

「あとローマ教会では、女性はしゃべるな歌うな、で...宦官さんのようにナニをとってしまって歌う歌手のような人たちがいたの。男性ホルモンが出なくなるせいで、ボーイソプラノが維持できたの。カストラートっていうんだけど...たとえばこんな声」

柊木ちゃんは、PCでカストラートの歌声を流す。

「きれいな声ですね。」

「まあ、授業ではとりあげないから。」

「そうですねえ...」

 

「さてさて、次の授業だけど、横山光輝さんの漫画とか、殷の婦好さんの小説とか予習や復習に使えるものがあるなあ...どうしようか」

「じゃあ、俺がLHRで紹介しますよ。何冊か持って行って。」

「ありがとう。」

その日の昼休みはそれで終わって、俺は柊ちゃんのおすすめを何冊か持って行って、LHRで紹介した。

 

 

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