なお、作者はかなりの行き当たりばったり的にこの作品を作っている
恋姫側でのイベントは結構前倒しで進んでいくが、新しく入ったメンバーとして思い出す形でどうしてそうなったかを語る形を取っています
そんなお話でよろしければどうぞ~
フウが前に回答していたアンケート用紙の束を両手に抱えて、迷宮を走り回っていた。
確か内容は現在の職場に関する福祉の調査だったかな?睡眠時間や不満に思っていることその他もろもろ。
「あー、おにいさん!ようやく見つけましたよ!」
フウがぶんぶんと振るってこちらに向かってくる、防衛はプリニーに変わってもらって食堂に向かうところだったがどうかしたのだろうか。
「こ の な い よ う は!なんですかー!」
紙を器用に平面で投げつけてきた。
書かれているのは、不満無し、給料も一人でやっていく分には問題ない額、食事も最低限、睡眠時間は零、勤労時間は休み希望無しで日に二十三時間。
名前欄には俺の名前、何かおかしいところでもあっただろうか?
「うちはブラック企業じゃないんですよ!?何がおかしいのか首をかしげないでくださいよ!?」
睡眠は必要がないし、食事も地脈から力を吸い上げているから必要なし、同様に疲労もしないから休みも必要ないからな。
一時間の休憩も十時と三時のおやつを空丹と白丹、カリン、フウたまに来る天和、地和、人和に作ってる時間だし、給仕は休憩に入らんと思うのだが。
「どうしたっすかー?」
「プリニーさんたちもこれなんなんですか?」
ハリセンよろしくアンケートの束をプリニーの頭にぺしぺし叩く。
「就労時間十六時間、睡眠時間四時間、給金百ヘル……やっぱり給金もらいすぎっすかね?」
「違うのですよー……そうじゃないのですよ……」
プリニー達は普通は就労時間二十時間の休みなしで酷使され、ストレス発散でぶん投げられることもよくある、そして給金は出来高制で雀の涙、ボーナスはイワシが一匹が普通だからな……むしろこれで随分と緩いのだが。
「え?これでブラックなんすか!?こんなに天国みたいに優しい職場なのにっすか!?」
「えぇ……」
フウがプリニーの言葉にドン引きしている。
ここでブラックなら本来プリニーが働いてる魔界だとヘルかな。
「おうおう、どうしたんだい?そんなに騒いで」
頭に天使の輪、神父服を着た筋肉が目立つサングラスをかけた禿、サラドが暇を持て余したのかそれとも目の保養とか言いながらカリンやフウ達を見に来たのかやってくる。
「お、サラド神父っす。このアンケートの答えおかしかったっすかね?」
プリニーが自分のアンケート用紙を見せるが、サラドは顔を険しくする。
「いやー……こいつは働きすぎだろ」
フウは険しい顔をしてプルプルと震えている。
「いいですか?皆さん就労時間は九時間、休憩時間一時間、睡眠時間八時間は取ってください」
これから軍の規模が大きくなるから時間が足りるだろうか?日に一万侵入できるように設定しているがバーンが四千、俺が四千、プリニー隊が千六百、孫堅が四百で考えているんだが。
サラドを見ればにっかりと笑い。
「いいぜ、俺も手伝ってやろうじゃないか。伊達に『魔神殺し』なんて呼ばれちゃいねぇんだぜ」
サラドが加わるならいくらか受け持ってもらうこともできるな、最悪俺が一万受け持つことで他のメンバーを休ませることもできるしな。
最高練度の将兵が居ても百二十万までは一日で何とかできる計算だから。
どこまでも続く昏い暗闇で形作られた死路を歩いていく、粘着く血が足の裏を濡らしながらも私はその道を駆けていく。
壊れかけの境界線が窓のようにその世界を映し出す、見えるのは倒壊したビル群に洪水の後の様に押し流された建物や公共機関たち、まともなものは何一つ残っていなかった。
そんなゴーストタウンなど捨ててしまえばいい、そんな思いは外を見ればわかる。もう、こんな場所しか人が人として生きていられる場所が存在しないのだ。
歩む先はカテドラル、大聖堂と呼ばれる天使たちが今まで必死に生き抗っていた人たちの屍を使って造り上げた巨大建築物。
歩む彼を獲物だとでも思ったのかそれぞれの腕に武器を携えた六腕の破壊神が寄ってくる、いくつもの腕と顔を持つ巨人が襲い掛かってくる、怪物が、巨人が、神が、龍が、樹木がその道を歩むものを殺さんと襲い掛かってくる。
歩む彼は立ち塞がる者たちを区別なく切り伏せ、穿ち殺し、撃ち滅ぼしていく。その歩みを止めることはない。
歩みを止めるように私は……私『達』は彼に必死に声をかける。止まることはない止めることはできないそんなことはわかりきっている。
この屍でできた道を歩き始めたのは私達が居たからだ、私たちがいたから彼は屍を積み上げようともこの道を造り上げた。
私は追いつくために必死に駆ける。
もう触れられないことは知っている。
もう声が届かないことは知っている。
それでも私たちは追いつかなければならなかった。
「もう止めてよ……」
三叉矛が腹を貫き抉ろうと歩みは止まらず、むしろ加速して首を撥ねる。
「なんであんたなのよ……」
全てを凍らせるような吹雪の中、身を刻まれようとも冷徹に照準をつけ引き金を引く。
「なんであんたじゃなきゃダメなのよ……」
天使達が殺到する中、かつての仲間の亡骸を使用する。
私はそれを見て止めどなく涙を流すことしかできなかった。
会議室で書類仕事を片付けていたら、フウが入ってきた。今の時間フウは休憩のはずだが何かあったのだろうか?
フウは手に持ったスマートフォンに話しかけていた。
「はい、はい、そうですね。承知しています。はい、その件は……お任せください。がんばりますー」
ギュンギュスカー商会からの電話なのだろう、フウは上司との会話なのかややかしこまった形で電話をしているのだが……それを同じく仕事を処理していたバーンも見ていた。
先に合掌しておこう、商会南無……大陸を一つ丸々掌握している大魔王にいることを気付かなかったという言い訳が通じるわけもなく。
「え?声が小さい?……」
「うむ、フウよ。少々良いかな?」
ひょいっと軽い感じでスマートフォンを取り上げフウに変わりバーンが通話に出る。
「ほぅ、フウが誰の手伝いのために出張しているのかわかっているのだろうなぁ?あぁ?」
しかもバーンは太古、魔界に太陽を持ち帰ったとして古い魔族たちから神とあがめられているのだよな、それを手伝ったからこそ縁もあるわけだが……それゆえバーンが撥ねつけるとそれに便乗する魔界勢力って大きいのだよ。
「商いにおける詐称を働こうものならば分かっていようなぁ……」
声は怒りで低い声を出している様に演技しているが、顔はすごく笑顔である。
これは説明において高いものを買わせようとするのを防ぐのと、魔王復活保険の補填損失を言い訳にした一方的な契約切りを防ぐためだな。
「社長にも伝えておけ、二度目はない、とな」
そう言い残し、通話と切りハンカチで画面をぬぐい、フウにスマートフォンを返す。
これはかけなおしたら即座に報復かけるやつだな、相変わらずこの手の事にはえげつない。
「え?」
フウはスマートフォンとバーンを繰り返し見る。
「うむ、これでいらん横槍は入らんじゃろ。魔王復活保険をつぶそうとしている連中も動いておるようじゃしの。全くせっかく投資しておるものを一方的な都合で潰そうとは信用できんからの」
災害保険で保険屋がつぶれたというのなら許すんだろうが、潰れもせず損害が大きくなりそうだからやめますなどといえば、貴様ら契約を反故にするつもりかとガチですり潰しにかかるだろうなぁ。
古い魔族にとって契約とは存在意義ともいえるほどに順守する、それを等価として一度認めれば自身の存在が危ぶまれるような内容であろうとも実行する。
「うむ、儂じゃ。元気にしておるか?……うむうむ、ならばよかった。どうにも商会の方がカリンちゃんの復活にお金が掛かるようならば保険を取り下げるなどという者たちが居るようでな……よく理解しておるな、ならばそちらは任せた」
「あのー……どちら様に?」
国際問題にまで発展させる気満々か、まぁ保険の支払いも安くはないから勝手に取り下げるとなれば魔王たちが普通に立ち上がるだろう案件だから仕方がないか。
一部の例外を除けばほとんどの魔王が入ってるはずだからなぁ。
「うむ、息子を通じて各国の知己どもに今回の件を知らせておったんじゃよ。魔王相手に下手を打てばどうなるか……大々的に教えてやる必要があるからのぅ」
フウに胃に優しいお茶を用意してやりながら、これでフウのノルマもなくなるだろうと思いながらお茶菓子を何にするか棚の中を見る。
「あれ?もしかしてフウのせいで商会がピンチです?」
「それは違うな。これはフウのせいではない、保険を打ち切る派に属しているものが商会で暗躍しておるのが悪いのよ。魔王と人とはそうそう切れん戦があると知っておりながら継続して保険料を取っておったんじゃからの。これは契約を続けて引き継いだという事、故に契約が生きておるのにそちらが破滅せぬうちに降りるという事は出来んのじゃよ」
フウやカリンのような若い魔族では感性が違うかもしれないが、古の契約は本当に存在そのものを縛る効力がある物も珍しくないものだからな。
バーンの奴が契約更新の際に魔力を使っていたから優しい警告だ。破滅するぞ、というな。
「おぉ、そうじゃ。二日後に此処への連合が組まれるぞ。あとは馬家に一刀が一人、五千ほどで明日辺り奇襲をかけるつもりらしい。袁家にも一人、朝廷が発した檄に乗ってくるようじゃな総数は八万少々といったところか。あとは……公孫瓚とやらのところに剣介という子供がおる、聞いたことはあるか?後はカズトと呼ばれる男性が仕事を受けながらここに潜ろうとしておるようじゃ、連れはシシュン、ミンメイ、シャオと呼ばれる女性三人らしいのぅ」
けんすけ?というか……けんすけだけだと割と何人か浮かぶが繋がりのあるような奴は浮かばないな、お笑い芸人だったかアイドルだったかで居たような?くらいしかわからんのだが。
明日は歓迎の用意が必要か、罠のチェックとサラドをどこに配置するかを考えておこう。
帳簿を付けながら、私はふぅと一息つく。
フウさんを中心にしたお店の店番をしながら、人に化けたぷりにーと呼ばれるよくわからない存在と元山賊と聞かされた三人組と、姉二人と一緒に働いている。
今日も売れていく商品とそれを買って山を登っていく人たちを見ながら、あの夜の事を思い出す。
黄巾賊ができてしまったあの夜の事を……。
天幕の中、ろうそくの光に照らされながら地和姉さんが不用意に言ってしまった天下を取るという言葉、それを私たちは軽く捉えてしまっていた。
一人の男性が天幕に音もなく入ってくる、今ならわかるが親衛隊に変装したあの迷宮でカズトと呼ばれている迷宮の中心人物。
竹簡を一つ私に手渡し、目の前に正座をする。
じっと見てくる目に最初は分からなかったが、これでも芸を飯のタネにしている……目は口ほどにものを語る、真剣に心配をしてくれていた。
竹簡の中にはこれから起こるだろうことを書きしたためられたもので、糧食が足りなくなること、私達では抑えきれないほどに膨らみ略奪が行われるようになること、朝敵として見られこれから先に続く長い戦乱の先駆けとなってしまうこと。
信じたくはなかった。
あんな軽い気持ちで放たれた言葉で、そんなことになるだなんて信じたくなかった。
その上でこのままなら、私たちが助かる道もないと信じたくなかった。
竹簡を持ったまま恐怖で震えていた、今立ってる地面が音を立てて崩れるのを幻視するような言いようのない恐怖が襲っていた。
何か手段がないか竹簡を読み進めていく。
「あ……」
最後に書かれていたのは今から取らなければいけない根本的な解決策であり、それを助力してくれる契約だった。
天下を取る方法『泰山に浚われた天子を助けることにすり替える』
飢餓に飢えた人たちを解放する方法『泰山の迷宮で宝を換金して持ち帰らせる』
集まった無法者を解散させる方法『迷宮に挑ませればこちらで始末する』
最後に、私達も迷宮に来いと、そしてふもとにこれからの拠点として使う街を作ればいいと。
そう書かれていた。
そうすることで、黄巾賊はただの賊ではなく泰山に挑む義勇軍となる、それも朝廷が動く前に動くことで一番槍の誉れを付けることができる。
顔を上げればもう彼はいない、姉さんたちを叩き起こしてすぐに行動した。
そうして黄巾賊は迷宮に挑み、そして無事解散することに成功した。
思い出し終えて、改めて泰山の方を見る。
「ここまで読める人が、この先に起こることを読めてない筈がない……」
挑む人や迷宮の話をしている外から来た人たちを見て、なおさらにそう思いながらため息をつく。
完全に掌の上だったと諦観をもって。
なおカズトの身体は既に九割方は神魔のものに置き換えられてる模様
サラド神父 出典:ラ・ピュセル ディスガイアの前身作品であり主人公の闇落ち状態魔王プリエはディスガイアシリーズの隠しキャラとして登場している
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