始まりの鬼が無惨ではなかったら   作:園崎礼瑠

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この間、累君はめちゃくちゃ切られた。


窮鼠

 

 冨岡義勇は急いでいた。同僚かつ柱になった竈門禰豆子が、下弦の鬼に負けるとは思っていない。だが、糸の繭に囚われた隊士達は別だ。最初に禰豆子が救出した隊士(なんか黄色かった)以外、全員が意識を失っており、衣服や皮膚の一部が溶解している。

 

(人質兼食糧として確保しておく…鬼としての嫌らしくも合理的な策という訳だ。だが…)

 

 ちらりと同様に人を救出している禰豆子の継子、不死川玄弥を見る。同僚であり、その技量で風の呼吸を一段上へと押し上げた()()()()()()()。尊敬に値する彼と同じく、やや荒い性格のようだが、判断が早い。迅速な動きと手際で動いている。彼や禰豆子、そしてもう一人の新しい(時透無一郎)のような若い芽が育っている。その事に感慨を覚えない隊士はいないだろう。

 

「急げ。猶予はない」

「…分かっています。ここは任せて水柱は先へ」

 

 その言葉には、反駁したい思いはあったが、話す時間も惜しい。奥の繭を一気に解き放つべく、さらに加速すると次々に、日輪刀で切り払っていった。

 

十、二十、三十、四十…

その数が五十へ届かんとした時、繭の中から流れ落ちたのは、男だったが、鬼殺隊ではない。黒髪に燕尾服のような服を着ており、その瞳には…下弦の壱!

 

「水の呼吸壱の型 水面切り!」

「お眠りぃ…!ギャァァァ!?」

 

血鬼術・強制昏倒催眠の囁き

 

 一撃で首を刎ねた。掌に付いた口からの囁きは耳に入ったが…手足を動かし。刀の調子も確かめる。念の為に、首を刎ねた鬼の様子も伺うが既に、衣服も残さず霧散したらしい。

 

「問題はない」

 

 そう判断して冨岡義勇は、その場から反転して元来た道を逆走し始めた。

 

 

─────────────────────────

 

 

「よく考えられている。あの小僧(火産霊)がいるのは不愉快極まるが、来ているのが累と魘夢であり、この気配…」

 

 不死川玄弥は、冨岡が見えなくなると、疑われない程度には抑えつつも、腕を変化させ、雑に近場の数百の繭を薙ぎ払う。解き放たれた隊士の中には傷付いている者も居るが構うまい。どうせ意識を取り戻すことなどない。そのまま小高い樹の上と、一息で登り詰めると腕を組み、事の成り行きを見守る態勢に移った。

 

「やはりか」

 

 少しの時間が経つと、走り去った筈の冨岡義勇が戻ってくるのを目撃した。まだ繭は残っているのにも関わらずだ。

 

「さて…下弦の鬼程度であの女を討ち取れるかどうか見物だな。とはいえ、その程度であるなら私が師事するに相応しくはない」

 

 今回は、あえて白地を選んだ松毬模様の羽織を翻して、冨岡の後を追う。にわかに轟音を立てて、揺れ始めた山の中を走りながらも、不死川玄弥は竈門禰豆子の勝利を疑っていなかった。

 




ちなみに完全体累君は耐久力と、再生力のみ上弦並みに強化されてます。遊郭編の禰豆子位の再生力ですかね?
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