『王国どうでしょう』を見ているみんなー!
こーんにーちわー!
次は皆お待ちかねの『バルブロおにいさん』が主役のお話だよ!
おにいさんもみんなに会いたくて待ってたんだ!
じゃあ、元気な声で呼んでみよー!せーの、
バールブーロおにいさーん!
よう愚民共!またせたな!
なに?『勝手に出てきただけだろ』だと?
貴様ぁ、王族に向かって何だその口の聞き方はぁ!
その素っ首刎ねさせるぞ!
んん?そもそも誰か知らないだと?
ふ、いいだろう。
この俺が直々に高貴なる名を名乗るのだ、特別に拝聴する栄誉に浴するが良い。
俺の名はバルブロ・アンドレアン・イェルド・ライル・ヴァイセルフ!
リ・エスティーゼ王国第一王子である!
ゆくゆくは王位を継承する身である、その骨身に然と我が名と威容を刻みつけるように。
……おい、なんだその呆れたような反応は。
『あぁ、バルブか』だと?
俺をその名で呼ぶんじゃあないっ!
『あの女』の顔が脳裏にチラつくだろうがっ!
ええい、どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって……!
本当は嫌だったんだ!
いくらボウロロープ侯の娘とはいえあんな野蛮な女を正室にするだなんて!
だが確実に王位を継承するなら貴族派閥の長であるボウロロープ侯の協力を取り付ける必要がある……クソッ!あの暴力女め!
「バカお……じゃねーですわね。……バルブロ王子ぃ〜、どこですの〜?」
イェッヒィッ!?ば、馬鹿な……!
アイツが、アイツがやってくる……!
「そこのメイドさん、ここらへんでバ……第一王子を見ませんでしたかしら?」
「第一王子……あぁ、バルブロ様ならあちらの方に歩いていかれましたよ?」
バァァーッ!(第一王子特有の鳴き声)
メイドお前なん、何で教えてるんだメイドぉ!?
声は覚えたからな!?覚悟しろよ!
「王ぅ子ぃ〜、あなたのクロエが呼んでますわよ〜?出てらっしゃ〜い」
おおお、お落ち着け、バルブロ・アンドレアン・イェルド・ライル・ヴァイセルフ。
素数だ、素数を数えるんだ……あれ、素数ってなんだ?
違う!今は素数じゃなく逃走経……じゃない!あの女を撒く手段を考えるんだ!
何か……、そうだこの部屋の窓か「バルブロ王子、みーつけた!」なん……だと……?
「……ミツカ…チャッ…タ……」
ウワアアァァァァめっちゃ怖えぇぇぇぇえ!
……いや、諦めるなバルブロ!
ここで諦めたら何も変わらねぇだろ!
ここから、俺は変わるんだ!
決して屈するなバルブロ!決して、決して、決して!
「うおおおおお!俺は!勝利に向かって!前進するぞぉクロエぇ!」
「……ほぅ、猫が獅子に化けたですの。……ではこちらも迎え撃ちましょう」
速度、威力、技術。
この3つは逆立ちしてもアイツに勝るなんてものじゃあ無い!
だが俺にはこの肉体がある!
あらゆる打撃を軽減する天然の要塞!
ヤツの拳から目を離すな!
やつの拳が接触する瞬間、全身の筋肉を引き締め耐えきって……ん?
あの振り上げた腕の下……あれだ!
「吶っ喊あぁぁん!」
「なっ、まさか組み付く気ですの!?」
組み付きと見せ掛けた超低空からのタックル、
さらに爪先の向きをずらし進路を調整、ヤツが振り上げた左腕の真下をくぐり……抜けたぁッ!
フフフ……フハハハハハハハ!
やったぞ!ついにやったぞ!
「悪魔の左」(バルブロ命名)、敗れたり!
「そしてこいつは、これまでのお返しだぁッ!」
「な、なんとぉっ!ですわっ!」
ヤツの横をすり抜ける瞬間、体当たりをかましてやった!
……うおおおおおっ!
奴に一泡吹かせてやったぜチクショウ!
フハハハハハハハ!
俺は自由だぁー!
「……やりやがりましたわねバルブ頭。次からはギアを上げてやるとしますですわ……。」
さて、勢いで城下に出てきてしまったがどうしたものか。
うーむ、……まぁ、今戻ったところでアイツと鉢合わせをするのが目に見えているな。
仕方ない、適当に時間を潰してこっそり帰るか。
それにしてもまぁ、何ともシケた面をしとるなぁ愚民共は。
それが王都の顔たる大通りを行き来する顔か?
「……ドワッチャアァォッッッ!?」
「バッキャロォ!前見て歩きやがれ!」
ぬ、ぬうぅ〜!
何とも教育のなっとらん御者だ、全くもってけしからん!
クソッ、ヤツの撥ねた泥水が俺の脚にかかってしまったぁじゃあないかっ!
……よし、ヤツの顔は覚えたからな。
う〜む、しかし足元の石畳の何とも貧相な事よ。
どれも不格好でゴツゴツしてて歩きにくくてかなわん。
何より愚民共のシケた顔と合わさって空気が辛気臭くてウンザリする!
辺境ならまだしも、王の膝下がこの有様では格好がつかん!
王になった暁には、まずこの石畳をすべて引っぺがして、国一番の石工に上等な石畳を造らせてやる……!
ん?そういえばラナーのやつが街道整備についての法案を通したとか言う話があったな……。
あいつの真似をするのは癪だが俺も提言してみるか……。
これも王位継承を確実にするため。
卑怯とは言うまいな、ザナック?
グフフフフ。
「おーい、クロエー!」
ウオォッヒィッ!?
もう追いつかれただと!
どこだ?どこから来る!?
正面?右?左?まさか……上か!?
「クロエおっそ〜い!今日はお義母さんのお見舞いに行くから遅れないでよって言ったじゃない!」
「ごめんごめん、カシラと話し込んじゃったんだ。さ、行こうぜ」
「は、ハハ……。なんだ、クロエって名前の男じゃあないか。驚いて損したぜ」
クロエの正体はちょうど後ろの広場で待ち合わせに遅れてきた男の名前のようだ……。
全く紛らわしい名前をつけよって、親の顔が見て――「おい」ん?なんゴハァッ!?
「クロエが男の名前で悪いかよ!?立て!貴様を修正してやる!」
「な、何だ貴様!俺を誰ブルウォォッ!?」
「お前が誰かだって!?知るかバカ!質問しているのは僕だ!クロエが男の名前で悪いかって言ってるんだよぉっ!男だよ僕はぁっ!」
こ、こいつ!全く言葉が通じないじゃないか!?
と、とにかく防御だ!ヤツは激情に駆られて大振りの打撃しか出せていない!
ヤツの持久力が切れたところで組み付いて決着をつけてやる!
「うおおおおお!」
「グゥうおおぉぉ!」
「うおおおおお!」
…………こいつ全然疲労しないな!?
や、ヤバい……。もう腕の感覚がなくなってきた。
このまま防御を下げたらあの連撃を間違いなく喰らう……!
クソッ、まさかこんな愚民に攻撃を許す事になるとはッッ!
か、顔は……お、覚え「そこまでですわ」……なに?
「双方、拳をお収めなさい。聞かぬようであれば実力で鎮圧しますわ」
「あ、貴女様は!?く、クロエ!クロエ・ビダッダン!もう喧嘩は止めて!侯爵様の面前よ!」
「なっ、こ、侯爵様!?どうしてここに!?」
「いつもの城下視察ですわ。それよりもそちらの殿方をお放しなさい。彼は王国の要職たるやんごとなき身ですの。貴方が手に掛けていいような方ではないですのよ」
「し、失礼しましたぁっ!!」
「ふふふ、素直でよろしいですわ。喧嘩は男子の華ですが、売る相手は選びなさいな?」
「……礼は言わんぞ。あんなヤツ、俺だけでも何とかできたのだからな」
「あらあら、私が見た限り終始反撃の機会も与えられなかったみたいですけど」
「ヤツの息切れを狙う作戦だったのだ!というか終始見ていたなら序盤で止めろよぉ!?」
「まぁ、そういう事にしといてやりますわ」
ぐぬぬ、この女ぁ。
しかし、あの場で割り込まれなければ間違い無く俺は敗北していただろう……。
……少しは感謝してやるか、言葉には出さんが。
「では王子、先程の続きと参りましょうか」
「……は?」
「まさか私を突き飛ばしただけで勝利が確定するとでも?」
おい、
オイオイオイ、
オイオイオイオイオイ!?
「ま、待て待て待て待て!俺は第一王子だぞ!?喧嘩を売る相手は選ばなきゃいけないんじゃないのか!?」
「私とあなたは夫婦の契を交わしてるじゃないですか。そして夫婦の喧嘩は夫婦の営み。喧嘩する事があってなにか問題があるでしょうか?」
「問題ない訳がある……、ヴァーッ!なんだそのナックルダスターは!?」
「今朝作ったばかりの新作『偉大なる王国の再興』ですわ♡ストライプと星の装飾が可愛らしいでしょう?」
チクショウ!こっちを殺る気マンマンじゃないか、この暴力女め!
ノーカンだ!さっきの感謝はノーカン!
……ハッ!まさかこの女、城内で俺を探していたのは……殺られる!?
「な、嘗めるなよクロエぇ!今日の俺は一味違うんだぁ!」
「御託は良いから掛かってきなさいですの。私の攻撃を見切った褒美ですわ、先攻は譲りましてよ」
「ぬ、ぬぬぬぅっ!吐いたツバは呑めんからなぁ〜っ!」
『クロエ・ビダッダンの証言』
えぇ。
あの後、事情を知って罪悪感が湧いたので謝りに行こうと二人を追いかけていったら、何かこう、オーラってんですかね。
なんか二人の間の空間がグニャあ〜って歪んで、しかも何か喧嘩の様相を呈してたんです。
それでまず第一王子がクロエ様に掴みかかろうと突進したんですが、次の瞬間にはクロエ様が第一王子の頭上に移動して肩に着地したんです。
冒険者の方や王国戦士長のストロノーフ様が使う、ブギ?でしたっけ?
最初はそれかなーと思ったんですが、うちのカシラ……、あ、大工のカシラですね。
そのカシラが屋根に登るときに壁の僅かな出っ張りを足場にして駆け上がるって裏技を使うのを思い出したんですよ。
だから、それと同じ原理で第一王子の身体を駆け上がったんじゃないかなぁって思います。
それから何をしたか……ですか?
確か……そうそう!肩車だ!クロエ様が第一王子に肩車して……回ったんですよ。
こう、身体を横に傾けてグルンっと。
そしたら第一王子の首あたりから「コキャッ」って小さい音が聞こえて「あぁ、死んだなアレは」って思いました。
いやだって、首が捻られてコキャッですよ?
普通は死んだと思うじゃないですか。
そしたらクロエ様がこっちに気がついてたのか僕を呼び止めたんです。
「安心なさい。彼は気絶してるだけですわ」って。
それから今日まで王族の訃報も出てないですし、クロエ様が言った通り気絶しただけだったんでしょうね。
それにしても王族って凄いですね。
バルブロ第一王子は身体が頑丈だし、クロエ様は超人的にお強い!
あのお二方のお子様が産まれたならば、それはもう人類最強の英雄になられるのではないでしょうか!
いやぁ、王国の将来を心配していましたが、あのお二方が居られるならば安心ですよ本当!(笑)
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バルブロ は かしこさ が 1 あがった!
スキル 「みきり」 を おぼえた!
スキル 「たちむかうゆうき」 を おぼえた!
スキル 「ガード」 を おぼえた!
だが クロエ を くみふせるにはいたってない!
がんばれ バルブロ!
おうこく の みらい は きみのそうけん に かかっているぞ!
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小説「ボウロロープ侯の娘」はリ・エスティーゼ王国第一王子、
バルブロ・アンドレアン・イェルド・ライル・ヴァイセルフを応援しています!