BIO HAZARD -Queen Leech- 作:ちゅーに菌
教えて! マーカス博士!(他のタイトル)
※前話の少し前のお話です。
やあ、ラクーン市警の諸君。ラクーンシティ警察署での臨時講義にお集まり頂き結構結構。私はかつてアンブレラを創設した3人のひとり――
元アンブレラかつ創設者ではあるが、約十年前にアンブレラとそこの
さて、前置きはこれぐらいにしてまず君たちをここに集めた理由を述べよう。それはこのラクーンシティで何が起きたのか、そして活性死者もとい君たちがゾンビと呼ぶ存在とB.O.W.と呼ばれる怪物達の大まかな概要を伝えるためだね。
まずは前者から話して行こう。不確定情報が混ざるため、若干の推測を含んでいる事は先に理解してくれたまえ。
このラクーンシティで何が起きたのか、結論から言ってしまえば大規模な生物兵器のウィルス漏れ、パンデミックかつバイオハザードだ。
そして、漏れたウィルスはT-ウィルスと呼ばれるものであり、こちらも極限まで詳細を省くとゾンビと生物兵器の怪物を作るウィルスであり、それを研究している研究施設がこのラクーンシティの地下に幾つも点在している。そのひとつから大規模なウィルス漏れが起り、ネズミ等の小動物を媒介にしてラクーンシティ中に広がったというのが今回の事件の全容だろう。
さて、本題だ。まず手始めにゾンビと君たちが呼び、ラクーンシティを徘徊しているあれらについて話すとしよう。とりあえず、この日記を流すので各自軽く目を通したまえ。
それは私が生まれた研究施設の近くで発見した日記で、人間がゾンビになるまでを主観で書かれた
かゆうま日記のようにT-ウィルスは感染した時点から自我を失いつつ段階的に人間をゾンビに変え、あるいはゾンビに深く噛まれるなどして一度に大量のT-ウィルスが体内に入ることで短期間でゾンビを作り出すものだということだ。
学術上は活性死者だが、ゾンビになった人間は自我を失い"食べる"という最も単純な本能にのみ支配される。一度こうなってしまえば今のところ治療方法は存在しない。この私がないと言っているんだ。例え生前にどんなものが相手だとしても絶対に躊躇するんじゃないぞ?
ゾンビの動きは緩慢で逃げることは容易いが、痛覚反応がほぼなく、痛みというものを感じないため、通常ならば致命的な外傷を受けようとも関係なく襲い掛かって来る。また、食糧を目の前にすれば多少機敏に動く程度のこともして来る。
そのため、手足を撃つ程度の生半可な攻撃ではゾンビを止めることは出来ん。それどころか一度組み伏せられてしまえば、向こうは肉体の枷がないのでそのまま頂かれてしまうだろう。
運が良ければ喰い付かれている最中にゾンビに変わって死ねるが、諸君らにはT-ウィルス抗体であるデイライトを既に打っているので、身体中を喰われて大量出血で死ぬまで自我を保ったままになる。それが嫌ならば先程言ったように躊躇せずにやる事だね。
さて、では本講義の"アンブレラのB.O.W.に対する防衛術"として、ゾンビへの対策を説明しよう。まあ、厳密には活性死者はB.O.W.ではないのだが、そこのところは置いておくべきだな。
ゾンビはまず前提として極めて近くまで近寄らなければ動きが遅い。そして、自我はないとはいえ、当たり前だが生物ではあるため、頭部もとい脳が弱点だ。そのため、遠距離から頭部を的確に銃撃する事が最も効果的と言えるだろう。それから常に声を出しているので音を聴くことも重要だな。
銃がなくどうしても近接で対応しなければならない時は下顎を潰せ。そうすれば少なくとも噛み殺される事は無くなるだろう。組み付かれた時に自身から引き剥がすだけならば首をナイフ等で突き刺して脱出するのが効果的だ。首は神経や気道があるため、強い衝撃と共に攻撃すれば流石にゾンビと言えども幾らか怯みはする。
ゾンビの面倒さは他にもあり、まるで死んだふりをしているように地べたで伸びたまま動かなくなっている事もある。近付けば再び動き出すため、足の方から近付いて蹴って生死を確認するか、頭に鉛玉をプレゼントしてやるのがいいだろう。
理解出来たかね? くだらんミスや無知で命を散らしたくなければ頭に叩き込むがいい。
では本題のB.O.W.の説明とその対策に入るとしよう。B.O.W.正式には
この私も半分はB.O.W.と言えるだろう。もう半分は父であるジェームス・マーカスの偏愛と怨念と言ったところか。まあ、私レベルのB.O.W.はアンブレラに存在しないため、その辺りは安心してくれたまえ。
代表的な注意すべきB.O.W.としては――。
・ケルベロス
・リッカー
・ハンター
・タイラント
――その4体だな。まあ、ケルベロスは私とは違う意味で半分B.O.W.であり、リッカーは今のところはイレギュラーミュータントなのだが、将来的にはB.O.W.として使われると思われるため、こちらで説明しておこう。
ケルベロス――。
ギリシャ神話の地獄の番犬の名を語っては入るが、実際には軍用犬のドーベルマンの犬種にT-ウィルスを注入して感染させただけというとてもシンプルなB.O.W.だ。
また、これに関してはドーベルマンだけでなく単純にあらゆる犬がT-ウィルスに感染しただけでどんな個体も言わばゾンビ犬となるため、避難者が連れて来た犬にもデイライトを打っているのはそういう意味があるのだよ。室内で元気に走り回って避難者をドッグフード代わりにでもされたら堪らんからな。
ケルベロスあるいはゾンビ犬の最大の特徴は、ゾンビとは違い身体能力が全く落ちず、筋力や俊敏性が強化され、凶暴性を保ちながら群れで行動する本能が残っている事だ。まあ、その代わりに制御面に関してはゾンビと変わらんがな。
つまり恐れを知らない犬が集団で襲い掛かって来ると考えて問題ない。人間は単純な身体能力では大型犬どころか中型犬にも劣ると言われているため、その脅威度は計り知れないだろう。
まあ、とは言え結局のところゾンビな犬でしかないために荒い呼吸を常にしているので、前提としてゾンビ以上に音を聴く事が大事だろう。要するになんかハアハアしてる声が聴こえたら何処かしらに居ると思え。
対処方法としては単純に銃撃だな。基本的にケルベロスはゾンビ以上に肉体の劣化が激しいために身体の耐久が低い。また、危険回避をするような知能はないので見掛けたら頭部と言わず、全身に弾を浴びせれば直ぐに倒せる筈だ。
ハッキリ言って他に対処方法はない。閃光手榴弾を使うと一定時間ほぼ無力化出来る程度だな。大人しく弾を当てろ。警官なのだからエイムを頑張れ。
リッカー――。
リッカーはゾンビが食糧を摂取し続け生き延びた結果、突然変異を起こして生まれたイレギュラーミュータントだ。イレギュラーミュータントとはウイルスの二次感染などといった外的要因で突然変異した個体のため、厳密には今のところB.O.W.ではないが、その異様さは筆舌に尽くし難い。
辛うじてかつて人間であったことはわかるが、骨格が変形して四足歩行となり、ヤモリのように壁や天井に張りつき、全身が剥き出しの筋肉に覆われる発達が見られる。脳髄が露出して眼窩部までせり出した事で押し潰れる形で視覚を失っているが、代償に聴覚が発達しており、極めて小さな音にも反応する。攻撃としては巨大な鉤爪で引き裂き、伸縮する舌を槍のように突き出して人体を貫通させる事さえ可能だ。
まあ、リッカーに関しては説明や私の描いた図よりも実際に目にした方がよくわかるが、人間が初見で対処するにはやや厳しいのでな。その奇異さだけでも伝わればいい。
何せ、ゾンビが良い栄養状態を維持し続けるという都市がT-ウィルスで壊滅でもしていなければまずお目に掛かれない個体だ。そろそろ沸き始めても何も可笑しくはないだろう。アンブレラはさっさと壊滅した方がいいな。
リッカーの高い移動能力のため、署内の換気ダクトには私のヒルが敷き詰めてあり、窓という窓を塞いだのもそれが理由だ。避難者の区画に入られたら堪らん。今後同規模のバイオテロが起こるとすればリッカーの出現までが災害時の壁となりそうだ。
対処方法としてはほぼ聴力だけで反応するため、音を出さずにいればやり過ごす事も可能だ。直接接触すれば流石に反応するがな。それを逆手に取って、忍び足で近付いて至近距離からショットガンでもお見舞いすれば楽に倒せるだろう。反面、脳髄が剥き出しの割にそこまで弱点でもなく、単純に火力で押し切った方がいいため、ハンドガンでは若干火力不足なので気を付けろ。
…………脂質のない赤身肉で旨いんだよなぁ、リッカー。
蛇足だが、イレギュラーミュータントではゾンビの肉を食べたカラスが二次感染を引き起こしてヒッチコックの鳥のようになったクロウや、T-ウィルスを血液を通して接触したノミが巨大化したドレインディモスやらブレインサッカーがいるが、前者は屋外で集団で襲われなければ素手でもどうにかなり、後者は巣に近付きさえしなければ特に問題はない。
まあ、ドレインディモスに関しては組み付いて卵を口腔から体内に植え付けて来るので、万が一植え付けられたら卵下しのためにハーブを使用する事だな。この植物万能過ぎるだろ。柿の100万倍ぐらい医者いらずだな。
そうだ。そこのT-001がラクーン大学で栽培していたハーブを大量に用意しているので、各自好きに持って行くといい。そのまま、スプレー、タブレットの3タイプを用意しているからな。
なんだねレベッカくん? 粉末タイプは無いのかだと? お前、戦闘中に肺や気管支にでも入ってみろ。一巻の終わりだぞ? 欲しければ自分で加工しなさい。
閑話休題。失敬、本題に戻ろう。
ハンター――。
人間をベースに他の生物の遺伝子を組み込み創り出されたB.O.W.であり、猿人類に爬虫類を混ぜたような外見をしている。敏捷性が高く、全身が鱗に覆われているためにそれなりの耐久があり、他の固体と連携して両手の鉤爪で獲物を狩る姿が狩人という名の由来にもなっている。うむ、よく描けた。大体こんな感じだ。
それだけでなく扉の開閉をし、簡単な命令ならば遂行可能な知能を持つため、B.O.W.としては既に完成していると言っても過言ではないであろう。そのため、改良モデルも既に試作されているな。
……ああ、改良モデルと言えば、この署内の地下の下水道区画にそこのDr.ローガンがアンブレラから離れて勝手に研究開発しているハンターγというハンターの水棲モデルが20〜30体放たれているので、下水道にはあまり近付かないようにしたまえ。まあ、どのみちそんなところに用はなかろうが、万が一相対した場合は"ローガン"と連呼するとその間は襲われなくなるので覚えておくといい。
むしろ、下水道から上がってくるゾンビ等を勝手に処理しているので、署内の安全性を上げることに貢献していると言えるな。ハンターγはラクーンシティの下水道を完全に把握しているため、これぐらいはお手の物だろう。
しかし、今回のアンブレラが起こした事件のせいで、開発が打ち切られたハンターγが有能だった事が確認出来たとは、皮肉としか言いようがないな。おっと話が脱線したな。
対処方法としては威力の高い銃火器で徹底的に戦う他ないな。ハンターに関してはB.O.W.として余りに完成している。自信がなければ交戦経験のあるS.T.A.R.S.や我々に任せろ。命を捨てるぐらいならば時には逃げる事もまた勇気だ。
タイラント――。
先に言っておくが、これに関しては悪いことは言わん。必ず発見次第S.T.A.R.S.か我々に押し付けろ。決して戦おうとはするんじゃないぞ。
タイラントは暴君の名を冠するアンブレラ究極の生命体にして、最高の兵士をコンセプトに製造されたB.O.W.だ。これに比べればこれまでのB.O.W.やイレギュラーミュータントは全て玩具のようなものだよ。
既存の生物を遥かに超越した戦闘能力、異常極まりない生命力、心無い暴力性。それら全てを人型に詰め込んだ生物兵器であり、軍が相手にするようなレベルの代物だ。
今、アンブレラで正式採用されているのは量産型タイラントであるT-103と、ネメシスの2タイプと思っていい。T-103は君らにハーブティーを配ったそこのT-001とほぼ同じ外見だ。ネメシスは現像した写真があるのでそれを回すとしよう。
特にT-103は外見が人間に近いだけに脅威性が分かり難いと思うので、こちらに署内にあったブロンズ像を用意した。では、やってしまいなさい。
――――はい、この通りT-001がブロンズ像の頭部を片手で掴んで力を加えただけで潰れ、殴れば容易く胴を粉砕する。更に……このようにハンドガンのような生半可な銃弾程度ならばその鋼のような筋繊維の前にマトモなダメージにすらならない。
これがタイラント、アンブレラ究極のB.O.W.の力さ。更に言えば中途半端に倒してしまうと、生命の危機への防御反応により肉体のリミッターが外れて暴走状態となり、ふた回りは性能が引き上がる。そうなると最早、手のつけようがないだろう。
まあ、そのタイラントが所内にはT-001、T-002、タナトスの3体がいる。何れも旧形のタイラントだが、彼らが警察署周辺の掃討をしてくれているため、その能力は君らも知るところだ。
もう一度言うが、タイラントに関しては必ず発見次第討伐経験のあるS.T.A.R.S.か我々に対処させろ。下手に常人が挑もうとも悪戯に犠牲を生むだけだからね。
とまあ、今日の講義はこれぐらいか。これから間違いなくアンブレラは生存者の掃討に掛かって来る。ひとりでも多くの人命を生かすためにもB.O.W.やアンブレラの正規部隊との戦闘は避けられないだろう。諸君らの健闘を――――ん? 何かな?
ああ、確か君はケビン・ライマン君だったな。
31歳。射撃大会で好成績を残し、射撃の腕は署内No.1と言われている程度には有能。しかし、大雑把で楽天的な性格故に遅刻や欠勤が多いなど勤務態度に若干の問題があり、S.T.A.R.Sの試験にも2回落ちているとの事。
何か私に入り用かね? 銃器ならば好きなものを持って行くと――んぅ? 私が覚えていることが意外かね?
ここに来た時点で、避難者と諸君らの名前とプロフィールぐらいは覚えて把握しているよ。そちらの方が効率的だからね。
…………ほう、ほう……なるほど。自身にもハンターやタイラントを相手取らせて欲しいと? ふむ、まあ能力上は問題はないだろうし、私は問題ないのだが。
まあ、人間は10人に1人の割合でT-ウィルスの抗体を持ち、そうでなくともウィルスの効きやすさにも個人差があるため、間違いなくその辺りもS.T.A.R.Sの審査基準になっていただろう。なあ、アルバート? 違うか? フフフ……だろうなあ。
ならば今となってはその基準値もデイライトでクリアしているだろう。さて、では良いかエンリコ君? 今更だが、いや今だからこそ必要でもあるだろう……ああ、それがいい。良い選択だ。
良かろうライマン君。君は今日からS.T.A.R.Sだ。その腕を存分に振るうといい。
まあ、私は部外者だが、折角だから餞別をやろう。よいしょっと……ほら"SV-98"だ。最新のロシア連邦軍製、ボルトアクション方式の軍用狙撃銃だよ。それならハンターやタイラントをぶち抜くには十分だろう。精々、頑張りたまえ。
なんだね? 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして? なに、セルゲイからタナトスのクローンの報酬に貰ったモノのひとつだ。それは兎も角、私が使う分と、アルバートに渡したモノを含めて後、4丁あるから気にするな。
…………さて、何も期待しているのはライマン君だけではない。
"忠誠"は"服従"を生み
"服従"は"規律"を生む
"規律"は力となり
その力が全ての源となる
忠誠とは私に捧げるものではない。諸君らが個々で持つ警官としての矜持、無辜の人々を護るという覚悟、悪に屈しないという善性。それら全てを正義と言い、己の弛まぬ志にこそ忠誠を尽くすのだ。
故に私が期待しているのは諸君らひとりひとりだ。私に無い輝きを持つ君ら全てだ。
さあ、より多くの人々を救おうじゃないか……。
※この後、子供にナメられます。
〜 ジャクリーンの装備(アンブレラ幹部養成所) 〜
・M870 (養成所で拾った)
・グロック17 (第一班を皆殺しにした時に拾ったハンドガンをカスタムハンドガンにしたが、レベッカに投げ渡した。その後、返って来ていない)
・グレネードランチャー (未使用)
〜 ジャクリーンの装備(ラクーンシティ) 〜
・M870 (養成所から使っている)
・SV-98 (セルゲイから貰った)
・レッド9 (限定仕様 ケンド銃砲店カスタム)
・グレネードランチャー (養成所で拾った)