柊木ちゃんの世界史実況中継   作:Brahma

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第6時限目 地中海の諸民族とエーゲ文明

「世界史の授業始めます。秋川さん、お願い。」

「はい。起立、礼」

 

「さて、今日は、東地中海の諸民族を始めます。さて、これが紀元前14世紀ごろの地図。どんな国があるかな?浅沼君」

大画面テレビに使われるデイスプレイに地図が映し出される。

 

 

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「ヒッタイトとエジプトです。」

「はい、ありがとう。ここへ紀元前13世紀ごろ、ギリシャ、エーゲ海方面から侵入してきた民族系統不明の「海の民」がやってきてヒッタイトは滅亡、エジプトの勢力は後退した。そこへ三つの民族が活躍することになる。一つは、アラム人。アラム人は、紀元前1200年ごろからこの都市ダマスカスを本拠に繁栄した。なぜ繁栄できたのかな。東側と西側、南側には何があるのかな。水瀬さん」

「南にはエジプトですね。」

「そう。東側には?真田君」

「ここには、ミタンニとカッシートがあったはずですけど...」

 

 

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「そう。だけどミタンニは、ヒッタイトの影響で鉄器を使うことを覚えたアッシリアに滅ぼされた。それからこれ覚えている?」

「ハムラビ法典碑です。」

 

 

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「そう、カッシートがこれを持っていたんだけど、東側のエラム人によって紀元前1155滅ぼされた。」

先生は、イラン南部のにあたる東側からメソポタミアに→を映した。

「そしてエラム王国のスーサに持ち去られたのでスーサで発見されたわけ。さて余談はここまで。ダマスカスの場所は、このように東側と西側、南側の中継点にあった。ということは?篠原君」

「交通の要衝、商業の発展?」

「そう。正解。ありがとう。」

「商業が発展したということは、契約書に文字を使うことになるからアラム文字が国際商用語になった。

教科書の上のほうにアラム文字とウイグル文字とアラビア文字があるでしょ。それからこれがヘブル語旧約聖書。アラム文字に似ているでしょ。実は、イエス・キリストも普段はアラム語を使うことが多かったといわれているの。ということで話のついでにヘブライ人について話します。さてヘブライ人は、遊牧民と考えられていて、旧約聖書によるとメソポタミアに住んでいた族長アブラハムによってパレスチナに移住するの。アブラハムの移住がいつかはわからないけど、ヘブライ人が紀元前1500年ごろに一部がパレスチナに定住し、一部がエジプトに定住するんだけど、エジプト新王国時代に奴隷のように苦役させられたので、紀元前13世紀、モーセに率いられてエジプトを出るの。これが出エジプトと言う事件。紀元前1000年ごろサウルが預言者サムエルによって王に選ばれ、今話題になっているガザの付近にいたペリシテ人との戦争で戦死すると、今度はダビデとその子ソロモンが王となってヘブライ王国は貿易で繁栄するの。

 

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しかしソロモン王の贅沢と他国出身の妃を多くめとったことで死後に王国は分裂、将軍ヤロブアムに北の十部族が従い、イスラエル王国ができる。ソロモンの子レハブアムは南ユダ王国を建てたの。そのうち北のイスラエル王国は、当時メソポタミアにあった強国に滅ぼされた。さて、どこかな藤本君?」

 

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「あ~何ですか先生?ふぁ」

「おい、藤本、やばいぞ」

「耳つねっちゃうぞ」

「先生」

「なに?水瀬さん」

「それはダメ。ごほうびになっちゃうから」

「なんで?」

「先生は、男子生徒たちの憧れなの。そんなことされた男子が自慢話するからうざい。」

「もう。」先生はちょっと赤くなる。

「で、藤本君、この時間で教科書読めたでしょ」

「はい、アッシリアです。」

「そうですね。北イスラエルはアッシリアに滅ぼされます。そして生き残ったユダ王国も紀元前586年に滅ぼされてバビロンに連れ去られます。さてユダ王国はどこに滅ぼされたでしょうか?アッシリアがいつ滅んだか考えてね。これがヒントだよ。綾野さん」

「ふぁ...」

「亜子、なにやってるのよ。」

「なに、シューちゃん。」

「シューちゃんじゃないでしょ、指名されてるんだから。ここ読んで」

「えーと、『ユダ王国も新バビロニアに征服されて、紀元前586年、住民の多くはその都のバビロンに連れ去られた。これをバビロン捕囚という。』ということは、ユダ王国のみなさんもバビロンで補習授業受けさせられたのですね。」

先生は苦笑せざるを得ないという感じだ。

「えっとね。ありがとう。それでは、フェニキアの話をします。さてさっきのソロモン王覚えているかな。ソロモン王は、都エルサレムにユダヤ教の唯一神ヤハウェの神殿をつくるためツロの王ヒラムにレバノン杉の建設資材、石工、木工職人をたのむんだけど、そのツロというのは、教科書に書かれているフェニキア人の都市ティルスのこと。そのほかにもシドンをはじめ地中海沿岸にいくつもの港町をつくるの。のちに有力になってローマと戦うことになるカルタゴもそのひとつ。教科書の上のほうとパワポの画面みて。」

 

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「カナン人の表音文字から発展して作られたフェニキア文字は、アラム文字の祖型になる一方、ギリシャ文字の祖型になり、みんなもよく知っている英語のアルファベットやロシアで使われているキリル文字の先祖になるの。」

 

「さてヘブライ人の話にもどります。ヘブライ人は、バビロン捕囚の苦しみの中でも、唯一神ヤハウェの信仰を固く守り、神に選ばれた民という選民思想をもつとともに救世主(メシア)を待望する思想をもつようになるの。新バビロニアが滅ぼされて、エルサレムに帰還が許されるとヤハウエの神殿を再建するの。イスラエルとユダ王国の話は、旧約聖書の列王記、歴代誌、イザヤ書、ユダ王国滅亡寸前の話はエレミヤ書に詳しく書かれていて、ヤハウエ神殿再建の話は、エズラ書とネヘミヤ書に詳しく書かれている。こうしてユダヤ教が確立するんだけど、旧約聖書が聖典になる。さて、ユダヤ教のなかで、律法を守ることばっかりにこだわって、神と隣人を愛さない態度が偽善的だと批判したのがイエス・キリストで、その弟子たちや伝道者パウロが書いたものが新約聖書になるの。聖書は、ヨーロッパの人々の思想、活動の大きな源泉になったの。いろんな画家さんが絵を書いてるよね。知っている画家さんあげてみて。わからなかったら、図録の129ページ、130ページ、152ページにも載っているね。」

 

「さて、エーゲ文明の単元に入るよ。ギリシャの東地中海沿岸とクレタ島では、青銅器文明が誕生しました。最初が紀元前2000年ごろクレタ文明別名ミノア文明。その代表的な遺跡がクノッソス宮殿なの。これがクノッソス宮殿の壁画。

 

 

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イルカなどの海洋動物、牛、玉座の間には女性を守るようにグリフォンが描かれているの。1900年ごろ、イギリスの考古学者アーサー・エヴァンスによって発掘された。

 

 

【挿絵表示】

この文明は文字を持っていて線文字A と呼ばれていて未だに解読されていない。城壁などがないため、防御力に関心がうすそうだけど、フレスコ画に海軍を描くものがあって、強力な海軍を持っていたことがわかっているの。紀元前15世紀にアカイア人によって滅ぼされた。紀元前15世紀ごろからミケーネ文明が台頭しはじめる。ミケーネ文明のおもな都市は、ミケーネ、ティリンス、ピュロスなどの城塞王宮を築くの。ほら教科書に載っている獅子門とか...」

俺はなんとなく疲れて眠くなってしまった。がまんして目をひらくようにしてるけど授業の内容が頭に入ってこない。こういうときに限って先生の声の響きも気持ちよくなって眠気が倍増する。授業が終わって秋川さんの号令で立って座った。まあちょうどいいや。頭に入らなかったから先生に会いに行く口実にしよう。

 

 

俺は2時限目後の休み時間に先生(カノジョ(恋人))に会うために職員室へに行った。

「わからないところがあるの?」

「そんなところです。ややこしくってミノア文明とミケーネ文明?」

「たしかにちょっと眠そうだったね。ごめんね。この椅子使っていいから」

「はい。」

「もうこれは、こんな風に表にするしかないね。

 

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ミノア文明じゃなくてクレタ島に栄えたからクレタ文明でいいと思う。クノッソス宮殿とアーサー・エヴァンスさんの名前覚えとけば大丈夫。」

 

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【挿絵表示】

「なるほど。壁画がきれいな宮殿ですね。」

「そうそう、それからミケーネ文明だけど...」

(ドキドキするね♡)話しながらノートに書きこんでいる。

(こら、24歳の大人が昼間の職員室で何ドキドキいてんだ。うれしいけど)

「ギリシャ人の先祖の一つアカイア人によって築かれた都市で...」

「なるほど、こっちは民族系統はっきりしてるんですね」

(今日はスカートなんですね)俺もノートに書く。

「この獅子門もみたいな巨石城塞都市がおおいの。

 

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遺跡名Mykenaiミケーネ、Triynsティリンス、Pylosピュロスとかあるけど、世界遺産名に上がってるのはミケーネとティリンスだからそれ覚えとけばいいと思う。発掘した人はシュリーマンさんだとされてるけど、彼が掘ったのは、実際には、紀元前2600年の古い層で、『イリアス』のトロイは上の層の7層だってことがわかってるの。

 

【挿絵表示】

⑧ 

 

【挿絵表示】

それから線文字Bの解読者はヴェントリスさん。ちょっと横文字の地名や人名が多くて覚えにくいけど...」

表を指さしながら

(私似合ってる?)とノートに書き込む。

(かわいいです)と俺は書いた。

「そういうのずるいってば」

柊木ちゃんは顔を赤らめて、「個人授業」をやめて、小声になり、ちょつぴりほおを赤らめて膨らませる。照れているのがかわいい。24歳の女子って感じだ。

柊木ちゃんはやにわに俺の手をつかむ。

(こら24歳何職員室でこっそり生徒の手握っているんだ。うれしいけど)

「仕返し♪」小声でささやく。

ドキドキするし、手からなんとなく柊木ちゃんの鼓動がつたわってくる。

「顔、赤いよ^^」

小声でつぶやく。

「かわいいなあ、もう」

主語なしで小声でつぶやく。

(先生、自分だって赤いじゃん)

と俺は思った。

 




①ヒッタイトとサイス朝※User:Dbachmannを一部改変
②ミタンニとカッシート※User:Ayselmemmedzade7を一部改変
③ハムラビ法典碑※User:Mbztによる
④イルカの壁画※User:Chris 73による
⑤線文字A※User:Olaf Tauschによる
⑥クノッソス宮殿玉座の間※利用者:遠藤昂志による
⑦ミケーネライオンの門※User:David.Monniauxによる
⑧トロイ断面図※User:MGA73bot2による
⑨線文字B ※User:Sharon Mollerusによる

Fhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E7%8E%8B%E5%9B%BD#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Kingdom_of_Israel_1020_map.svg イスラエル王国

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Levant_830.svg ユダ王国
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