デンマークやオランダが目立ち始めて影が薄くなっていくオスマンとブルガリアくん。
アマノキ航空戦が行われていた時、近海に待機していたパーパルディア皇国の懲罰艦隊はデンマーク主力艦隊である戦艦3隻、重巡5隻、軽巡8隻、駆逐艦12隻という大艦隊と海戦をしていた。
というのもデンマーク主力艦隊はここの海域で違法密漁をしていた。お目当ての魚はザーギーという宝石魚だ。
ザーギーは亀と似たような甲良を持った魚で、この甲良には希少金属がたっぷりと含まれていた。
デンマークのとある学者は、海底火山の近くにあるレアメタルを多く含んだ石やレアメタルを含んだ海藻、バーゼンを食べたのが原因とされる。と発表したがそんなことはどうでもいい。デンマーク政府としては、ドイツ、オランダからしか手に入らないレアメタルがここの海で取れるのだ。ここでとらないという選択肢はなく、さらにここはフェン王国の領海付近。ここで密漁したら国際問題になりかねない。下手すればドイツやフェン王国と中が悪くなりかねないためデンマーク政府が下した決断は。
フェン王国との軍事演習でフェン王国やドイツなどの各国の目が艦隊に釘付けになるこの日であった。
さらにデンマーク政府はここでザーギーを密漁しさらに生態が解明されればドイツからレアメタルを買わずに自国で生産できると踏んだ。だが万が一他国の船に見つかると大変なため一瞬で片付けできるよう主力艦隊を護衛に付けた。ーこの時間、ドイツやオランダ、他の帝国協定加盟国の船がここを通らないという事は把握済みー
だがここで誤算が発生した。
パーパルディア皇国の懲罰艦隊がフェン王国を滅すべく向かっておりその艦隊がデンマーク主力艦隊に発見された事だ。
デンマーク艦隊は直ぐに撃沈命令をだし、ここに海戦が勃発。デンマークはパーパルディアとは知らずに攻撃。
デンマーク 戦艦ユトランドの36cm砲がパーパルディア艦隊を襲い、一瞬で砕け散っていく。
パーパルディアにとって最悪な日だろう。
フェン王国を潰すためにワイバーンを送ったタイミングで横からデンマーク艦隊の砲撃をくらい、航空戦力を欠如した状態で海戦になった。その上パーパルディア艦隊が狙っていたフェン王国海軍ではなく所属不明の軍艦であり1隻1隻が大きい。
「どうなってる?」
こちらの攻撃は射程圏外で届かない。なのに向こうは届く。圧倒的なまでの技術格差。オマケに命中率も高い。
撤退命令を出したが、デンマークが逃がす訳もなく、速度の早い軽巡や駆逐艦が地獄の果まで追いかけ沈めてた。
◆◇◆◇
パーパルディア皇国
「フェン王国への懲罰部隊敗北!」
元々、ワイバーンロード部隊により、フェン王国首都 アマノキに攻撃を行い、フェン人に恐怖を植え付け、軍事演習に参加している文明圏外の蛮国武官に力を見せつける。
そして、艦隊による無慈悲な攻撃により、フェン王国首都アマノキを焼き払い、パーパルディア皇国に逆らったらどうなるのかを他国に見せつける・・・計画だった。
しかし、結果は惨憺たるものだった。
皇国艦隊全て連絡を閉ざした。
どうやったのかは不明だが、おそらく全滅したものと思われる。
これについては、当初 ガハラ神国 の風竜騎士団が参戦したのではないかと疑われた。しかし、風竜は確かに強いが数が少なく、通信する間も無く全滅するのは考えにくい。オマケにワイバーンには勝てても艦隊にはさすがに勝てない。説明が出来ないのだ。
ただ、レミールやニコチンなどがドイツやその周囲の国にはとんでもない兵器を持っていると報告してたが、文明圏外の蛮国がそんな超高度な兵器を持っている訳が無い。
このまま皇国が負けたと広まるのは不味い。
ならどうするか?
勝てばいいのだ。勝利で上書きすればいい。
その際、白羽の矢がたったのはアルタラス王国だった。
直ちにアルタラス王国にアルタラス王国が拒否するであろう要求を突きつけ、予定通りアルタラス王国は断った。
それを口実にパーパルディア皇国はアルタラス王国へ宣戦布告。
大艦隊とパーパルディア主力軍を引き連れて侵攻を開始した。
◆◇◆◇
アルタラス王国
国王は海を埋め尽くすほどのパーパルディア皇国の艦隊を眺めていた。
海から絶望がやってくる。
パーパルディア皇国は先日フェン王国を襲撃しドイツの航空魔導師に撃墜された。パーパルディア皇国にとって敗北とは許されないものであり八つ当たりの矛先が我が国になった。だがアルタラス王国とて黙ってパーパルディアにやられるわけにはいかない。鉱山を使って稼いだ資金でオランダから大量の武器と軍隊を作ってもらった。
アルタラス王国 パラモ軍
オランダから購入した兵器やオランダの軍事顧問から指導を受けた、近代兵。500人と1個連隊ほどだがこれまでの常識を覆す存在であり、アルタラス王国1の精鋭。アルタラス王国最後の希望であり、全滅が確定した兵隊でもある。
アルタラス王国は負ける。それでもタダで負けるつもりは無い。
国王はこの戦争で負ける原因を考えていた。
・相手が悪い
・アルタラス王国海軍ではパーパルディア皇国艦隊には勝てない。
・兵力差が絶望的
・パラモ軍でも、限られた弾薬でパーパルディア皇国軍を撃退することは出来ないため、弾切れで全滅する。
と。いくら兵や武器が優れていても、戦争は数が物をいう。弾が切れたらどんな優秀な武器もただの鉄パイプになる。だが国王は、王女を逃がす計画をたて実行させた。今頃最後のオランダの貿易船に乗っているだろう。
「娘よ。ワシはいい父親だったかな?今までずっと仕事ばっかしてろくに娘と遊んでなかったな。せめて最後、遊びたかったものだ。」
◆◇◆◇
アルタラス王国 海岸 ここにパーパルディア皇国軍、陸戦隊3000人が上陸。
艦砲射撃によりボコボコになっている砂浜を歩く皇国兵。
ズブッといういやな音と共に何人か兵が倒れる。
なんと地面から槍が生えてきた。いや、地面に潜んでいたアルタラス兵だ。
「くらえ!」
実は、艦砲射撃で砂浜に潜む伏兵を全て殺すことは不可能だ。さらに艦砲射撃した場所は安全だと認識してしまうため油断を誘う。とくに今回の戦争のような、列強国と非列強国との戦争の場合はだ。
オランダの軍事顧問はこう言った。
「戦争に勝つ方法を教えよう。戦争の主導権はこっちが握ることがまずひとつ。次に敵を油断させろ。取るに足らない相手だと認識させろ。そして最後に、油断出来ない相手だと認識させろ。ついでだが、作戦は誰にも思いつかないような、奇想天外のようなものが一番よく効く。」
彼はその奇想天外な作戦のひとつにこう言った。
「ほぼ必ず死ぬが敵に大ダメージを与える簡単な方法。それは砂浜に蛸壺を掘って隠れることだ。艦砲射撃で全ての物を吹き飛ばすのは難しい。とくに砂浜なんて障害物がほとんど無いから伏兵がいるなんて考えすらないだろう。そこをつく。確実に敵を潰すことが出来る。」
まさに、砂浜に隠れていた30人ほどのアルタラス兵はパーパルディアの陸戦隊を何十人も倒した。だが多勢に無勢。65人ほどの死者を出しつつもパーパルディアはアルタラス兵を撃退。進軍を再開した。
だがここでアルタラス王国第2の罠が発動する。
パーパルディア陸戦隊が60mほど歩いた所で突然姿を消した。それも何人もだ。
原因は直ぐに判明した。アルタラス王国はあちこちに落とし穴を仕掛けていたのだ。さらに厄介なことに落とし穴の底には尖った木の棒が仕掛けられている上に、
「臭い!これは、糞だ!」
と糞が塗られている。木の棒自体は短く20cmほどで、穴の深さも2mも無いくらいだが、落ちたら木の棒が足を貫通する。それだけではなく糞が塗られていることにより、破傷風やその他の感染症にかかる可能性が高くなる。
「だれか引き上げてくれ!」「足が、足が!」「み、水をくれ!死にたくない」そこには阿鼻地獄が広がっていた。
それをなんとか突破した兵は正面のちょっとした高さのある道から放たれた弓矢の餌食になる。
この弓矢には魔法がかけられており射程距離をめいいっぱい伸ばしていたのだ。さらに凶悪なことにこの矢にも糞が塗られていた。
これを見た指揮官のゼークトはアルタラス王国の目的を理解した。
「なるほど。奴らの目的は勝利でもなく、引き分けでも無く、こちらの損害を増やすことだな。それも、死者では無く負傷者を出すことを目的としている。」
死者が出ればここで燃やしてしまうだけで済む。だが負傷者が出た場合、本国まで連れて帰らねばならなくなりその分食糧を消費する。さらに厄介なことに破傷風などの感染症予防のために医療品が大量に必要となり水もかなり消費する。それが無くなれば船内は地獄となる。
とくに水は死活問題であり恐らく市内にある井戸は全て使えなくなっているだろう。
それだけでは無い。最初の奇襲攻撃のようにどこに兵が潜んでいるのか分からない恐怖とどこに罠が仕掛けられているか分からない恐怖。
ゼークトはとある本を思い出した。
パーパルディア皇国ができる少し前、天才的な軍師が考えたゲリラ戦。それは理不尽なほどの技術格差がある場合、兵数差がある場合、その最悪な戦況をいかに覆すかという本だ。
「敵の人的資源を枯渇させろ、か。なるほど。最初はよく分からなかったが今なら理解出来る。奴らの狙いは人的資源の枯渇とこちらの兵站を枯渇させるつもりだな。」
ーーーー1914年、世界大戦が勃発した時オランダは中立国だった。それも世界大戦が終わるまで。隣のベルギーはドイツの奇襲により国土を失いさらに人がバタバタ死んでいく西部戦線が誕生した。人が1人死んだくらい問題が無い。人の命が最安値を更新し続ける西部戦線。もしこれがオランダを襲ったらどうなるか?その対策を考えたとある軍人はこう言った。「敵人的資源をいかに削るか。罠を仕掛けたり伝染病を発生させるのが一番手っ取り早いだろう。」そして彼はこのドクトリンを完成させた。糞ドクトリン。敵人的資源を削ることを考えすぎたため塹壕戦ではとても通用しない文字通りのクソドクトリンだが、ここでは違った。ー
既に陸戦隊250人くらいの負傷者を出しているためゼークトはワイバーンで弓矢を黙らせる方法にでる。これしか方法は思いつかなかった。
「敵の指揮官の方が優秀とはね。全軍に告ぐ、敵指揮官は生け捕りにしろ!」
出来れば確保したいものだ。
次回、アルタラス王国市街戦(予定)
原作にないオリジナル都市を追加するかどうか?
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追加して欲しい
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いや、そこは原作に忠実にして欲しい