カイザー召喚記   作:ハロポン

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40話 グレートアトラスターvsシュペー

「なぁ、これに乗るのか?」

 

グラ バルカスが世界に宣戦布告した頃

ターニャは参謀本部から渡された作戦を実行するべくキール軍港にあるこの研究所に来たのだ。

 

目の前には大量のエンジンが搭載された飛行機がある。

 

「どうかね大佐!この美しい、すらっとしたスタイル。この最新型ジェットエンジンが大量に取り付けられた機体!大量のジェット燃料を消費する代わりに最高速度は音速の2倍!マッハ2!!ドイツでもこの速度についていける機体は存在しない!え?方向を変えられない?方向なんて変える必要は無い!ただ真っ直ぐ、真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ飛べればいいのだ!!さらにさらに戦闘についている爆弾の威力は対艦ロケットと同じ威力!これぞ神に認められた私にしか出来ない代物だ!」

 

と自信満々に語るこの機体の設計者 シューゲル。

相変わらずMADだ。

 

「あのぉ、衝撃波による問題は.....」

 

「そんなもんとうの昔に解決した!既に最新式ジェット機を配備しているのだ安心したまえ!」

 

ジェット戦闘機なんていつ配備したんだ?少なくとも見たことないぞ?

 

「解決してるならいいか。いや良くない。」

 

人命軽視の代物に乗りたくないんだ。

 

「あの、これ確か開発事態凍結されたと聞いてるんですが?」

 

「開発凍結?そんなもんとっくの前に撤回させた!さあデグレチャフ少佐、これは命令だ。出撃しなさい」

 

どうしようもない。

 

「分かりました。その前にヴァイス中尉」

 

「は!」

 

「大量のアルミ箔と旧式の通信機の用意を!」

 

「な、何故でありますか?」

 

「使うからだ。優秀な兵器も時にはそれが弱点となることを奴らに教えてあげるのさ」

 

ターニャは悪魔のような顔で笑う。

 

敵の技術は1940年代の日帝と米帝レベル。ならつけ入る隙はあるということ。

 

◆◇◆◇

グレートアトラスターとの戦闘開始からすでに10分が経過。

 

「2番砲塔、うて!」

 

シュペーの28.3cm砲が火を吹く。砲弾は正確にグレートアトラスターの後方に命中するが、対空砲が潰れるくらいの損害しか与えられない。

 

「くそ、火力が足りないか。魚雷全門発射!」

 

シュペーの魚雷8本がグレートアトラスターに向う。

爆音と巨大な水柱がたつ。

 

「どうだ!全弾命中か!」

 

傍の観測員は正確に情報を艦長に伝える

 

「いえ。5本即発です!1本は避けられ命中2。なおグレートアトラスター傾いてません!」

 

「くそ!海軍研究部のクソッタレどもめ。魚雷の重要性を理解してないのか!いっその事職員を魚雷の代わりに発射してやろうか!」

 

ードイツ海軍正式魚雷

G7b2は射程距離 7500m 40ktだが最大の弱点があった。それは不発と即発がしやすく木銃と評価されレーダー提督も「こんな酷い魚雷を配備している国も無いだろう。」なんて言うくらいだ。

 

なおそんな酷い魚雷を使い続けた理由はまず、ドイツは陸軍国家だ。海より陸、空を重視し対イギリス戦の基本も空軍であり陸、空の急速な技術発展は海にまで行くことはなく予算も陸、空中心に割り振っているからでもある。

魚雷のコストが高いことも相まって酷さは変わらない。

一応初代よりはましになっている。ー

 

「艦長!敵艦から発煙確認!」

 

「総員、衝撃に備えろ!」

 

船の傍で大きな水柱がたつ。さらにその衝撃により船が大きく揺れる。

 

「これが46cm砲か。」

 

ランスグドルフ大佐も経験したことの無い揺れに慌てる。

 

「そういえば今、80cm列車砲搭載の戦艦作ろうという噂を聞いたことがあるがあれって本当なのかな。」

 

頭から血を流している副艦長は小さい声でつぶやく。

 

「さすがに嘘でしょ。80cm列車砲もあるのかすら分からないし。」

 

「副艦長、それだけ喋れるなら大丈夫だな。」

 

何かに頭をぶつけ頭から血を流している点以外は特に問題の無さそうな副艦長。

 

「へへへ。艦長。この俺がこんな事でくたばるとでも?俺は船に生きると決めたんだ。死ぬなら船と一緒に死ぬ。それまでは絶対に死なない。」

 

「全く悪運が強いな。おい、海峡突破まであと何キロだ?」「8キロです!」

 

「艦長、敵艦の砲塔全てがこちらに向いてます!」

観測員は恐怖で声が震える。

 

それはグレートアトラスターが本格的にこっちを狙ったということだ。

 

「どうやら敵さんはさっきの魚雷にブチ切れたらしい。」

 

沈めなかったとはいえ、確実にダメージは与えたはずだ。例え微量だったとしてもだ。

 

「魚雷放て!」

再び魚雷8本がグレートアトラスターに向かっていく。

再び大きな水柱が起こる。

 

「魚雷....6本即発!命中2!」

 

距離があるとはいえいくらなんでも即発し過ぎだろ。

 

「このくそ魚雷め!だから潜水艦に砲塔をつけるべきだとかいう声が上がるんだ!」

 

「艦長!グレートアトラスターが傾いてます!致命傷ではないですがかなりのダメージは与えました!」

 

グレートアトラスターは魚雷のダメージにより数度傾き、速力も落ちた。だが主砲は再び火を吹く。

それも全門一斉射撃。

 

ズドンッという激しい音と共に揺れる船。さらに続く大爆発音。どうやら直撃したらしい。

衝撃により艦長も近くのパイプに頭をぶつけた。

 

「損害は!」

 

「か、艦長!後方に被弾!機関停止!航行不能です!」

「Dブロックにて火災発生!」

「左舷浸水!限界をこえました!」

 

どうやらシュペーもここまでのようだ。

 

「艦長。恐らく5発直撃しました。もうこの船は鉄の棺桶です。」

「沈む…か。総員、逃げろ。副艦長はどうする?」

「決まってるでしょ。最後までこの船にいますよ。そうだね。最後は弾薬庫を爆破させようかな?そういう艦長は?」

「そうだな。この船と心中するさ。最後にせめてケーキが食べたかったな。 さて、駆逐艦が無事海峡から出られるよう煙幕をはりたいがどうすれ....」

「どうしました艦長?」

 

「は!副艦長!この船を爆破して煙幕を出そう!」

 

この後シュペーから脱出した乗組員は駆逐艦に救助されどんどん傾き始めるシュペーからある程度離れたタイミングでシュペーの火薬庫が爆発。

シュペーは真っ二つにさけ、どデカい黒い煙をだしそれに紛れた駆逐艦と民間船は海峡から脱出した。




シュペー轟沈。
グラ バルカスが逃げた駆逐艦をそのまま見逃す訳もなく追撃戦が始まります。
次回「白銀は舞い降りた」
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