俺は弱い。
常日頃からフレイヤ様のために切磋琢磨している彼らは俺なんかよりずっと強い。そもそも、俺は魔法使いなのだから、最強に、最速、最高の連携、そして魔法剣士。魔法剣士なんて完全に上位互換では!?
では何故俺が副団長なのか。それはフレイヤファミリアの特性によるものだ。フレイヤファミリアは主神フレイヤに絶対の忠誠を誓う。そして、求めるのは彼女の寵愛のみ。では、他の眷属は?ただの障害である。そんなわけで日々殺し合いと呼んでもいいくらいの競い合いをしている彼らは、基本仲が良くない。むしろ悪い。それの原因であるフレイヤ様が持つカリスマでファミリアはトップにいるのだから、世の中不思議なものである。
極めた個の集まり【フレイヤ・ファミリア】とは対と言われるのは優秀な幹部たちが率いる組織【ロキ・ファミリア】である。うちもあれぐらい仲良ければ、、、ありえないな。うん。考えるだけ無駄だな。
そんなうちのファミリアだが平常時、ある程度のまとわりが必要なのである。フレイヤ様が一声かければ怖いくらいまとまりがあるのに、いつもは全くないのである。まぁ、まとまりある時もギスギスしてはいるが。そして、幹部はLv.7、Lv.6の化け物ぞろい。そんなところにまとめ役として抜擢されたのが、俺と言うことである。
うん、全く嬉しくない。
何故、俺が副団長かフレイヤ様に何度も聞いたが、
「ふふふ、」
と可憐に微笑むだけで答えてはくれない。つまり、俺も何で自分が副団長かよくわかってはいないのだ。
殺し合いと言う切磋琢磨をしている連中なので、団員も慣れていてそこまで深刻な事にはあまりならない。と言うことでいつもは工房で絵を描いたり、モデル探しにダンジョンへ潜ったりしている。今日はダンジョンへ行こうかな、と思っていると、、、
「「「「ダンジョンか?マスタング」」」」
後ろから同じ声で四人分聞こえる。
「やぁ、アルフリッグ、ドヴァリン、ベーリング、グレール。元気かい?」
「「「「ああ、」」」」
この四人兄弟は【
「「「「ダンジョンへ行くなら、一緒に来い。」」」」
これ同意を求めているやつじゃないな。まあ、行こうと思っていたから、構わないか。
何故か、他の団員もそうだが、基本的に幹部同士はこう気軽にダンジョンに誘わないのが普通なのに、俺がダンジョンに行くときは大体誰かと一緒に行く。懐かれてる?う~ん、ありえないしな~。俺の魔法がサポート向けだからか?分からん。
詠唱を終え、魔法を発動する。
【花の唄】
かけ終えた瞬間に四兄弟が飛び出し、モンスターを肉薄する。
「進むか?」
長男であるアルフリッグが聞いてくる。
「そうだね、進もうか。」
ここらの階層で描きたいモンスターはもう大分前に書いてしまったから、強化種などを期待していたがなかなか出会えない。俺は風景、人、冒険者、モンスター、ダンジョンと何でも書くが、なかなかいいモデルと言うのは見つからない。昔、ダンジョンで探しまくって、危うく死にかけた。そこまで、夢中になってしまうほどダンジョンという迷宮は美しかった。恐ろしさもあったがそこでしか見れない風景、見たこともないモンスターたち、それに立ち向かう冒険者たち。もう、それを見たら冒険者をやめられなくなってた。いがみ合ってはいるが、己の研鑽に余念がない彼らは仲間としては頼もしく、絵に没頭することを誰もケチをつけず好き勝手にやらせてくれるフレイヤ様たちはありがたく、なんだかんだ自分にはこのファミリアがあっていると思う。
レイ・マスタング。【フレイヤ・ファミリア】所属。Lv.5。彼も第一級冒険者であるが、他の幹部に比べると見劣りする。
では、何故、彼が副団長で、いがみ合うハズの団員の中で例外扱いされているか。
まず、単純な理由としてレイが強いと言うことにある。この場合の強いは戦闘力と言うよりは、合わせる力の事である。レイの魔法の一つは【花の唄】といい対象者のステータス強化する魔法である。なんとこれは、全ステータスを強化し、8~10人くらいまでなら安定して同時にかけることができる。魔法による援護やサポートもうまい。これだけなら、いざというとき足手まといになる危険性もあるものだが、魔法に大抵のあいてなら回避ができる俊敏性と技量など一人でも戦えるくらいには強い。なので、一緒に行けばただ攻略が楽になる。デメリットはなし。他の幹部と違い、一緒にいてもギスギスはしない。これがよく誘われる理由である。ちなみに、レイが持つ魔法が技量がないと弱く使いこなすのに時間がかかったのが、彼がまだLv.5の理由の一つでもある。ちなみにもう一つはしょっちゅう冒険で見たものを描くことに没頭し、冒険に行かないことがLv.5の原因と冗談交じりで言われたいる。
副団長である理由は、オッタルが団長であるのは、力量的に仕方ない。だが、他のやつには負けない。幹部はそういうプライドがあるため、みんなが取り合う護衛の任を上手く調整したりしてくれるレイが副団長の方がまだ良い、とのことである。そんなわけでフレイヤはレイを副団長に任命したときも不平不満は余りでなかった。フレイヤの決めたことにケチをつけるものはいないのはいつものことだが、10日ほど絵に没頭して自分の飯も食べ忘れることがある絵描きバカには男としての対抗心はそこまで刺激されないようだ。
なんだかんだ、自分の好きなことに没頭し、ギスギスした空気が流れるファミリアの中で清涼剤と緩衝材の役割を果たす彼は団員からは好かれているのである。が、そんなことは恥ずかしくて言えないし、フレイヤ様にしっかり寵愛貰ってたりするので、レイにはこの事実は伝わらない。