恋姫で巣作り   作:ししお

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三国志、戦争?何それおいしいの?
大丈夫だ、問題ないって人だけお読みください


第五話 黄巾の乱?乱なのか?

 バーンとフウがカリンを交えて話し合っているが、バーンはすっかりこのカリン陣営とも言える勢力の軍師ポジションに収まっている気がするな。

 

「……という訳でじゃな、近々というかもうすでに起きておるな、この大陸の大国である漢の北西部のいくつかの州にて飢饉が起きておるのだが、この州の管理者たちはまともに物資糧食を放出しておらん。この先に何が待っておるか?簡単じゃ、かなりの規模の暴動が起きるじゃろう」

 

 黄巾の乱が起きる、その状況背景を簡単に説明する。

 

「大きな戦争が起きるという事ですねー。戦争特需というものも見込めるかもしれませんが……」

 

「フウ、それは却下よ。何よりもそんなことを許してしまえば死の商人のそしりは免れないし、国がやせ細るわ」

 

「儂らはそれを阻止するために何をするべきか?どう動くべきか?わかるかの?」

 

 バーンはにやりと笑いながらカリンとフウに考えさせる。

 俺はその後ろでお茶菓子とお茶を用意している。

 

「むぅーん……ただ食料をこちらで放出する、ではこちらが損をするだけですし……」

 

「迷宮を活性化させるのも並行に行うとしたら、こちらに来る理由を作る必要はあるのよね」

 

 お茶を飲みながら悩む二人を眺めているバーン、少し咎めるように見てやればくつくつと声を出さずに笑う始末。

 本当に意地の悪い奴だ……だが、成長には考えることも必要だからな。

 考え悩み失敗してもかまわないタイミングで失敗を学び、覚えさせる、すでに考えをまとめている上手な教師役が居てこそできることだ。

 さて、どのくらいで答えに辿り着くか、それともバーンの考えよりもいいものが出てくるのか。

 考えの纏っている俺たちが他に考えるべきは、作った覚えのない、だが俺は見たことのあるあの中華風の部屋……玉座の間といった雰囲気を出した造りをした例の部屋がなぜ迷宮に繋がっているのか、だな。

 おそらく収められていたのは、あの銅鏡だろうが輝きも失い真ん中から真っ二つに割られていたというのが謎だ。

 バーンの奴にも調べてもらったが、力の残滓というものは残っていなかった、何者かが使ったとはとても思えない状態だったという事だが、ならばなぜ割れているのか?という謎が残る。

 あの銅鏡は正史と外史をつなげる役割を持つ強力な道具であり、管理者たちにとっても大切なものな筈、それを放置する理由というものが思いつかない、思いつかないがもし……管理者たち自身が居ない世界であるならば?放置せざるをえないか?いや、奴らは管理者であると同時に監視者でもある、であれば鏡だけがあるという事は不自然だ。

 バーンの奴を見れば、顎をしごきながら思案顔になる。

 

「周辺都市群には偵察を出しておるが、いまだに見つけたという報告は入ってきていない。今、この山に封印は存在しておらんよ……じゃが気配そのものはこの世界にあると示している。なんとも面倒な話じゃなあ、この外史というものは」

 

 こんこんと机上に置いた盤面を駒で叩きながら違う駒を掴み歩を進めてくる。

 俺は肩をすくめながら、本当に世界というものは予想の斜め上をしてくれるものだと呆れながら桂馬を打ち出す。

 

「ぐむぅ……」

 

 打たれた手を見てバーンは顎に手をやり分かりやすく唸る。この先38手でバーンの詰みで負けるところまで読んでその上で俺がミスをしないことをよく理解しているからだろう

 バーンと戦った時も詰将棋のように詰めていったからな。

 

「やれやれ、やはりお前さんはこの手のものは強いのう、投了じゃ。カリンちゃんとフウのお嬢ちゃんはこちらで見ておるから、お前さんはお前さんで用事を済ませてくるといいわい」

 

 やや温くなったお茶を飲みながら、今もうんうんと悩む二人を見ながら後ろ手に振ってカズトを送り出す。

 

 

 

 次に向かうのはプリニー達の仕事場に足を向けていく。

 途中途中にある迷宮の罠も確認しながら、プリニー達を数人捜し歩く。

 

「こっちっすよー」

 

 声のした方に向かっていくと、劉協がプリニー達と仕事をしていた。

 

「はい、ここなのですね」

 

「あ、口調は楽なのでいいっすよー。偉そうに見えないっす」

 

「まー、自分たち下っ端っすけどねー」

 

「こう背伸びしてる子供を見るみたいでほっこりするっすよ?」

 

 見てわかるようにショックを受けている。

 何をしているんだかと思いながら近づいていけば

 

「あ、大将っす」

 

「お疲れさまっす」

 

 こちらを確認するなりビシッと敬礼するプリニー達に続いて……

 

「え、えっと……こうなんだもん?」

 

 劉協までぎこちない敬礼をする。

 

「あ、劉協ちゃんはしなくても大丈夫っす。敬礼っすから」

 

「ところで……ほいほい、了解っす。五穀辺りでいいっすかね?」

 

「ごこくってなんなんだもん?」

 

「五穀ってのは米・麦・豆・稗・黍なんかの穀物の事っすよ。ただ地方なんかによって含まれるものが違ったりするっすよ」

 

「お米は取られてるからかわりに粟とかが良さそうっすね」

 

「麦も大麦っすね、小麦はこっちで使っちまうっす」

 

「お金はどうするっすか?こっちの連中と取引っすね。了解っす」

 

 用件を伝えるとプリニー達だけでわいわいと案をまとめていく。

 お金?貯めるだけって無能だよな、金は世の中に回してなんぼ、経済活性も狙っていくべきだろう、有事の貯蓄ならわかるがな。

 あとは商人がフウ中心にして、外にいる三人を護衛兼従業員、劉協劉弁にも労働というものを知っておいてもらうか。

 つらつらと今後の予定をメモ帳に書き記しながら、さらに先の事を考えていく。

 迷宮での防衛強化と防諜強化もしておきたいものだが、さていい人員は居たかな?何人かめぼしい人物を頭の中でピックアップしていく。

 まぁ、基本的にはカリンの思想に沿ったものになるがそのあたりは気にしすぎても仕方ない注意されたらその都度修正するとしよう。

 今のところ問題もこれと言って起きてはいないしな。

 

 

 

 プリニー達と別れ次に向かうのは演習場として作った比較的広い部屋、そこには巻き藁やシューティングターゲットなどがランダムで出てくるように設置した部屋だったりする。

 部屋に入れば孫堅が飛び出てくる巻き藁相手に剣を振るっていた。

 

「ふっ!はぁっ!せいやぁ!」

 

 縦、横、切り上げと素早く三連撃を叩き込んでいく。

 見てみれば撃破を示唆する巻き藁が十数体床に転がっている。

 今のでこちらに気が付いたのだろう、こちらを向いて獰猛な笑みを浮かべ近づいてくる。

 

「あんたか、丁度いい手合わせしようぜ」

 

 剣をぶら下げこちらに近づいてくる。

 実力を調べる意味でも、ここからさらに上を知って目指してもらうにもいいだろうな。

 こちらも剣を掴み相対する。

 

「そんじゃいくぜぇ!」

 

 そう叫び突っ込んでくるのに合わせ、鏡合わせのように同じ構え同じ速度で同様に突っ込み剣戟を叩き合わせる。

 同じタイミング、同じ軌道、同じ速さ、同じ力加減、そう思えるのに弾かれたのは孫堅の方だけであり、それに驚愕の表情を見せる。

 

「!?」

 

 同じタイミングに見えるが体幹の扱い方、武器の握り方からの力の加え方抜き方、重心操作での足運び、教えることは多くなりそうだ。

 

「ちぃっ!!」

 

 今のやり取りだけでこちらの思惑を察したのだろう、苦々しい顔をしていた。

 鍛えてやる、その上から目線が気に入らない、と言ったところだろうが気にいるいらないはこちらの知ったことじゃない、まだまだ弱いという事実こそが悪い。

 何度も鋼を打ち合う剣戟の音を繰り返しながら今回は足の使い方を重点的に叩き込んでいく。

 教え方は簡単、目の前で使ってやるだけで十分、まったく天才というのは才能の全くない俺からすれば羨ましい限りだ。

 

「はっ……はっ……はっ……くそっ!一発も返せねぇ!」

 

 最初の苦々しい表情は消え、今は挑む前の獰猛な笑みを汗だくの身体で浮かべていた。

 悔しさもあるだろうが、さらに強くなれることとその先が確かにあることへの喜びなのだろう、武の道に足を突っ込んだ奴がよく思うことなのだろうな。

 俺には全くと言っていいほどにわからんのだが、ここまで強くなったことですらただの経過でしかなく……俺自身ではまだまだ弱いと思っているのだから。

 とりあえず人の身でここまでやれることを見せておこう。

 纏う武具の色が黄色から白熱へ、そして赤熱へと移り碧金、最後に色無き深淵の漆黒へと至る。

 

「あぁ、そうか……俺はまだまだ『弱い』んだな。まだまだ先は遠いってか?」

 

 その質問に俺は堪えることができない、俺もまだ其処に辿り着けたとは思っていない。

 だからそれへの応えは肩をすくめることで返す。

 血の昂ぶりが収まらないとか言って突撃してきそうだから戸締りはきっちりしておこう。

 

 

 

 迷宮の前に黄色い布を巻いた多数の人々が集まっていた。

 黄巾の者達であり、張角たち役満☆しすたーずの歌謡演舞を楽しみにしているファンたちがメインだが食べるものがなくなり合流した難民たち、数の力を頼りにした賊たちが合わさり膨大な数になっていた。

 その数はもはや素人に毛が生えた程度の張姉妹では手に余るほどに、だから垂らされた糸は彼女たちにとっての救いだったのだろう。

 邑や町を襲わなくとも手に入れられる場所がある、そう示された場所は………そう、カズトたちのいる迷宮、今では悪鬼羅刹の巣窟とも云われており此処に天子たちが囚われているのだと。

 富を求めた者、名を求めた者、武を求めた者、救いを求めた者、今日も様々な思惑をもって人は迷宮へと、煉獄へと足を進める。

 満身創痍の難民は一掴みの富を手に入れ食料を生まれ育った村へと、粗暴に暴れるだけの賊徒は罪状を書き出され街へと連行される。

 ファンたちがどうなったかって?泰山のふもとに街を起こしてる。

 巷では黄巾賊が行ってきた話を聞き我も我もと迷宮に挑むため街も賑わっているらしく、その話も都で話されるほどになっている。

 黄巾の乱は予定通りに終わり、しばらくは漢の軍を相手にすることになるだろう。

 

 

 

「やれやれ、日に数千もの人間を相手にするのも肩がこるのぅ」

 

「それで済んでる爺がおかしいだろ……まさかここまで膨れ上がるなんざ俺は想像していなかったぞ」

 

 茶を乱雑に飲みながら孫堅はカズトとバーンを胡乱気な目で睨む。

 

「そのまま暴走させていたら、この数倍規模か。ま、無事納めれてよかったわい」

 

「あー……放っておいたら飢饉の欝憤というか、そういったのが義憤っぽくなって更に人が集まってたのね。早い段階で収められて何よりだわ。皆お疲れ様、しっかり休んで体を休めてちょうだい」

 

「死にはしないけども理不尽すぎる迷宮ともっぱらの噂ですしねー。資金もうっはうはでフウは何よりですよー」

 

「でも、あんなにもお金はどうしたんだもん?」

 

「朕の勅命で官僚から巻き上げたわ。集めた金銀財宝をバーンお爺様がこちらに運んで迷宮の財宝を換金して食料に換えていたという訳よ。白丹」

 

「その差額が今回の儲けですねー」

 

 

 

迷宮評価:理不尽な迷宮




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