アルザーノ帝国。北セルフォード大陸は北西端、冬は湿潤し夏は乾燥する海洋性温帯気候下の地域に国土を構える帝政国家。
その帝都の南部、ヨクシャー地方にはフェジテと呼ばれる都市があり、アルザーノ帝国魔術学院という今から四百年前、時の女王アリシア三世の提唱によって巨額の国費を投じられて設立された国営の魔術師育成専門学校がある。
樹木と鉄柵で囲まれる魔術学院敷地の正面前に今、奇妙な二人組がいた。
一人はチンピラ風な男。もう一人はダークコートに身を包む紳士然とした男。
その男たちの足元には打ち捨てた人形のように倒れ付した守衛がいた。
「標的は東館二階のニ-ニ教室だ」
「へいへーい」
『わぁ!』『大変だ人が倒れてる!警察に連絡しなきゃ!』
「「ッ!!」」
声が聞こえて振り返った!人避けをして誰もいない時を狙ったのにも関わらずそいつはいた。
そいつの服装は、学ランと呼ばれること辺りでは見ない服装をしていた。
(いつからだ!いつからいた!それになんだ、こいつを見ると気持ちが悪い)
今までかなりの修羅場を潜り抜けてきたレイクだとしても声をかけられるまで気がつかなかったほどだ。
それほどまでにそいつの存在感はなくそれ以上にそいつの近くにいると気持ち悪いと思ってくる。
『そこの君たち早く警察に連r「《ズドン》」
「思わず殺っちまったが、何なんだこいつ」
「行くぞ」
「待ってくれよ!レイクの兄貴!」
人を殺したのにも関わらず二人は、冷静に任務を優先すべく学院に入っていった。
★◆★◆★◆★◆★◆★◆★◆★
「ち━━何が起きた!? 一体、何がどうなってやがる!
クソッタレが! 」
非常勤講師グレン=レーダスは、学院正面にて倒れていた守衛が息をしていないことを確かめて、地面を叩いた。
「いや……下手人はわかってる。天の知慧研究会……あのロクでなしの馬鹿共だ」
天の知慧研究会。我が研究会に所属する魔術師以外の人間は全て盲目の愚者であり家畜であるこんな腐った思考を掲げる外道魔術師達の組織である。その思想故に歴史のなかで帝国政府と血で血を洗う抗争を続けてきた最悪のテロリスト集団。
「で、なんか胸騒ぎがして学院に来てみれば、この有様だ」
「━ッ!?」
学院の校舎内から壁を貫通して放たれたらしい今の光の正体は━━
「【ライトニング・ピアス】……だと!?」
「………」
「ふん……関係ないね。上に連絡をつける。それがどうしようもなく正しい最善策だ」
グレンは引かれる後ろ髪を振り切るように、学院に背を向けて走り始めた。
目指すはこの街の警備官の詰め所だ。迷いなんてあるはずない。
グレンが走り去った後には守衛の死体しかなかった。
★◆★◆★◆★◆★◆★◆★◆★
美しい銀髪の少女……システィーナ=フィーベルは今、両手を背中で黒魔【マジックロープ】によって生み出された魔力の紐によって縛られており、呪文の起動を封じる【スペル・シール】の魔術をかけ、完全に無力化した。状態で制服の胸元が引き裂かれており、天の知慧研究会のテロリスト……ジンに犯されそうになっていた。
「あ、あの……お願いします…それだけは…それだけはや めて…許して」
「ぎゃはははははは━━ッ!落ちんの早過ぎたろ、お前!ひゃはははははッ!」
「悪いがそりゃできねぇ相談だ……ここまで来ちゃ引っ込みつかねーよ」
「……やだ……やだぁ……お父様ぁ……お母様ぁ……助けて……誰か助けて……」
「うけけ、お前、最っ高!てなわけでいただきまーす!」
「嫌……嫌ぁあああああああ━━ッ!」
ジンの手が必死に身じろぎするシスティーナの肌にのびて行った時
『まったく』『ダメだぜ、女の子には優しくしなくちゃ』
その声と同時にシスティーナに伸びていたジンの手の甲から手のひらに貫通して一本のネジが刺さっていた。
「……え?」
「ぐっ…あぁ、いてぇ、誰だ!」
思わずのいたさにシスティーナから転がるようにして避けて自分の楽しみを邪魔されたのと、手にネジをさした犯人を殺そうと殺意の込もった目を万人に向けた。
そこにはこの辺りでわ見ない学ラン来ている妙にカッコいいポーズをとっている少年がいた。
「なッ!テメーは!?何で生きてやがる!?!?」
『酷いな!』『それだとまるで僕が死んでいるようなことを言って』
「《ズドン》」
ジンの放った【ライトニング・ピアス】は的確に少年の頭を貫通して倒れた少年の頭からは血が流れ出て少年の着ていた服や周りの壁や床等にも倒れた衝撃で血がとんでいた。
「き、きゃああああああああああああああッ!?」
(この人今、目の前で人を殺してッ!?)
「はぁはぁ…いてぇ」
(何だったんだコイツは!?それよりも手のネジを抜いて治療しねえと)
『まったく』『酷いじゃないか、さっきからいきなり殺すなんて』『親の顔が見てみたいね!』
「ッ!!」
ぞくり、として後ろを振り返ったら、今殺したはずの少年……球磨川禊が何食わぬ顔で話しかけてきた日常だと言わんばかりの顔で、壁や床等にとびちった血はなく服も新品のようになっておりまるで今の出来事がなかったことのようにこちらを向いてヘラヘラと、笑っていた。
「何で、!?生きてやがる!?」
ジンにとって二回殺した人間が生き返るのは不気味で夢でも見ているのかと思ってしまう。
「嘘どうしてッ」
システィーナも先ほど殺された少年が平然と立って生きていることにまるで夢でも見ているような感覚に陥っていた。
それが夢ならば今日の出来事は全てが夢だと思ってしまうだろう。
「《ズドン》《ズドン》」
ジンはこのあり得ない現状のあまり、とにかく魔術を撃ったが、その撃った魔術は、球磨川のお腹を貫通していた。
再び倒れる球磨川にジンはさらに魔術を一回撃った。
それにより球磨川の腕に当たりお腹も合わせて計二回の魔術により球磨川は、血だらけで倒れてた。
『痛いじゃないか』
そう言って球磨川は、立った。
二本の足で立っただけなのに、それだけの動作なのに、それだけ球磨川の立った瞬間は気持ちが悪いものだった
腕は今にも千切れかけ、お腹からは肉の焦げた臭いがし血が服の所々に飛び散っている。
「うぷぅ」
その光景を見ていたしていたシスティーナは思わず吐きそうになっていた。
ジンにとっては、悪夢でしかないだろう殺したはず殺したはずの人間が生き返り、腕やお腹の血の量を考えれば激痛でもう死んでもいいはずなのに、二本足で立っているというしかも立っている姿が気持ち悪い。この光景を見て、冷静に物事を分析するか異常のあまり混乱するかこの二つを選ぶかによって対処の仕方も違ってきただろう、だが残念なことにジンは━━後者の人間だ。
「何なんだよ!何なんだよ!お前はぁぁ!《ズd ガッ!
『いい加減にしてほしいよね!』『さすがの僕も、堪忍袋の緒が切れるよ』『これで死んだとしても』『僕は悪くない』『てっ、聞いてないか』
ジンが恐怖のあまり魔術で殺そうとすると、ジンの背中から巨大なネジが刺さっており、お腹を貫通していた。ジンは、その痛みと極限の恐怖によってそのまま気を失った。
『さてと』『大丈夫だった?』
システィーナにとって今目の前で起こった出来事は夢じゃないと、血のちの匂いと、目の前で、立っている球磨川の姿がそれを表している。
「あ、ああ、あああ」
システィーナが瞬きをした瞬間球磨川の服は新品のようになっており、千切れかけていた腕もお腹の傷も壁や床の血も全てが、まるでなったことのようになっていた。
「あ、貴方は……一体?」
声は震えていたが、球磨川禊の気味悪さや異常な光景からくる吐き気を、我慢してやっとの思いで、そう言って問いかけた。
『おっと』『自己紹介がまだだったね』『まじめまして』
さて、ここで察しのいい人たちならわかるだろう今から彼が言う言葉を。
『週刊少年ジャンプから転校してきました球磨川禊です』『よろしく仲良くしてくださいっ!』
と、お決まりのセリフを言った瞬間から運命の歯車は少しずつマイナスな方へ回り始めたのだろう、そのいく末を見守っているのは一体何処の人外だろうか?。
低クオリティでごめんなさい