カイザー召喚記   作:ハロポン

28 / 50
23話 愚者は踊る

パーパルディア皇国 北方のとある村

 

都市部から少し離れているため人口も少ないこの街で1人の男が出ようとしていた。

 

「次の休暇はいつ頃になりそう?」

 

と美しい妻は、夫の心配をする。

 

夫のヨハネはパーパルディア皇国のワイバーンの隊長だ。

 

「大丈夫だよミーシャ。次の休暇は恐らくこの戦争、フェンとドイツとその他の弱小国との戦争が終わるまでない。まぁ心配するな。今回俺が行くのはアルタラスだ。後方なんだし大丈夫さ。」

 

「そうね。でもアルタラスではテロリストが多いんでしょう?それに最近、反乱軍が活気づいているし注意してね。」

 

反乱軍。パーパルディアに反旗を翻した奴らだ。テロリストと違う所は、ヤツらは指揮系統がしっかりと整っているのがテロリストと違い厄介な所だ。

 

「大丈夫だって。パーパルディアが負けるわけがない。俺も後方だしいくら反乱軍が活気づいても俺たちワイバーン部隊を倒すことは出来ない。それにこの戦争が終わったら旅行にでも出かけよう!」

 

「そうね。」

 

夫はそのまま近くの基地へ行った。

夫の姿が見えなくなったところで妻は天に向かってこう願った

 

「創造主よ。夫が無事に帰ってきますように!」

 

 

天にいる、普通の人には見えない何かが「汝の願い、聞き届けよう。男にはどんな銃弾も当たらないという加護を付与しよう。これを打ち破れるのは同等の奇跡のみ。」と呟いた。その声は人には聞こえない。なぜならある者は創造主と。ある者は神と。またある者は存在Xと呼ばれるものだからだ。

 

◆◇◆◇

Uボート、ドイツ潜水艦

ドイツの大型潜水艦で航続距離を重視した潜水艦だ。

というのも元々、対アメリカ用に設計された潜水艦であり、遠いアメリカ本土近海でも輸送船を沈められるように作られたのだから。

 

現在この潜水艦3隻にはルミエス王女と第203航空魔導大隊と兵器及びルミエス王女のお気に入りの荷物1つが乗っている。

お気に入りの荷物がなんなのか分からないが、とにかくこの潜水艦隊の目的地はパーパルディアが占領しているアルタラス王国だ。

そこにはまだ残っている地下組織があり彼らと合流後、大規模な反乱を起こしパーパルディアを壊滅させる。

ここで重要なのは戦力だ。

 

地下組織と第203を合わせてもせいぜい1000人程度。それに対してパーパルディアのアルタラス駐屯部隊はおよそ3万。

 

ターニャは部下を集め作戦会議を始める。

潜水艦の中は狭い。その狭い中に各中隊長4人と潜水艦の艦長とルミエス王女もいるのだ。窮屈だが仕方ない。

 

「さて、今回の作戦はパーパルディアに占領されたアルタラス王国を解放するのが目的だ。属領とだけあって、属領が解放されればパーパルディア皇国は崩壊するだろう。だがアルタラスにある地下組織のメンバーと合流しても我々の戦力は精々1000人程度。それに対してパーパルディアは3万の駐屯兵がいる。市民が味方になるかどうかは分からない。不確定要素だ。そして敵軍は3万。まともにぶつかればこちらの弾薬が無くなる方が早い。だからこそ罠を張る。」

 

「罠ですか」

 

「あぁ。アルタラスにはいい廃墟の建物がある。それも崩れやすそうな建物がなー」

 

◆◇◆◇

旧アルタラス王国

地下組織

アルタラス王国最大地下組織にして最後の地下組織、自由アルタラス。

 

自由アルタラスの方針は、機会があればパーパルディアを滅ぼすというものであり穏健派に近い組織だったため、過激派とは馬が合わず組織は分裂した。だがその分裂した組織は各地で反乱を起こしてはパーパルディアに潰されるという事が相次いだ。

 

ここで彼らは悟った。正面から戦っても勝てないと。

そのためいつかくる機会を狙って自由アルタラスは影に隠れ続けた。

 

機会は来た。

 

自由アルタラスに朗報がもたらされたのだ。

「ルミエス王女は生きておりさらにドイツと手を組み、アルタラス王国を解放する」と。さらにもうひとつ、「自由アルタラスはルミエス王女の指揮下に入って欲しい」という申請だ。つまりルミエス王女の親衛隊になって欲しいともとれる。

 

 

自由アルタラスの構成員の中心的メンバーのほとんどは元兵士でありルミエス王女に忠誠を尽くすのは当たり前の事であり疑問はなかった。

 

◆◇◆◇

パーパルディア皇国、アルタラス駐屯部隊5000人はオンボロの建物、旧アルタラス王国兵器工場に来ていた。目的は、ここにテロリストの幹部たちが集まっていると通報を受けたからだ。

 

「地下も探せ!テロリストを捕まえろ!」

 

指揮官のディーゼは、アルタラス最後のテロ組織、「自由アルタラス」をついに壊滅できる好機が来たと喜んでいる。夜のためくらいから他の人にかれの表情は読み取りにくいが彼は今笑っている。

 

「既に敵は袋のネズミ。過剰とも言える兵力を出してこの敷地を完全に包囲した。」

 

彼は知らなかった。まさか誘い出されていた事を。

 

突然地下で爆発が発生。それと同時に1階の床が崩落。それにつられて2階を支える柱も折れ、2階も崩落。

崩落は建物だけでなく敷地すべてが崩落。この事態はだれも予想しておらず、歩兵しかいなかった彼らに逃げるすべは無くみんな仲良く地中に埋まった。

 

◆◇◆◇

「作戦成功か。素晴らしい」

 

とターニャは、ヴァイス中尉、タイヤネン中尉、ノイマン中尉からそれぞれ作戦成功の知らせを受け取る。

 

実はターニャが仕掛けた罠とは、パーパルディアの駐屯兵に自由アルタラスの幹部たちがいる。さらにそこにはオランダから武器が渡った厄介な兵器があると嘘の情報を流し、それぞれの場所に兵を集めさせ一気に潰した。

2箇所はオンボロの建物に。

この建物はオランダがテコ入れした兵器工場であり、表沙汰にならないよう地下に工房を作った。のは良いが、敷地ギリギリまで拡張した工房に、建築関連の法律をいくつも破るような、地下崩落の可能性が高い違法拡張によるバランスの悪い地下空洞という環境が生まれた。

アルタラスにそんな法律は無いから問題は無いと判断したのだろう。だがそれが今回は役に立ったのだ。

 

天井を支える柱を数本爆発すれば勝手に建物、いや敷地ごと崩壊する。これによってパーパルディア駐屯兵およそ1万弱を消し飛ばすことに成功。

 

さらにもう1箇所では、川の上流のダムを破壊し、下流の敵の駐屯基地丸ごと水没させた。あんまり大きくない基地だから2000人ほど消し飛ばすことに成功。

計12000人を倒したのだ。残りの敵は18000人ほど。

 

「準備は整った。反乱を起こすぞ。」

 

この1戦でパーパルディア戦は終わる




存在X久々に登場。パーパルディアの宗教は分からないので少し困った。
次回は彼とターニャがぶつかる!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。