※今回はネタぶち込みすぎて文章が荒れに荒れてますのでご注意を。
「……ふぅー、いいお茶ですわね」
「義姉さま、私の話本当に理解してます?」
「チッチッチ。ラナー、私クラスの人間は『言葉』ではなく『心』で理解できるのですわっ!」
「……まぁ理解されているのなら良いですよ?」
ふふふ、この「10年」も修羅場を潜り抜けてきたようなスゴみで納得してくれて何よりですわね。
それはともかく……、
どうしてこうなった!
八本指のヘイトを王国に集めてツアレ誘拐フラグを圧し折ればゲヘナ発動によるナザリック介入のきっかけも潰せる算段だったってのに……。
そうなりゃ後は頂上作戦の決行で
どうしてこうなったんですわぁ〜っ!
修正力、修正力のせい!?またぁ!?
……ふぅ、起きてしまったものは仕方がありませんわね。
こうなりゃガチでゲヘナを乗り切るしか道はねぇ……!
やってやりますわよ!
「ふっ、これも世界の選択か……」
「義姉さま。ラキュースみたいな事してないで話の続きを」
ラナーよ。
「とりあえず、貴女のところに悪魔がやってきて『僕と契約して王国を滅ぼそうよ!』って勧誘してきたって事ですわね。で、貴女がそれをツッパネたら次回のアポを取り付けて消えた」
「そのセリフを聞いてると腹が立ってきますね……。まぁ大まかな流れはそんな感じです……アポ?」
「にしても悪魔相手によくツッパネられましたわね。私ならビビって何もできなくなりますわよ?」
「そ、それは……やっぱり義姉さまの勇まs「ブェッくしょぃ!!」汚いです義姉さま!?」
いかんいかん、ついくしゃみが。
……さては誰か私の噂でもしてますわね?
「あ、そういえば何か言いかけてましたわよね?」
「な、なんでもないですっ!」
「えぇーホントでござるかー?」
「ほ・ん・と・う・で・すぅっ!……ゴザル?」
そっかー、本当なら仕方ないですわねー。
※※※※※
「んー、でも王国の真価ねぇ……。ラナー、貴女が考える王国の長所ってなんですの?」
「肥沃な国土に農業力、農民人口に比例する軍事力……ですか?」
「それに追加するならアダマンタイト級冒険者やガゼフ戦士長といった「強者」の存在ですわね。戦時の戦力には数えられないけど、個の戦力として質が高いし、王国は周辺国に比べて保有率が高いですもの」
……ぶっちゃけデミウルゴス、というか守護者勢が王国乗っ取りを諦めるとは思えないですわね。
結論から言えばナザリックが表舞台に出てくるのは確定事項。
未確定なのは、それまでに王国が被る被害の規模。
勝利条件なんて
その為にもまずは王国へのイメージを改善してもらい、できる限り対等な関係を築くことが優先になりますわね。
であれば「強い王国」をアピールするのがベストッ!
……問題はどうやってその話題を振るかなんですけど。
「義姉さま。もしかしたら悪魔や『至高の御方』という存在は個人ではなく『国家』、もしくはそれに準ずる勢力ではないでしょうか?」
「……え?」
ラナーさんスゲぇ。スゲぇ!
それもう大正解ですわよ!
え、どうやって気づいたの。
私、気になります!
「面白い仮説ですわね。詳しく聞かせていただけます?」
「あの悪魔……デミウルゴスとの会話を思い出したんです。『世界の献上』、つまり人類社会のみならず世界全てを手中に収める事が彼の仕事。では何故、わざわざ交渉などという手順を踏む必要があるのでしょうか?」
なるほど、その疑問は最もだ。
確か原作ではリザードマン部族へはいきなり宣戦布告してたわけだし、力を見せつけるのであれば外交的な手続きを無視できたと考えるのが正しいですわね。
「仮想敵国要人への接触、国家転覆の片棒を担がせようとする提案……。他種族とは弱肉強食が基本であるこの世界では確かに珍しい行動ですわね」
「あれほどの存在であれば周辺の人類国家も纏めて一夜で掌握できたとしても不思議ではありません。だからこそ、わざわざ外交的手順を踏まえてきた事が不自然なんです」
「悪魔の流儀という可能性は?」
「それならば現王のお父様や継承序列順に兄様達が真っ先に狙われるはずです。それに悪魔の主は強硬手段を望まない、個人の矜持や流儀は無関係だと思います」
このラナーさん凄いよぉ!
流石王国の「
たった一夜限りの会談でナザリックの正体に辿り着くなんて……!
……デミウルゴスが私のところに来なくて本当に良かったですわっ!
「なるほど、つまり『国家規模の正体不明の勢力』の使者としてその悪魔がやって来た。そう考えたほうが良さそうですわね」
「はい、国家に準ずる勢力と想定のもとに考えれば王国の再評価の意味や評価時期も想像がつきます」
「評価の狙いは国交の締結、もしくは侵略。どちらが自分達にとっての最大利益になるか。……それにタイミングは頂上作戦、それも一斉検挙執行中が狙い目ですわね。」
間を置いて私が答えると、ラナーは首を縦に振った。
「現在王都周辺には衛兵、騎士、近隣貴族領の常備戦力が集結しています。軍事力は国力の目安になりますから何かしらのトラブルを発生させて、その対処能力で評価してくるのではないでしょうか」
「……そうだったとしたらかなり厄介ですわ。逮捕者の護送、証拠品押収に加えて市民の避難誘導に襲撃者の迎撃、しかも王国史上初の本格的な市街地戦闘に発展する可能性もある訳ですし……使える物は何でも使うしかないですわね」
それからラナーとあれこれとやるべき事を話し合っていると、部屋のドアを叩く音が聞こえた。
「クロエ様、ラナー様。蒼の薔薇の方々がいらっしゃいました」
「蒼の薔薇?ラキュース達を呼んでましたの?」
「本当は八本指の拠点襲撃について擦り合わせをする予定だったんです。義姉さまも同席なさいますか?」
……あー、同席せざるを得ないですわね。
ほっといたら絶対ナザリックと揉め事……というより貰い事故に遭いそうだし。
「もちのロンですわ!」
「義姉さんって時々変な言葉を使うのが癖なんですか?」
※※※※※
「お姉さま、お久しぶりでございます」
「へぇ、あんたが第一王子の嫁さんか」
「こらガガーランっ!態度がなってないぞ」
「よろしくー」
「……スンスン」
蒼の薔薇の方々って聞いてはいたけどさ、
まさか
「スンスンスンスン、ススンスンスンスンスンスン」
「あのー、ラキュース?彼女は一体……」
「ティア、お姉さまから離れなさい!ガガーラン手伝って!」
「鬼リーダー、ティアは狙った獲物は逃さない。既に手遅れ」
それに、さっきから
これティアだから許されるような構図だけど、割と真面目にサイコホラーですわよ。
「……やっぱりライヘンバッハの匂いがする」
「マ”ッ!?」
怖えですわ!?
一昔前に流行ったヤンデレ妹CDみたいで怖えですわよ!?
というかバレた!?嘘ぉ!?
「ライヘンバッハの匂い!吸わずにはいられない!スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!」
「駄目だ!俺の力じゃ引き剥がせねぇ」
「あれは忍者の究極奥義、チャードコ・キュ。あの呼吸に入ったティアは無敵」
「アホかっ!?お前の姉妹だろ、何とかしろぉっ!」
「というよりもお姉さまが、ライヘンバッハ……?」
お、おお落ち着くのですわ私!
まだ、まだ誤魔化せるはず!……多分。
……ごまかせるかなぁ?
「あーその、つ、つい最近ライヘンバッハと会う機会があったので……」
「義姉さま、年貢のおさめ時かと思いますよ」
「ラナーさん!?」
「次に義姉さまは『なんでわかったこの
「なんでわかったこの
「初歩的なことですよ。ライヘンバッハの目撃された時期と義姉さまが里帰りされる時期が合致していた事、それとティアさんがライヘンバッハに密着していた際に匂いを覚えていたというのがこの状況で証明されたので、ライヘンバッハの正体がわかっちゃいました」
「どうせ目立つ事が好きな義姉さまの事だから、どこかのタイミングで大発表したいのだろうと思いますが、このメンバー相手なら先にバラしてしまってもいいのではないでしょうか?今後もライヘンバッハとして活動する際に有利に働くと思いますよ?」
こ、この義妹……、
安楽椅子探偵な立ち位置のくせにシャーロック・ホームズみてぇなセリフを使って解説しやがりましたわね。
正直カッコいいですわっ!
あとアドバイスもありがとうですわ!
「……ふぅ〜、とんだところに名探偵が居たものね。……そうよ、ラナーの言う通り、私がライヘンバッハですわ。あっ、
抱き上げられたティアは歓喜のあまり昇天した。
「なっ!?ガガーランですら御せなかったティアを一瞬で……!」
「恐らく触れられた瞬間にチャードコ・キュが解除された。彼女がライヘンバッハなのは間違いない」
「……すまん、俺には理解できない世界だわ」
大丈夫ですわよ
私も理解できないから、貴女の反応は真っ当なものですわ。
「表の顔は一国の王子妃、しかしその正体は悪党に天誅を下す正義の魔剣使い……!王国が誇る護国の姫騎士……!いや騎士王、騎士女王!良いわぁ、実に良い響き……!」
これこれ、ラキュースさんや。
あと180度回らないと皆さんにノートの中身を見られますわよ。
既にラナーはガン見してますけどね。
「黄昏よりもくらきもの……」
これこれ、ラナーさんや。
人のノートを音読してはいけませんよ。
それは結構『効き』ますわ。マジで。
やめたげてよぉ!
「ん?するってぇと竜王国に単身乗り込んだってのも姐さんだったのか?」
「あぁ、迫り来るビーストマン共をちぎっては投げちぎっては投げ、まさに王国無双といったありさまで近づく敵を片っ端から真っ二つにして最終的に全身返り血塗れで敵本陣を荒らしまくったってやつですわね。まぁ……7割くらいは真実ぅ、ですわね」
「いやそこまで言ってねぇよ!?というか7割はマジなのかよ!?」
「実際は敵大将を討ち漏らしてしまったと言う所で余り自慢できない顛末付きでしてよ?まぁ、竜王国の民を鼓舞する為に都合の悪いところを隠して広まったという所だと思いますわ」
※※噂の出どころニグンさん※※
『彼の者こそ人類の守護者、迫り来るビーストマン共をちぎっては投げちぎっては投げ、まさに王国無双といったありさまで近づく敵を片っ端から真っ二つにして最終的に全身返り血塗れで敵本陣において蹂躙の限りを尽くす武功を収めております。自分の頬の傷もその時の必殺剣の巻き添えです』
『え、でもその傷ってアダマンタイト級冒険者につけられたって『本当です、本当に本当です』え、あ……うん』
『本当なので隊員の補充お願いしますね』
※※噂の出どころニグンさん終※※
「……なぁ、アイツは本当に人間なのか?」
「多分人外、七色に光る血が流れてる」
実戦果は誤魔化しませんわよ。どこぞの「3度の飯より出撃好きなドイツ空軍大佐」じゃありませんし。
おい後そこのちびっこ吸血鬼とショタコンバーサーカー、全部聞こえてやがりますわよ。
「……姐さん、なかなか面白え女じゃねぇか。なぁ、あとでオレと
「蒼の薔薇が誇る最高の戦士との手合わせとはとても素敵な提案ですわね。でも今日来たのはそれが目的じゃない、そうですわね?」
ティアのせいで盛大に話がそれた、というよりスタート地点から迷子になっていたが正しいですわね。
全く、ティアさんったらいけない子ですわねっ!
とりあえず「王都頂上作戦」の擦り合わせ、そして悪魔の襲撃の可能性について話し合う事となった。
※※※※※
「……説明は以上です。皆さん何かしら質問はあると思いますので順番にどうぞ」
ラナーの超わかりやすい話が終わると、まず真っ先にイビルアイが質問した。
「八本指検挙の段取りについては分かった。私が聞きたいのは悪魔の方だ。その悪魔の特徴はわかるか?」
「羽が生えた人型で性別的には男性、メガネと南方のスーツ……でしたっけ。それを身に着けていました。それで何かわかるのですか?」
「いや、はっきりした個体まではわからないが、南方には八欲王が残した浮游都市エリュエンティウがある。もしかしたらその周囲で発生した上位の悪魔である可能性が高い。かなり危険な相手だ」
よっしゃ!肝心要のイビルアイが警戒してくれましたわ!これなら絶対無理はしな
「だが私なら何とかなるかもしれん。その悪魔が出てきた際は私が相手をしてやる」
……
…………は?
「えぇ、じゃあ頼むわねイビルア「ちょっと、ちょっとちょっと」お、お姉さま?」
こ、これは困りましたわ……。
まぁ確かにイビルアイは現地人的にも戦闘力高めだし?
しかも経験に裏付けられた自信なんだろうけどさ?
デミウルゴス相手にサシの勝負はさせられませんわよ……。
……ここは嫌われるのを覚悟で説得するしかなさそうですわね。
「ちょっと待ってほしいですわねイビルアイさん。貴女先程『正面から挑んではいけない』と言ってましたわよね?」
「う、うむ。普通に戦えば勝ち目はない。だからこそ蒼の薔薇の最高戦力である私が……」
「自分の命を代償にしてでも皆を守るってのはナシですわよ」
「ぐっ……」
図星でしたのね……。
「改めて皆さんに言いますけど、これは王国の興廃だけでなく人類の存亡すらも決めかねない戦いに発展する可能性がありますわ」
「故に戦力の摩耗は承知の上、しかし大損失を被ると分かっているような状況にぶち込めるほどの余裕は無いと心得なさいな」
そう、法国の言を借りるつもりは無いがマジでこの世界の人類には余裕が無いのだ。
特にユグドラシルプレイヤーを相手取るのであれば尚の事。
故に引き際を常に意識する事が何よりも重要。
迷う余裕すら、惜しい。
「で、ですがお姉さま……。仮に件の悪魔が現れたとして、どうするおつもりなのですか?」
「そりゃあ打てる手を打ったらさっさと撤退。避難民とともにエ・ランテルまで後退して臨時政府を建てて凌ぐしかないですわね。天災の如く時と共に過ぎされば良し、そのまま居座って周辺にちょっかいを掛けてくるようであれば評議国も黙っちゃいねーでしょうし、帝国や法国と連合を組んで立ち向かう必要も出てくる可能性も最悪考えなきゃならないですわ」
「王都を、捨てるのですか……?」
「ラキュース、義姉さまの仰っていることは国家を存続させる為の手段として理に適っています。だからどうか、責めないであげてください……」
……あー、やっぱりこう湿っぽくなっちゃいましたわね。
住み慣れた土地、思い入れのある土地を捨てるっていうのはかなり覚悟のいる事だもの。
本来は領民を守る立場の貴族であれば尚更、ラキュースの心境も十分に理解できますわ。
……仕方ない、ここはスーパークロエちゃんマジックで空気を変えてやりますわぜ。
「あぁもう、ほら。ラキュースの質問に答えただけなのに勝手に湿っぽくなっちゃってぇ!見てご覧なさいこの湿っしめの空気!そういうところですわよラキュースぅ!」
「私のせいですか!?」
しょんぼりしたラキュースの肩を叩きからかうと、反射的にツッコミが返ってきた。
うん、大丈夫そうですわね!
「酷い責任転嫁を見た」
「こりゃひでぇや」
「というか皆さん早合点が過ぎますわよ。私の言ったことを思い出してご覧なさいな」
「『打てる手は打つ』……はっ!何か隠し玉があるんだな!?」
「イビルアイさん、そのとぉーり!……実は法国の漆黒聖典と土の神官長レイモン・ザーグ・ローランサンが王都に向かってますわ」
「「「「「……………………」」」」」
「「「「「はぁっ!!??」」」」」
「義姉さま、私そんなの聞いてませんよっ!?」
「お姉さまついに頭が……!?」
「きさっ、お、お前ぇー!何考えてるんだぁーっ!?」
エッヒャヒャヒャ!(上流階級特有の笑い声)
皆さん驚きまくりですわね。
あとラキュース、私の頭がどうかしましたか?
「お、おい姐さんよぉ。何がどうしてそうなってんだよ?」
「そ、そうだ!法国の暗部とも言える存在達を動かすなんて、それこそ敵に回して動くかどうかという存在なんだぞ!?」
「フフーフ、よくぞ聞いてくれました」
法国神官長と漆黒聖典が王国へ来る理由は2つ。
ひとつは『王国領内における法国兵の不法活動に対する謝罪』。
これは政治外交的なケジメという側面が強く、ぶっちゃけると書面で貰えば一応の義務は果たされるはずなのだ。それを態々神官長が出向くというのであるから、どちらかと言えば「建前上」の理由と考えられる。
そして本命は『ライヘンバッハのヘッドハンティング』である。
「……おいおい、つまり法国は姐さんを引き抜く気かよ」
「まぁ向こうはライヘンバッハの正体が私と気付いてないみたいですし。私も直接勧誘を受けましたけどね」
法国が
ビーストマン相手に無双するし、脱走者といえど
「そこで挑発がてら『そんなに引き抜きたいなら現役隊員の雁首揃えてかかって来い』って手紙を送ってみたら素直に来たみたいですわね」
「……なんというか、お姉さまらしいですね」
「鬼リーダーより鬼。修羅。でもそこが好き。抱いて。ワキワキ」
「まったく、本当に王族に連なる者の思考回路なのか疑わしいほどだ」
蒼の薔薇の面々が好き放題に言ってくれる。
ところでティアさん?そのワキワキする手を止めて?
止めて。
「……なるほど、義姉さまがその事を伏せられていた理由がわかりました」
すると顎に手を当て黙考していたラナーが口を開いた。
「悪魔の出現があった場合は彼らは『不運にも巻き込まれる』だけ。自衛や信仰を理由に自発的に動くため指揮系統下に組み込めないからですね?」
「その通りですわ。あくまでも独立戦力であるなら、最初から王国の戦力として数えられない。しかし、盤上荒らしという役割であれば十分に隠し玉として活用できるってぇ事でしてよ」
「なるほど、人類の守護者を自称しているのであれば悪魔相手にも奮闘せざるを得ない……、最悪
「フフーン、褒め言葉として受け取っておきますわね」
実のところ箔付けの為に漆黒聖典の肩書も欲しいなぁとは思ってましたが「言わぬが花」ですわね!
「そうと決まれば、蒼の薔薇は悪魔出現後は強力個体の捜索と下級悪魔の殲滅。それに他冒険者や部隊のサポートが仕事になりそうね。そして件の悪魔らしき個体が現れたら……」
「即時撤退と避難誘導、要するに『いのちをだいじに』だな。承知した」
「応よ!」
「了解鬼リーダー」
「右に同じく」
ふぅ、これで蒼の薔薇のフォローはできましたわね。
イビルアイの発言にはヒヤッとさせられましたけど、これでデミウルゴスとかに喧嘩を売るなんて事にはならずに済むでしょう!
やったぜ。
「それじゃあラナー、お姉さま。私達は準備のために城下に戻ります」
「ええ、皆さんくれぐれもお気をつけて」
こうして、蒼の薔薇との話し合いは終わった。
※※※※※
王都の別邸への帰路。
タイミングよくお父様の馬車を見つけた私は便乗させてもらうことにした。
「こうやってお前と馬車に乗るのも久方ぶりだな」
「どうにも私は馬に乗ってるのが性分に合ってるみたいでして……ふぁ〜あぁ」
「フッ、お転婆は死ぬまで治りそうにもないのう。それにしても徹夜か?美容がどうとか言ってるお前がらしくもない」
「あははは……」
よく考えてみると、数時間の仮眠程度しか取れてないですわ……眠い。
やはり徹夜などする物じゃないですわね……眠い。
今更ながらポルコ・ロッソの名言を思い出しましたわ……クソネミ。
「ところでだな、八本指の件が一段落付いたら、そろそろワシも孫の話とかに興味を持つ頃だと思うのだ。そう孫だ、つまりお前と王子の子だな。良いよな、子供って。……み、見たいなー孫の顔スゴい見たいなー。ワシ、じぃじとか呼ばれてみたいなー」
「い、いきなりブッ込んできましたわねお父様……」
「お前が王子を避けてるような行動を取るからであろうがっ!?」
そういえばバルブロも「最近父上が孫を見たい」って私に漏らしてましたわね……。
確かに頂上作戦さえ無事に終われば大虐殺フラグもへし折られたも同然ですし、ようやくビビらずに自由を謳歌できるし、……うん。ヤるかぁ!
「ご心配なさらずにお父様。大事を目の前にしてフラグを建てるのは余り縁起がよろしく無いですが、敢えていいますわ!ーー私、この作戦が終わったら王子と」
子作りするぅ!そう宣言しようとした瞬間、馬車が大きく揺れた。
否、ひっくり返った。
座席から放り出され、浮遊感に襲われる。
床か、それとも天井が近づいてくる中、私は後悔した。
やっぱりフラグなんて建てるものじゃねぇ……ですわ、と。
※※※※※
「緊急!緊急の報告になります!クロエ殿下、ボウロロープ侯閣下搭乗の馬車が襲撃されました!護衛全滅!お二方は消息不明!」
その急報は、後世の歴史書において『ゲヘナの日』の始まりを告げた言葉として記憶されるようになった。
フラグ建設には気をつけよう!
いやー、それにしてもクロエ様を拉致るなんて不届き者は一体何者なんだー?(棒)
クロエ様の身に危険が迫ってるぞー大変だー(棒)
次回は一旦幕間を挟ませていただきます。
全くと言っていいほど描写の無かった人々がどうしているのか、
まぁゲヘナイベの前夜祭みたいなものですね!