潜水直接教育艦ふゆしお   作:h.hokura

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海中戦力として潜水艦の存在感がますなか創設されたブルーマーメイド潜水艦隊。
くろしおは横須賀に作られた第2潜水艦隊所属の潜水艦だ。
艦長は神城 綾二等保安監督官。
艦番号は707。
ブルーマーメイドのサブマリン707が今出撃する。

*潜水直接教育艦ふゆしおの登場人物を使い一部設定を変えて書いたものです。
*潜水艦隊及びくろしおについては独自設定です。


IF編
「ブルーマーメイドのサブマリン707」その1


とある海域にある島の沖合を1隻の船が航行していた。

外形は普通の貨物船の様だったが識別の為の標識(船名やナンバー)を一切付けておらず普通の船ではないことは確かだった。

一体どこへ向けて航行しているのか・・・

そして同じ海域をこちらは潜航しながら航行している潜水艦が一隻あった。

指令塔に707と書かれた、ブルーマーメイド第2潜水艦隊所属のくろしおだった。

潜航中の発令所に居るのは当然女性ばかりの乗員達、その中で一人スキップシートに座って居る女性に乗員が報告して来る。

「艦長、予定海域の哨戒を完了しました。」

報告を受けたくろしお艦長の神城 綾二等保安監督官が頷きつつ答える。

「ご苦労様でした皆さん・・・結局何の収穫もありませんでしたね。」

と労いの言葉を乗員に掛けた後溜息を付いて綾はぼやく。

くろしおはこの海域で出没する識別不明船を安全監督室情報調査室の要請で捜索していたのだった。

「そうですね、まあ調査室の情報も時には外れる事もありますから。」

タブレット端末を持った副長の澤田 亜紀が苦笑しながら答える。

「そう言う事もありますか・・・取り敢えず横須賀基地へ連絡を・・・」

そう言って綾が報告を送る事を指示しようとした瞬間だった。

「ソーナーが水上航行中の船舶を捕捉、方位070、距離7千です。」

「進路変更070、メインモーター全開。」

「進路変更070了解。」

「メインモーター全開。」

綾が突然の報告にも動じる事も無く即座に指示を出す。

その指示を受けた操舵員の茂木 八重と機関長の加藤 舞が復唱するとくろしおは進路を変更し速力を上げてゆく。

「艦長、目標まで1キロです。」

「潜望鏡深度まで浮上。」

1時間後、くろしおは目標の近くまで接近すると綾の指示で潜望鏡深度まで浮上して行く。

「潜望鏡深度です艦長。」

報告を聞き綾はレーバーを引き下げ潜望鏡を上げて覗き込む。

「これほど怪しさ抜群の船もありませんね。」

その貨物船を潜望鏡越しに見て綾は呟くと水雷長の加藤 万梨阿に指示を出す。

「1番2番発射管に近接信管を装着した魚雷を装填。」

「魚雷管制室へ1番2番発射管に近接信管を装着した対水上用魚雷を装填せよ。」

万梨阿が艦内通話機で魚雷管制室へ艦首にある発射管に魚雷を装填する様に指示する。

『魚雷管制室より水雷長へ、魚雷装填完了しました。』

「装填完了です艦長。」

発射管に魚雷が装填された事を万梨阿が報告する。

「了解です、緊急チャンネルで停船を呼び掛けて下さい。」

潜望鏡で船を監視しながら綾が電信員に指示する。

「こちらブルーマーメイド潜水艦隊所属くろしお、直ちに停船し船名及び目的地を報告して下さい。」

電信員の遠藤 麻耶が緊急チャンネルを通して通信を送るが、不審船は停船するどころかスピードを増し逃亡を図ろうとする。

「目標更に増速、停船の意思は無い様ですね。」

潜望鏡に取り付いていた綾は溜息を付くと魚雷発射を指示する。

「発射管開け・・・1番発射。」

「1番発射。」

ふゆしおの艦首発射管から飛び出した1本の魚雷は不審船に接近して行き設定した距離に達して起爆し船を揺さぶる。

「再度伝えて下さい、停船しなければ次は必ず命中させると。」

指示を受けた麻耶が頷いて不審船に再度通信を送くると直ぐに停船すると通信が帰って来る。

通信通り不審船が停船したのを確認した綾はレバーを引き下げ潜望鏡を降ろすと次の指示を出す。

「浮上します、メインタンクブロー。」

海面を割ってくろしおが浮上する。

「機関停止、臨検班は甲板に集合、本艦はこのまま警戒態勢を維持します。」

ダイバースーツに防弾・防刃ベストを身に着け89式自動小銃を持った臨検班員達が甲板に出て来る。

臨検班は降ろされボートに乗り込み不審船に近づいて行く。

到着すると班員の1人が素早く甲板に上がりロープを固定し残りの者達が続く。

甲板に上がった班員達が慎重に船室のドアに近づき様子を探る。

「班長、鍵が掛かっています。」

「解除出来ますか?」

「少々お待ちください。」

鍵を確認した班員がベストから道具を出すと解除に掛かる。

この辺は慣れているので数分も掛からず鍵は解除される。

解除を終えた班員が顔を見て来たので班長が頷き返すとドアが開けられ突入する。

「こ、このおお!!」

その直後男2人がナイフを手に突っ込んで来るが先頭に居た班長は2本のナイフを小銃で受け止めると薙ぎ払う。

そしてバランスを崩した男を銃床で壁に叩きつける。

「く、くそう!」

残った男がナイフを再度突きつけてくるが、後に続いていた班員が同じ様に小銃で弾き廻し蹴りで突き飛ばす。

そして倒れ込んだ男2人を班員達が素早く拘束するとなお船内を進み抵抗する者達を同じ様に拘束して行く。

そしてブリッジへ踏み込む班員達。

「ブルーマーメイドです、そのまま動かないで!」

小銃をブリッジに居る者達に小銃を突きつけると全員手を上げる。

「これで全員ですか?」

船長らしい初老の男に班長が尋ねる。

「そ、そうだ・・・」

船長がそう答えると班長は指示をしてブリッジに居る船長達を一か所に集める。

「艦長不審船の制圧を完了したと臨検班より連絡っす。」

「了解です、副長応援は?」

麻耶の報告に返答した後、綾は亜紀に尋ねる。

「あと1時間程で到着するそうです。」

「ではそれまでくろしおは待機します、警戒を怠らない様お願いしますね。」

綾の指示を受け乗員達が動くのを見ながらふと自分の現状を思い出して感慨に耽る。

男性だった自分が横須賀女子海洋学校の潜水艦乗員養成課程を卒業しブルーマーメイドで潜水艦の指揮を執っているのだと。

中学時代に半陰陽だと判明し女性となった綾は横須賀女子を経てブルーマーメイド潜水艦隊のサブマリーナとなった。

そして数年の勤務の後にくろしおの艦長候補に選出され、1年の選考期間を経て正式な艦長に任命され今に至るのだった。

そんな自分の数奇な人生を思い出していた綾に亜紀がタブレット端末を見ながら声を掛ける。

「艦長、艦隊の人事部からの通達ですがくろしおに今度横須賀女子から卒業生3人が配属されるそうです。」

もうそんな時期かと聞いた綾は思い過去の記憶を頭の隅に追いやりながら問い掛ける。

「了解です、どんな娘達が来るのですか?」

「この3人です・・・楽しみですね艦長。」

楽しそうな表情を浮かべた亜紀から渡されたタブレット端末で新人3名のデータを見ながら綾も同じ様な表情を浮かべ答える。

「そうですね副長。」

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