「目が覚めたら面白そうなことをしてるじゃねえか」   作:ROGOSS

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アリー・アル・サーシェスさんがラプラス事変に武力介入します。


戦いがある場所に俺がいる

「最悪だ……」

 

 声が出ているのかすらわからない。

 体中が熱い。初めて経験する……いや、クルジスのガキのせいで半身を失った時の痛みと同じだ。

 アイツめ、俺が死んじまうことをわかってくせに必要に銃弾を撃ち込んできやがる。

 

「だが、これこそ戦争だ」

 

 このまま死んじまうのは惜しい。だが生き汚くするのは俺の性分じゃねえ。

 

「まだ戦わせろよ……」

『アンタの神はどこにいる! 答えろ!』

 

 随分と昔にガキに言われたことがあったな。

 神なんて信じるような柄じゃないが神がもしいるなら頼んでやろうじゃねえか……まだ俺を戦わせろ!

 瞬間、光が見えた気がした。初めて見る光だ。神々しいという表現はこの時のために使うのだろう。

「ハハ、ハハハハッ! 最高じゃねぇか!」

 

 

 

 

 

 

「いてぇな……だがこいつはどうなっているんだ?」

 

 一度失ったが再生医療で取り戻したはずの半身に生身がある。違和感が消えている。これは紛れもなく俺の人生で付き合い続けて来た生身だ。

 空は夜の闇に覆われており目につく限り森しか見えない。

 

「どこだここはよ?」

 

 地獄だろうか? 数えきれない程の人を殺してきたからこそ今更天国に行きたいなんて願ってはいない。

 

「こいつは……」

 

 鼻腔をくすぐるのは大好きな匂いだ。火薬やオイル……死の匂い。この匂いがある場所が俺のいる場所、この匂いと独特の戦場の空気がある限りは俺のやる事は変わらない。

 俺を有効活用できる雇い主を見つけ出して俺の暴れたいように暴れ尽くす。

 死のにおいを頼りに俺は歩き始めた。久しぶりに半紛い物ではなく、本物の両足で地面を踏むことができている。

 

「百パーセント俺様の誕生ってわけだ」

 

 上機嫌になる。胸の高鳴りを抑えきれない。

 

「ハハ、ハハハッ!」

 

 俺は走り始めた。生まれたての小鹿のように跳ねることはしないがスキップをしてしまいたくなる衝動に駆られる。

 世界(ここ)にも想像ができないようなとんでもない戦いがあるはずだ。その戦い真っただ中に飛び込んでいく……最高以外のなにものでもない感情が心の中を支配した。

 しばらくすると地面に倒れているモビルスーツを見かけた。見たこともない機体のようだがそもそも世界そのものに違和感を覚えていたのだから驚くことはない。

 それよりもモビルスーツという最高の戦争の道具があることが嬉しくてたまらない。

 しばらく様子を伺っているとコックピットから人が出てきた。工具を持ったまま地表に降り立つと機体の一部の整備を始めた。

 なんらかの不備が起こり緊急着陸をしたところ見つけたようだ。

 

「俺に見つかったことが運の尽きってわけだ」

 

 ゆっくりと背後を取る。

 月に照らされた俺の陰に気が付き兵士は俺の方へ振り向いた。しかし、俺に気が付いた時点で既に遅い。俺は兵士の首を掴み持ち上げた。バタバタと両手足をばたつかせ反抗する。ヘルメットのせいで相手の表情を読むことはできないが、まさかモビルスーツではなく生身の人間による奇襲を受けるとは思ってもいなかったのだろう。数十秒首を絞め続けたおかげなのか兵士は一切動かなくなった。俺はかつて人だった肉塊を地面に乱暴に投げ捨てるとコックピットの中へと侵入する。

 管制機器は初めてみるタイプだが傭兵時代の経験の勘に頼り、俺は機体の主電源を入れることに成功した。モニターに機体名が映る。

 

「デルタプラス……こいつは可変機ってやつみたいだな。ビームガンにビームサーベル……装備もまずまずってわけだ」

 

 コンソールをいじりさらに詳細な情報を探っていく。

 この哀れな元パイロットは地球連邦軍と呼ばれる組織に属しているらしい。やはり機体が不調を訴えたことで一時的に着陸をして整備をしていたようだ。機体の整備が終了次第、本隊と合流予定のようだが……

 

「もう二度と戻ることはなさそうだな」

 

 コックピットを閉め、操縦桿を握りしめる。俺は改め大きく息を吸った。

 本隊はこれから大掛かりな討伐作戦に出るらしい。討伐対象はネオ・ジオンと呼ばれるテロリスト。

 

「まずは世界の事をしっかりと把握しなくちゃなぁ……!」

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