「あの力を完全にですか?」
正直、できる気がしない。あの力は相当強力なものであることは明らかだ。そもそも自分は一度あの力にのまれている。しかもどうやってメモリのなかの意思なんかと戦うのか。
「それは大丈夫。ちゃんと方法も検索済みさ」
フィリップが自信満々の表情で言う。
いや、そうじゃないんだが。大丈夫なのか。
「っていうか戻って来れるんですよね」
「大丈夫だよ。君があちらの世界で死にさえしなければね」
さらりと怖いことを・・・
「それで、その方法は?」
翔太郎まで自信満々の表情になる。フィリップとならんで、こっちを見てくる。
おいおい、なんで二人してそんな自信満々なんだ。
「俺のトリガーメモリと、フィリップのルナメモリを使う。そんで、トリガーマグナムでルナメモリのマキシマムを発動させる。んで、その弾丸をお前に撃ち込む」
ああなるほど、なら大丈夫・・・じゃねえだろ!なんでそんな危険な方法で自身たっぷりなんだよ!
「いやいや、大丈夫じゃなくないすか?俺死んじゃうじゃないすか?」
「大丈夫だよ。弾丸は、君の精神とメモリを繋ぐ役割だよ。弾丸で精神を押し出すんだ」
「そうなんすか・・・」
なんだか納得する和哉。
「で?どうなんだ?やるか、やらないか?」
和哉に問う翔太郎。
「俺は・・・やります。この力がなけりゃ、碧も守れない」
碧はあの学校を襲った事件以来、意識不明になっている。音の弾丸をうけたとき、衝撃が強すぎて頭に来たダメージが大きかったのと、事件のショックで精神的なダメージもうけたのが原因のようだ。今も病院のベッドで寝ている。
「そうか。その気持ちがあれば、絶対に勝てる」
「・・・はい」
「じゃあ、エターナルメモリを持ってそこに立ってくれ」
「ベルトはつけなくていいんですか?」
「力の源はメモリだからね。それにもしベルトをつけていたとして、暴走してしまったら勝手に変身してしまうことも考えられる」
「そうですね」
「んじゃ、いくぜ。」
ダブルドライバーを腰に巻く翔太郎。
今回は最初からトリガーメモリを選択した。フィリップもルナメモリを選んだ。バックルを開き、変身する。
「んじゃあ、準備はいいな?」
最後の確認をする翔太郎。和哉がうなずくのを確認して、トリガーマグナムにルナメモリを装填する。
『ルナ・マキシマムドライブ』
引き金を一気に引き絞る。それが自分に当たるとともに、意識が何かに包まれ、体から引き離されるような感覚になる。
「頑張れよ、和哉」
翔太郎とフィリップが同時に言い、照井がうなずくの見て、一度和哉の意識はブラックアウトした。
「っつー・・・ここは」
目を開けて、和哉は驚愕した。和哉は5年前のあの場所、風都タワーの真下にいた。落ちてきた瓦礫がいくつも重なっている。その積み重なった瓦礫の前に、中学に入学したかどうか位の少年がうずくまっている。
「母さん・・・父さん・・・姉さん・・・」
あれは・・・
瓦礫から突き出た青くなり、根元のほうは血にまみれた女性の手を掴む少年。
「うわあああああッ」
あれは俺自身だ。
なんでここに?俺はメモリの意識を倒すためにメモリのなかに入り込んだはずだ。それなのに、なんで5年前の光景が?
ーー知りたいか?
声が聞こえた。後ろを振り向くと、空間が歪んで、そこから人影が現れた。
「お前は・・・」
ーー前にも言っただろう?力だよ。
その力が、全貌を現した。それは・・・自分が変身した黒いエターナルだった。