ボウロロープ侯の娘   作:neocy

10 / 20
半年ぶりやんけ!

マジでエタらせたと思ったでマジで!

そういう所だけ○樫の真似しなくてもいいからぁっ!

いやもうほんとにスマンとしか言えねえ。
汎人類史救う旅したり、近未来のPMCの指揮官したり、製薬会社の記憶喪失のドクターしてみたり、殺人鬼になったり、殺人鬼に追われる生存者になったり……

いやもうほんとスマン!


ベリュース、死す

「お、おいそこのお前ら!この女を殺せぇっ!金ならやるっ!金貨せんピェッ」

 

「え?」

「えっ」

 

次の瞬間、ベリュースの頭があった場所から血煙が生じた。

つまり、意味するところはベリュースの死だった。

 

……ですわ。

 

 

 

 

 

サ○スパーク的シチュエーションめいたセリフを言わねばならぬという電波を受信した私は

 

「……なんてこった!ベリュースが死んじゃった!」

 

と言い、

その発言を受けて死の支配者は

 

「この人でなしっ!」

 

と言い、

「騎士団長殺し」ならぬ「ベリュース殺し」をやってのけ、元ネタも分からず予想外の非難を受けたサキュバスは

 

「人でなしって私のことですかモモンガ様!?」

 

と言って困惑した。

 

 

 

 

 

 

はい、それでは状況を全く理解できていないだろう読者諸氏と初めて本作を目にしたオーバーロード二次創作愛好家諸氏の皆様のために、ここまでのあらすじ&ベリュースDieジェストを紹介いたしますわっ!

 

 

突如水曜どうでしょう的な茶番の結果「オーバーロード」の世界に転生し、

更に没落確定枠のボウロロープ家に生まれた私「クロエ・カティナ・デイル・ボウロロープ」。

 

 

何もしないままだと大体原作10巻までの間に死亡または死すら生ぬるい地獄が確定しているので「王国がナザリックと衝突ルート」を回避するために爵位を手に入れたり、周囲に秘密でワーカー活動をしたり……振り返ってみると結構好き勝手にやってますわね私。

 

 

そして行き当たりで法国によるカルネ村襲撃を防いだ私は「エルフの奴隷兵」の事や私が原作知識として把握していない事をベリュースから聞き出そうと尋問をしていたところで冒頭のシーンが発生しましたの……。

 

 

「あ、アルベドよ……さっきのは違うのだ。こう、つい反射的に、な?別にお前を非難する意図などは無かったのだ」

「いえ、如何に下等な人間と言えど許しをいただかず、感情に任せて殺してしまったのは私の不始末!このアルベド、いかなる罰も受ける所存です!」

 

 

もうかれこれ一時間は同じような問答を続けている二人組は皆さんお待ちかねのモモンガ様とアルベドさんですわ。

私的には「あー、やっぱり来るよね。これオバロだもんねー」って感じですわ。

 

 

ベリュースの死因は頭部破裂。

彼の言動にブチ切れたアルベドさんが転がってた石ころを打ち放ったらしい。

恐ろしく素早い振りだったので私は見逃しちゃいましたわ。

まぁベリュースもベリュースで生存本能が強いというか何というか、所属不明の相手に何故命令口調で行けると思ったのか、これがわからない。

 

 

それにしてもモモンガ様、まさかサ○スパークを知っているとは思わなかったですわ。

果たしてギルメンの影響か、それともサ○スパークがあの世界で存続しているのか……。

というか世界観的に禁書指定されてそう。

だって全方位に無差別に喧嘩を売るのがウリのサ○スパークですわよ?

 

 

閑話休題。

 

 

「さて、お互い聞きたい事が山程あると思いますが……まずは自己紹介といきましょうか?」

「ええ、構いませんよ」

 

絶賛猛省中のアルベドさんの横でエルフの奴隷兵(担いだ際に兜が脱げて発覚した)を馬に載せて帝国領土方面に走らせて、遂に史上初のモモンガ様との非公式対談が開始っ!

 

私との接触がこの世界で最初の接触だったようで、当然のことながら嫉妬マスク無しのご尊骨顔に見続けられるのは流石に緊張しますが、

 

この20年間、オバロ勢との問答想定とシミュレートは怠ってないですわ!

 

ぶっちゃけると「アッ!この問答進研○ミでやった奴だぁっ!」位にはお茶の子さいさいですわね。

オホホホホ。

 

え、他にやる事なかったのかって?

バッカお前ぇ、最初の接触でポカしたくないからこちとら命懸けじゃい。

 

 

「私はライヘンバッハ、王国でワーカーをしています。ここで彼らを相手取ったのは、いわゆる一宿の恩と王国人としての義務ですね」

 

「ライヘンバッハさんですね。私は……モモンガ、魔法詠唱者です。それと異形種ですが敵対するつもりはありません。ところでワーカーというのは職業のようなものでしょうか?」

 

おー、予想通りワーカーの方に食いつきましたわね。

希少性に目がなく種族やカルマ値で価値観に影響が出ている分、さっきの戦闘について突っ込まれなくて良かったですわ。

ワーカーって名乗った瞬間、目が「キラッ」って光った気もしますし。

 

よぅーし、このまま乗り切ってやるですわよ!

 

 

※モモンガ サーイド(ルパン・ザ・サードみたいな感じ)ワァオ☆※

 

どうも鈴木悟ことモモンガです。

私、「ユグドラシル」というオンラインゲームにハマっててたんですが、このたびサービス終了に伴いギルメンと最後の時間を過ごしたいと思ってたんです。

 

まぁ、結局最後は一人っきりだったんですけどね!

アハッ!

 

……で、気がついたらオーバーロードの姿でこの世界にNPCとギルドごと移動していました。

 

NPCはみんな自我があるし、忠誠心もなまら高いし。

もう本当ね、混乱しまくりですよ。

 

まぁ、言うてもアンデッド特性ですぐ落ち着いちゃうんですけどね!

 

で、遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)の練習中に無双ゲーみたいな事になっている場所を偶然見つけた私は第一村人にインタビューを挑むノリでやってきたんですが……

 

 

==========

「お、おいそこのお前ら!この女を殺せぇっ!金ならやるっ!金貨せんピェッ」

 

「え?」

「えっ」

 

「……なんてこった!ベリュースが死んじゃった!」

「この人でなしっ!」

 

「人でなしって私のことですかモモンガ様!?」

==========

 

反射的に現地人を殺してしまったアルベドに対して反射的にサ○スパーク的なリアクションをしてしまったんです。

 

確かにアルベドには悪いことをしたなとは思うんですけど、それでもやっぱり『人生の中で一度は言ってみたいセリフ』っていうのは誰にでもあると思うんですよね。

 

まぁ私の場合、人生ならぬ骨生ですが!

アハッ!

 

で、第一村人はライヘンバッハさんという先程の無双ゲー「していた側」の方でワーカーという職業らしく、こちらの質問にいろいろ答えてくれました。

 

カブキめいた化粧(本人曰く、敵への印象操作らしい)を除けば常識人で、「やんごとなき方」の支援を受けているあたりから、王国内でも有数の実力者であろうという事は伺える。

 

試しにステータスを覗いたらユグドラシルでも中堅くらいの強さみたいなので、この人を基準にナザリックの防衛機構やNPCの装備を見直してもいいだろう。

 

あとライヘンバッハさんには悪いけど、情報収集用にシャドウデーモンをつけておこう。

いろんな場所を行き来するみたいだから役に立ちそうだ。

 

《モモンガ様、周囲に配置しているシモベから接近する魔法詠唱者の集団ありとの報せが入っています》

《ふむ、おそらくライヘンバッハに全滅させられた部隊の支援部隊か、それとも本命の部隊と言うところか……》

 

おっと、ショックから立ち直ったアルベドからメッセージが来た。

 

《アルベドよ、シモベ達には手を出すなと厳命しろ。この世界における対魔法戦闘を目にしてみたい》

《承知しました》

 

「……というわけで、冒険者が冒険できるような仕組みを作るという共通の理念が合致して「ライヘンバッハさん」はい?」

 

周辺国事情を織り交ぜながら「なぜワーカーとして活動するのか」について熱弁していたライヘンバッハさんの話の腰を折るような形になって申し訳ないが(実際話が面白いので続きが楽しみだったが)、もう一働きしてもらおう。

 

「今しがた私の探知網に魔法詠唱者集団が引っかかりました。彼らが何かご存知ですか?」

「あぁ、あぁなるほど。もしかしなくてもこの偽装部隊の本隊かと……。そうか、やはり来るか」

 

はぁ、と溜め息をつくライヘンバッハさんは意を決したように俺達に向き直った。

 

「モモンガさん、アルベドさん。ここは私個人で対処致します」

「ほう、加勢は不要と?」

「遥々異邦からお越しになられたお客人を、どうして家中の騒動に巻き込めましょうか。それに政治的な理由もありますが、ここはまず『話し合い』で納めてみようかと」

 

話し合い……あぁ!『OHANASHI』か!

すごいなぁ、サ○スパークといい、意外にもネットスラング的な

 

「あ、もし脅迫的な交渉とか想像されているようでしたら、本当に紳士的な話し合いだけなので。そこまで腕力には自信ないですし」

 

アッハイ。

 

 

※クロエのッターン!※

 

まぁ、うん。

ウスウスは、とてもウッスウスな極薄ですけど予想はしてましたわよ。

陽光聖典までがワンセットですわよねやっぱり。

 

とりあえず隈取りメイクは落として、モモンガさんから教えられた方面に歩いていると『見慣れた』魔法詠唱者の集団が現れた。

 

「……ここで、何をしておられるのかな?ライヘンバッハ殿」

「それはこちらのセリフではないでしょうか?ニグン殿」

 

ニグン・グリッド・ルーイン。

スレイン法国特殊部隊「陽光聖典」隊長。

過去に数度、ライヘンバッハとして竜王国でのビーストマン間引き作戦で共闘しており、「対ビーストマン戦術研究同好会」の同志でもある。

 

そして、王国に侵入した理由は言わずもがな「王国戦士長」ガゼフ・ストロノーフの暗殺だ。

 

普段から神経質な表情のニグンだが、今日の彼は目玉をキョロキョロ動かして、どう言い繕おうか黙考中のようだ。

 

まぁ、ここは助け舟を出してやろうかしらね。

 

「あいや、法国の軍機で言えぬこともありましょうからこちらからお尋ね致しましょう。……脱走兵の捕縛では?」

「……は?」

「いやぁ、私の知り合いに国内保安に詳しい方がいるんですがね。どうも怪しい帝国兵が国境付近でウロウロしてるみたいだったのでもしやそれかと思って迎撃してみたら法国の所属だと口を割るもんですから、こっちも困惑していましたが……なるほど噂の聖典がわざわざ出張ると言う事で合点がいきました」

 

ニグンよ、察してくれ。

頼むから察してくれですわ。

 

お前らが後ろのオーバーロードと戦うと王国が、というか私自身の寿命がマッハ間違いないルートまっしぐらなのでそのまま回れ右してくれくださいお願いします一生のお願い何でもしますから。

 

「……流石は王国の誇るライヘンバッハ殿。その通りだ」

「隊長!?」

「そこまで理解されているのであればこちらも隠す手間が省けるというもの。まずは我が国のものが貴国にご迷惑をおかけして申し訳なかった。そして、ご助力いただいた事に法国を代表して感謝を」

 

ふ、ふいぃ〜……。

感謝したいのはこっちの方ですわよニグン。

 

相変わらず苦虫を咬み潰したような顔はキープのままですけど……。

 

よし、このまま世間話からのさよなライオンまで一気に畳み掛けますわ!合わせろよニグン!

 

「いえ、貴殿らには竜王国にて幾度も助けられた身です。この程度ではまだまだ帳尻が合わぬというもの」

「ハッハッハ、ライヘンバッハ殿はあいも変わらず謙虚ですな。それでは……王国戦士長にも竜王国にお越しいただくというのでチャラではどうだろうか?」

 

「あの御仁を引っ張り出すのであればそれこそ国王陛下に言上しなければなりませんが……やはり逼迫していますか、かの国は」

「うむ、戦術研究同好会の最新の見立てではもってあと数年で呑み込まれるかと」

「いつも通り物資も時間もない、ですね……。わかりました、侯爵にもお伝えし、可能な限り帝国との戦争を避け、竜王国への支援を行っていただくよう掛け合っていただきます。……なので不要な手出しはされぬ様、ぜひともお願いします」

 

うーむ、竜王国もなかなかに危ういですわ。

ナオトダテ名義で支援はしてたけど、やはり人材の損耗が激しいか。

やはりここはジルクニフとも会談が必要になりそうですわね。

 

「!……わ、わかりました。ライヘンバッハ殿のお言葉、一言一句漏らさず法国にお伝えしよう。それではこれにて」

「えぇ、道中お気をつけを。そうそう、近々エルフ奴隷の扱いについて法国に質問状が送られると思いますので上層部にお伝えください」

「……御忠告痛みいる。……総員撤収だ」

 

ニグンの胃はもうボロボロだろう。

 

・任務失敗

・法国の後ろめたそうな部分がバレる

・王国に手を出すなと言われる

・上記全部を上司に報告しなければいけない。

 

しばらくは療養してほしい。マジで。……ですわ。

 

がんばれ、ニグンさま。(煽りと取られかねないえげつない行為)

 

 

「で、本当に話し合いだけで撤退させたと」

「えぇ、流血は少ないに越したことはないですからね」

「そうですか……」

 

あ、モモンガさんの声色的に残念さが伺えますわね。

理由はよくわからないけど、陽光聖典との戦いを見れなかったからって事かしらね。

よくわからないけど。

 

あと後ろのアルベドさん、目からビームを出さんがばかりに睨みつけるのやめてほしいんですが。

 

めっちゃ怖い。

 

「まぁ釘も刺しましたし、王国民としては二度と同じような起きない事を願うばかりです。それでお二人はこの後どうされますか?エ・ランテルへ向かわれるのであればご案内しますが」

 

「ありがたい申し出ではありますが、一度拠点に戻らせていただきます。今日聞いた話を整理したいので」

 

「そうでしたか。それではいづれ機会があればまた」

 

まぁ、ナザリックに戻るのも想定のうちですわ。

むしろガルルと唸るアルベドさんと一緒について来るって言われたらマジでヤバい……ガチで対応できずにボロ出すところでしたわ……。

 

 

こうして、「後世の歴史家も知らぬ歴史的大事件」はとりあえずという形で幕を閉じたのでしたとさ。

 

めでたし、めでたし。

 

 

 

あ、そういえば原作ではシャドウデーモンとかいうシモベを使ってナザリックは情報収集をしてたはずですわね。

 

意外にも私の影に潜んでいたりして。

 

……よし、周囲には特に人もいませんし、試しに「アレ」やってみようかしら。

 

「出てきなさいシャドウデーモンとやら」

 

当然反応はない。

 

「隠れていても魔性は臭いでわかりまするぞ」

 

ちょっとアレンジしてみたけど、こうも烏丸少将の名言が言える日が来るなんて思ってもなかったですわね、オホホホ。

 

自分の影とにらめっこを続けても特に動きはないですし、まぁ考え過ぎかと少しばかり表情を緩めると……

 

 

 

僅かに影が身震いしたように見えた。

 

 

 

まじかよ。

 

 

 

※ナザリック(BGMはナザリックの荘厳なアレ)※

 

「モモンガ様、ライヘンバッハという人間を監視しているシャドウデーモンから正体を見破られたとの報せが入りました。マジックアイテムを使用された訳でもなく、本能的に気が付かれたとも」

「(マジかよ)……わかった。このまま監視を続けても撹乱させられる可能性があるだろうから担当のシャドウデーモンは一時撤退、後日改めて距離を取りつつ監視を再開せよ」

「はっ」




とりあえず原作の最初のイベントが完了

次回からは一気に八本指編まですっ飛ばす予定です。
(英雄モモンがメインのイベントか多いし、あまりクロエが介入しづらいだろうしね)

《ここまででたったフラグ》
・偽装部隊によるカルネ村及び周辺開拓村への襲撃が失敗したので、悪い虫に集られやすくなりました。
・ナザリックはカルネ村に恩を売れていないのでまだ現地活動の拠点が得られてません。
・ガゼフら戦士団の派遣は失敗。画策した法国寄りの貴族らは「何言ってだお前は?」みたいに可愛そうな子を見るような視線に殺された。
・ライヘンバッハ(クロエ)に対するナザリックの監視は中断。しかし当の本人は監視されてるものだと思い込んでいるため、王都に帰りづらいので、しばらくはエ・ランテルに滞在。
・エンリは無事に戻ってきたライヘンバッハから拳法の基礎を授けられる。拳王フラグ
・陽光聖典生存。再び竜王国へ派遣される。
・法国、土の巫女姫がたまたまモモンガを見てしまいカウンターを食らう。漆黒聖典が活動開始。
・帝国、王国との連名で法国への批判準備を開始。


6/4追記
あんころ(餅)様、7話から10話までの誤字報告ありがとうございます!

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