冨岡義勇は急いでいた。同僚かつ柱になった竈門禰豆子が、下弦の鬼に負けるとは思っていない。だが、糸の繭に囚われた隊士達は別だ。最初に禰豆子が
(人質兼食糧として確保しておく…鬼としての嫌らしくも合理的な策という訳だ。だが…)
ちらりと同様に人を救出している禰豆子の継子、不死川玄弥を見る。同僚であり、その技量で風の呼吸を一段上へと押し上げた
「急げ。猶予はない」
「…分かっています。ここは任せて水柱は先へ」
その言葉には、反駁したい思いはあったが、話す時間も惜しい。奥の繭を一気に解き放つべく、さらに加速すると次々に、日輪刀で切り払っていった。
十、二十、三十、四十…
その数が五十へ届かんとした時、繭の中から流れ落ちたのは、男だったが、鬼殺隊ではない。黒髪に燕尾服のような服を着ており、その瞳には…下弦の壱!
「水の呼吸壱の型 水面切り!」
「お眠りぃ…!ギャァァァ!?」
血鬼術・強制昏倒催眠の囁き
一撃で首を刎ねた。掌に付いた口からの囁きは耳に入ったが…手足を動かし。刀の調子も確かめる。念の為に、首を刎ねた鬼の様子も伺うが既に、衣服も残さず霧散したらしい。
「問題はない」
そう判断して冨岡義勇は、その場から反転して元来た道を逆走し始めた。
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「よく考えられている。
不死川玄弥は、冨岡が見えなくなると、疑われない程度には抑えつつも、腕を変化させ、雑に近場の数百の繭を薙ぎ払う。解き放たれた隊士の中には傷付いている者も居るが構うまい。どうせ意識を取り戻すことなどない。そのまま小高い樹の上と、一息で登り詰めると腕を組み、事の成り行きを見守る態勢に移った。
「やはりか」
少しの時間が経つと、走り去った筈の冨岡義勇が戻ってくるのを目撃した。まだ繭は残っているのにも関わらずだ。
「さて…下弦の鬼程度であの女を討ち取れるかどうか見物だな。とはいえ、その程度であるなら私が師事するに相応しくはない」
今回は、あえて白地を選んだ松毬模様の羽織を翻して、冨岡の後を追う。にわかに轟音を立てて、揺れ始めた山の中を走りながらも、不死川玄弥は竈門禰豆子の勝利を疑っていなかった。
ちなみに完全体累君は耐久力と、再生力のみ上弦並みに強化されてます。遊郭編の禰豆子位の再生力ですかね?