筆者は受験生なのに小説を書く愚か者なので、
これから先三月まで更新頻度は落ちると思います。
許して(涙)
グリニア=コーパス連合
コーパス 旗艦“トレードセンター”
勢力:コーパス
《どうでした?バーパルティアとの交渉は?》
Nef Anyoはバーパルティアにいる使者に問う。
《話になりません。第1外務局にいくと第3外務局に行けと言われ、第3外務局に行けば三ヶ月待てと言われ、現在、激怒しているグリニアの評議員殿を日本人と一緒になだめているところです。》
そう言うのはグリニアに不信感を抱いていたコーパス委員会所属委員 Frohd Bek。彼は外交の使者としてパーパルティア皇国に派遣されていた。
《それはいけません。彼らは恐らく、グリニアが下手をしなければ、我々のことを知りません。前回はグリニアに先手を打たれ、あのちっぽけな土地に大金を出す羽目になりました。今回は、我々が先手を取るべきです。あの土地には宝物の香りがします。》
Nefは険しい顔をしていた。
《そのためにはきっかけが必要です。何かきっかけとなりそうなものは……》
《失礼します。》
《何ですか?提督。》
はいってきたのはコーパス艦隊提督。手には報告書を持っている。
《監視衛星によるとバーパルティアの大軍がフェン王国という国に向かっているそうです。》
《それで?》
《この時期フェン王国では軍祭と呼ばれる大規模な閲兵式があるようです。日本もこれに招待されており、グリニアも参加するようです。これなら、比較的廉価な船と引き換えに、バーパルティアに宣戦布告が出来るのでは。》
《そうですね……》
Nefは少し考えるそぶりを見せたが、すぐに決断した。
《船を壊すのは心苦しいのですが…やりましょう。成功に犠牲は付き物です。》
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「あれが日本の戦船か・・・まるで城だな」
正直な感想を洩らす。
「いやはや、ガハラ神国から事前情報として聞いてはいましたが、これほどの大きさの金属で出来た船が海に浮かんでいるとは・・・。」
騎士長マグレブが同意する。
「私も数回、パーパルディア皇国に行った事がありますが、これほどの大きさの船は見た事がありません」
彼らの視線の先には、海上自衛隊の護衛艦が8隻浮かんでいた。
「剣王、そろそろ我が国の廃船に対する日本の艦からの攻撃が始まります」
剣王シハン直々に、日本の外務省に頼んだ
〔日本の力を見せてほしい〕
その回答が今出る。
護衛艦のさらに沖合いにフェン王国の廃船が4隻、標的船として浮かんでいた。
距離は護衛艦から2km離れている。剣王シハンは望遠鏡を覗き込む。
今回はイージス艦とかいう船が、1隻だけで攻撃を行うらしい。
日本の船から煙が吹き出る、僅かな時間の後、音が聞こえる。
ダン・・・・ダン・・・・ダン・・・・ダン・・・・
4回、
直後、標的船は猛烈な爆発を起こし、水飛沫をあげ、船の残骸が空を舞う。
標的船4隻は、爆散、轟沈した。
「・・・・・・・これは・・・声も出んな・・・なんとも凄まじい」
剣王シハン以下フェン王国の中枢は、自分たちの攻撃概念とかけ離れた威力を目の当たりにし、唖然としていた。
1隻からの攻撃で、4隻をあっさり沈める。しかも、とてつもない速さの連続攻撃で沈めた。列強パーパルディア皇国でも、そんな芸当は出来ない事をここにいる誰もが理解している。
「すぐにでも、日本と国交を開設する準備に採りかかろう、不可侵条約はもちろん、出来れば安全保障条約も取り付けたいな・・・。」
剣王は満面の笑みで宣言した。
「次はコーパスという日本と同盟関係にある国の船が来るそうですが、どこにいるのでしょうか?」
おい!上を見ろ!
その声が聞こえてくるとともに、民衆のざわめきが強まった。
剣王が上を見上げてみると、信じられないようなものが見えてくる。
「何と、あれが、船というのか」
銀色の船体に青い丸と三角が描かれている巨大な、日本の船よりも巨大な、まるで空飛ぶ島のようなものが巨大な蝶のようなものに囲まれて降りてくる。
「ありえない…船が飛ぶなんて……はっ。申し訳ありません。取り乱しました。あれがコーパスの船です。なにぶん光で攻撃するという情報しかなかったので……」
「…あれは何という船だ?」
剣王は問う
「あれは、確か…」
資料をめくり、急いで探す。
「あった!…えーと、どうやら周りを飛んでいる蝶のようなものは“スカウト・コーパスシップ”、真ん中のクサビのようなものは新型の戦艦で、“
「そろそろコーパスの攻撃が始まります。」
今回は日本のよりさらに遠く、14kmは離れている。
またもや望遠鏡を覗き込むが、その必要はなかった。
青白い光の奔流が棒の先から放たれ、廃船は全て、チリと化した。
「…………すばらしい!すさまじい威力だ!コーパスと国交を開設し、友好条約と安全保障条約、できれば同盟を結べ!」
「次はグリニアと言う国で、かつてはコーパスと敵対関係にあったようです。」
「ほう…それならその“グリニア”とやらもかなりの力を持っているだろう。」
「船は…やっぱり飛んでますね。」
「……しかも呆れるほど大きいときた。」
それは空のはるか彼方に浮かんでいた。両翼が大きく、巨大なブーメランのようだ。
「グリニアは“衛星軌道”……つまりは空のさらに上から“軌道爆撃”と言う攻撃を行う予定です。」
「攻撃が始まります。」
空の果て、グリニアの船の下から赤い光の球が発射され、迫って来る。
「あの、ちょっと、危ないのでは?」
そう思う者もいたが、その心配は正しかった。
赤い光の球が廃船の近くの海面に着弾し、大きな爆発が起こった。海は煮えたぎり、水蒸気爆発を起こし、廃船は全て木片となった。
その余波は観客席に襲いかかり、観客はほとんど全てがびしょ濡れとなった。
「…………あれはグリニア軍の中でも、中の上にあたる部類のようです。」
「……と言うことは、あれより強いものがあるのか。」
「はい、そう考えられます。」
「……同盟を結ぼう。」
「そうしましょう。」
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イージス艦みょうこうのレーダーを見ていた者は、西側から近づく飛行物体に気がついた。時速にして約350kmで、20機ほどが近づいてくる。
艦隊指令に報告があがる。
「西は、パーパルディア皇国という国があったな」
「はい」
「フェン王国の軍祭に招かれているのではないのか?」
「とは思いますが・・・一応確認をします」
その飛行物体はフェン王国首都アマノキ上空に至ったが、王国からの返答は無かった。
「一応グリニアとコーパスにも警告しろ。“未確認飛行物体が接近、注意されたし。”とな。」
「了解」
パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード部隊20騎は、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に来ていた。
軍祭には文明圏外の各国武官がいる。その目前で、皇国に逆らった愚か者の国の末路はどうなるか知らしめるため、あえてこの祭りに合わせて攻撃の日が決定されていた。
これで、各国は皇国の力と恐ろしさを再認識することだろう。そして逆らう者の末路、逆らった国に関わっただけでも被害が出ることを知らしめる。
ガハラ神国の風竜3騎も首都上空を飛行している。
風竜が皇国ワイバーンロードを見ると、ワイバーンロードは、不良に睨まれた気の弱い男のように、風竜から目を逸らす。
「ガハラの民には、構うな。フェン王城と、そうだな・・・あの目立つ白い船と飛んでる船に攻撃を加えろ!!」
ワイバーンロードは上空で散開した。
!?西側から飛行してきた、ワイバーンと呼ばれていた竜は、隊を2つに分けフェン王国王城に向け、急降下を始めた。
「何のデモンストレーションだ!?」
誰もが疑問に思った時、急降下していた竜が口を開け、口内に火球が形成され始める。
「!!!!!!!!!!!」
次の瞬間、10騎のワイバーンから放たれた火球は、王城の最上階に着弾し、木製の
王城は炎上を始める。
「!!!!!巡視艇いなさにワイバーン5騎が急降下中!!!」
イージス艦みょうこうの艦橋で悲鳴に似た報告があがる。
「いかんっっっ!!!!!!!」
次の瞬間、パーパルディア皇国の皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード10騎は、直下約500m付近に停泊中の海上保安庁の巡視艇 いなさ に向かい、導力火炎弾を放出した。
「コーパススカウトシップに向かって五騎が急降下!コーパススカウトシップはレーザーキャノンと思しきもので応戦!!」
「ああっ!!!コーパススカウトシップ撃沈!沈んでいきます!!」
巡視艇いなさ
軍祭に、事前情報の無い未確認機が多数接近中との自衛隊からの事前連絡を受けていた巡視艇いなさ は、エンジンを始動し、上空の監視を怠ってはいなかった。
「未確認機が我が方へ発砲!!!!!」
「エンジン出力最大!回避せよ!!!」
いなさは、出力を最大にし、移動を始める。
降り注ぐ火炎弾を次々と回避する。
いなさの後方で、海上に火炎弾が着弾する。
ドーーーーン・・・・
「ちっ!船体後部に被弾!火災発生!!!!!!」
火炎弾のほとんどを回避したいなさ、1発だけ船体後部に被弾した。
「消火活動を実施しつつ、最大船速へ!!!上空の監視を厳とせよ」
「何!!あのタイミングで、ほとんどかわされただとぉ!!?」
急降下から、水平飛行に移行したワイバーンロード10騎は、必中タイミングで撃ったにもかかわらず、そのほとんどをかわされた事に唖然としていた。
「くっっっなかなか消えないな・・・。」
導力火炎弾が命中したことによる火災は、炎が粘性を持っているらしく、消火活動に手間取る。
「正当防衛射撃を実施せよ!!!」
いなさの対不審船用の20mm機銃が上空を向く。対空用の機銃ではないのは、十分理解している。
しかし、自己の生命を守るため、「いなさ」は、持てる武器を上空へ向けた。
「はい現在正当防衛射撃中!撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
タカタカタカターーーン・・・ピッピッピッピッピッピ
タカタカタカターーーン・・・ピッピッピッピッピッピ
画像により、上空を飛ぶワイバーンにしっかりと照準を合わせ、発射する。
曳光弾を交えて上空に弾は発射される。
連射の後、砲身冷却のため、一定時間艦内に電子音が鳴り響く。
いなさの放った弾は、10騎中1騎に着弾し、血飛沫をあげ、ワイバーンロードは、上空でのたうちまわる。
竜騎士は振り落とされ、海中へ落下した。
各護衛艦は、いなさが攻撃された時点で、「敵」への反撃の意思決定を下していた。
みょうこう の主砲が上空に展開する「敵」へ向く。
各護衛艦で的が重ならないように、振り分けられる。
FCS射撃管制システムにより、敵との相対速度が計算され、飛行する敵の未来位置で迎撃できるよう、寸分違わず、主砲の砲身が上空を向く。
次の瞬間、各護衛艦の主砲が炸裂し、いなさを狙っていたワイバーンロードは消滅した。
コーパススカウトシップ内部
コーパススカウトシップは無人機である。しかし今回は運悪く、数人のメンテナンス要員が搭乗しており、不慣れな対空戦闘を強いられていた。
《しっかり狙って撃て!》
《撃て、撃て、撃て!!》
パパパパパ、パパパパパ、カシュー
レーザーマシンガンの発射音と弾切れを知らせる音が聞こえる。その音が聞こえるたびにスカウトシップの乗組員は急いでマガジンを入れ替える。
《左上方敵機!注意せよ》
スカウトシップは次々とワイバーンを撃ち落とし、火炎弾を回避していたが、努力虚しく、機体の両脇にあるエンジンが被弾した。
《浮遊エンジン被弾!!炎上!!!》
《戦闘を続行しろ!》
《エンジン停止!!墜落します!》
《仕方ない、総員退避!!》
スカウトシップから乗員が次々と脱出し、無人のスカウトシップが海の底へと沈んでいった。
その後、戦艦“プロフィット“がそのレーザーキャノンを用いて、上空を飛ぶワイバーンを全てチリにした。
剣王シハン及びその側近たちは、開いた口が塞がらなかった。
ワイバーンロードは、間違いなくパーパルディア皇国のものだろう。
我が国が、ワイバーンロードを追い払おうと思ったら、至難の技だ。
1騎に対して一個武士団でも不足している。そもそも、奴らは鱗が硬く、弓を通さない。
バリスタを不意打ちで直撃させるか、我が国に伝わる伝説の剛弓、「ベルセルクアロー」を使うしか無いが、ベルセルクアローは、硬すぎて、国に3名しか使える者はいない。
戦闘態勢にあるワイバーンロードを仕留めるのは、事実上不可能に近い。
文明圏外の国で、1騎でもワイバーンロードを落とすことが出来れば、国として世界に誇れる。
我が国は、ワイバーンロードを叩き落すことが出来るほど精強であると・・。
それを、異世界から来たと言う奴らは、いともあっさりと、怪我をして動けなくなったハエを踏み潰すかのように、自分はほとんど怪我を負わず、列強の精鋭、ワイバーンロード竜騎士隊を20騎も叩き落してしまった。
しかも、日本の白い船は、軍ではなく、警察的な役割を果たす[武力を削った]船らしい。
奴らは、文明圏外の武官が集まっている軍祭で、各国武官の目の前で、各国が恐れる
列強パーパルディア皇国の精鋭ワイバーンロード部隊を赤子の手をひねるように、叩き落とした。
歴史が動く、世界が変わる予感がする。
ワイバーンロードは、おそらく自分たち、フェン王国への懲罰的攻撃に来ていたのだろう。
コーパス=グリニア連合と日本をこの紛争に巻き込めたのは、天運ではなかろうか・・・。
剣王シハンは、笑いながら燃え盛る自分の城を眺めていた。
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グリニア=コーパス連合
コーパス旗艦“トレードセンター”
《よろしい、人員の損失なく作戦を遂行できたことは賞賛に値します。後で私の執務室に来なさい。昇給して差し上げましょう。》
Nefは満足そうに自分のヒゲを撫でて、スカウトシップの乗員に向かって微笑んでいる。
《委員殿、報告です。》
提督が声を掛ける
《何ですか?》
そしてまた提督が報告する。どうやら監視衛星からの情報らしい。
《フェン王国西の沖にパーパルティアの船団を発見しました。つきましては“プロフィット”と“クレジット”艦隊の出撃許可を求めます。》
Nefは一瞬逡巡したが、利益を求める彼らしい返答をした
《いいでしょう、許可します。ただし利益を上げることを念頭においてください。》
《はっ!》
多分次もそれなりの間隔が空きます。
お許しください。