廃嫡皇子の帝国再建   作:あじたまんぼー

7 / 13
4500超えてるっ!?マジですか!ありがてぇ!第一部「帝国を斬る」が始まりました。

出来は…ツッコミどころは多いですはい。この後から色々と動くのでその布石と思ってもらえればと思います。


一章 帝都にて
帝都にて


 オーナ帝国。千年前に月の一族の生き残りたちがこの地を平定して築き上げた帝国である。神に与えられし力をもって平和を繁栄を手に入れた初代皇帝は、これ以上の流血を好まなかったため、帝国に反旗を翻さないように48の帝具を製造して抑止力とした。その後、大きな戦争は起きず、帝都を中心に帝国は千年という長い刻を生きながらえた。

 

「ここが帝都…ロニー、息してるか?」

「無理…もう動けん…」

 

 二人の男がいた。一人は、涼しい顔で外観を眺める若い男。一人は周りを見る余裕もなくぐったりしている男である。クルスは、ロニーの肩を持ちながら周りの様子を伺う。壁に貼られている手配書にロニーのものがある可能性があるためである。彼は、自分のサーヴァントに一つ頼みごとをした。

 

「ランサー。」

『なんだい、マスター。』

「帝都の中を軽く見ておいてほしい。本来ならアサシンの役割だが…」

『構わないよ。どのみち休まないと、マスターはともかく彼は死にそうだしね。』

「あぁ、頼む」

 

 クルスがそう言うと、彼の周りに存在していた微弱な気配が離れた。そして、手配書にロニーの名前が無いことを確認して、本人に声をかけた

 

「とりあえず入ろう。お前は手配されてないから問題ないだろ。」

「そりゃあよかった。とりあえず喉が渇いた…腹減った…」

「わかったよ。まずは腹ごしらえだな。」

 

 クルスは、そう答えて門をくぐった。

 

 

 帝都に着いてから二時間、帝都内で評判の喫茶店に二人はいた。聞いたところによると、その店は紅茶がとケーキが有名らしく、二人はゆっくり嗜んでいた。

 

「クルス君…。」

「なんだいロニー」

 

 紅茶を嗜みながら、ロニーはクルスに話しかけ、それにクルスが応じる。

 

「うん、確かに俺は腹減ったし、喉も乾いていたよ?だから、危険種を狩って得た報酬の一部でごちそうしてもらうのはありがたいんだけどさ。」

「で?」

「で?じゃないんだが?」

 

 紅茶を嗜みながら落ち着いているクルスに、怪訝な表彰を向ける。そして、小声でロニーは言う

 

「帝国の内情を見たろ。君が想像しているものよりも更にひどい有様だ。各地でスラム街が出来て、明日を迎えられるのかもわからない。」

「仕事を探そうにも、そもそもありつけられる仕事は少なくて、汚れ仕事ばかり。仕事にありつけたとしても、危険な仕事で命を落とすか、性病に罹患して苦しみながら死ぬ…か。確かに想像よりもひどいな…。」

 

 クルスはそう言いながら空になったカップを置いた。そして、ロニーを見て続けた。

 

「俺がただ紅茶で油を売っていたと思っていたのか?まぁ、見た目はさぼっているように見えるが…。よし、出るか。」

「出るって…どこに。」

 

 席から立ち、代金を払って出ていこうとするクルスに、ロニーは聞く。それに、クルスは振り返ることもなく、

 

「範囲外の所。」

 

 とだけ言って、店を後にした。

 

 

帝都の西端にある墓地。そこは、帝国のために命を尽くした兵士たちや、程度に住まう市民たちを弔う場所である。そんな場所に、弔う人が居ない二人の男がいた。一人はクルス・メーヴィン。廃嫡された元第一位皇位継承者。一人はロニー・マクスウェル。帝国に裏切られた良識派の元文官。そこで二人は何をしているかというと、クルスが人払いの結界を張り、ロニーはそれを待っているところである。

 

「なぁ、墓地に来て何をするんだ?」

 

何も知らされてないロニーは、結界を張っているクルスに聞く。クルスはその質問に振り向かずに答える。

 

「何って、情報収集。さっきの喫茶店で、魔術で広範囲の探知をやっててね。それでも範囲的に西側が探知しきれていないんだ。」

「探知って…紅茶を飲みながそんなことを。」

「俺たちのことを知られていないとはいえ、ここは敵の居城であることに変わりない。」

「…あぁ、なるほど。怪しまれないようにただの旅人の振りをしていたわけか」

「そゆこと。」

 

検問も無く、歓迎されて入った帝都であるが、本来は敵対関係になり得る存在。ただでさえ革命軍やナイトレイドと呼ばれる暗殺者達が暗躍をしているために帝都内の警備はかなり厳重である。そんな中で自分たちが探索に行った場合、場所が悪ければ革命軍か何かと間違われて冤罪でも殺すだろう。故にクルスは動かずに情報を集める策に変えた。結果として情報も集まり、ロニーの体力も回復させることも出来たため、この試みは成功であった。

 

「で、ここに来たということは。ここで探知を行う…」

「いや?もう探知はやらないよ。宮殿内の情報も少し手に入ったし。」

 

平然と、クルスは答えるが、その言葉にロニーは驚く。驚いて、ロニーはそのまま聞いた

 

「じゃあ、どうしてここに?」

「ちょっと呼び戻す…ランサー」

 

ロニーの質問に答えた後、短く彼の使い魔を呼んだ。すると、彼らの目の前に突如としてランサーが現れた。クルスはそのランサーに早速質問をする。

 

「何か変わった点はあった?」

 

ランサーはその質問に対して、若干苦笑いしながら答える。

 

「いや、変わった点も何も。僕はこの地に初めて来た…いや、マスター。特殊なものなら一個だけ。」

 

と、彼の気配探知に引っかかったものを思い出して続ける。

 

「宮殿の中から自然ではありえない量の魔力が溢れているのは感じたね。見立てが外れてなかったら聖杯の可能性が高い。」

「なるほど…やっぱりここにあったか聖杯。それは後回しでいいか。他には何かあった?」

 

ランサーからの報告で、探しものの一つが見つかったことに少し手応えを感じつつもさらに質問を出した。ランサーはそれに対して少し考えながら、思い出したかのように、

 

「うーん…都市部の常識化は分からないけど、病気の人が多い気がしたね。」

「うん、やっぱそんなもんか…ありがとう。」

 

ランサーからの報告を受けて、お礼を言うクルス。ランサーはそれを聞き終えてから霊体化して元の主を守る仕事に戻った。クルスもすぐに結界を解除をする。そしてロニーの方に向いて質問をした。

 

「さて、大体の概要はわかってきた…。今のロニーで、現役の文官とどこまでコンタクトがとれる?」

 

それに、ロニーは深く考えながらも答える。

 

「コンタクトを取ることは可能だが…取り合ってくれるかは分からんぞ。」

 

その言葉に、クルスは歩きながらも、

 

「コンタクトが出来るならやってみる価値はあるだろう。良識派を片っ端からいくぞ。」

 

と、言って移動した。

 

 

 良識派の文官を尋ねに、帝都中を回った二人。しかし、ロニーがコンタクトできる文官の多くが、ロニーが襲撃された日から二か月の範囲内で不審な死を遂げたり、脱税で勾留されていたり、急な任務で辺境に赴任していたりと、二人の予想よりも速いスピードで排除されていた。その中でも魔の手から逃れた者とも話せたが

 

「悪いが、協力できない」

「君たちに関わったら確実に私が殺される」

「せめてチョウリ様の協力が取り付けられてたら協力できたのだが…」

 

 と言って、協力を拒否する。一気に、同胞が粛清されたのなら、戦意が消失するのは仕方のない事。ここまでの大粛清で良識派が生き残っていることの方が奇跡というべきか。おそらく残った者達に反抗する意思も力が無いから放逐されているだけに過ぎない。いずれは、この圧政に抗った罪で明日の生すらも危うい。

 予想以上の行動の速さに、二人はため息をつきながら繁華街を歩く。気づけば、既に日が下りていた。

 

「はぁ…ロニーのこともあるから多少粛清が入っているとは思ったけど。ここまで速くやるのは聞いてねーよ。大臣はスターリンかなんかかよ…いや、鬼畜具合ならポルポトか?」

「スター…?ポル…?何かはわからんが、あまり言葉に出さない方が…」

「あー…すまん。まさか成果なしで終わるとは思ってなくて。」

 

 繁華街の水商売の勧誘を無視しながら、二人は繁華街から出て、探索の中で身を隠せそうな宿の方に向かう。取れる手段が限りなく少ない今、彼らにとっては良識派の協力が必須であった。良識派の中ででも、大臣職を経験しているチョウリに最初から協力してもらうことは考えたが、ロニーをはじめとした良識派の粛清を見て、元大臣の所に向かわなくてよかったと感じている。

 

「チョウリさんの協力を取り付ければ、賛同してくれる人も多そうだったな。」

「だが、オネスト大臣がそれに警戒しないわけがない。チョウリ様は良識派の中で唯一今の情勢に風穴を開けられる可能性のあるお方だ。おそらく監視の目は。」

「だろうなー。下手に動けばそれこそ全部台無しだもんなー…」

 

 帝都に入ってから一日目。早くも、彼らは予想以上に難しいことをやろうとしていることに気づく。自分が持っている、オネストに関するスキャンダルの文書も、皇帝をはじめとした有力な政界の者がいる場所でないと意味が無い。タイミングを誤れば逆に自分の身に危険が迫る。機密文書を盗んだ罪に加えて、皇帝を騙そうとしたとして、大逆罪が適応される可能性である。大逆罪とは最高権力者に与えられる封建国家において最大の罪。故にその罪に対しては死刑しか適用できない。

 

「もう少し作戦を練ってからでもよかったんじゃないか?」

「言うな…俺も少し後悔してる。」

 

 ロニーの言葉に、クルスはうなだれるように肩を落とす。彼が迅速に動こうとしたのには理由がある。一つは、彼がこの世界の物語を知らないこと。転生すれば物語の知識面で優位性が持てるが、クルスにはこの世界の物語の記憶は無い。前世の記憶のアドバンテージの無い彼が出来ることは、情報の集まる場所に早くたどり着くことだった。結果として、この迅速な行動のおかげで最終目的である弟の安否の確認がとれた。もう一つは、時間経過で減っていく良識派の文官達を仲間に引き入れ、オネスト派の文官も利用しながら皇帝と謁見が出来ると踏んでいたこと。しかし、この目論見は一日目で潰える。

 

「あぁくそ…思った通りにいかないか…」

「とりあえず、作戦を練り直さないと。」

「それもそうか…」

 

 初手から躓いて意気消沈してるクルスを、ロニーは励ましながらも、目的地に向かう。そこは大通りのはずれにある古い宿。帝都を回りながら聞いた情報によれば、安いが、警備隊が見回りに行く頻度が低いためか治安が悪いとのこと。警備隊等に目を付けられたくないクルス達にとっては最良な場所と言える。帝都に行きながらも危険種討伐の手伝いを行っていたため、最悪一か月はここで潜伏が出来る。

 

「すみませんがお客様。只今、部屋が空いてません」

 

潜伏が出来ればの話であるが。

 

 

「クソッタレ!今日は厄日か!?」

「気持ちはわかるけど落ち着いて!何にもならないから!!」

 

 最初に店に断られてから、立て続けに宿を断られ続ける。帝国主導で始めた公共事業で大規模なライフライン。つまりは水道整備のために各地から労働者が集まっているらしく、格安宿群、つまりはドヤ街では連日労働者で持ち切りだそう。一方、高めの所はどうかといえば、公共事業を指揮する者達が数日にかけて泊まり込んでいるためにそこにも行けない。

 

「ったく…確かに経済を回すために公共事業を展開して雇用を増やそうという考えはわかる。ルーズベルトもヒトラーだってやってることだ…しかし、どうも違和感があるな。」

「前半の所はわからないが、後半の方については同意見だ。あの大臣が人のために公共事業をやるとは思えない。しかし…」

「わかってる。そして悪いと思ってる。」

 

 二人は、話しながらも人気の少ない通りを歩いていた。結局宿は全て空室が無く、二人は野宿を余儀なくされていた。途方に暮れながら、歩いていると、大きな橋にたどり着いた。

 

「仕方ない。一日我慢だ。明日のことは明日考えよう」

 

 クルスはそう言って気持ちを切り替えると、自分の荷物から毛布を取り出した。彼の切り替えに驚きつつもロニーも毛布を出しながら。

 

「それもそうだな…明日朝食でも食べながら考えよう。お金はまだあるんだろ?」

「高級ホテル一週間分宿泊できるくらいには。」

 

 ロニーの質問に、クルスは自分の鞄に指を指して答えた。そして、虚空の方に向いて、

 

「ランサー。というわけだ。見張りを頼めるか?」

 

 自らの使い魔に、見張りを頼んだ。ランサーは霊体化した状態で、

 

『了解だよ。全く、マスターはついてないね。』

「うるせー」

 

 ランサーの軽口に、クルスはいじけるように答えた。そんな話をしながら野宿の準備をしていた二人の前に馬車が通りかかる。二人のを通り過ぎて少し進んだところで馬車は止まる。扉が開き、一人の少女が降りる。そして二人の所まで進んでくる。二人からしてみれば不自然な行動に、警戒を行う。そんなことを知らずか、少女は二人の前に立ち止まって、二人の方に向いた。クルスは警戒感を露にして口を開いた。

 

「生憎だがお嬢ちゃん。俺たちは恵んでもらう程困窮はしていない。ただ、泊まる場所が全部埋まっていただけだ。」

 

 クルスの言葉に、少女が微笑みながら、

 

「それは、帝国主導の大規模工事で働きに来た人たちね。でも、夜は冷えるよ。」

「だろうな、今も寒い。で?君は俺たちに何をしたい?」

 

 クルスは、警戒を緩めることなく質問を続ける。すると、少女の後ろから衛兵た思しき男が現れる。

 

「お前、アリア様に失礼だぞ。アリア様は、お前たちを泊めても良いと言っているんだ。」

 

 衛兵の言葉に、クルスは何か引っかかったかのように考える。

 

(アリア…どこかで…?)

「あぁ、そういうことでしたか。いくらか支払えますけど…」

「あ、おい…」

 

 少し考えている間に交渉を始めたロニーに、クルスは慌てて止めようとするが、

 

「お金の話?私が助けたいんだからお金はいらないわ。それに、外は危険よ。屋内にいた方が良いわ。」

 

 と、アリアが言った。二人は、小声で相談を始める。

 

「いやいやいや…絶対怪しいって。」

「だけど泊まる場所が無いと困るだろ?」

「まぁそうだけどさー」

「ここは信じてみようよ、な。」

「…わかったよ。お前に任せる。」

 

 クルスは、ロニーの熱意に負けて彼に任せることにした。ロニーはありがとう、と感謝をしてから、アリアの方を向いて

 

「わかったよ。その厚意、ありがたく受け取るよ。」

 

 と、感謝の言葉を言った




次回予告:
アリアの厚意で、貴族の家で泊まらせてもらうことになった二人は。完全に信じ切れていない二人は、アリアの家族の世話になりながら調査を始める。その調査が、二人に帝国のさらなる闇を見せることになる。

次回『闇を斬る』




新作予告(書くかどうかは未定)
天才と秀才は似て非なる者である。大和麻弥は二人の男の子を見てそう感じた。一人は小学校に行く前に海外に、一人は、麻弥の近くで日ごとに成長をして行く。少年はいつか交わした約束を、「必ず最強のレジスタになる」という約束のために自分の持てる以上の力をつけていった。そんな彼らにある情報が舞い込む。海外で花開いた天才、加賀修哉の帰還を。これは作者のありったけの妄想をつぎ込んだ、恋愛とサッカーの話。そして、
新しく切り開く日本サッカーの転換期
『BLUE STRIKE』
※気分が乗ったらやります

新作予告(書くかどうかは略)
超常が個性として普及した世界。ヒーローという職業は花形となり、子供のあこがれとなった。そんな世界で熱い魂と、煉獄の龍の力を持つ少年が、最強のヒーローに、最善のヒーローになるために頑張る話
『SCARLET NOVA』
※多分書きます、たぶん

一人、オリキャラを出そうと思います。帝国側に

  • 最強の剣士
  • 忠誠心の塊
  • 危険種使い
  • 毒殺者
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。