カイザー召喚記   作:ハロポン

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3章 激戦!パーパルディア
20話 亡命


中央歴1640年 1月28日

パーパルディア皇国

ゼルン

パーパルディア皇国の首都から北西にある港湾都市。

ここにレミールとニコチンとエランテ、カイオスはいた。

 

レミール達は目立たないような格好をしさらに大きな荷物を持っていた。

カイオスを除いた彼女らの目的は、亡命だった。

 

2日前、パーパルディアはドイツ人観光客を虐殺した。

これが意味することはひとつ。パーパルディアはドイツに喧嘩をうりドイツもそれを買った。結果間違いなくパーパルディアは滅亡する。

だからこそレミールとニコチン、エランテは亡命を決意した。

まずここからシオス王国へ渡りその後、オランダ商船へ紛れてオランダへ行き、その後ドイツへ渡る。

 

既にオランダとドイツには話をつけており準備は万端だ。

 

「本当にいいの、カイオス?このまま残っても」

 

カイオスは唯一、レミールやニコチン、エランテからのドイツの情報を真剣に聞いてくれた人だ。

「俺は、この国が好きなんだ。だからこそこの国の暴走を止めなくてはならない。俺は内部からこの国を変えるつもりだ。」

 

カイオスはこの国をどうにかして存続させたい。それこそクーデターを起こしてでもだ。

 

「じゃあな。次会うときは、平和になったパーパルディアで」

カイオスほどパーパルディアを愛している者はいないだろう。なら私も祖国を守るためにドイツと交渉をしよう。

 

3人をのせた船は出発した。

 

レミールは決断した。

今のレミールはかつてのレミールとは違う。

現実を受け止めさらにどうすべきなのかを的確に判断する。

 

「変わりましたねレミール様。」

 

ニコチンはかつての狂犬レミールを知っているためその変わり様に驚く。

 

「ニコチン。人とはきっかけがあれば変わるものです。そう、例えば恋とか。」

 

レミールからの恋という言葉に笑い出す2人。

 

「な、なんで笑うんですか!」

 

「だって、レミール様が、、恋、なんて言うから。1番無縁そうな人がですよ」

 

「恋は人を変えると言いますからね。たとえ無縁そうな人でもきっかけがあれば変わる。レミール様はそういうパターンでしょう。」

 

3人を乗せた船は、中立国 シオス王国へ向かった。

 

◆◇◆◇

ドイツ帝国 海軍総司令部

 

「現在パーパルディア皇国艦隊はフェン王国へ向けて出航していることがスパイにより判明しました。つきましては、今後の作戦の障害にもなりかねないこの艦隊を壊滅させようかと考えてるんですがいかがでしょうか?」

 

ラインシュッド提督はドイツ、オランダ、デンマークの連合艦隊によるパーパルディア艦隊壊滅作戦を立てる。

 

この作戦はドイツ主力艦隊がまず最初に仕掛け、側面をオランダ艦隊が突く。敵が逃げたところをデンマーク艦隊が追う。

 

「よかろう。問題は艦隊だ。航続距離もある故、補給艦も何隻か組み込まなければならないのだが、燃費の悪い旧式艦は除きたい。でだ、その代わり先月進水したドクトル エッケナーを組み込みたい」

 

ドクトル エッケナー

グラーフ・ツェッペリン級空母の3番艦。対空性能も充実しており、最近開発された近接信管が取り入れられた。ー史実より数年早い。ー

 

「なんと。もう完成したのか。」

 

戦艦は費用対効果が悪過ぎる。そう結論が出たため、ドイツ海軍は空母を中心とした機動部隊を建造し始めた。

ーとくに1934年ターニャ デグレチャフが出した航空主兵論がレーダー提督の目に留まり、空母の有用性を理解した彼は急遽グラーフ・ツェッペリン級の3番艦、4番艦を建造することを指示した。

 

レーダー提督はもうひとつ問題をいう。

 

「この作戦最大の問題は、いかにパーパルディア艦隊を捕捉するかだ。」

 

艦隊を捕捉するのは容易ではない。最初っから位置が分かっていたロウリア艦隊ならまだしも今回はフェン王国へ向かうとしか情報は無い。

なら対処法は1つ。

 

「レーダー提督。それなら大量の駆逐艦と海兵魔導師、偵察機を導入しての索敵しか無いでしょう。メッサーシュミット観測機 b108なら戦艦や駆逐艦、水上機母艦にも搭載できますし。」

 

「b108、別名空飛ぶ理不尽か。」

 

メッサーシュミット観測機 b108

日系ドイツ人が設計したその観測機は空飛ぶ理不尽とも呼ばれている。その理由は複葉機で観測機なのに異常なまでの格闘性能を持っているからである。

 

速度は遅く、航続距離はそこそこあるが旋回のしやすさと初心者でも扱いやすいことから練習機としても使われるこの機体はドイツ最新鋭の戦闘機、メッサーシュミットbf 108を相手に模擬戦で勝利を収めた。それどころか近接戦闘に持ち込めばどの国の戦闘機を相手にしても腕があれば勝てる事が判明。だからこそ「空飛ぶ理不尽」とか「空飛ぶ不条理」とか呼ばれた。複葉機も捨てたものじゃない。ーだが速度が遅すぎるため戦闘機としては使えない。あくまで近接戦にならないと戦えない。高高度を飛行できないという欠点も多く複葉機そのものの欠点もあるため戦闘機として扱われることは無く、艦隊の護衛として使える万能観測機として使われる。ー

 

「それでいこう。不足分の駆逐艦は、ウクライナやバルト連合の艦隊を使って補え。 パーパルディア艦隊はロウリアより強い艦船を保有している。腐っても列強国だ。全力で潰すぞ。」

 

こうしてドイツ、オランダ、デンマークの主力艦隊はフェン王国へ向けて出航。

今、大海戦が始まろうとしている。




次回はオランダ、デンマーク、ドイツ連合艦隊による大海戦回です。
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