ウルトラマンネクサスover10yearsT   作:柏葉大樹

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ウルトラマンネクサスover10yearsT 第2話

 ペドレオングローラーの出現から数日、新宿は甚大な被害を被ってしまいその復興に人手も資金も足りない状況になっていた。その中でも人々の関心は10年ぶりに現れた光の巨人についてだった。

 

 

 

 フォートレスフリーダム、かつてはTLT日本支部の基地であったそこは10年の時の中で機能の縮小や人員削減によりその機能の大半を眠らせていた。

 

 「君達は本日よりナイトレイダーAユニットの隊員だ。これから君たちが従事するのはビーストの調査、分析、殲滅だ。非常に危険が伴うことをしっかりと理解してほしい。」

 

 ナイトレイダーAユニットのブリーフィングルームでは孤門が新たに入隊し、ナイトレイダーの紺色の制服を身に纏った弾、数馬、鈴音に話をしていた。

 

 「それでは早速だが副隊長から先日新宿に出現したビースト、ペドレオングローラーについてと出現したウルトラマンに関することを話してもらう。」

 

 孤門がそう言うと凪がデスクに備えられている機器を操作してブリーフィングルームの液晶ヴィジョンにペドレオングローラーの画像を出した。

 

 「新宿に出現したブロブタイプビーストペドレオングローラーはこれまでに出現したペドレオンの別個体と違って二つの頭部を有していたわ。この個体は新宿の地下から出現して周囲に甚大な被害をもたらした。」

 

 画面にはペドレオングローラーが火球を次々と放ち、新宿の街を破壊する様子が出ていた。

 

 「その後、まばゆい光が出現。その光の中からウルトラマンが出現してペドレオングローラーと戦闘を始めた。戦闘を始めた直後2体は光に包まれて消えたわ。」

 

 そして、画面にはウルトラマンネクサスが映し出された。ネクサスとペドレオングローラーの戦いとなり、映像はメタフィールドにネクサスとペドレオングローラーが消えたところで終わった。

 

 「ナイトレイダー最初の任務はペドレオンとウルトラマンの調査だ。」

 

 新生ナイトレイダーの始動、この時を持って始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、大紀は職場のデイサービスにいた。

 

 (一体、何なんだ。俺に何が起きたんだ。)

 

 現在、書類作成の仕事をしている中で大紀は自分に起きたことを考えていた。突然出現したビーストに気付いたらビルを超える程の目線になっていた自分。体が勝手に動いているようなそんな感覚だったのだ。

 

 「大紀先生!遊ぼう!!」

 「おう、もうすぐで切りの良いところになるからな。すぐに行くぞ。」

 

 悩んでいてもどうにもならない、大紀は仕事を一旦辞めて子どもたちの遊び相手となった。それでも、大紀には数日前のことが頭から離れなかった。子ども達の笑顔を見ても、胸に立ち込める暗雲のようなものは全く晴れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京湾の海底、太陽の光も届かないこの場所には奇怪な姿をした深海魚が泳いでいた。そこに深海魚以外も存在した。

 

 キシャア

 

 ペドレオンの幼体が何体も海底のいたのだ。ペドレオンたちは数日前にウルトラマンネクサスに倒されたペドレオングローラーの同族であり、アクアラインで多くの人に被害を出したあの群れであった。

 ペドレオンは個体同士で情報伝達を行い外敵への防衛策を発展させる特性を持っている。過去に出現したペドレオンはそれで得た情報から人間を人質に取るといった高度な行動を見せた。その特性はこれらのペドレオンたちも持っていた。そして、ウルトラマンネクサスとの戦いを学習したペドレオンたちはネクサスに対抗するために海底で新たな特性を獲得するために集まっていた。

 海中でドロドロと溶け出していくペドレオンたち。ドロドロの粘性を持った液体となったペドレオンたちは一か所に集まり、一体となった自分たちを体をより大きく強く変化させていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 孤門は弾を連れてアクアラインの調査をしていた。以前に回収したサンプルに、新宿で出現したペドレオンのサンプルを分析した結果、まだアクアラインに出現したペドレオンたちが生存している可能性が出てきたのだ。今、現在の東京湾の海底で起きていることを孤門は知らないが過去に対峙した数多くのビーストたちとの戦いの経験からここに何かの手掛かりが存在する可能性も有ることを知っていた。

 

 「隊長と副隊長はすでに調べたんすよね。なら、何もないんじゃあないですか。」

 「いや、ここに出現したビーストと新宿に現れたビーストは別の個体だ。ここに現れたビーストたちがまだ生きている可能性が高い以上はここもまだ調べる必要がある。」

 

 孤門の言葉に弾は反論するのではなくその表情や立ち姿を見ていた。そして、弾は口を開いた。

 

 「隊長、あんたのことを信用するぜ。」

 「どういう意味だい。」

 

 弾の言葉に孤門が聞き返したのだ。

 

 「俺が自衛隊からTLTの訓練施設に居た理由、分かるだろ。信用できない上官に当たっちまって問題を起こした。その時にビーストどもが俺のいた基地を襲ったんだ。幸い事なきを得たけど俺は追い出された。それ以来、上官になるような奴を値踏みしてた。」

 

 弾の話を黙って聞く孤門。それを見て弾は話を続ける。

 

 「問題ありな経歴を俺を引き抜いてくれて感謝してるんす。そして、今回のビーストの件に対する姿勢を見ればあんたは信頼できる人だって。失礼だと思いますがあんたは信頼できる。」

 

 過去の経験から苦いものを抱いていた弾。その弾が孤門のことを信頼すると言ったのだ。それに孤門も答えることにした。

 

 「僕は最初ナイトレイダーの隊員の中では一番新参者だった。それまではレスキュー隊に居たけど人を助ける仕事だって思って頑張った。僕が居た10年前のTLTの体制は今では考えられないようなことが普通に行われていたんだ。それでも、精一杯にやってきたんだ。」

 

 10年前、ビースト被害を隠蔽し、さらには事件に巻き込まれた人間の記憶を消していたTLT。現在までの戦力の縮小には10年間におけるビーストの出現の変位に他にも10年前の体制による非人道的とも言えるような行為への賠償もあったのだ。今でも賠償は続いており、ビースト頻出地であった日本ではいまだにそのことでワイドショーでも取り上げられることが多い。

 

 「その結果なのか、今では隊長をしてる。周りの人達のおかげで僕も戦い続けることが出来たんだ。僕は君のことを見捨てることはしないよ。」

 

 10年もの間、孤門はビーストと戦いをずっと続けていた。孤門もかつての戦いでTLTが行って来たことの現実を突きつけられ、さらには大切な人を亡くした。それだけのことを体験しながらずっと前線で戦っていられるのはかつて肩を並べて戦った仲間たち、自身も受け継いだ光を宿して戦った戦友の存在が大きい。だからこそ、弾にそのように言葉を掛けたのだった。

 

 「さあ、早く調査を終わらせよう。この先にまだ手掛かりがあるかもしれない。」

 

 孤門と弾は水中活動用の装備を装着してアクアラインの水没したトンネルへと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、凪は鈴音と共にクロムチェスターγ機に乗り込み空からペドレオンの痕跡、ウルトラマンの手掛かりを探していた。

 

 「鈴音隊員、何か分かったかしら?」

 「いえ、特には。目視でも確認できませんしスキャナーにも反応なし。」

 「それなら他のエリアに移動するわ。」

 

 凪が操縦桿を操作しようとした時に突如スキャナーが何か巨大な物に反応した。

 

 「副隊長。東京湾の海底から何かが都市に向かって移動を始めてます。」

 「どこにいるの。」

 「このまま直進すればそいつと合流します。」

 

 鈴音が言う場所へ操縦桿を操作する凪。クロムチェスターγ機が東京湾海上へ差し掛かると海中に巨大な影があるのを目視で確認した。

 

 「あれは何。」

 「副隊長、ビーストスキャナーに反応。あの巨大な影はビーストです。」

 

 鈴音が凪にそう伝えると海から巨大な水しぶきを上げてビーストがその姿を現した。海の色に溶け込めるような深い藍色の体色に全身には無数の触手、ウミウシのようでありながら海中を泳ぐのに適したヒレを持つ巨大ビースト。海中で一体となったペドレオンたちはネクサスに対抗するべく新たな姿となった。

 ブロブタイプビースト=ブロブスター、後にそう呼称される巨大ビーストはそのまま東京湾を北上し、都市部を目指して進んでいく。

 

 「鳳隊員。ターゲットをあのビーストにロック。迎撃するわよ。」

 

 凪が鈴音に命令を下す。後ろで聞いていた鈴音はこの場合における必要な手続きについて凪に進言しようとしたが事態が事態なので凪の命令に従うことにした。

 

 「了解。」

 

 クロムチェスターγ機はブロブスターに接近。搭載されているミサイルをブロブスターに照準を合わせて発射した。

 ミサイルはブロブスターに着弾するも本来であれば即座に爆発し、ビーストの体表に大きなダメージを与えるのだがブロブスターの肉体は非常に柔軟性が高くミサイルは爆発せずにその肉体からはじき返されてしまった。弾かれたミサイルは海中に落ち、そのまま爆発していく。

 

 「全弾、命中後に弾かれて爆発しました。」

 「鳳隊員。攻撃を速射砲に切り替えて。あいつの注意を引き付けて上陸を阻止するわよ。」

 

 凪と鈴音はクロムチェスターγ機でそのままブロブスターを攻撃していく。だが、クロムチェスターγ機に搭載されている装備群はことごとく弾かれてしまい効果は薄かった。幸い、その攻撃を煩わしく思ったのかブロブスターは二人の乗るクロムチェスターγ機を標的に定めて火炎弾を次々と放っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アクアラインの水没部分に潜っている孤門と弾はアクアスーツ、ボンベを装着して亀裂の入った場所にたどり着いた。辺りをライトで照らし痕跡を探す二人。すでに残されている手掛かりのほとんどが流されてしまっている以上、期待した成果を得られる望みは薄い。

 亀裂の外を見る弾。かつて、自衛隊にいた彼は周囲の状況をよく観察する。亀裂の周囲からそこから見える東京湾の海中を見る弾は亀裂の外側、東京湾に面している部分に自然には出来ないものがあるのに気が付いた。

 

 (これは、削岩機か何かで削ったのか?隊長たちの話じゃあペドレオンはアルコールを燃やした火球を吐くって話だ。あんな柔らかい体でどうやってコンクリートを破壊できる?)

 

 削岩機を当てたかのような跡。それを確認した弾は孤門にその痕跡を見せた。その時に二人のパルスブレイカーに通信が入った。孤門と弾はそれを確認すると急いできた道を戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大紀にも東京湾に現れたビースト、ブロブスターに関しての知らせが入っていた。子ども達の様子を見ていた職員から書類作成の仕事をしていた職員までの全員のケータイに東京都から避難勧告を出されたのだった。それよりも前に大紀は懐に入れていたエボルトラスターから何かを感じていたのだ。

 

 (一体、何なんだ。)

 

 そう思った大紀は子どもたちの避難をしている他の職員から周囲の状況を把握するために動くと言い、事業所から出た。

 誰も周囲に居ないことを確認した大紀は懐からエボルトラスターを取り出す。エボルトラスターはドクンドクンと鼓動を撃つかのように発光していた。

 

 「あのビーストのことなのか。俺にどうしろと。」

 

 エボルトラスターにそう問いかけるも何も返ってこない。だが、大紀は意を決してエボルトラスターを抜き、天に掲げた。天に掲げられたエボルトラスターから光が放たれ、大紀を包み込みウルトラマンネクサスへと変えていく。

 変身を終えたネクサスは東京湾の方へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京湾では凪と鈴音が乗るクロムチェスターγ機に加え、弾が操縦するα機と孤門が操縦するδ機がブロブスターを攻撃していた。3機とも攻撃をミサイルからレーザー主体のもので行っておりブロブスターの体表を焼いていく。ブロブスターは3機のクロムチェスターに対して全身の触手を高速振動させて一気に伸ばした。長い間、ビーストと戦って来た孤門と凪は瞬時に回避行動を取った。その動きを見た弾は自分が見たアクアラインの痕跡を思い出した。

 

 「もしかして、あの亀裂を作ったのはこれか?」

 

 弾がそう言った時、ブロブスターが伸ばした触手がα機へと一直線へとのびてきたのだ。慌てて旋回しようした弾だが間に合いそうもなかった。だが、α機と触手の間に割って入った存在があった。全身を赤いオーラで包み込み、触手の動きを制限したネクサスだった。

 ネクサスはそのまま手裏剣型光線パーティクル・フェザーを放ち、ブロブスターを攻撃した。放たれたパーティクル・フェザーはブロブスターの背中に当たり、大きく爆発した。

 

 ピシャアアアアアアアアア!!

 

 ブロブスターは痛みの咆哮を上げた。ネクサスはブロブスターの前に降り立ち、ファイティングポーズを決める。

 

 シャア!

 

 ブロブスターは全身を大きくしならせ高速で泳ぎ始める。ネクサスは向かってくるブロブスター目掛けてメタフィールドを生成しようとストレートパンチを放とうとした。

 ブロブスターは全身の触手を高速振動させてそれをネクサスに突き出した。

 

 ディアアアア!!

 

 ネクサスは突進してくるブロブスターの重量に態勢が崩れ、さらには高速振動する無数の触手によって大きなダメージを受けてしまった。ネクサスは海中に倒れてしまい、そこをブロブスターがのしかかってきたのだ。

 

 

 「ウルトラマンを援護する!」

 

 状況を見ていた孤門が隊員たちに命令を下す。クロムチェスター各機は空中からブロブスターの背中に次々とレーザー光線を浴びせる。そんな中、弾が他のクロムチェスターに通信を入れた。

 

 「隊長。アクアラインを破壊したのは奴の触手です。奴の触手を破壊すれば攻撃手段を奪えます。」

 

 弾のその言葉に孤門たちはブロブスターの触手にターゲットを合わせた。先程とは違い集中して攻撃が来たためにブロブスターの触手が容易く破壊することが出来た。

 

 ピシャアアア!

 

 痛みのあまりにブロブスターはネクサスからその巨体をどけてしまう。

 解放されたネクサスは左腕のアームドネクサスを青く輝かせた。次の瞬間、ネクサスの身体は鮮やかな青色に変化、空中での活動に長けた高速形態であるジュネッススピードへと変わったのた。

 痛みから立ち直ったブロブスターはネクサスに火球の放つがネクサスはそのスピードで高速移動し、火球を避けながらブロブスターに一気に近づいた。

 

 ディヤ!

 

 ネクサスはアームドネクサスにエネルギーを集め、その刃でブロブスターの肉体を切り裂いていく。ブロブスターの肉体は非常に弾力性に富んでいるがアームドネクサスの強化された刃での斬撃には非常に弱かった。

 

 ピシャアア!!

 

 ブロブスターは反撃をするべくネクサスにのしかかろうとする体を大きく起こした。その瞬間にネクサスは空中へと飛び上がった。

 空中で静止したネクサスは両腕にエネルギーを集めてクロスさせる。その両腕を一気に振り下ろすとX字の光の斬撃が放たれた。

 ジュネッススピードの必殺技であるスラッシュレイ・シュトロームはブロブスターを切り裂き、切断した部分から身体の細胞を消滅させていった。

 ブロブスターの消滅を見届けたネクサスはそのまま空へ向かって飛び去った。




ブロブタイプビースト ブロブスター
 東京湾の海底でウルトラマンネクサスの戦力を学習した複数のぺドレオンたちが合体して誕生したビースト。名前の由来は世界中の海岸に打ち上げられている謎の腐乱死体ブロブスターから取られている。ネクサスをも押し潰す巨体に高速振動することでコンクリートも粉砕する全身の触手が武器。海中にいたためにぺドレオン特有の体内のエタノールはほとんど存在しない。また、その巨体は弾力性に富んでおり、ネクサスジュネッスストロングのパワーでも粉砕できない。
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