オランダ王国 ウィルヘルミナ女王 親独派であり、
さらに賢王。
彼女は今、王宮でレミールと会談をしている。
「...して、あなたがパーパルディアのレミールですか。」
「はい。いいえ。元パーパルディア人です。既に私はパーパルディアから逃亡した身なので。」
すでに皇族からも削除されたレミール。本国に帰れば間違いなくリンチされるだろう。
「そうでしたね。して、今日はあなたに商談があるのです」
「商談ですか?出せるものは無いのですが」
「なぁに。そんな高いものじゃないですよ。簡単に言えば私たちはあなたの国の人と商売がしたい。その際の人脈を提供して欲しいのです。」
「パーパルディアとですか。でも今は戦争中ですし商売なんて出来ないですよ。」
「なぁに。もうすぐその戦争も終わります。商人の情報網を舐めないでください。パーパルディアの商人の8割はオランダの勢力下です。」
オランダは商人国家だ。戦争より金を重視する。悪くいえば拝金主義者の塊だ。彼らからしてみれば戦争とは金がかかるものであるが巨大な市場だ。1つ何万というお金がダース単位で消費されていく世界だ。
現在ドイツ相手に大儲けしているオランダ。
デンマークやアルタラスとも商売しており、戦争前からパーパルディアとも商売を開始していた。
もちろんオランダとは名乗らず、第三国経由でパーパルディアと取引をし、パーパルディアの商人を少しづつオランダ陣営に組み入れて。
結果、ドイツの諜報員より素早く情報を手に入れることができさらに現在パーパルディアでクーデターが発生しており講和の手続きをしているということもわかった。
「パーパルディアは既に基盤がガタガタ。下手したら飢饉が起こるでしょう。そこで我々は貴国と取引をしたいのです。その仲介をお願いしますよ。」
「何が目的ですか?あなた方は無銭で食料提供なんてすることはない。何を見返りに求めるんですか?」
レミールはオランダという国を調べた。
世界は神が作ったがオランダはオランダ人が作った。
この言葉でオランダがどういう国なのかわかる。
オランダ人は干拓地を作りまくって土地を広げ続けた国でありさらに慈悲深い国ではなく何かしらの見返りを求める国だ。
「ほう。よく我が国を知っていますね。
見返りは、資料の提供。」
「資料の、提供?」
「ええ。情報は命です。情報を制する者が世界を制する。我が国にはこの世界の知識がほとんどありません。特に噂の魔帝とかね。こればっかりは噂話程度の情報しか得られなく信憑性も怪しいものばかり。どうです?資料とあなたの人脈で何万人もの人が救われるのです。」
「分かりました。パーパルディアの幹部や資料のある建物を紹介しましょう。ですが私は今パーパルディアに行く事は出来ません。せめて名前を変えて変装しなければ出来ません。」
「分かりました。交渉成立ですね。」
◆◇◆◇
パーパルディア皇国
「皇帝を捕縛しました!」
と連絡員から報告を受け取るカイオス。
彼は、ドイツが空爆した時に直ぐにクーデターを決行した。
いや、ムーがドイツに付いた時にやるべきだったかもしれない。
だが、幸運なことに今日は会議の日だ。皇帝含めて各要人を簡単に捕縛することに成功。
「これでパーパルディア皇国は既にこの手の中か。」
皇帝。ー今のカイオスはその地位に近い状態だー誰しもが憧れるものだろう。だが支配する国が沈みゆく泥舟じゃなければなの話だが。
「早く、ドイツとオランダ、デンマーク宛に和平交渉をしたいと伝えよ!」
「は!」
連絡員は部屋から出ていく。
◆◇◆◇
カイオスは第三外務局の局長室にきた。
「局長も今日で終わりか。色々あったな。」
局長に就任した時、まさかこうなるとは想像もしなかっただろう。
そばにある民間用通信機ーラジオみたいなものーを付けるとたまたまアルタラス王国の放送を受信した。
「ガガガー ...により、私、 ルミエスは本日をもって女王となります。私はもう、戦争のない平和な世界を願い、決して虐げられることの無い国を目指すことを宣言します。また、パーパルディアに虐げられているもの達よ。今こそ立ち上がる時です!パーパルディアは連合軍の攻撃を受け既に各地で壊滅しています。先日、皇都へドイツ空軍が爆撃をし皇都防衛部隊を壊滅させました。さらにパーパルディア主力艦隊相手にも大打撃を与え、パーパルディアは既に力を失っています。...ガガガ」
突然通信が切れた。というより故障したようだ。
なるほど。ルミエス王女は正式に即位式をやり女王になった。さらに属国の反乱を誘う演説か。
これでパーパルディアの属領が一斉に反乱を起こすだろう。今までの比にならないくらいの反乱が起こる。
カイオスは早急に次の手を打たねばならない。
「次は軍の完全掌握か。皇都の軍の半分はこっち側だがそれ以外は全部敵だ。」
その時誰かが扉をノックした。
「誰だ?」
「は!ディーノです!皇族レミールについての報告が!」
「入れ」
扉を開けて入ってきたディーノ。彼は第三外務局に俺が入ってきた時からの同僚であり相棒だ。軍服を来ているのは趣味だろう。何しろ彼は軍事が大好きだからな。
「あの、皇族レミールはどう扱うつもりですか?」
皇族レミール。ドイツの皇子と会って以来人が変わりその後ドイツへ亡命した。彼女は彼女でパーパルディアを存続させるつもりだ。
「彼女は既に皇族じゃない。いわば棄てられた皇女だ。放っておこう。」
「では、皇帝はどうするのですか?」
突然目の前まできたディーノ。いつもと様子がおかしい。
クーデター計画にいち早く賛同した彼のおかげもあってクーデターに必要な人員が簡単に集まったのだが、何か今日はおかしい。
「なんだ急に? まぁいい。ドイツから要請があってな。講和するならまずパーパルディア皇族をドイツの法にて裁くこと。しかしレミールは皇族では無いため対象外だとか」
「そうですか....」
彼は何かを諦めたような表情をした後、突然カイオスを小さなナイフで刺した。
「カイオス。皇族は全て殺さなければならない。パーパルディアの存続なんて許さない。ルディアスは俺たち、反乱軍が殺す。ドイツになんて渡さない。」
胸を刺されたカイオス。あまりにも突然であり相棒のディーノがまさか刺してくるとは思わなかった。
「なぜ、だ?なぜ..反乱軍に?」
血を吐きながらカイオスは、致命傷をおっていることを悟った。
もう助からない。せめてその理由をカイオスは知りたかった。
ディーノはナイフをカイオスから抜き、カイオスが床に倒れて彼が致命傷をおっていること。もうまもなく死ぬことを確認してからなぜ自分が、パーパルディア皇国のエリートである外務局でありながら反乱軍に加わったか説明を始めた。
ディーノはオリキャラです。
次回、クーデター後編