インフィニット・ストラトス 自由の翼/リベイク 作:狭霧 蓮
■???
西暦20XX年──世界は大きく躍進し、そして人類は
人類は宇宙へとその手を伸ばし。火星と木星との間にある
なぜ、こうも宇宙へと人は行き急ぐのか。それは宇宙産業が最も活発だった米国を筆頭に、多くの国々が地球上において、人類の繁栄に必要不可欠な資源を求めて宇宙に上がったのだ。
地球上では人類が90億人を超えてしまい、宇宙移民を募り、地球外軌道上コロニーの建設の計画もなされたが……技術的練度の不足でそれは‘できない’と、されていた。
ところが、近年。密閉技術、あるいはコロニーのフレームの強度不足を補うべく、‘Eメタル’と呼ばれる素材が生み出され、そして。
とあるものがロールアウトされた。それは、名も知られていなかった……どこで作られたのかは全くもって不明で、それを発表した企業もまた無銘だった。
マルチフォーム・スーツと呼ばれるそれはヒトが成層圏の彼方先まで突き抜けることが可能なものだった。
コアプログラムおよび、掌サイズの‘核融合炉’……後の通称が‘プラズマ・ハイヴ’と呼ばれるモノを作り出したのは‘
エネルギー問題を解決するその小型核融合炉は「パンドラボックス」と呼ばれる代物として、篠ノ之束以外のヒトに生産ができない代物だった。
そんな篠ノ之束には親友がいた。‘織斑千冬’──第一回モンドグロッソにて優勝し、世界最強の称号を手にした者で、‘ブリュンヒルデ’の称号を贈られている。
それは置いておく。前述のEメタルを作り出したのも篠ノ之束……ではなく。織斑千冬が妹である者が論文を提唱、作るきっかけを与えた。
若干12歳でありながらも飛び級で大学を卒業、そして。いくつかの論文を学界に提示できるほどの頭脳と。
姉譲りなのか彼女は誰が見ても美人である。淡い紫を含むような黒髪に対して、与闇の中で輝くルビーのような瞳が何よりも印象的だった。
日本人離れしたその容姿はどうしても‘浮く’が、彼女には些細な問題だった。
「春風。やっぱ考え直してくれないか?」
「千冬姉は心配性すぎ。向こうの大学でもしっかりやるって」
「一夏は私が守っている。お前もドイツに来ればいいだろう」
「あたしはアメリカに行きたいんだよなぁ……なにより、厨二予備軍のラウラに絡まれるのがめんどい」
「おっふ。まぁ、そこは分からんでもない」
どこにでもある住宅にて、姉妹が語らう団欒の時間。しかして、単身赴任ならぬ。弟を連れてのドイツへの定住を果たした姉を一蹴している少女こそ、件の天才である……
容姿端麗を地で行く彼女は少しだけ剣呑な目つきで姉を睨む──日本国で生まれ、そしてアメリカに渡り、光学技術をモノにしようと目論む我が道を阻む傍若無人な姉を睨む。
「待て待て……束を説得しておいた」
「……へ?」
「だから、束の元で自由に研究とか、その辺をだな」
「……ぱーどぅん?」
姉をどう成敗するか、と考えていた春風はその言葉を聞き──彼女はフリーズする。
「また今さら大学に行っても、得るものはないだろう。束も若干研究が滞っているらしくてな……お前を助手にしないかと説得に行ったら二つ返事で快諾したぞ」
「……! 行きます! ぜひいくぅ!!」
テンションの落差が激しいが、春風はよほど嬉しいのか全身を使って喜びを表現していた。その様子を見て千冬は若干寂しそうな顔をしたが、それでも。
「よし、ならば急がば回れだな。 どうせ覗いているのだろう、束?」
「あはっ、やっぱりちーちゃんにはばれちゃってた?」
「束さん!?」
虚空から突如として現れる機械的なウサミミを身につけた美女。彼女こそが篠ノ之束である。そして、彼女は春風に提案した。
「私と一緒に世界を回ろうぞ、少女よ!」
「ん? 世界を回る……?」
「実は面倒なことになったから、私は世捨て人になるつもりなのさ! それで、一人でぶらぶらするのも寂しそうだから、はるちゃんを引き込むことにしたわけだ、さあ笑いたまえ!」
「……ええ」
その言葉に対して、春風は困惑を隠すことなく。目の前の珍妙な女を見つめた──それはそれは残念なものを見るような目で眺めた。
「そんな目で見ないで!? 残念な人を見るような目で見ないで!?」
「理由の説明を要求します。なんで、また世捨て人になると?」
「狙われてるから。ちなみに、はるちゃんも目をつけられてるよ?」
「……は?」
予想だにしない言葉だったのか、春風は呆けた顔を晒す。しかし、その言葉の意味を理解して、溜息をこぼした。
「なんで、私が箒ちゃんと一緒に、はるちゃんを保護する面目で、世捨て人になるのだ!」
「……超国家機関……に拘束されそうと?」
「そう言うことだね。聡い子はキライジャナイワッ‼︎」
「ルナサーバントの人の真似ですか?」
「ダブルは名作、異論は認める」
「アッハイ」
とりあえず、春風
「……わかりました。箒ちゃんの保護はやはり、人質扱いが嫌だからですか?」
「うん、あの二人に関しては、大人だし、勝手にやってればいいよ」
──‘あの二人’とは束、そして彼女の妹である篠ノ之箒の両親だ。
篠ノ之束は重度のコミュ障で、興味のない人間はみな等しく路肩の石であり。彼女の生みの親である両親もまた、彼女の興味の対象ではない。
自分に匹敵する頭脳を持つ春風は興味の対象としてか、はるちゃんと呼び親しく、そして箒を溺愛する重度のシスコンでもある。
なお、ここにはいない春風の双子の弟である一夏にも興味を持ち、手を出そうとしたこともあるので春風と千冬に制裁を加えられたこともあるが、若干ドMのケがあるため、その制裁には恍惚な笑みを浮かべていたのに対して春風がドン引きするような事件もあったりしたが、彼女にしては些細な問題なのだろう。
「まぁ、了解です。身元を預けてもいいでしょう、束さんになら」
「まっかせてー、ぶいぶい!」
束の提案を受け入れた春風はほんとに大丈夫なのだろうか、と不安になりつつ。彼女と共に行くことにしたのであった。
続く、続け