今回の話はグロ要素多めです。注意してください。
パーパルディア皇国 属領 クーズ
皇国に長らく支配されていたこの国では、クーズ国民は奴隷として生きていくのが普通と化していた。
だがその中でたった一つの放送が全てを変えた。
「パーパルディア属領の1つ、アルタラス王国がパーパルディア統治機構を打ち破り独立した!」
クーズにいる反乱軍は武器を集め、来る時に備えて準備を始めた。
◆◇◆◇
カイオスの懸念は確信へと変わった。
やはりドイツの力は本物だ。ニコライやエランテから受け取った報告書と商人から貰ったドイツ軍事史の通り、ドイツの力はムーをも超える高度な科学技術を持つ。
さらにドイツは総力戦、国家が持ちうる限りの金や資源、技術、国民などのありとあらゆる全ての戦力を戦争へ注ぎ込むという狂気のような戦争を経験している。
そんな国に総力戦も経験していない。これまで苦戦もせずに圧勝してきたパーパルディアが勝てるわけが無い。
先日、アルタラスが独立を宣言。
これに対しどうやら軍部はアルタラス再占領に向けて軍を編成しているらしいが人の無駄遣いだ。
上は物量で叩けば勝てると思っているがそれが通用するのは同等の技術をもった国家か、損害度外視の人津波を起こさねば無理だ。
こうなったらクーデターを起こすしか無いが、
「いつ起こす?近衛兵の大半は味方につけたが、皇都の軍が多すぎる。せめて彼らがどっかに行かねば動けない。」
皇都にはかなりの数の軍がおりさらにワイバーンオーバーロードがいる。新種であるこいつは従来のワイバーンロードとは違う。ムーの戦闘機すら落とせるらしいこいつをどう片付けるか。
カイオスはクーデター計画をもう一度練り直し始めた。
◆◇◆◇
アルタラス王国王城前広場
ここには民衆が集まっていた。先日、アルタラスはパーパルディアから独立し監獄に囚われていた女性たちを解放。
さらに今日は悪の統治者、カストの処刑の日だ。
こいつの処刑を見に何人も人が来ているのだ。
ルミエス王女が大きな箱を台車で押しながら、広場のステージに上がる。
側近が1辺3mの立方体の箱を台車から降ろす。
箱を開けるとそこには金属で出来た牛があった。
それを取り出し下に薪や油っぽい物をまく。
「皆さん、本日のカスト公開処刑にお集まりいただきありがとうございます。今回使用する処刑具はファラリスの雄牛というものです。
これは同盟国であるドイツがいた世界の古代ギリシャにあったものでおよそ2400年以上昔のもののレプリカです。
レプリカですが本物を忠実に再現したものであり、ドイツのいた世界でも有数の極悪な処刑具です。
皆さんも知っての通りカストはアルタラスを占領して無実の市民を虐殺してり略奪、強姦、放火などやりたい放題したもの達を罰しないどころか推奨までしました。
もちろん私も、ドイツに亡命してなければ今頃精神を病んで自殺してたでしょう。
そんな悪の歴史に残るカストを今回は、悪の歴史の一つであるファラリスの雄牛で焼き殺します。では本人を連れてきましょう!」
ルミエス王女はそういうと拍手をし、王城から鎖で縛られたカストを兵士が引きずりながら連れてきて、ファラリスの雄牛の中に詰め込める。
そしてカストの鎖の鍵を外し、自力で自由になれるようにした後蓋を閉めた。
「出せ、出してくれ。俺が悪かった。なんでも聞くから俺をここから出してくれ!」
手足が自由になったカストは、ファラリスの雄牛を叩き命乞いをするがだれもそれを聞かない。
「では、カストの処刑を始めます!」
その声を聞いたカストはより一層激しく叩き、民衆にもカストが泣いているのが分かった。だがここにいる市民の大半が娘や妻をパーパルディア兵に殺されたもの達や、家を失ったもの達でありカストの命乞いは彼らの怒りに油を注ぐだけだ。
「さっさとカストを殺せ!」「妻の仇を!」「娘を奪っておいて自分は命乞いかよ!」
ルミエス王女は松明に火をつけ、ファラリスの雄牛の下にある薪に投げる。
薪に油が染み込んでいるため直ぐに燃え始め、ファラリスの雄牛を熱し始める。
中にいるカストは、徐々に足元が熱くなっていくのを感じた。さらに自分はこれから焼き殺されるのではなく蒸し焼きにされて殺されるのだと。
彼は泣き叫んだ。だが青銅で覆われた中にいるため音は反響し、まるで牛が吠えるような音になる。
「熱い、下も熱いし空気が徐々に熱くなっていく。」
やがて青銅の温度が60度を超え始めた頃には、彼は中で暴れまくっていた。
何しろ、2秒でも直で青銅に触れていると火傷する。しないためには触れるのは一瞬で無ければなく、その結果暴れることになる。だが中は狭く特に低い天井に何回も頭をぶつけては暴れてを繰り返すがやがて体力が尽き、青銅を直に数秒触れてしまった。
「あつぃ」
手を無理やり離すと皮膚は剥がれ、血が流れるが、その手がまた青銅に触れると剥がれた皮膚、傷口は焼けて塞がり失血死することも無いと彼は悟った。
徐々に皮膚は焼け剥がれ、神経も麻痺し中の温度が200度を超えた頃、カストは痛みで意識を失う事が出来ずさらに猛烈な勢いで水分を失っていき、口はもう塞ぐ力もなく、人の言葉を喋ることも出来なくなっていた。
(地獄だ。いつまで地獄が続くのか?)
外ではルミエス王女が嬉しそうにファラリスの雄牛を解説していた。
「さぁ、もうそろそろこの中の温度は450度に達します!雄牛が黄金色に輝いたらフィナーレです!」
やがて黄金色に輝きだし、カストは熱気と全身の火傷、脱水症状などにより意識をついに失い、その数分後、薪が燃え尽き処刑は終わった。
◆◇◆◇
薪が燃え尽きたため処刑は終了し民衆を解散させた。
文献によれば処刑後の死体はかなりグロいらしく、民衆に見せるべきではないと判断したのだ。
まぁその死体を取り出さないといけない兵士が気の毒だが。
ルミエス王女はファラリスの雄牛からカストだったもの、黒焦げの何かを取り出した。
「これが蒸し焼き人間なのですか。これは予想以上にきますね。」
ルミエス王女も流石にこれはやり過ぎたと思った。
だがその死体はまだ息をしていた。
「ふぅー、はぁー、ふぅー、はぁー」
「驚愕。生きているなんて驚き。古代ギリシャのやつでは完全に絶命する事は出来ないという研究結果って事実なんだね」
そばにいた兵士は、ルミエス王女に突っ込む。
「これでも生きていると言っていいんですか?これはもう動く屍ですよ。放っておいても直ぐに死にますしここまできたら魔法使っても回復させるのは不可能です。」
カストの原型すらとどめてないそいつは、喋ることも出来ず呼吸だけしている。それに意識があるのかすら疑わしい。
「そうね。最後に息の根を完全に止めた後、火葬してあげて。骨は、そうね、砕いた後肥料にでもして。」
「は!」
ルミエス王女は行事のひとつを終えた後次の仕事に取り掛かる。
ドイツから飛行場使用許可と改造の許可願いが来ているのだ。なんでもドイツは せんりゃくばくげきき とやらでパーパルディア皇都を焼き払うつもりらしい。
勿論許可する。
ルミエス王女は空を見上げ、ファラリスの雄牛をどう処分しようか考えていた。
これを使い続けたファラリスもまた、ファラリスの雄牛で処刑されたという伝承もある。
お気に入りでも処分した方がいいだろう。
彼女はその後、ファラリスの雄牛を溶かして祭壇具を作ったという噂が流れたがそれが事実かどうかは誰も知らない。
ちなみにファラリスの雄牛、有名だからか結構色んな作品に出てくる。
次回「戦略爆撃」