インフィニット・ストラトス 自由の翼/リベイク 作:狭霧 蓮
そこはだれにもわからない秘密基地。
否、その場に集いし少女、少年には分かる場所。
投影モニターに映し出されるのは飛翔する死を運ぶ使徒とも呼べる、夥しい数のミサイルだった。
「束、現状はどうなっている」
黒髪の長髪、凛とした雰囲気の少女がアザミ色の髪の少女に状況を問いかける。
「ん、ちーちゃん。核ミサイル、気化爆弾、それに並ぶ大量破壊兵器……おおよそトウキョウ都心に落ちたら日本列島の半分が吹き飛ぶ、過剰火力だねー」
その質問にのんびりと応える……まるでその日本列島などに興味がないと言いたげに。
が、それを隣で聞いていた金髪の少年は目を見開き、少女の肩を掴むと揺さぶる。
「そんなものがこの島国に落ちることを容認しては武士道が泣くというものだ……どうにかする方法はないのかね、束君!」
「落ち着きなよ、ハムさん? 用意はしてあるしさ──ね、リーくん?」
リーくんと呼ばれたのは黄緑色の髪にやたら貫禄のある声の少年……不機嫌な視線を少女に投げつけながら応える。
「GNフラッグとOガンダムだけで、アレ等を駆逐、破壊するには無理があるよ、篠ノ之束」
「なーに、だからこそ。 《白騎士》があるのさ! ロールアウトがこんなことになるなんて最悪だけどね……ともっち、量子演算装置とかの調整はどう?」
「フォトンネットワークリアクター、タキオンドライブの出力は安定してるよ、束姉さん」
「良い返事です、ありがとねー」
黒髪の少女と同じ雰囲気を持つ幼女は、タブレットから投影されたキーボードを弾きながら応える。
「よーし、じゃあ始めよっか。 明日を守るための、私たちの戦争を!」
「その前に、束。 お前は本当にこの件に関与はしてないんだな?」
「……だーかーらー! 信じてよ、ちーちゃん! この件には本当に関与してないから! いくら私でも箒ちゃんやいっくんが住むこの日本自体なんてどうでもいいけど、だからと言って壊したいとか思ったことはないよ!」
「では、このドローンには関与していないな?」
「盗撮5号!? 帰還しないと思ってたら……!?」
「このロリコンエロウサギガァァァァ! 春風の着替えを盗撮しようとしてんじゃない!」
「だって、だって! はるちゃんが可愛いから──あ、やめて、ちーちゃん! ちーちゃんの拳骨は痛いから! いやァン!」
ゴスッという音。 アザミ色の少女、篠ノ之束は黒髪の少女……織斑千冬の手によって頭に大きなタンコブを作られているにも関わらず、恍惚の笑みを浮かべていた……ドMのようだ。
「何をしているんだ君達は……やはり、人間は理解に苦しむよ」
「そんな君も今は人間だろう、リボンズ」
「……それもそうだね」
「えっと、グラハムさん、リボンズさん。 これ、どうぞ」
「ありがとう、春風くん。 GNフラッグ……力を借りるぞ」
「ふん、なんで僕がこんなことをしなくてはいけないのか、疑問は尽きないが──人類が、変態技術者の多いこの島国がここで終わるのを見届けるのもつまらない、だから仕方なく力を貸すだけだよ」
ぎゃいぎゃい騒ぐ女子を尻目に、呆れた視線を向けるリボンズと呼ばれた少年をなだめるグラハムと呼ばれた少年。
まったくもってまとまりのない彼らだが、一部を除きその思想は同じであった。
展開、装着。
そのコマンドキーワードを認識したモノ達が起動する。
黒い
「春風……本当にいいのだな? インフィニット・ストラトスをこんなことに使っても」
「うん。 この国が消えて、一夏も、私やみんなが死ぬくらいなら、この力を役立てて、千冬姉」
千冬が春風と呼ぶ幼女は悲しげな顔をしつつ、だが笑顔で姉にそれを託した。
「わかった、誓おう。 この国を守ってみせる」
悲痛な決意、それを胸に刻みそのモノを起動する。
「グラハム・エーカー、GNフラッグ……出るぞ!」
「リボンズ・アルマーク、Oガンダム……行く!」
「織斑千冬、白騎士で行くぞ!」
海岸線より飛び立った3つの流星。 赤、緑、青の流星が空を彩った……
後に、この三機が起こしたミサイル迎撃、それを脅威と判断した国連軍を蹴散らした事件、否──「事変」は「ワールドブレイク事変」と呼ばれ、語り継がれることとなる。
これは交差することのない世界が繋がったことにより起きた、一つの物語、その始まりに過ぎないのだが、今語るべきではないだろう。