「目が覚めたら面白そうなことをしてるじゃねえか」   作:ROGOSS

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主要ガンダムキャラクターはなるべくは安易に退場させないようにする予定です。
安易には…ですが。
あと作者の力不足で劇中の言葉をそのまま使えていないところがあるかと思いますが二次創作という言い訳をさせてください…


袖付き編
サーシェス、楽しむ (1)


「オットー艦長。配属されるはずのオクター3(スリー)の消息は途絶えて既に1週間が過ぎています。上層部は調査結果の提出を求めています」

「……」

「艦長」

「わかっている、わかっているさ。まったく……袖付きの拠点を見つけるだけでも大忙しだというのに配属されるはずだったデルタプラスの消息を探せだと? 正規配属されていない機体の捜索まで手を回せるわけがないだろ……」

「文句を言っていても仕方ありません。上は言葉よりも結果を求めているのですから」

「わかっているさ……」

 

 オットー・ミタス大佐は艦長席に深々と座った。

 このところ疲れが取れることがない日が続いている。やることは増えていくのに終わる仕事は何一つない。これも袖付き(ネオ・ジオン)がいつでも武力による抵抗運動を続けているせいだろうか? 否、根本として連邦上層部は現場を知らなさすぎる。宇宙の片隅に行けと平気な顔で命令を下しながら、いけしゃあしゃあと近隣宙域で起こった事件の解決まで求めてくる。宇宙の広さを理解していないのだろうか? そんな連中が本当に地球と宇宙の統一などできるのだろうか……?

 

「はぁ……」

「艦長」

 

 ため息をついたオットーを副長のレイアムが睨んだ。

 真面目、規律を遵守……そんな彼女には疲れで動こうとしないオットーが怠けているように見えているのだろう。

 影では船員達に「レイアム艦長、オットー副長」と揶揄されていることも知っているが事実そういう状況であるが故に否定などすることはできなかった。

 突然、艦内には警報装置の音が鳴り響いていた。

 

「宙域のミノフスキー濃度が上昇しています!」

「総員戦闘配備! モビルスーツ隊を直ちに発艦させろ!」

「機影を確認ッ!」

「ギラ・ズールか! モビルスーツ隊、頼んだぞ」

「任せてくださいよ、艦長」

 

 ブリッジからジェガン隊と最近配備されたばかりのデルタプラスの混成部隊が戦闘宙域へ向かっていくのが見える。

 このあたりに無所属の補給艦が数隻確認された情報を頼りに袖付きの拠点を明かすためにわざわざ出張ったわけだが、どうやら予想通りここには袖付き共がいるようだ。

 

「歓迎されていないようだな」

「当たり前でしょう。しかし、艦に配属されているモビルスーツ隊は戦闘慣れはしていないものの模擬戦では好成績を出しています。中にはかつての戦闘に参加した者もいます。私達のやるべき事は歴戦の猛者達が安心して帰れる母艦を死守する事だと思います」

「まったくもってそうだ」

「では次の指示を」

「はぁ……各砲塔を起こせ! ミノフスキー粒子の濃度が薄くなったら狙い撃ちにするぞ!」

 

〇●○●○

 

 

「そんな装備で!」

 

 リディ・マーセナス少尉は迫り来るギラ・ズールの攻撃を回避するとビームライフルを胸部に撃ち込んだ。爆発に巻き込まれぬよう即座に逆噴射(バック・ブースト)で距離を取る。

 

『お手柄だなリディ少尉』

「これが兵士としての役割ですから……それでもこんな戦いをいつまでも……」

 

 次の標的は敵味方関係なくビーム・マシンガンを連射している機体だ。

 先輩パイロットを合図を取るとギラ・ズールの左右を取り囲むように展開していく。戦場にいることで気持ちが昂ぶっているのか不思議と恐怖は感じなかった。背部からビームサーベルを取り出し、ギラ・ズールの右足を切断する。バランスを崩したギラ・ズールを先輩パイロットはとどめをさすように胸部にビームサーベルを突き刺した。ピクリとも動かなくなった機体は爆発することなく、ただ宇宙空間に漂うデブリと化す。

 

「……」

 

 恐怖はなくとも罪悪感は感じていた。

 家の仕来りに反発して軍人となった。本来なりたかった自分にはなれずにモビルスーツのパイロットとなった。命を奪う行為をこれから先ずっと繰り返さなくてはいけない。戦わなくては殺される。しかし、誰かを殺している事実は変わらず忘れることはできない。

 

「俺の明日は誰かの死で出来ている」

 

 昔、教官が言っていた言葉を思い出した。あの時の言葉の意味が今になってようやく理解できた。

 

『待てッ! 一機だけ動きがおかしい奴がいるぞ!』

『あれは……ネェル・アーガマ応答してくれ!』

『こちらネェル・アーガマ、状況を説明して欲しい』

『袖付きに見慣れない機体……いや、あの形状は……デルタプラスがいる。こいつはどうなってんだ!』

『シグナルを確認した。え……嘘……? 機体は先日消息を絶ったオクター3(スリー)のものと判明した』

『どうすればいいんだ! 攻撃していいのか!』

『攻撃は待て。こちらか通信を試みる』

 

 ネェル・アーガマとの通信が切れた。

 瞬間、絶叫が通信機から聞こえてくる。

 モスグリーンにカラーリングされたデルタプラスが次々と味方を撃墜していく。急速変形を繰り返すあの挙動は普通の人間では、Gに耐えられなくなりミンチよりもひどい有様になるはずだ。それだというのに、あのデルタプラスはそれを易々と繰り返している。

 

「仲間が黙ってやられるのを見ていられるかよッ!」

『まてリディ少尉!』

 

 リディは先輩パイロットの制止を振り切り、デルタプラスへと襲いかかる。

 急襲は失敗し、ビームサーベル同士が火花を散らしながら交わる。

 リディはビームサーベルを手放し、シールド内に隠されていたグレネードランチャーを発射する。

 

「嘘だろ、おい」

 

 人間の目で捉えられるかすら怪しい弾速のグレネードランチャーが撃ち落とされる。モスグリーンのデルタプラスは頭部バルカンを器用に使い、そのままリディへ距離を詰めた。

 

「くッ!」

 

 右腕が切断される。モニターにアラートが表示されるが退くわけにはいかない。

 その時だった。初めて聞いた声で通信が入る。

 

『軍人さんは命令に従わなきゃいけないから大変だなぁ……今日は威力偵察だ。アンタ達が次はどう戦ってくれるのか楽しみに待っているぜ、ハハハハ!』

 

 モスグリーンのデルタプラスはウェイブライダー形態になるとネェル・アーガマとは反対方向へと姿を消していった。

 仲間のモビルスーツ隊がリディを母艦へ帰すために集まってくる。

 

「いったいなんなんだアイツは……」

 

 ただ嘆くことしかリディには出来なかった。

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