カイザー召喚記   作:ハロポン

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41話 白銀は舞い降りた

グレートアトラスター 艦橋

 

「ドイツ帝国重巡洋艦、撃沈したな」

 

艦長ラクスタルは予想以上にあっさりとドイツのシュペーを撃沈できたことに喜んでいた。というのもグレートアトラスターはシュペーの魚雷を受けたのだ。

 

「魚雷数本じゃ沈まない。グレートアトラスターは不沈艦だ。」

 

傾いたグレートアトラスターは、浸水した区画の反対側に水を入れることにより体勢を建て直したが修理は必要となっていた。

だがそれを知らない他の国にはグレートアトラスターは不沈艦だと認識した。

 

ドイツの船はデカく、砲も大きく威力も高いがグラ バルカスのあの巨大な船には一切通用しなかった。

ドイツの謎の攻撃(魚雷)によりその船は確かに傾いた.....だがそれは今や体勢を立て直し何事も無かったかのようにいるのだから。

ミリシアル帝国、ムーに続きドイツの船まで轟沈した。

士気がボロボロになった各国の船はグラ バルカスの航空機からの攻撃によりさらに轟沈していき、全滅まで時間の問題となっていた。

 

シエリタは逃げたドイツの船も沈めるようラクスタルに伝えた。だが、

 

「残念ながらあの駆逐艦にはこの船では追いつけん。代わりに他の駆逐艦を追撃に送った。2隻もいれば沈められるだろう。安心したまえシエリタ嬢。ドイツの駆逐艦は我らと対して変わらなかそうだがあの魚雷だぞ?ほとんど即発するような欠陥魚雷を使うような国なんてたかが知れてる。余裕で沈められるさ」

 

と返ってくる。グレートアトラスターは速度が遅いのだ。仕方ないのだがシエリタには嫌な予感がしてならなかった。

というのもシエリタはドイツの複葉機の変態的な動きをまえにあっさりと主力戦闘機が撃墜されたのを見たからだ。はたして予想通り事が運ぶとは思えなかった。

◆◇◆◇

海を全速力でかける駆逐艦1隻と民間船その後を追いかけるグラ バルカスの駆逐艦2隻。

ドイツの駆逐艦、Z級駆逐艦の艦長 エーリヒ少佐はやせ細った頬を触る。

彼は身の危険を感じると頬を触る癖があったのだ。

 

「敵艦の速度は!?」

 

「敵艦、速度およそ34ノット!」

 

現在この船の速度は20ノット。もうまもなく追いつかれる。

敵艦の大きさおよそ102.6メートル、45口径12cm単装砲4基と魚雷が数門。

 

「敵艦は恐らくキャニス級駆逐艦です!キャニス ミナー級とは別艦です!」

 

「ということはもう少しで奴らの射程圏内か。」

 

その時船内にアラームが鳴り響く

 

「味方の援軍が来ました!識別暗号は、青、赤、白?いや銀、 白銀!ということは第203航空魔導大隊です!ただ、数が聞いている情報より多いのですが。」

 

レーダーにははっきりとターニャ達の部隊とその後ろに200以上もの航空機が映っていた。

 

「味方の戦闘機か?」

 

『 こちら第203航空魔導大隊のターニャ フォン デグレチャフ少佐です。救援にまいりました。』

 

無線で子供の声、ターニャの声が響く。

 

「こちらZ級駆逐艦 艦長エーリヒだ。貴官の部隊は48人しかいないと聞いたがその200以上の航空機は何かね?」

 

『 これらは全てダミーです。』

 

そういえばレーダーの性質上の問題で反応しやすい金属片があると聞いたことがある。もしかしてそれか?

 

『 敵にはレーダーが搭載されている可能性が高いと聞き、撹乱のためにこの辺一帯にアルミ箔をばら撒きました。』

 

「艦長!敵艦速力が落ちました!戦闘態勢に入った模様です!」

 

そりゃあレーダーに突然200以上の航空機が現れれば直ぐに対空戦闘の用意を始めるだろう。もはや追撃する余裕も無くなるものだ。

 

「なるほどデグレチャフ少佐。敵艦が速度を落とした隙に我々はトンズラするよ。あとシュペーは沈んだ。生き残ったのは我々だけだ。歓迎会でも開こうか。」

 

エーリヒはデグレチャフ少佐にそう言い終わると直ぐにデグレチャフ歓迎会の準備に取り掛かった。

 

◆◇◆◇

その頃その空域にて。

 

ターニャは味方の駆逐艦が完全にこの海域から抜けたのを確認してから離脱の準備に取り掛からせた。

 

セレブリャコーフ中尉はターニャに質問する。

 

「あの少佐、なんで離脱するんですか?今ならあの駆逐艦を沈めることだってできるのに?」

 

「いいかねセレブリャコーフ中尉。駆逐艦は戦車とは違う。やつの装甲は硬い。我々ではさすがに分が悪い。オマケに向こうには近接信管まであるそうじゃないか。

あれに突っ込むのは死ににいくようなものだ。」

 

先祖の日帝様は米帝の艦隊の中に突っ込んで行ったがあれはおかしい。精神力が違いすぎる。まだ死にたくないぞ私は。

 

「それにだ。駆逐艦なんて何隻沈めても直ぐに補充されるさ。狙うだけ無駄ってことだ。さぁ帰るぞ。」

 

ターニャは早く帰りたかった。なぜなら、人間ロケットでここまで飛ばされた挙句、駆逐艦と睨み合うという状況が嫌だったのだ。

 

その後、ドイツの駆逐艦と民間船は無事帰還できたもののそれ以外の船は全てグラ バルカスに撃沈されこの海戦はグラ バルカスの勝利で幕を閉じた。




キャニス級はオリジナル艦です。モデルは旧大日本帝国海軍 春風です。

次回「勝利の秘訣」
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