恋姫で巣作り   作:黒龍なにがし

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濃いキャラも多いが大丈夫か?
こんなサブタイトルでも、大丈夫だ問題ないという方はどうぞ


第六話 「ドキッ!漢女だらけの三国志」

 本来のこの世界、外史での主人公、北郷一刀はどこへ行ってしまったのだろうか?カズトが存在するためにこの外史にくることはなかったのだろうか?

 管理者たちが居ない?主人公が居ない?そんなことはない。

 

「朱里ちゃん、雛里ちゃん薪集め終わったよ」

 

 そう種馬一刀は水鏡学院の近くに落ちて臥竜鳳雛の二人に拾われ養われていた、一応出来ることはしているが、ただの高校生だという事を考えれば出来ることなど限られてくる。

 賊に襲われ助けられたことで村人に頼られ領主となり皆を守っていく覚悟をする機会もなく。

 また三姉妹に助けられその思想に共感し支えていこうという出会いもなく。

 無理やり連れてこられ呉の種馬になれと迫られることも知己の死を間近で見せられその想いを引き継ぐこともなく。

 賊に間違わられ連れてこられた先で王の生き方を間近で見てそれを支えようと歴史に挑むこともありはしない外史。

 

「あわわ……一刀さん待ってくだしゃい」

 

「ははは、また噛んでるよ。まだ慣れないかな?」

 

 ここ水鏡学院に男性はいない才女賢女と言った子が集められ日々研鑽を積んでいくそんな学園。

 そんな学園では当然、一刀は珍しく興味を引かれる存在でありながら学院へと来てから接触が極端に少なくなっていた男性という存在になっていた。

 そんな一刀がなぜ水鏡学院に居られる理由は天の知識があるからという唯その一点。

 そんな水鏡学院での来訪者は少ないがいないわけではない。

 今日も三人が水鏡学院を訪ねてきていた、男性が三人。

 一人は赤髪に黒のジャケットにシャツ、スラックスといった服を着た暑苦しそうな青年。

 一人はタキシードの上着とカッターシャツの襟のみ、そしてネクタイとビキニトップに褌という異色極まりない白髪をミズラの様に結わえ特徴的な髭を付けた筋骨隆々としたある意味でのジェントルメン。

 最後の一人はまた同じように筋肉を強調するような変態であり両サイドにみつあみを下げたスキンヘッドにピンクのビキニパンツを履いただけのまごう事なき変態。

 そんな三人をみた男性に免疫があまりない諸葛亮が見ればどうなるか?そんなことは決まっている。

 

「はわわ……はわわ……きゅう……」

 

 あまりにもショックが大きすぎて意識を手放すという現実逃避をしてしまった。

 

「いかん!気絶しておる!口から泡も吹いておるぞ!」

 

「あんたら何者だ!」

 

 それを目撃してしまった一刀がとれる行動は、雛里の目を両手で塞ぎ、不審者三人の事を詰問するだけだった。

 

「雛里ちゃんは朱里ちゃんを木陰で休ませてあげてくれ」

 

 朱里と雛里の間に立つようにして視線を遮る一刀だが、背筋には冷や汗がだらだらと流れていた。

 みつあみを下げた巨漢からの視線が気持ち悪いのもあるが、無手でこの編隊たちに勝てる気がしない、勝てなければ二人だけでなくその後ろにも水鏡学院がどうなるか分かったものではない。

 

「あぁん!ご主人様、逢いたかったわぁん!」

 

 三つ編みスキンヘッドから発された言葉に理解が追い付かない。

 

「ご主人様?誰かと勘違いしてないか?」

 

 両手を広げ目をつむり唇を突き出してくる変態を見て、とっさに腰に佩いていた木刀を抜き放ち喉元に突きを繰り出す。

 

「うっふーーん」

 

「く、来るなぁ!?」

 

 

 

 

 竹簡を畳みながら妙齢の女性が眼前に立つ人物を睨みつける。

 

「これは、本当の事か?」

 

「えぇ、本当の事よ」

 

 妙齢の女性に応えるのは線は細いもののしっかりと鍛え抜かれた体をしており野太い声で女言葉を操るチャイナドレスを着た男性だった。

 

「やれやれ、旦那の目を疑うつもりはないが……あの炎蓮が例の天子様を攫ったとかいう洞窟で見られたと?」

 

 竹簡に書かれていたことだが、十数年も昔に死んだとその骸も埋葬現場も見ていた馬騰は自身の連れ添いへと確認のために問う。

 

「あら、私の言葉疑うだなんて心外だわ。ちょっとした威力偵察で黄巾賊に紛れて一戦交えてきたのよ?ん何度も槍を交えた相手を間違えるわけがないでしょ……力も技もあの頃より磨かれてたけど確かに炎蓮だったわよ」

 

 その言葉に馬騰は笑みを浮かべる。

 

「へぇ、そいつは……楽しみじゃねぇか。あの炎蓮が誰ぞの下に付くなんざ想像がつかねぇが、あれか?翠や蒲公英の奴に任せてる一刀の奴みたいなやつでも居るのか」

 

「それはどうかしらね?中央にいたのは文字通りの怪物だったわ。あれには勝てる想像がつかない、緑と組んで万全で挑んだとしてもね……全力で挑んたっていうのに底が知れないわ」

 

 何も書かれていない竹簡を手に取り、筆を走らせていく。

 そして連れ添いに命じる。

 

「じゃあ、次は私が行ってみようじゃないか。翠と蒲公英と一刀の奴を連れていく、留守は任せるぜ?馬騰」

 

 その決断に馬騰と呼ばれた男性は竹簡を受け取り、妙齢のライトブラウンの髪をポニーテールに纏めた男性とは色違い、同じデザインのチャイナドレスを着こなした女性の馬騰に言葉を返す。

 

「えぇ、それじゃ私はこっちで五胡を止めておくわよ」

 

 竹簡に書かれていたのは馬騰が馬騰へ軍権などを譲渡するための命令書。

 真名こそ違うものの同じ馬騰であり、同じように作られた槍、同じように学びくみ上げてきた対五胡の戦術、それは片側が倒れようとも中華を守るために造り上げた方法。

 

「じゃ、吉報待ってな、黒鉄」

 

「負けても泣く胸は貸してあげるわ。うふふ」

 

 一刀、翠、蒲公英の前に緑は立ち、説明もなく兵たち五千を用意させた。

 

「と、言う訳でだ。泰山に遠征に行くぞ」

 

「いや、何が『と、言う訳』なんだ母さん!」

 

「おばさま唐突過ぎだよ」

 

「あー……黒鉄さんが出かけた理由ってそれかぁ」

 

 三者三様の反応を緑は楽しみながら、黒鉄が出かけていた事に気が付いていた一刀に感心していた。

 磨けば馬家に不足してる軍師の真似事くらいできるかなどと考えつつ、兵たちの様子も見ておく。

 

「へぇ、一刀は気付いたみたいだけど、どこまで読んだ?」

 

「多分だけど、知っている人は少ない方がいいってところかな?」

 

 中年と差し掛かりかけている一刀はニヒルに笑いながら問いかけに確認のために言葉を投げ返す。

 

「どういうことだよ?一刀」

 

 翠は全くわかっていないのか一刀を胡散臭げに見ている。

 蒲公英はなんとなくわかったのか、あーって納得した声を出しながら、笑いながら翠を見る。

 

「にしし、翠おねえちゃんは分からないの?蒲公英はなんとなくわかったよ」

 

「それじゃ蒲公英に聞こうか、翠にどういうことか説明してやりな」

 

 からかい目的で笑っているけど、本当にわかっているなら私に笑うことはあっても翠を見て笑いはしない、一刀は全部を話さない、そしてそれが今回は正解。

 

「えーっとね、私たちが遠征に行くって五胡に知られないようにするためだよ。だよね?」

 

「一刀採点は?」

 

 今、この策を献策者以外で理解していそうな一刀に聞いてみる。

 

「30点かな、他にも目的があるから……この先は馬上でした方がいいと思うけどどうかな?緑さん」

 

「そうだね、今は文字通りに時は金なりだ。とっとと馬に乗りな!」

 

 

 

 

「カズト、ちょっとそこに立ちなさい」

 

 カリンに呼ばれて立たされる。

 

「改めて思うけど背が高いのよね、手を伸ばしてそのままでいてちょうだい」

 

 何をしているかはたから見ればわからないだろうが、簡単に言えば俺をアンテナの代わりにして魔界との通信をカリンが試みているところだ。

 この世界と魔界が通じているのはフウとプリニー達との実験で判明しているために、カリンも昔の部下に連絡を取っているところ。

 またプリニー達の怪我や死亡時の復活などができるヒーラーが来てくれることになっている。

 俺の知っているヒーラーは服の内側にとげの生えたドM御用達アイアンメイデン仕様の変態服を着ていたはずだが白丹や空丹に悪影響を与えなければいいのだが。

 こちらも軽く保険をかけておくか。

 

『カロン、聞こえるか?』

 

『んん?なんとも懐かしい奴からの連絡じゃな……アルビオンから抜けるとき以来か』

 

『頼みたいことがあるのだが……』

 

 しばらくカロンと話していると、カリンが声をかけてくる。

 

『やれやれ、あの方も仕事が増えると愚痴りそうじゃな』

 

「カズト、もういいわよ」

 

 振り返ろうとし腰越しにあたる感触を感じ、首だけひねって抱き着いているカリンを見る。

 

「どうかしら?」

 

 胸を押し付けているのだが、さてその両手はどこにあるのだろうか?

 俺の股間辺りで手を組まれているんだが、断続的に実体化して息子の大きさを確かめようとするのはやめてもらえないだろうか。

 

「む、思ったより大きい……けど硬くはならわね」

 

 さわさわむにむにといじりながら胸を押し付けられる。

 何をしているのか?カリンが俺に宣戦布告したのを覚えているだろうか、その宣戦布告通りに隙を見てはベットに潜り込んだり、何かにつけて接触させたりしてくる。

 何を?胸をだ。

 ただ今は幼い二人もいるのでカリンの頭に『痛い』だけの拳骨を落としておく。

 白丹は顔を両手で覆いながら指の隙間から見ている。

 空丹はいつの間にかスケッチブックをもってこの状態をスケッチしていたのだが、拳骨を落としたところで残念そうな声を上げていた。

 

「いったぁ~~……なんで実体が無いのに!?」

 

 アストラル体、いわゆる精神の身とか魂の身といった状態の事だが魔力をそちら方向に調整してやれば素手でも何とでもなる。

 神とかはこれに耐性も持った状態だったりするが、やりようというものはいくらでもある。

 精神にダメージを負わせる強力な攻撃をしてやるだとか、存在そのものを砕く即滅な攻撃方法などだな。

 少なくとも今のカリンを叱る程度の攻撃は造作もない。

 

「お兄様、バーンお爺様とのなれそめを聞いたのですが……こんなものを渡されたのですが」

 

 ダイの大冒険全巻が机の上に積まれていた。

 バーンの奴は二人をバイリンガルにでもするつもりか?まぁ読めるようになれば歴史書や医学書、経済学の書かれたものなども読ませてみるのもいいかもしれないな。

 漫画は絵もある為読みやすくまたわかりやすい、その為『日本語』を覚えるにはいいかもしれない。

 ただこれは原本であり、俺は登場しない、二人へのバーンからの宿題といったところか。




ダブルで参戦している?残念一刀は偏在する(マテ
なお、空丹&白丹とはすでに真名を交換している模様

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