プリパラ 『半才と呼ばれる無気力人間の故事』   作:自由の魔弾

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#3 チーム解散?かしこま!forハッシュ

「このチームは絶対売れるクマ!前祝いにグビッと」

 

そう言いながら青汁を飲んで浮かれているのは、らぁら達のマネージャーを務めているプリパラ内のキャストの“クマ”だ。その容姿は見るからにぬいぐるみなのだが、普通に喋ったり飲み食いしたりと一概にそうとは言えない存在。このキャストという存在はプリパラ内に複数個体が存在するようで、その中でもクマは不器用で中々成績も良くないがアイドルを1番に思いやる気持ちは強く、みれぃもそこは一躍買っているようだ。そんな彼とみれぃの提案により、翌日かららぁらのアイドルレッスンが始まったのだ。だったのだが…

 

 

 

 

『アイドルの基本その1 笑顔』

 

ニコッという表現が正しいお手本のようなアイドルの笑顔を見せるみれぃ。彼女曰く1億人分の笑顔データを解析した結果、首の角度は37.3度、口角は30.1度上げて微笑むのがベストらしい。

らぁらも真似して“笑って”見せる。

 

「アヒャヒャヒャヒャッ!!」

 

「違う!」

「アイドルナメてんのかクマーッ!!」

 

 

 

 

『アイドルの基本その2 ウォーキング』

 

空から天使に引っ張られている感覚でバランスを崩さずに平均台の上を歩くみれぃ。それに続いてらぁらも挑戦する。

 

「よ、よ〜し…うわぁ、とっと……天使さ〜ん!!」

 

「全然ダメぷりッ!」

「やる気あんのかーッ!!」

 

 

 

 

『アイドルの基本その3 握手』

 

タコ型の握手アンドロイドを使って、高速回転するタコの足1つ1つと握手するみれぃ。ファン1人1人に対応するためにどんな状況でも握手する判断力が身につくとか。1つでも取りこぼすと…。

 

「うへぇ…墨だぁ」

「何でミーまで巻き添えにクマァ!?」

 

 

 

 

『アイドルの基本その4 サイン』

 

描いたサインをみれぃに見せるらぁら。字は曲がってるは、時間はかかってるはでとても貰って嬉しいものではなかった。

 

「何もかもダメすぎ!気合いが足りないぷり〜!!」

 

「あ、あははは……」

 

 

 

 

結果、圧倒的敗北。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってなことがあったから、こんなにやられてる訳ねぇ…?」

 

事の経緯を聞いたハッシュはリビングのソファーでポテチを貪り食べながら横で寝転がってうなされているらぁらに視線を向ける。

 

「でも、そのみれぃって子の言う通りかも。こればっかりは俺が何とかしてあげられるもんじゃないしなぁ…。“継続は力なり”&“力は心なり”って誰かが言ってたし」

 

ハッシュの言葉に?マークを浮かべてる様子のらぁらに、補足して説明する。

 

「気持ちで負けるな…ってことさ。らぁらは何でアイドルになりたいって思ったのさ?」

 

「え…?」

 

ふと考え込むらぁらの代わりに、ハッシュはサムズアップしながら答える。

 

「誰かの笑顔のためでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学校で授業を受けるハッシュ。考え事をしていた矢先、気が緩んだのか持っていたシャーボを落としてしまう。案の定考え事というのはらぁらのことで、あれから上手く悩みを消化出来たかが気掛かりでしかなかった。

落としたシャーボを拾おうと屈んだ瞬間、ふと隣の席のみれぃのノートが視界に入った。

 

(あのグラフは…プリパラって文字が見えた気がしたけど?法の番人と恐れられたあの南が?)

 

ハッシュの視線がノートを凝視していることに気づいたのか、次の瞬間には片付けて何事もなかったように冷やかな視線を向ける。

 

「な、何かしら…真中君?もしかして……(ノートを盗み)見た?」

 

「いや、男と女は一緒にいた方が良い」

 

「…はぁ?」

 

「南のことじゃない。南の足下に転がってるシャーボと俺のこと。取ってくれない?」

 

ハッシュに言われた方向に視線を向けると足下にはたしかにシャーボが落ちていた。自分が書いていたものが見られていないと確認したみれぃは、普段の様子に戻りシャーボを手渡した。

 

「はい…どうぞ」

 

「あ、あぁ…どうも」

 

シャーボを受け取ると同時にハッシュは不信感を覚える。ついこの前から、やけにみれぃの態度がおかしい。厳密にはハッシュに対してのみ何か棘があるというか、警戒されているというか。

 

「(今までも監視が強くなかったことはなかったが…。今回は特に何かアクションを起こした記憶はないはず……忘れてるだけなのか?)まぁ…いいか」

 

最近どういう訳からぁらとみれぃが一緒に居るところをよく見かけることを危惧している事の方が、今のハッシュにとっては重要なのだ。

らぁらが前に進むために、障害になっているのなら自分が何とかしてあげなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました〜。梅干しピザのお届けに参りました」

 

らぁら達がライブを成功させている頃、ハッシュは例の梅干しピザのお客様に配達に来ていた。最近かなり頻度が増えている気がするけど、店側としては有難い限りなので食べすぎ注意の警告はしないでおこう。

 

「は〜い…」

 

扉越しにいつも出迎えるはずのコスモ…ではない別の声が聞こえてくる。思い返せば、妹さんが居たような気がしたのでおそらく彼女だろうか?

最初の返事から3分ほど経ってから、ようやく声の主が現れた。

 

「ぷしゅ〜…」

「ぬわッ…!?ち、ちょっとお客さん!」

 

扉が開けられた瞬間、ハッシュの身体めがけて雪崩れてきた。幸いにも持っていたピザは頭の上に乗ったため無事だったが、両手がすっかり塞がっているため退かそうにも立たせようにもどうにもならないでいた。

 

「あ、あなたもしかしてコスモさんの妹さん…?あと、できれば早く退いてくれると」

 

「ごめんなさ〜い…」

 

そう言うと、ゆらゆら揺れながら床にへたれこんだ。ようやく身体の自由が戻ってきたハッシュは、ピザの中身が無事なことを確認すると妹さんに手渡そうとする。

 

「レ…レッドフラッシュ〜…」

 

ダメだ。一向に動く気配がない。ハッシュはとりあえず思いつく限りの“レッドフラッシュ”を披露することにした。

 

「レッドフラッシュとはアカバセンニチコウの和名で、西インド諸島からブラジルにかけて分布するヒユ科アルテルナンテラ属(ツルノゲイトウ属)の常緑性多年草です。

アカバセンニチコウが属するアルテルナンテラ属の植物は、熱帯から亜熱帯アメリカを中心に約200種が分布しています。

アカバセンニチコウの仲間は日本にも分布しており、ホソバツルゲイトウやマルバツルゲイトウ、ナガツルノゲイトウなどが、本州以南の地域で帰化植物として定着しています。もしかしてアレですか!?」

 

反応を伺うも無反応。どうやら違うようなので、別のレッドフラッシュを披露する。

 

「レッドフラッシュ!超新星フ○ッシュマン!!でやぁっ!行くぞ!プリズム聖剣!ファイヤーサンダー!これならどうです?」

 

ポーズをとるもまたもや無反応。ストックが切れたため完全にお手上げ状態。すると、梅干しピザのお客さんがピザを指差してきた。

 

「そ、それ…」

 

どうやらレッドフラッシュ=梅干しらしい。このままだとまともに会話すらできないので、とりあえず梅干しピザを食べさせることに。

梅干しを口に含んだ瞬間、彼女の身体に電流が流れたかのような衝撃が走る!すると、先ほどとは打って変わったクールキャラへと変貌を遂げた。

 

「フゥ…またお姉さまが帰る前に戻ってしまったのね」

 

先ほどまでは髪がボサボサで目元が隠れていた為よく見えなかったが、まるで覚醒したかのような綺麗な瞳、端正な顔立ち、艶のある髪にハッシュも思わず視線を奪われた。

 

「か、可愛い……」

 

「フフッ…ありがとう。自己紹介がまだだったわね…私は北条そふぃ。いつも美味しいピザを届けてくれて助かるわ。でも…」

 

そふぃはそこで言葉を止め、ハッシュの口に自身の人差し指を当てて「しぃ〜」と合図してみせた。

 

「この事は誰にも言わないって約束してくれるわよね……“半才くん”?」

 

「は、はひ…!?」

 

こうなっては完全にそふぃの流れになってしまった。残りのピザを抱えて部屋に戻っていったそふぃ。にも関わらず

しばらその場に立ち尽くしているハッシュ。ブルブルっと顔を振り気合いを入れ直す。

 

「…って、歳上かよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとお兄さん!早く食べ終わってよね!食器洗えないんだから!」

 

「ハッシュ君、配達から帰ってからずっとあの調子なのよねぇ…一体どうしちゃったのかしら?」

 

「う〜ん、ちょっと心配だヨーグルト〜…」

 

ぼーっとしてほとんど食事に手をつけないハッシュを見かねて、普段は温厚なのんが柄にもなく声を荒だてて注意する。らぁらパパ、ママも珍しく覇気のないハッシュを心配しているようだ。

 

「……レッドフラッシュ〜」

 

「キィー!!もう自分でやってよね!」

 

ぷんぷん!といった様子で部屋に戻ってしまったのん。入れ違いでプリパラかららぁらが帰ってきた。

 

「たっだいま〜!って、のんどうしたの?なんかすっごい怒ってたけど……ってお兄ちゃんが全然ご飯食べてない!?」

 

両親に視線を向けると、向こうからもお手上げの合図が返ってきた。どうやら本人から聞くしかないらしい。

 

「どうしちゃったの?お兄ちゃん、何かあってもご飯だけはちゃんと食べてたのに…」

 

「レッドフラッシュ…」

 

初めて聞く単語に困惑するらぁらだったが、それよりも早く伝えたいことを言葉にする。

 

「レッドフラッシュ?ってそれよりもお兄ちゃん、私のやりたいことわかったよ!私の歌でみんなを勇気づけたい!みんなになりたい自分になれるって知ってもらいたい!お兄ちゃんのおかげで気づけたよ。だから……これはそのお礼!」

 

らぁらはそのままハッシュの頰に軽くキスをした。まぁー!と両親揃って囃し立てているがその瞬間、遠く離れていたハッシュの意識が鮮明なまでに呼び戻されていく。そして、その結果…

 

「ら…らぁら?」

 

ぷくーっと頰を膨らませ恥ずかしくも不満げな表情を浮かべ、無言で何か訴えかけるらぁら。ハッシュは何も語らずにらぁらの両頬に手を添え、油断しきっていたのでそのまま引っ張る。

 

「何しやがる〜」

 

「い、いひゃいいひゃいいひゃい〜!!」

 

そのまま横にピンッと引っ張りながら手を離すと、餅のような柔らかい頰を(痛みで)赤らめ、痛みを和らげるように手でさするらぁら。

次の瞬間には額に感触あった。何が起こったのか、無論突然のことで理解できなかったが理解した瞬間顔から火が出るように紅潮させた。要するにハッシュの仕返しだ。

 

「お、おおおお兄ちゃん!?な、何でき、ききききキス返し!?」

 

シュバッとハッシュから離れて額を両手で押さえ狼狽えるらぁら。反対に余裕を見せるハッシュ。

 

「サプライズってのは、タイミングが大事なんだ。そのタイミングを見計らえないと、兄貴を超えるのはまだまだだな……でも、元気でた。さんきゅ、らぁら」

 

サムズアップして見せる。それを受けてらぁらは最高の笑顔で返した。

 

「…うん、どういたしましてのかしこまッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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