「だるい。これは疲労感だけでは無いな。なるほど、前世で数多の無能をリストラしてきたがこういう心情だったのか。だが私は軍人だ。たとえやる気が無くてもやらねばならん。そう、どんなに気が進まなくても」
ターニャは起きて着替えて定時時刻5分前にシューゲルの研究所へ到着する。
「おはようデグレチャフ少尉。 時間前に来るとは今日もやる気十分じゃないか。」
「シューゲル、もうやめません?この宝珠絶対完成しませんよ。」
「なぁに今日は絶対完成する。信じたまえ」
自信に溢れたシューゲルの言動に疑問を持ちつつもターニャはエレニウム95式を起動させる。
予定通り高度6000mに到達。ここまでは順調。
「とくに異常なし。続けて次の実験、高度8000mまで上昇する」
何か嫌な予感がする。順調過ぎる。
順調過ぎた。壊れる直前の機械のように順調だった。
高度7800に到達来た時、それはついに来た。
「デグレチャフ少尉。実は昨日天啓を得てね」
「天啓.....でありますか?」
あぁやはりアレなのか。嫌な予感がする。
「そうとも!我々が共に、神に成功を祈願すれば信ずる者は救われるのだとな!」
この科学者が神を信じる?ありえない。失敗しすぎて気でも触れたか?
危険と悟ったターニャは急いで安全機構を立ち上げようとする
が、立ち上がらない。
そういえば以前このMADは、安全機構は機能美が無いから取り外したいとほざいてた。まさか本当に取り外したのか。
「いい機会だ。2人とも神に祈ろうではないか!」
「シューゲル、あなたは無神論者だったはずでは?」
「発明の神が私に舞い降りたのだ。私は今や敬虔な信徒だよ」
やばい。エレニウム95式がこのMAD同様に本格的に壊れ始めた。制御が出来なくなり暴走をし始めたこいつは最終的にはこの研究所丸ごと吹き飛ばすだろう。
「さぁ2人で祈願しよう。さすれば成功するだろう」
「私が祈願しなければどうなるのですかね?」
「私と共に殉職だよ」
「なら先に貴様を殺そうか?」
どうせ死ぬなら先にこのイカレを殺してから死にたい。
「落ち着け少尉。お互い祈ればいい話さ。君も神にあったことがあるであろう!」
まさか、まさか、「存在X!また貴様か!!世界は、私は貴様らのおもちゃじゃ無いんだぞ!」
「魔力係数急上昇、宝珠が、崩壊、退避、総員退避しろー!」観測班の悲鳴。
「議論の末に貴女方が開発しようとしているエレニウム95式。それに奇跡を起こすことを主はお認めになられました。」
ターニャは見覚えのある空間で存在Xとは違うやつが出てきた。なるほど。こいつも悪魔の類か。
「そしておめでとうございます。あなたは無知ゆえに罪深き存在であったことを主はお認めになり、あなたを導くことを決意なされたのです。」
なるほど。つまり存在Xが私の人生を勝手に決めたということか。私という個人は私で決めることは出来ないのかふざけんな。
「ああ、安心してください。あなたは何を強制されるか不安なのでしょう」
強制されるか、間違ってはいない。人生を強制的に決めさせられたら不安になるし反発するのは当然だろう。
「ご安心ください。奇跡によりあなたの演算宝珠は完成しさらにそれを使う際には祈りの言葉を唱えるでしょう。」
「祈り?」
「ええ。貴方が主を讃えなかったのはあなたの親が子に神の偉大さを説かなかったからでしょう。ですがそれはあなたが悪い訳では無いのです」
済まない。何を言ってるのか理解できない。神を信仰しないのは親が悪い?宗教を強制した結果何が起こったかご存知無いのかね?十字軍やイスラム過激派、宗教戦争。神なんて語る奴らにろくなもんはねぇ。
「ですから私たちはあなたが祈りの言葉を心から捧げるようにこれを改造しました。」
「それは極悪質な洗脳にしか聞こえないな」
状況を整理するとこいつらは、私をこの世界へ拉致って、その後その世界の国丸ごと他の世界に拉致って極めつけに私に洗脳道具を押し付けたと。
幸いなのはこの世界の文明レベルが低いおかげでこいつを使わないで済みそうな事だな。
「ところで私の実体は?」
「それは大丈夫です。我々神が恩寵によりあなたの実体を保護してます。さぁ神の御業を説きなさい」
ターニャの意識はそこで途絶えた。
気がついた時には何もかもが終わった後でありエレニウム95式の起動実験は奇跡的に成功。卒業研究としては一大成功を収めた。だがターニャはあの時神を讃えた言葉を言ったらしい。
「さて、こいつは直ぐに封印だ。二度と使うものか!」
ターニャはその後無事卒業研究を発表し複製不可能と呼ばれる、この世界にただ1つしかないエレニウム95式の保有者となった。
存在X「たしかに今はエレニウム95式を使わなくてもいいだろうな。今は。」
次回 転換期
原作にないオリジナル都市を追加するかどうか?
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追加して欲しい
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いや、そこは原作に忠実にして欲しい