カイザー召喚記   作:ハロポン

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後編です。



28話 クーデター後編

俺、ディーノは属国クーズで産まれた。

両親がパーパルディアであり統治機構の職員だったためか、俺は両親の影響を強く受けた。

 

クーズ人はクズ。そう教えられてきた。

 

だが9歳になった頃、仲良くなった女の子がいた。

彼女は綺麗で頭も良く、俺の初恋の相手だった。

 

12歳の頃には彼女をどうにか今の環境から救い出す方法を考え、ひとつの結論に至った。

 

彼女を俺の奴隷にしよう。身分だけは俺の奴隷だがそれ以外は普通の女の子として接しようと。

美人な女は他の駐屯兵によって攫われるのが当たり前であり強姦も日常茶飯事だ。だが奴隷なら他の兵も手を出しにくくなる。何しろ所有物でありそいつに暴力を振るっただけで器物破損として逮捕されるのだ。

 

正直心苦しいがこれが彼女らを安全に守る方法だろう。

勿論これが自分の考えだけを相手に押し付けた偽善だが、これしか無い。

 

だから俺は親に提案し、実行しようとした16歳の夏。

彼女はパーパルディア兵に強姦され殺された。

 

それも首を絞めさらに喉や腹を切り裂かれてだ。

 

さらに誰が犯人なのかすらろくに調査せず、犯人は不明として処理された。

こんな終わり方なんて認めない。彼女の復讐をしてやる。

この国をぶっ壊してやる。それも徹底的に。俺はパーパルディアを内部からぶっ壊すため親のコネを使い倒し第三外務局に入ると同時に反乱軍にも入隊した。

 

カイオスと友達になった後も反乱軍での活動を続け、密告などを使い俺の敵対勢力を削ぎ落とし、5年の歳月をかけ反乱軍をほぼ支配する事に成功。

さらに反乱軍を書類を偽造してからパーパルディア軍や政府に少しづつ入れていき皇族暗殺計画も立てたが、やはり最大の問題があった。

 

それは皇都にいるパーパルディア軍のワイバーン部隊だ。彼らだけは手を出すことが出来なかった。

 

だが好機が訪れる。それはドイツとの戦争ぼっ発とそれに伴うパーパルディア軍の壊滅。そしてカイオスのクーデター計画。

 

「クーデター計画は有難かったよ。正直、ワイバーンが消えただけではどうしても皇帝やその他行政機関を完全に破壊する事は出来なかったよ。逃げられたら終わりだからね。

 

だが俺は運がいい。カイオス派閥を味方につけることができたからさ。知ってるかい?皇帝が最近やけにカイオスに敵対しているの?あれ俺なんだ。」

 

カイオスは幾度も皇帝に対してドイツの脅威を唱えた。

だがそれは無視し続けられさらに皇帝からも敵視された。やりすぎたのが原因だとカイオスは考えていた。

 

だがディーノはあの日、皇帝に対してこう助言した。

 

「あれね、カイオスは実は反乱軍に通じており、ドイツの情報は全て嘘。皇帝陛下を簡単に騙す事ができるとカイオスはタカをくくっているんですよ。皇帝陛下、彼は今すぐ捕まえるというのはやめましょう。彼を徹底的に監視し、反乱軍との連絡路を抑えてから捕まえましょう!」

 

勿論これは嘘である。が、人は嘘か本当かより信じたいものを信じるものである。ー新興宗教しかり。癌は嘘。伝染病は全て生物兵器から生まれたとのたまうやつもしかりー

厄介な事に皇帝はこれを鵜呑みにしカイオスを徹底的に監視した。カイオスと接触したもの達のリストはディーノの手に渡りこれを元にカイオス派の大きさを調査。

 

あとはドイツの爆撃も重なり、カイオスは実は反乱軍に通じてなかったと皇帝にいい、皇帝もカイオスが反乱軍かどうかより国をどう立て直すかを早急に考える必要があったためお咎めなしで俺は解放された。

 

そしてこの日、行政機関の人達全員が集まる時を狙って、これまで隠れてきた反乱軍を使って皇帝や行政機関の人違を全員捕縛した。

 

「つまりカイオス。貴様は俺の掌で踊っていたのさ。」

 

苦しみながらもカイオスは尋ねる。

 

「では、なぜ、...俺にあの、質問を?」

 

「なに単純さ。もしカイオスが皇族を殺すと言ったら、反乱軍に誘おうと思ってただけだ。」

 

「そう..か。では、お前は74ヶ国連合と繋がってるのか?」

 

「あー、あの旧属国が集まった連合国家か。関係ないぞ。反乱軍の目的はパーパルディアの消滅。アイツらの目的は主権国家としての独立とパーパルディアとの決別だ。奴らにはパーパルディアを滅ぼそうという気持ちが無いからな。」

 

反乱軍は亡霊の集まり。そういう噂をカイオスは聞いたことがあった。

これまで過激に破壊活動をしていた反乱軍はいつの間にか反乱をやめた。組織が壊滅した訳ではなく何も事件が起こらず次第に反乱軍は壊滅したとか、解散したとかの噂が出回った。

 

だがアルタラス王国との戦争前に各地で反乱軍が反乱を始めた。

ようやく尻尾を掴めたと陸軍を導入して鎮圧しようと現地に向かうとそこには誰もいなかったと。既にもぬけの殻でありこれが数件も続けば反乱軍は実在しない亡霊と思った者も少なくなく、そのせいで亡霊の集まりとも呼ばれたのだ。

 

これもディーノの指示である。

パーパルディアを撹乱する罠だったのだ。

 

「残念だったな。今頃各陸軍のトップも暗殺してる頃だろう。」

 

「そう...か...クーデター...は...失敗...か。」

 

カイオスはクーデターでパーパルディアを救おうとした。

それは平和と国民のため。だがそれは成功しなかった。

全ての点で上にいったディーノ。

なるほど最大の敵はワイバーンオーバーロードではなく同僚であり相棒だったわけか。

 

カイオスは、静かに息をひき取った。

 

「さよなら相棒。さて、部下から報告を受けなければ」

ディーノは速やかに部下から各職員を全て殺した事。

パーパルディア軍がこちらに向かってきている事を知り、撤退をするよう通達。

 

こうしてパーパルディア中枢全てが死亡するという前代未聞の暗殺事件が発生し、パーパルディアは内政が完全に麻痺。ドイツなどと講和する機会もなくさらに他国の介入もありトップを失ったパーパルディア軍は烏合の衆と化し、あちこちで敗走を開始。

 

パーパルディアは消滅寸前となっていた。




ちなみに反乱軍の総数はおよそ5千人程度。
反乱軍は多種多民族で構成されておりみな、パーパルディアを憎んでいる。
彼らはディーノから渡された偽造書類を使ってずっと隠れてきた。

これで反乱軍の伏線は回収できた。

ちなみにここから原作と大幅に変わっていくつもりですー

次回ー思惑と現実
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