始まりの鬼が無惨ではなかったら   作:園崎礼瑠

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邂逅

鬼舞辻無惨()継国縁壱()

二人の怪物の戦いは終始、縁壱が無惨を圧倒する結果になっていた。

 

「…!」

  

目を血走らせ、屈辱と憎悪を込め、無残は腕を変形させると鞭のように振り回して、縁壱を傷付けようとする。【血鬼術・禍毒業延(かどくごうえん)】によって、猛毒へと変化された血液は、たとえ掠り傷でも致命傷となって、人間の身を葬る事になるだろう。普通であれば、鬼狩りの柱であろうと長くは避けられずに被弾するが、縁壱には通用しなかった。

 

「コオォ…」

 

生まれた時より常に行い続ける全集中の呼吸、これを少しだけ深く行う。日輪刀を振るう際に多少の力を込めて、普段鬼を狩る際よりも勢いを増す。これによって、常人よりも高い体温と、空気との摩擦が相乗して黒い刀身を、赫く染め上げる。太陽その物が宿ったような、この刀に切られた無惨の肉体は再生を行うことが不可能であった。

 

「ぎぃッ…!おのれ…!!」

 

無惨は切り落とされる度に腕を新たに生やして、網の目の様にして縁壱へと振るう。硬度も更に高められ、柱であっても刀を折られる程の一撃も、武人としての頂で有る至高の領域。相手の肉体が透き通り、手に取るように動きを予測可能な【透明な世界】。そこに生まれつき到達していた縁壱は、最小限の動きでそれらを切り捨て、そのままの勢いで無惨の肉体を、両腕、頚、胴体で切断した。

 

──────────────────────

 

「…何が楽しい?何が面白い?命を何だと思っているんだ」 

 

動けないと判断して鬼に問い掛ける。頚を切り落としても、やはり死なない。今まで出会った鬼の中で、恐らく最強の存在だ。人間を喰らう事にどのような意図を持って行っているのか、あの惨状を目撃してからは、ずっと疑問だった事を聞いてみるが、男は答えることなく、充血して真っ黒になる程に憎しみを込めた顔でこちらを睨み付け、歯を喰い縛っていた。

 

「ぐぅッ!」

 

私は男の筋肉が動こうとしたのを察して、更に全身を切り刻む。膨張しようとした筋肉は解体されて、身動きも取れずに地へと這いつくばり、再生できずに鬼は苦しみ続けていた。

 

「哀れだ」

 

言葉が口を衝いて漏れ出る。そうだ、鬼とは哀れで空しい生き物だ。こんな姿になっても死ねずに苦しんでいる。人を喰らう怪物と成り果てても、生きたいと望む本能を持っているのだ。これ以上、苦しませる事もない。そう思い、肉片を残さず破壊しようとした。その時、耳朶を軽薄な声が震わせた。

 

「いやぁ無惨殿も可哀想になぁ!まるで出会った当初のようじゃないか。病床に臥せって起き上がれない姿を思い出すよ!」

 

白髪が登頂部付近で赤く染まった男だった。明るい笑みを浮かべ、瞳は虹色に輝いていた。まるで閻魔のような帽を被っている。直感的に感じた。こいつだ、この男こそが私が生まれた意味、打倒するべき宿敵である。

 

「さあ、あとは俺に任せると良いよ。無惨殿」

 

男に意識を集中させている間に肉片は再生不可能な部位を切り捨てて、弾け飛び、逃走していた。それでも私は男から目を反らせず、男は愉しそうに笑っていた。

 

 




無残「さぁ来い!縁壱!私は頚を切られても死なないぞ!」

縁壱「赫刀スラーッシュ!」

無残「ぐぁああああああ!」

童磨「無残殿が殺られたか。奴は所詮、鬼の中で二番目の強さ。鬼界の実質トップよ」
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